田中周紀のレビュー一覧
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「東京医大不正入試事件」と聞いて多くの人が記憶しているのは、女子の受験生や多浪生に不利な得点調整を実施していた大学入試の実態だったのではないでしょうか。しかし、これは一つの裁判事象の副産物に他なりません。その本筋となる事象が、本書で詳細に述べられています。
「文部科学省官僚佐野氏が自身の息子の東京医大入試での得点加算を賄賂として、東京医大が応募する事業への優遇処置をとった」というのがこの贈収賄事件のあらましです。なんともありきたりで陳腐なこの構図は東京地検特捜部が描いたシナリオで、そのシナリオに沿って調書が作成され、関係者が有罪に仕立て上げられるプロセスが克明に描かれています。
そもそも佐野氏 -
Posted by ブクログ
ネタバレ世間を賑わせた脱税事件について個別具体的に紹介し説明している一冊。
確定申告をしたことがなく、税務署や税務知識に疎い私には難解な箇所もあったが楽しめた。
特に暗号通貨の件は、他人事ではないので凄くためになった。
暗号通貨の課税については国の明確な悪意を感じる。
楽して儲けるなんてけしからん、浮かれている連中を懲らしめやろうという意思があるような気がしてならない。
あと衝撃的だったのは3億円貯めたAV女優の話。
身体をはって貯めた3億円を全く申告していなかったため、半分を税金でもっていかれたという絶望。
税金の知識があったらもっとどうにかなっただろうに。
義務教育のカリキュラムに税金の授業を -
Posted by ブクログ
○東芝「不正経理」問題(2015年)
不正の直接指示ではなく部下に忖度させる、東芝の「チャレンジ」という言葉がとても象徴的
○山一証券「飛ばし」事件(1997年)
泣きながら会見をしていた当時の社長はたたき上げのいわゆるスケープゴードだったという哀愁
○オリンパス巨額「粉飾決済」事件(2012年)
財テクで生まれた損失を飛ばしていて、黒船に指摘されて明るみになったという恥
○NHK記者「インサイダー取り引き」問題(2008年)
最近、報道発表前に株価が急落して急遽取り消した企業がいて、みんな似たようなことはしている印象
○第一勧業銀行と大手証券4社「総会屋利益供与」事件(1997年)
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Posted by ブクログ
本業を忘れ財テクなんかに走るべきではない、「にぎり」で特金を運用するなどトラブルを進んで抱えるようなもので言語道断・・・そんなことを今になって声高に叫んでも所詮は後講釈だ。簿外の含み損が何百億円規模で膨らんでいく事態を目の当りにしたら、先送りして今をしのげればと願ってしまうのが人情だろう。山一証券の廃業に至る飛ばし、ヤクルト巨額損失事件、オリンパス事件。本書はこれらの発端から結末までの経緯を詳細に述べており、抜き差しならない状況に追い込まれる過程がひしひしと伝わってくる。各事件とも、歯止めの効かない杜撰な管理体制だったことに唖然とさせられるし、これらの教訓を踏まえて現在は法制度や社内管理体制が