寺下滝郎のレビュー一覧
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企業の給与制度がどうあれ、結局この世界は能力主義と運の良し悪しが支配している。その下位ポジションになれば、這い上がるのは難しい。搾取される側からは簡単に逃れられず、一生働いて暮らす。
メリトクラシー。その世界観は、学歴のある上層労働者階級と共通する。CEOには理系の博士号取得者が多く、テック企業の幹部45人を対象にしたある調査では、大半が工学、計算機科学、ビジネスなどの分野で一流大学の学位を取得していることがわかった。学位を持っていない一部の者も、エリート教育機関の中退者であった。「ソフトウェアはIQビジネスだ」とは、自らもハーバード大学の中退者であるビル・ゲイツの言葉。IQの高い人たちが生 -
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東洋経済にて、新しい封建制がやってくると合わせて紹介されていたので入手。いわゆる「西側」諸国(ぶっちゃけ欧米)を今までリードしてきている新自由主義が何をもたらしているか、を解説する。基本思想が強者総取りのところに更にテクノロジーによる支配を加速させて、少数のテック貴族によって多数の下流層(中流層は下流層にに叩き落される)が支配され、民主主義が蔑ろにされていく現状が語られている。そのような状況だからこそ、トランプのようなデマゴーグがそういった層のニーズをすくい取って伸びていく、と解説される。筆者は多元民主主義(地方の有力者に率いられた集団が多数ひしめき合う状況)の復活を提示しているが、テックオリ
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この本で面白かったのは「世界対戦とニューディール」の章で、戦争が労働条件向上に役に立つという事実。アメリカは第二次世界大戦で国内の労働者の協力を得るために、勝ったあかつきには労働環境含め社会保障を充実させることを約束した。それだけ勝つためにはなりふり構っていられなかったのだろうと思う。戦後はその約束のもと労働者階級の発言権を認め、格差の少ない社会を実現した。その状況も長くはつづかなかったわけだが、日本の戦後社会も似ていたように思う。今や労働者の経営者に対する交渉力などゼロに等しい。戦争が正しいなどと言う気はさらさらないが、アメリカの歴史上労働者が最も恩恵を受けたのは戦争中だった事実には複雑な思
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ネタバレ黒死病で死者が増えて、労働力不足から労働力の価値が高まり封建制が崩れた。
強い指導者が表れなければ、状況は変わらない。
現代の封建制は、有識者層、寡頭支配層(オリガルヒ)、土地持ち中流階級、労働者階級、プレカリアート。
若年層のほうが自由主義的資本主義への支持が弱い。
プロレタリアの施し袋=大衆の反乱を防ぐ目的。
東アジアの人口減少が激しい。
大量失業よりもギグエコノミーに就くことで失業は隠される。
香港では女性の2/3が子どもは1人またはいらない、と考えている。
「優生学は食卓にいる幽霊だ」グリーリ。
寡頭制の鉄則=ロベルトミヘルス -
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1970年代から上流階級のエリート層が上からの改革により、新自由主義に基づくグローバル化推進策が徐々に取られることよって、庶民層との新しい階級闘争が生じた。それに対する庶民層からの反発として、ブレグジットやトランプ大統領の誕生など、下からのポピュリストの反革命が生じている。
ニュースを見て、世の中がおかしな方向に動いているとの実感があったが、ようやく構造が理解できた気がした。解決のためには、労働組合などの様々な中間単体を再生し、庶民層の利益や見解を代弁し、政治に反映させる拮抗力か必要とのこと。
様々な物事は、振り子のように動きバランスをとるものなので、今は振り子が元に戻ろうとしている過渡期とい