カーク・ウォレス・ジョンソンのレビュー一覧

  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    この本に書かれているのは事実であり史実である。人類の動物への大量虐殺の。
    ワシントン条約の成り立ちと必要性も知ることができる。

    進化論を全く信じない人々がいることや、自分の趣味のためにと絶滅危惧種の動物にこだわる人々がいることを知ることができる。
    標本と、”いつ・どこで採取したという情報の”重要性も。

    膨大な過去の紙の資料と、インターネットの渦から目的の書き込みや、窃盗品のスクリーンショットからによる記録。それらぼ裏付けによるノン・フィクションであり、ルポルタージュ。

    前半は、一晩で約300もの鳥の剥製を盗んだ事件の話しと、なぜ標本が重要なのかの話し。楽しい読み物だ。

    後半は、著者が、盗まれて未回収な剥製の行方を調査に動き出す。事件関係者への取材へ。ここからスリリングで俄然面白くなる。

    自分の欲のために、きれいな鳥を執拗に巧妙に追い求めるヒトの生きざまは、他人ごとではなく、もしかしたら自分の中にもあるのかもしれない。

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    2026年09月05日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    ドキュメンタリー小説としても面白いし、博物館がなぜ存在するのか・どんな意義があるのかという点に言及してくれているという意味でも読む意味があると思った。
    目先の利益を追い求めたくなる欲求と、長期的な目で利益度外視で真実を追い求めていく学問との対立は、どこの国でも起こっていることなんだと感じた。この本では個人レベルの問題から切り込んでいるけれど、最近の博物館に利益を求める文化庁の要求を思い出してしまった。
    あくまで博物館などの研究機関は”いつか”芽が出る”かもしれない”という可能性にかけて研究をしているし、そうやって薄い可能性に対して莫大なお金を注ぎ込まないと学問や技術は発展しようがない。社会の基盤のはずなのに、こんなにも現代社会と折り合いが悪い。

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    2026年08月27日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    こんな事件があったのか、こんな世界(コミュニティーと言って良いか)があったのか、ウォレス(ダーウィンとほぼ同時期に進化論を発見した人)が採取した鳥が彼の手書きのタグをつけていまだ保存されていたのか!などなど、知らない世界がいっぱい。
    そして、金と知識があるのと無いのとでは、犯罪を犯した後どうなるかがずいぶん違うもんだ…。

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    2026年08月16日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    第1章がまるまるウォレス(ダーウィンと共に進化論を作ったあのウォレス)にあてられていて、一瞬「何の本を買ったんだっけ」と戸惑ったけど、実際のところ、よく練られた全体構成で、とても読みやすかった。

    狭い社会で独自の(しかも「広い社会」と衝突するような)価値観が維持される様子が丁寧に書かれていて、「他人事ではないな」とビクビクしながら読みました。

    最後、「貫き通せなくて少し残念」なムードで終わっていたけど、異なる価値観の人達とリアルに接点を持ち、何らかの影響を与えることができた時点で「大成功」ではないかと、個人的には考えます。

    良い本。

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    2026年06月21日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    南アフリカの某毛針マニアが、進化論を否定する箇所にちょっとした衝撃。俗にいうキリスト教右派の一種なんだろうけど。犯人だけでなく、著者がインタビューする各界の様々な人々の描写がおもしろい。

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    2026年04月29日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    ひさびさに、お勧めしたい位の本に出会えて、読後感も最高です。
    推理あり、ドキュメントあり、生物学あり、法律問題あり、
    更に正義とはと考えされられ、エンターテイメントとしても優秀ですし、人間の本性や本質って、悪いと思っていても、家庭環境が恵まれていても、こうなるのよねと読んでいても、頷いていたり、ドキドキ、ハラハラしたりして、またしばらくしたら読もうと思いました。
    巻の中央にある写真も貴重なものあり、しばらく英国に行ってる気分にもなりました。
    色々な意味を含んでいて、本好きには勧めたい、必読書です。

