齊藤彩のレビュー一覧
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昔、自分は野洲川近くに住んでおり、家族でショッピングに行く時はバスで野洲川にかかる橋を渡ったものだ。ショッピングに行く日は天気が良い日だったからか、野洲川はいつもきらきら輝いていた。
この「娘」である主人公にしてみれば、野洲川は全く違った印象として心にあるのかもしれない。
小説と思って読みたいノンフィクションだった。実話だと思うとやり切れない。どうしてこの母親はこういう母親だったのか、主人公本人もおそらくこの先ずっと、完全に理解することは難しいだろう。やり場の無い、とか、虚しい、とか字面で並べても現実が重すぎて薄っぺらく感じる。
新たに罪を認め、犯情やその背景が詳らかになったことで刑が軽くなることがあるとは知らなかった。それがこの事件の性質を如実に表しているのだろう。
この主人公が誰かを救うことのできる未来が来ますように。 -
Posted by ブクログ
あまりにも衝撃的な内容だった。本作の中で引用されている母と娘のラインを読むだけで胃が痛くなってくる。全く無関係の私が文字上で読むだけでこれなのだから、実娘にして同居人、教育虐待の被害者であるあかりさん(本事件の犯人)がこれらを受け取った時の心労や苦しさはいかばかりだろう。正直想像もつかないし、想像することで彼女の苦痛を矮小化してしまうのすら烏滸がましいとすら思える。
あかりさんは母親を殺したことを悔いていて、「もっと周囲や身内と話すなどすれば、このような結果に終わらなかったのでは」と内省されているようだ。それ自体は刑務所のプログラムの正しい成果なのだろうとは思うが、しかしこの母親を前にこれ以外であかりさんが開放される術はあったのだろうか、とどうしても考えてしまう。それぐらいあまりにも母親があかりさんに依存し束縛し自他境界を崩壊させて寄りかかっていて、こんなものどうしたらいいんだ、という口汚い感想が出てきてしまう。本当にあかりさんは9年もよく耐えたと思う。私なら1年も持たずに狂っている。それでもやはりあかりさんにとっては母親で唯一の人でもあったのだろうなと思う。本当に「どうすればよかったのか」という気持ちになってやり切れない。
頼むからこれからあかりさんの人生に幸せなことが沢山起こりますように、と願わずにはいられない。幸い父親が非常に献身的にあかりさんをサポートしてくれているとの事でほんのわずか救いになった。全く何の関係もない無責任な発言ですまないが、あかりさんのこれからの人生が明るいものであることを祈っている。 -
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ネタバレ■あらすじ
滋賀医科大学生母親殺害事件で、母を殺害して服役中の娘を取材したノンフィクション。
ブラック・ジャックに憧れて医者という夢を持ち、医学部受験を志すが、母子家庭で常軌を逸した教育ママの元で何度も受験に失敗し、9浪の末に看護学部に入学するも、外科看護になりたいという希望は認められず、絶望の末に母を殺害し、バラバラにして遺棄してしまう。
■感想
母とのLINEは、もし母にこんなこと言われたら心が壊れるだろうと思うくらいに辛かった。再犯の余地も無いのに彼女が服役する理由はなんだろうか。
・父はこの環境から救い出してあげることはできなかったのだろうか。
・裁判長の言葉で彼女の心が氷解したのなら、もっと早く差し伸べられる手があったのでは。
・あかり自身に中高の友達がいて相談できたら良かったのにとも思った。家庭環境から嫌厭されたのだろうか。
・LINEゲームが趣味で娘の受験が全て、という母親像にはどこか共感するところもあった。娘の受験以外の依存先を見つけられないとこうなるのかもしれない。もし自分が子育てをするとして、こうならないと言い切れない気持ちになって怖かった。 -
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母を殺害した娘についてのノンフィクションだが、娘の学力が高い故か、母と娘のLINEのやり取りや、娘が書いた手記などの文章力が高く、かつリアルで、非常に読み応えがあり、面白い。
