Neyのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「普通」になれない二人の物語
主人公の田井中広一は、自分が周囲の人と同じように振る舞えないことに悩んでいる。
察することがとても苦手だったり、何かに夢中になると他のことが手につかなくなったり。
これは生まれつきの性質のようで、病名こそ付けられなかったものの、対人関係の感覚などは周囲の人とは大きくずれている。
そして、担任の二木もまた、ある生まれつきの「社会的に認められない性質」を持っていて、それを周囲に隠して生きている。
田井中がこの二木の秘密を握ったことで、二人の間に不思議な交流が生まれる。
田井中の成長が本作の中心だ。
序盤の田井中はうざい。二木に脅迫めいたことをしながらも、自分でも目的を理解できていないため、二木をいらだたせ、不安にさせてしまう。
しかし、自分の性質に折り合いを付けられなかった彼が、二木の導きによって自分の道を見出していく姿には心を打たれる。
また一見すると、秘密を盾にして田井中が二木を攻撃しているように見える。しかし実際には、これは田井中の二木に対する執着だ。
二木は自身の性質に苦しみながらも、賢く立ち回って生きている。それが田井中にとっては興味深く、自身でも気が付かない憧れを抱いている。
この二木の「性質」をどう取り扱うかも、本作のテーマの一つだ。
そして、二木は脅迫まがいのことをする田井中のことを渋々ながらも導いてくれる。
そして、ラストには驚きの展開が。
二木の「性質」に限らず、人に見せられない部分をどう扱うのか、それが問われる、興味深い作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレいわゆる「普通」がわからない田井中と、本質的に変わることは無理であると悟り、普通になろうとするのではなく、「普通という名の皮」を被って生きることを選択した二木先生。
性的嗜好がなんであれ、確かにそれも含めて自分自身であり、あるいはその人自身なのだから、誰かがとやかく言う筋合いはないのである。
とにもかくにも読んでいて自分の心を無理矢理覗かされているような気もするし、もうやめてくれと言いたくなるような展開もある。
しかし読み終えた時に、自分自身の生き方と向き合っていくことの大切さ。そして他人と関わって生きていくことの難しさを意識させられるのである。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ怪異に首を突っ込む教授と怪異に遭ってしまったがために特殊能力を得た大学生のバディものというと某作品が思い浮かびますが、ちょっと毛色は違う感じ。
変わった手法ながら怪異を祓える力を持つ教授兼作家(でも怪異を見ることはできない)と、怪異を祓えはしないけど見ることができる大学生が、ある屋敷の謎を解く物語。
なかなか大変な目に遭っていながら、それなりに普通に大学生活を送り、普通に恋もしていた彼だけに、その日常にまで屋敷に関わる怪異が迫ってきたときは恐ろしさを感じた。
しかもこの謎、要素が複数に絡み合っているので、なかなかに手ごわい。
最終的に彼の友人を色々な意味で巻き込む結果となるし、何より犯人の正体が「まじですかい!」という展開に。
真相には本当に驚かされた。
これはミスリードしますな。
ホラーものとしても怖いけれど、普通にミステリとしても面白かったです。
現実にありうるかどうかというリアリティさは下がったかもしれませんが。
何より驚いたのは、普通に読み飛ばしていた日常シーンにでかい伏線があったこと。
確かにそんな描写あったけれども、まさか最後の最後でそれ引っ張ってくる!?と本当に驚きました。
最後まで油断できない作品でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。
初めの方は主人公が面倒くさい性格で、
二木先生に挑んでいく(脅していく)姿が見てられなくて、でも次々に話が進んでいくからサクサク読めた。
先生はいいこと言う。基本的に。
後半、吉田の幼稚さと嫌なやつ具合にムカムカしながら読んでたけど、音声が出てからはどうなるのか怖くてハラハラした。
正義感警察と、それに酔ってる高校生、痛い。
見てられない。
これからどうなるのか?という終わり方だったけど、これでよかったのか?
先生が居ても辞めても主人公は地獄だよね。。。と。
ただ、主人公が書いた話はきっと面白かったんじゃないだろうか、と思う。 -
Posted by ブクログ
結構読ませる作品で、田井中の気持ちも分からなくはない。
自分って普通であってほしいけれど、どこかおかしくというか異常であってほしい。
その異常感がアイデンティティーだったりもして。
普通と認識することが妙に嫌だったり。
人間なんて、どこかおかしくてどこか普通なんだよな。
その自分の中で普通と思ってやっていることが他の人から見たら異常だったり。
自分で異常と思っていることが意外と普通だったり。
そういう意味で人間は面白いんだろうな。
じゃあ、この二木先生も異常かと問われるとそうでもない。割合からすると、もっと異常な人はいる。
市民権は得ていないだろうけれど、あぁそうなのねくらい。
そういう人の感覚みたいなものを真っ向から表しているところに絶賛が集まっているのかな。
とはいえ、限定カバーで異常に褒めそやすから、何事かと思って、もっとこう異常な世界観とか衝撃の展開かと思ったらそうでもなかったかな。
面白くないわけではないけれど、限定カバーはやりすぎな気がしたな。