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    2026年04月22日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    実際にあった博物館の鳥の剥製の盗難事件のルポルタージュ。
    遺伝子研究のための剥製の歴史、着飾るための鳥の羽欲しさに乱獲する人々の醜態、フライフィッシングのマニアたちの熱狂、様々な要素が積み上げられ、予想もしなかった犯罪が起きる。
    小説の組み立て方が秀逸なので、まるでミステリー小説を読んでいるかのよう。犯人の人物像にも現代社会の生きづらさか投影されていて、盛りだくさんの1冊だった。

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    2026年03月13日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    構成がとても良い

    一時期、釣りを趣味にしていたことがあって、ルアーもフライも両方嗜んだ上で一番楽しかったのが、フライフィッシング用の毛針の自作だった(トラウト用の小さいもの)
    なので、興味深く読んだ
    釣りはしないけど毛針作成にハマるという気持ちは少しわかる
    同時に、一部の毛針愛好家の貪欲さにドン引きした
    どの界隈にも、のめり込みすぎて価値観がおかしくなってる人は多少なりともいるものではあるが…
    終盤の、ロンに少し救われた

    (図)

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    2026年03月05日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    ネタバレ

    ミステリのようにハラハラしながら読んで、面白かった。鳥の羽根にこんな世界があるとは。そして博物館の意義とは。

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    2026年02月11日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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     私の全く知らない世界のお話でした。毛針作成者が引き起こした事件です。釣りはしないけど毛針を作ることを趣味にする人がたくさんいるんですね。驚いた。
     犯人は罪悪感がありません。彼は、米国のホームスクールなる制度で大学に入るまでは家庭で教育を受けた人だそうです。音楽や毛針作成のような好きなことだけをしてきたので、道徳観やら倫理観のようなものを身に付けずに大人になってしまったのでしょう。恐ろしいことです。
     著者は盗難された珍鳥を探す旅に出ますが、結局は見つからず。今回の犯人に限らず、毛針作成を趣味にする人たちの中には、絶滅危惧種を憂うよりも自分の趣味を優先する人がいるのですね。撮り鉄のような世界です。

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    2026年01月22日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    単純な犯罪ノンフィクションではなく、珍鳥と羽毛の歴史、乱獲や闇取引の問題、博物館や標本の存在意義、司法や障害判定の不確実さ等々の多岐の分野に渡る話が展開されて非常に読み応えがある。
    自分も昔オタクだったので毛針愛好家の自己正当化の感じや世間ズレしていることに無自覚なところは身に覚えがあって読んでいて辛かった。
    今も昔も目先の自己承認欲求や自己顕示欲のために他人の尊厳や生き物の命を無碍に扱うことを気にしない人種が一定以上いるという事実がとても悲しい。

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    2026年01月01日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    とてもとても面白い。
    臨場感もあるし、現実を見るという意味でも素晴らしい切り口の本。文章も読みやすく、下手なミステリよりもはるかにミステリっぽい。
    面白いのだが、読むのにすごく時間がかかった。その理由は、すげえ腹が立つから……もうね。この本に出てくる、この博物館の標本を盗んだヤツをね、二重三重にボコりたい。めちゃくちゃにボコりたい。ボッコボコにしたい。もうね。こんな感覚久しぶりですよ。こんなにも腹立たしくて、相手をボコりたくなったのは……
    博物館に収蔵されている標本が、毛針愛好家の手によって盗まれて、良いようにバラバラにされて売りさばかれたっていう事件のルポルタージュなわけだけれど、この本の内容はただのルポルタージュには終わらない。
    博物館という施設の歴史的背景、存在意義、それを支えた科学者、収集家たちのエピソード、それを私欲でぶっ壊した毛針愛好家の生育環境……
    盗難事件であるが故に、犯人の罪は驚くほど軽く。罪が明るみになったとしても、その破壊による被害を取り戻すことは出来ない。まさに取り返しがつかないとはこのこと……やらかした人物とそのやらかした人物によって益を得た連中の厚顔無恥ぶりに、ものすごく腹が立つ。なにより腹が立つのは、この当事者というのがアスペルガー症候群を使い勝手の良い道具として使っていること……すげえ腹が立つぅぅぅぅ
    いちいち腹が立つので精神衛生的には難しい本ではある。しかしまぎれようもない良書だ。『魚が存在しない理由』を読んだ方には特におすすめしたい。

