【感想・ネタバレ】新しい封建制がやってくる―グローバル中流階級への警告のレビュー

あらすじ

格差の拡大は確かに問題ではあるが、それを「封建制」と言うのは大げさだと思うかもしれない。しかし、本書を読めば、そのような認識が甘かったことに気付くであろう。ーー中野剛志氏「日本版解説」

あなたは「新しい貴族階級」か。
「新しい奴隷階級」か。
私たちはどう生き残るのか。
階級や格差の固定化、社会的地位上昇機会の喪失がもたらす「新しいかたちの貴族制」を徹底分析。
アメリカを代表する都市問題研究者によるシリコンバレー発「地獄の黙示録」。


<「新しい封建制」社会はこうなる!>

【第一身分】
コンサルタント、弁護士、官僚、医師、大学教員、ジャーナリスト、アーティストなど。
高度な知識を有し、支配体制に〈正当性〉を与える「有識者」(現代の聖職者)。

【第二身分】
GAFAなどの巨大テック富裕層が率いる「新しい貴族階級」。

>>>>>>>>>>>>>> 超えられない壁 >>>>>>>>>>>>>

【第三身分】
それ以外の人びと。中小企業の経営者、熟練労働者、民間の専門技術者など。
21世紀の「デジタル農奴」「新しい奴隷階級」。

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Posted by ブクログ

翻訳読みやすかった。
歴史は繰り返すのかな。
世界的に格差は広がり、しかも固定化している。そしてそれは、次第に寡頭勢力そのものも脅かす。。。
そんな話だと理解しました。
私にできることはなんだ?
とりあえず、選挙は行くよ。

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2025年07月18日

Posted by ブクログ

企業の給与制度がどうあれ、結局この世界は能力主義と運の良し悪しが支配している。その下位ポジションになれば、這い上がるのは難しい。搾取される側からは簡単に逃れられず、一生働いて暮らす。

メリトクラシー。その世界観は、学歴のある上層労働者階級と共通する。CEOには理系の博士号取得者が多く、テック企業の幹部45人を対象にしたある調査では、大半が工学、計算機科学、ビジネスなどの分野で一流大学の学位を取得していることがわかった。学位を持っていない一部の者も、エリート教育機関の中退者であった。「ソフトウェアはIQビジネスだ」とは、自らもハーバード大学の中退者であるビル・ゲイツの言葉。IQの高い人たちが生きやすい世界。そりゃそうだろう、野生にも弱肉強食のルールがあり、人間が野生生物より秀でる部分は知能なのだから、当然、人間の中でも知能の序列が弱肉強食の指標になる。

不動産封建制、デジタル封建制。知能が構造を作り出し、ルールの支配者となってプラットフォーマーになる。サービスを利用する側の人間は、ライフラインを握られる定めだ。

ー 寡頭支配層はいつか自分たちの繁栄の基盤を掘り崩すことになるかもしれない。寡頭支配層の多くは、古典的自由主義と資本主義的企業に敵対する基本的なアジェンダを持つ過な進歩主義者と手を組んでいる。これはフランス革命に至るまでの状況とよく似ている。トクヴィルが指摘しているように、当時、多くのフランス貴族は放蕩生活を送っていただけでなく、最終的には「自分たち貴族の権利や存在すら」も脅かすことになる議論を展開する著述家たちを支援していたのである。
これまで、進歩主義的左翼によって提唱された政策は、ほとんどが下流・中流階級の犠牲の上に成り立っていた。しかしながら、新しいタイプの進歩主義者はもっと大胆で、フランス革命のジャコバン派や1960年代後半の中国の文化大革命で暴れまわった紅衛兵のような存在になりつつある。将来、若い活動家は前の世代の環境保護運動家たちと同じように、寡頭支配層の貪欲に我慢できなくなるかもしれない。

大部分は労働者階級だ。しかし、資本家が強欲に任せるままにかき集めた資金と構造に対し、現状のルールで労働を提供し続ける必要はない。支配階層をターゲットとした預金封鎖ならぬ、1%の富裕者が用いる通貨を無効化させ、労働者同士で財を交換し、上層部を切り捨てる革命を思い描く事は可能だ。だが、それでも格差は繰り返すから、平和的な上澄み補正の実装を考えられたら良いのだが。

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2024年09月01日

Posted by ブクログ

有識者と呼ばれるアカデミックなエリート層と、テック企業を中心とする一部の上位の「新しい貴族」となった富裕層と、「新しい農奴、奴隷」となったその他大勢との溝は、経済格差や人種差別、LGBTQ、クリーンエネルギー、教育、少子化など、様々な問題が顕在化すればするほど、さらに大きくそして深くなっていく。
して民主主義勢力の大きな脅威となって台頭してきた、中国やロシアなどの権威主義的な国家。
「封建制」という言葉の、新たな認識を突き付けられたような一冊。

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2024年03月28日

Posted by ブクログ

新しい階級闘争と一緒に東洋経済で解説されていたので、入手。新しい階級闘争と結構被っているが、あっちは欧米、こっちは日本含めたアジアにも言及している。新自由主義とリベラルが結びついて「意識高い」(意識高い系ではない)層が、経済的、政治的、文化的に正論はいいことだを振りかざして来る有様が解説されている。こんな本を読んでいる時点で筆者も「意識高い系」に分類されちゃうのかもしれないが、それでも昨今抱いている違和感(LGBTqとかグリーンディールの欺瞞とかパレスチナ問題に対するアメリカの態度とか)に対して、明確に文字化してくれている。

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2023年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

黒死病で死者が増えて、労働力不足から労働力の価値が高まり封建制が崩れた。
強い指導者が表れなければ、状況は変わらない。
現代の封建制は、有識者層、寡頭支配層(オリガルヒ)、土地持ち中流階級、労働者階級、プレカリアート。
若年層のほうが自由主義的資本主義への支持が弱い。
プロレタリアの施し袋=大衆の反乱を防ぐ目的。
東アジアの人口減少が激しい。
大量失業よりもギグエコノミーに就くことで失業は隠される。
香港では女性の2/3が子どもは1人またはいらない、と考えている。
「優生学は食卓にいる幽霊だ」グリーリ。
寡頭制の鉄則=ロベルトミヘルス

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2024年06月19日

Posted by ブクログ

本書は新しい封建制がやって来ると言うが、古い封建制と、「新しい」封建制とは、それぞれ、土地から利益を上げる仕組み、情報から利益を上げる仕組み、との違いがあり、それらの違いと類似点を見極めることが重要だと思う。

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2024年01月07日

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