アラン・マバンクのレビュー一覧

  • 割れたグラス

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    ネタバレ

    アフリカ文学が6冊邦訳され飛びついた。コンゴ(共和国の方)のマバンクの小説は、不思議な味わい。句点が1つもない文章は特徴的で、170冊以上あるという文学作品のタイトル等をちりばめたのは、知っていればニヤリとしてしまうが実験小説風ではない。登場人物が語る話は、割れたグラス(ノートの書き手)の手によって奇妙な語り口で記録され、いろんな小話に引き込まれる。なんか面白くて離れがたい雰囲気がある。後半では「ツケ払いお断り」という名前のバーに入り浸る割れたグラスがとうとう自らの人生を語り始めるという話。独特の味わいで気に入った。6回の配本、全部読み切りたい。

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    2025年05月23日
  • もうすぐ二〇歳

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    コンゴのマバンクによる小説。1970年代コンゴの地方を舞台に小学生の最終学年のミシェルの目で語られる日々の記録。母親は第2夫人で連子だったのでミシェルと父親とは血の繋がりはない。だが父親や第1夫人またその子どもたちとはとても良い関係なので、この辺りがコンゴの風習かあるいは父親の人柄か。
    かなり政治情勢が日常会話の中で語られ、子どものミシェルがイランのシャーの亡命生活とその死を気にしていることなど新鮮だ。そして呪術師が当たり前のように存在し、母親に子供ができないのはミシェルが鍵を掛け隠したと告げられる。ミシェル以外が皆そのことに何の疑いも持たないのが怖かった。
    とにかく知らないコンゴの生活を知り

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    2023年04月28日
  • 割れたグラス

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    ネタバレ

    20年前のコンゴ共和国(本作発表は2005年)

    港町ポワントノワール(←実在する)のバー「ツケ払いお断り」が舞台。主人公《割れたグラス》はバーとその常連客たちとの日々をノートに書き留めていく。

    本作は誰も本名ではなくバーの主人も仮の名前《頑固なカタツムリ》と呼ばれ、バーの客たち、《パンパース男》、《印刷屋》、《蛇口女》そして主人公《割れたグラス》の人生が綴られていく。

    例えば、法がないの?というぐらい人が言ったことだけで牢屋行きになって人生詰んでしまうという現代日本からすると異界の出来事のような内容。

    人口の多数がキリスト教だそうですが呪術も混じって土着的なものを感じました。紙面下の注

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    2025年10月10日
  • 割れたグラス

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    酔っぱらいが書き記したという体裁の、酔っぱらった文章、自分も酔っぱらいながら読んだけど、おもしろい!
    句点が一つもなくすべて読点で続いていく文体、膨大な先行作品の引用は慣れるまでは戸惑うが、いつの間にか酔っぱらいの饒舌な語りのようなスピード感を爽快にすら感じていました。
    初めての感じだなあ。

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    2025年08月16日
  • 割れたグラス

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    酒場の常連が酔っ払いの話などをノートに書き留めた、という体のアフリカ文学の小説。
     非常に衒学的、かつアフリカ的な作品だが、「アフリカ的」な文学とは、アフリカ的猥雑さ(呪術的、部族的)と、西欧との搾取の関係性、反発と依存が混ざりあったものだと思う。
     男が酒場で語りたがるのは大体が愚痴と決まっており、プライベートなものである。この小説は男たちの哀歌がテーマなのだ。そんな男たちの悲しくも滑稽なさまを前述の衒学的な部分とアフリカ文学的なもので味付けしている作品だ。

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    2025年07月05日
  • 割れたグラス

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    コンゴ共和国(元フランス領。元ベルギー領はコンゴ民主共和国)の湾岸都市ポワント=ノワールの中でも下町トロワ=サン地区のバー「ツケ払いお断り」で、常連客の一人<割れたグラス>は、経営者<頑固なカタツムリ>から頼み込まれてバーのこと、バーの常連客のことをノートに書いている。
    「ツケ払いお断り」は、開店時に不道徳としてカトリック団体から反対運動がおきたくらいだ。<頑固なカタツムリ>は断固として店を続け、ついには大臣も口を挟む騒動となった。
    そのときのスピーチが有名になり、嫉妬した大統領が「自分のためにそれ以上の名言を考えろ!」と知識人、官僚たちを招集した。だがそれらを片っ端から「ダメだ、次!」とぶっ

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    2025年06月15日
  • 割れたグラス

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    ネタバレ

     ジャケ買いしたくなるような、印象的な装丁。
     現代アフリカ文学の最前線を紹介するシリーズが刊行された。その第1回配本が本書。

     著者のアラン・マバンクは、コンゴの出身… と聞いても、地名は聞いたことがあって、はて、どこだっけ? となる。今、コンゴという国はコンゴ川をはさんで2つある。あぁ、かつてのザイールか?! と、とにかくアフリカ大陸の現状について、己の無知蒙昧を恥じることになる。
     まずは、コンゴがどういう歴史を辿り、今は南の旧ベルギー領のコンゴがあり、戦争と疫病で近年話題だなと認識、それに対して本書の著者マバンクの出身は旧フランス領の小さいほうのコンゴだ。川を挟んで、船で20分の対岸

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    2025年07月06日