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    2025年10月05日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    ルポルタージュと分類される作品を読むのは初めて(なぜなら犯罪ものを追う、ショッキング、スキャンダラスな内容のものは、読むのにエネルギーがいるし単純に怖いなら)だけれども、こちらの作品は、鳥の羽にまつわる歴史と狂信的な人々の話で、全く知らない世界に触れられてとても楽しく読めた。

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    2026年04月29日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    ノンフィクション。最後までおもしろかったー。

    タイトルのまんま、大英自然史博物館の盗難事件が題材、ってだけの予備知識で読み始めたので、冒頭の盗難シーンは犯人の動機も全くわからず、早速引き込まれる。
    なんでこの人は他の収蔵品には目もくれず、なにやら長い名前の鳥の標本ばかり狙うのか?

    その謎が次第に明らかになっていくんだけど、まずはその標本がどういう経緯で博物館にもたらされたのかっていう歴史から繙かれていく。

    それは、18世紀、ダーウィンと同時代に生まれたアルフレッド・ラッセル・ウォレスが、南米やマレー諸島を探検し、命がけで採集したもの。
    世界にはまだ未知の領域がたくさん残されていて、ジャングルの奥には美しい幻の鳥がいると信じられていた頃。
    やっぱりこういうの、ロマンがあるよねえ…
    伝説の鳥が初めて目の前に現れたときの興奮も描かれていて、それがいかに貴重なものだったのかが読んでるこっちにも伝わってくる。
    信念を持って集められたもので、ウォレスがいかに優れた学者であったかも語られる。

    ウォレスの死後、標本がおさめられた大英博物館のキュレーターたちは、戦火からコレクションを守るため、ロンドンから離れた小さな町の私設博物館にそれらを移送する。
    その私設博物館は、世界屈指の大富豪が息子の誕生日プレゼントとして建てたもの。
    この息子が、ウォルター・ロスチャイルドである、…ってなったあたりで、話がまた一回りでかくなって、ふわーおもろ!ってなった。
    (ここがのちに事件の現場になった場所)

    さらに、珍しい鳥の羽根がどういう扱いをされてきたか、羽根飾りファッションが流行し、女性が帽子につける羽根を得るために鳥たちが殺戮されていく歴史が語られる。
    金に目がくらんだ人間の愚行、って今では言えるけど、その頃は、乱獲によって種が絶滅するという概念がなかったようだ。
    自然は神が人に与えた恵み、という感覚で、鉱物も生き物も無尽蔵と思われていたらしい。

    やがて資源が尽き、いくつかの種が消え去ったあと、ようやく自然保護運動が起こる。
    密猟や密輸はあとを絶たないのだが、ワシントン条約ができて、危機に瀕している動植物が保護されるようになり、ひとまずはよかったね……
    って章が閉じたあと、次の章で、急にヴィクトリア時代の高貴な趣味としてのサーモン釣りの話になる。

    釣り具の毛針のために、美しい鳥の羽根を使うのが身分の高い人々の間で流行していて、岩陰にいるサーモンを狙うときはこの鳥の羽根を使った毛針がふさわしい、などと細かく指南した本が出ていた、って話。

    そのへんの鳥の毛でも代用できるが、やはり手に入りにくいエキゾチックな鳥の毛こそが至高、みたいなことが言われてたそうだ。
    なんかオタクってそういうの好きよね……
    って、おや? マニアの誰もが憧れる鳥の羽根…?
    で、この章でいよいよ、冒頭の珍鳥標本盗難とのつながりがはっきり見えてくる。