娘を産んだばかりだったので、もしかしたら読んで暗い気持ちになるかなと思ってたけど、この母がかなり酷くて私にとってはリアリティがなく、ドン引きしながら逆に軽い気持ちで読めた。
自分も若い時は実母に色々思うことがあったりしたが、本物の毒親というのは凄まじいなと、娘のあかりさんにかなり同情した。
あかりさんは、罪を犯したことは良くないけれども、雑居房では周囲の受刑者に読み書きや翻訳を手助けしていたところからも、優秀で真面目な方なのだなと思うし、そういう方が罪を犯してしまうくらい9年の母との浪人生活が苦しいものだったのだろうと思う。
終盤の、娘が自白を決めたあたりでの父とのやり取り、関係の変化や、弁護士や周囲の人を信じられるように少しずつなっていく過程は、描写はシンプルだったが感動した。 -
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この事件を知った時、「逃げれば良かったのに」って思った。でもこの本を読んでわかった。何度も逃げたんよね。探偵を使って連れ戻される。家出しても、寮付きのとこに就職しようとしても、連れ戻されるんよね。プライベートもない。そりゃ、頑張る気力も無くなるよな。
ずっと読みたかったけど、うちは母と仲がいいだけにこのタイトルの本を家に置くのに躊躇いがあって買ってなかった。友達からオススメで借りたので読めた。
読んでよかった。知ることができてよかった。
ただ、長期間この本の世界にいるとガチ病んでくる。
2週間かけて読んだけどしんどかった。
お母さんは、あかりさん(仮名)の色んな可能性の芽を潰してきたんだろうなと思う。少なくとも、手術室看護師になる芽は確実に潰れた。検事や弁護士の可能性だって。小説を書く可能性も。母という呪縛がなければ、どんなに羽ばたいていただろう。別に羽ばたいていなくてもいい。普通に一般的な生活ができていればいい。
34歳やってさ。私と同い年。
34歳なんて普通だったら、セカンドキャリアを考えたり、結婚、出産も考える歳なわけよ。
お母さんはそれらを全て潰して、自分の思うままになって欲しかったってわけよ。狂ってる。
『私が死ぬか、母が死ぬまで終わらない』
少なくとも、自ら命を断つわけじゃなく、相手を消す方向に向いてくれて…良かったって言い方は間違っているかもしれないけど、強い人だなって思う。これだけ我慢してきて、本当に限界やったと思う。どんな人だって、同じ運命を辿ったらきっとそうなってた。
やっぱり子どもって、学生って逃げ場がない。家庭って閉鎖的。助けを求められる場所がない。自分が「虐待を受けてる」ってそもそも気付けない。
この方は気付いて、逃げ出し助けを求めたけど、自分が本当に助かるところまで行けなかった。
お母さんもしんどかったとは思う。
もうこうなったら第三者の手が入らないと無理よ。
誰かが厚かましく引き離さないと。
簡単にいうわけじゃないけど、お母さんを心療内科に連れて行く人がいれば変わったかもしれん。そんな簡単なことじゃないけど。お父さんも限界だっただろうし、おばあちゃんも別の生活があるし。
愛がまったくないわけではないけど方向が違うし、愛が形を変えたし、みんな見て見ぬ振りをしてたのかなって。
自分の近くにもこういう環境があるのかもしれない。
隣の家がこうって可能性もあるよな。
2013年12月の『あかりの置き手紙』「一世一代の大嘘」これが1番ゾッとした。鳥肌たった。怖すぎる。
(この本、編集も上手すぎると思う。素晴らしい)
医学部にこだわってたのはまだ分かる。でも、なんで助産師にそんなにこだわってたんやろう。手術室看護師めちゃくちゃかっこいいのにな。自分の適性をちゃんと判断して、自分の道を歩こうとしてたのにな。
「母の本意が分からない。そもそも、なぜ母が助産師にそれほどこだわるのかも。あかりにははっきり理解できていなかった。」
でもそりゃそうよね。あかりさん(仮名)が分からんなら、私らに分かるわけない。