    そして、毛針作りの世界に取り憑かれた、一人のアメリカ人の少年、ある意味この本の主人公が登場。
    生い立ちから、毛針との出会い、王立音楽院の優秀な学生だった彼がなぜ博物館に忍び込むことになったのか、犯行に至るまでの経緯、裁判での意外な判決、毛針マニアたちの世界にもたらした波紋などが描かれていく。

    さらに著者自身も、インターネット上に残された取り引きの痕跡などを根気強く探し、本人や関係者に直接インタビューし、失われたコレクションを取り戻そうとする。

    ルポルタージュなので、手に汗握るアクションや悪者がこてんぱんにやっつけられる場面はないけど、問題提起はしっかりされている。
    誰かを決定的な悪者に仕立てる書き方もできただろうけど、それを極力抑えてあるのが良かった。

    一番印象的だったところは、博物館のキュレーターに取材したときの著者の感想。

    「話を聞きながら私は気づいた。こうした標本を保存することは、時代を超えて人間性を信頼することなのだ。代々のキュレターたちはこのコレクションが人類全体の知識向上に不可欠であるという信念のもと、害虫、日光、ドイツ軍の爆撃、火事、盗難などから連綿と守ってきた。そして彼らは、現段階ではまだ浮上すらしてない疑問についても、この鳥たちが未来のどこかで答えてくれると知っている。」

    ここで、それそれそれ!!それなんだよなーー!ってなりました。

    目の前にある資料は、明日何かの“役に立つ"ものではないかもしれない。
    けれどそれをできるだけ損なわれない同じ状態で保存し、未来へつなげていくことは、この星の生命や人類が辿ってきた歴史そのものを語り継いでいくことに他ならない。
    採取したデータだけでは得られない情報が、そこには詰まっている。
    千年後のわたしたちの子孫のために、博物館は一見地味に見えるような資料でも、守っていく使命がある。
    価値があるのは、ロゼッタ・ストーンやモナ・リザだけではないのだ。

    彼がしたことは、誰も傷つけていない。
    キャビネットの中に眠っていた小鳥の死骸を盗み、羽根をむしり、ラベルを切り取り、欲しがる人に売り、新しい楽器を買うための資金にした。
    それだけのこと、と言えるかもしれない。

    だけど、先人が命がけで手に入れ、キュレーターたちが代々守ってきたものを、私利私欲のために意味のないものにしてしまった罪深さは、もっと追求されていいと思う。

    それを守ってきた人々の悔しさは、察するに余りある。
    バーミヤンの石仏が破壊されてしまったのと同じく、乱獲された動物たちが滅んでしまったのと同じく、一度失われてしまったら、永遠に取り返しがつかないものがある。

    人間って愚かだよな、って諦めるだけでは、また繰り返してしまうんだよ。
    人間は欲が深いので、普通に生きてると、欲を満たすことを無自覚に正当化してしまって、それ以外のことが見えなくなってしまう。

    この愚かさから、何を学ぶかってことなんだろうな。

    文化予算がごりごり削られて、博物館や美術館に採算とるために集客できるようにしろとか言い出してる昨今のこの国の政策を思うと、ちょっと虚しくもなりましたが…。

    あ、ひとつだけ気になった点。
    当然「大英自然史博物館」で起きた盗難事件かと思ったじゃん。
    分館やないかーい(笑)。とちょっとタイトル詐欺ではあった。おもしろかったのでええけど。

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    2026年04月30日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    ネタバレ

    前半は鳥の羽や博物館に関する歴史と毛針の世界から窃盗事件まで、後半は筆者がその事件について調べた内容や関係者へのインタビューなどで構成されている。
    この話を本にするという目的のためもあったのかもしれないけど、筆者の行動力がすごい。スクショとかインタビューとか一つ一つは難しいことをしてるわけではないと思うが、何年もの時間をかけて探偵ばりの調査をしている所に執念を感じた。
    現実の話なので最後は綺麗に解決したわけではなく、さらなる疑念が出てくるが真相は謎のまま。
    博物館の資料の意義や人の美しい物を所有することへの欲望などについて事件を通して考えられている点が面白かった。
    NHKの「未解決事件」でありそうな内容だなーと思った。

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    2026年03月27日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    本を読む楽しさの一つは、知らない世界に出会えることだと思うけど本著はまさにその楽しさを満喫できます。
    結構な長めの前置きも知らない世界への導入として楽しめるし、主人公の生い立ちからの物語も結末への伏線として興味を引っ張られます。
    ラストはノンフィクションなので劇的でもないしスッキリもしないけど、未知の世界にどっぷり浸かった身からするともうそんなことはどうでも良いと思えます。
    当たり前だけど、まだまだ知らない魅力的な世界がいっぱいある事に感謝ですね。

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    2026年02月10日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    大英自然史博物館のバックヤードで多くの鳥の標本が盗まれた。そこで盗まれたのはダーウィンの見つけたものなど歴史的な価値があるものではない標本達だった……
    毛鉤の釣りをしているときにジャーナリストの著者がそんな不思議な盗難事件を聞き、そして「完全解決には至っていない」ところから興味を持って調べていく本。「美しい鳥の羽根がいかに人間を狂わせたか」が描かれる。
    美しい「毛鉤」という文化があるのを初めて知った。とくに「アンティークと同じものを自らの手で作りたい(そのためには絶滅危惧種や絶滅した鳥の羽根を利用せねばならない)」という欲望について、ものすごい「文化内の規範」を感じた。面白く、そして怖かった。
    あまりすっきりはしないラストではあるもののなかなかの筆力で描かれたルポルタージュで、知らぬ文化圏を知れて面白かった。

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    2026年01月30日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    タイトルの『大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件』という漢字のみの翻訳と、表紙の4×4文字組に惹かれて完全にジャケ買い感あったけど、面白かった。

    そして、実は小説だと勘違いして手に取ったのだが…。
    犯罪ルポタージュだけど、鳥類の乱獲の歴史から保護に至るまでの歴史も踏まえながら進んでいく構成は、読み応えがあった。

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    2026年01月27日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    評判になっただけあって面白かったです。毛針自作界隈という何それ? って趣味ジャンルと人類の自然愛好史との関係から始まり、半分くらいで事件解決しちゃったけど? と思っていたらさらなる深層に話が向かっていくというゴージャスなルポルタージュでした。
    最終的に犯人への同情心は一切わかず、マニア・・・最悪・・・! みたいな気持ちになれるのでいいですね。古墳を発掘するときの話や絵画の修復の話など数百年スパンで未来の人類を信じる話を以前見聞きしていたのでなお最悪でした。人のふり見て我が振り直せで身を正して生きないといけない。

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    2025年11月28日
  • 大英自然史博物館珍鳥標本盗難事件: なぜ美しい羽は狙われたのか (DOJIN文庫22)

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    イギリスで実際に起きた標本盗難事件の犯罪ルポ。
    2009年深夜、大英博物館の分館から鳥の標本が盗まれた。数ヶ月後、盗難犯として逮捕されたのは王立音楽院に所属する若きフルート奏者。輝かしい将来を約束された若者は何故道を踏み外したのか?

    読む前は犯罪ルポだしとっつきにくいんじゃないかと身構えたけど、美しい羽が盗まれた理由と執着と欲望の動機の構図がドラマチックで(犯罪を語るのに適した表現ではないけど)、ノンフィクションなのに小説のように引き込まれて夢中で読んだ。
    今まで全く知りもしなかった鳥の羽を巡る世界の話は起源から流行の背景までが興味深く読み応えあり。

    閉鎖的な界隈の中で横行している稀少な羽の売買については常識が捻じれているとしか思えなかったし、それが当たり前になっている現状に憤りと同時にやるせなさを覚えた。
    事件を裁く裁判、犯人の主張や盗品を取り巻く界隈の言い分、博物館側の崩壊寸前の管理体制も、その全部があまりにもグレーでモヤモヤが止まらず…。
    人はなぜ美しいものに惹かれるのかを突き詰めたら途方もない狂気に行き着いたような…少しうすら寒さを感じるような独特の読後感だった。

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    2025年11月24日