たぶん、あかりさん(仮名)じゃなかったら、もっと酷い状況やったかもしれない。もっと早くに自ら命を絶ってたかもしれん。なんぼでもタラレバは考えちゃうけど、無理よこんなん。
出所されたら、自分本位に生きてほしい。
好きなことをしてほしい。幸せになってほしいって心から願ってる。
この本を届けてくれた齊藤彩さんにも感謝。素晴らしいまとまり方で心に届いた。
最後の『文庫版に寄せて』を読むと、本の感想を受け取ったあかりさん(仮名)の気持ちの変化が書いてある。
こんなに辛い思いをしてきて、「苦しみ悩むあなたに寄り添いたい」って、立ち直りを支援する人になりたいって、思ってくれてる。すごい人や。応援したい。 -
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娘側にどうしても同情してしまう。
私の家庭はなにかを強要されることはなかったし、やりたいことをやりたいだけやらせてもらえる家庭だった。この本の両親に愛がないって言う訳じゃないけど自分の育った家庭が恵まれていたなと思った。家族旅行は年に1回近場だけどあったし、そこまでお金がある家庭でもなかったのに、自分を卑下することもなく、友達の会話に遅れを取ることもなく楽しく生活することができていた。その物事がおきた原因には、人の感情の動きがあるのは当たり前だけど、裁判長があかりの苦しみを導き出せたのは大きかったんだなと思った。裁判官は人を裁く仕事だと思ってたけど、人を救う仕事でもあるんだなと思った。 -
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ネタバレ母親を殺害するまでにいたる幼少期からの背景や心理描写が胸をえぐる。母親からの長期にわたる精神的、肉体的虐待は拷問のようで娘の恐怖と苦痛は想像を絶する。母親はなにかしらのパーソナリティ障害を持っているのではないか。
娘は幾度となく外部の人間に助けを求めているが、母親の元に帰らざるおえない結果の繰り返し。
逃げられない、どちらかが死ぬまで終わらないと思い込むのも自然に感じる。
初審では母親の殺害だけは頑なに否定していた彼女が、裁判官や父親の言葉に心を開き、再審では全てを告白し罪を受け入れる。誰にも理解されないと孤独に陥っていた彼女が少しだけ救われた瞬間に思えた。 -
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「モンスターを倒した。これで一安心だ」
Twitter(現X)への投稿から時が経ち、河川敷で発見されたバラバラ遺体。逮捕されたのは「医学部9浪」の娘だった…
物心つく前から「この子は医者にする」と母から過度な期待とプレッシャーを受けて育てられ、そして9年に渡る医学部医学科への受験強要。
叱咤罵倒で精神が擦り減り、暴力で肉体を傷つけられる日々。失望されているのに離してくれない。諦めてくれない。自由も選択も奪われた生活。信じたくないけどこの話がノンフィクションだという事にゾッとする。
刑期を終えたあかりさんの日常が穏やかなものでありますように。 -
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まず、映画や小説の登場人物に感情移入しすぎるような、自他境界が曖昧な自覚のある人間は読まないことをおすすめする。私は見事にそのタイプの人間で、読みながら何度も手を止めたし、読み終わった今も絶望の中にいる。
母から残虐非道な行為を受け続けても、時には一緒に買い物に行ったり笑顔で写真を撮ったりするところに、親に愛されてみたいあかりさんの子供心を感じてとても悲しく、辛かった。
出所後はレールのない人生を歩んで欲しい、とは思うものの、出所するときの年齢は40歳前後で当然前科者で社会人経験はフリーター時代のアルバイトと短期間の看護師のみであることを考えると、先行きが明るいとはとても言えない。これを母という呪縛から解き放たれたと言っていいのか?母を殺そうが一生牢獄に閉じ込められたままなのではないか?第三者である私には、ただただ胸を痛めることしかできない。このやるせなさが憎いと思う。