ダニエル E リーバーマンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
# 運動がヒトとしての文化かどうか、考えさせられた一冊
## 面白かったところ
- 「運動」 == 「ヒトにとってよいこと」に切り込みを挿れるあたりのセンスがもう面白い
- 座ることや睡眠、エネルギーのライフサイクルを含めた、人間の分析が面白い
## 微妙だったところ
- 特になし
## 感想
食料や領土に命を差し出す必要がなくなって、たかだか数百年を生きる我々にとって、運動という記号が必要になってしまった。
かつては、「生きるために必要だから動く」というシンプルな答えが、今は産業・商業化されたスポーツであったり、エクササイズでありふれている。
動物としてのヒトに求められた運 -
Posted by ブクログ
ネタバレ運動に関して私たちが抱いている態度は神話に過ぎない
“現代の産業化された運動に対するアプローチは、身体活動に関する進化論的・人類学的な視点を無視あるいは誤って解釈しており、誤解、過大評価、誤った論理、散見する誤り、そして許しがたい責任転嫁により損なわれているという事実を、論拠を挙げて明確にしたい。”(p.16)
著者は、文明が発達した現代社会において、人間が運動するのは正常なことであるという神話のもとで「私たちは運動をしたがってあたりまえだ」、「私たち人間は運動をするために生まれてきた」という、運動愛好者による誤った吹聴や誇張された表現も多く、そのことは運動しない人々に手を差し伸べ -
Posted by ブクログ
(上巻より続く)
パートⅢは3章を割いて持久力が取り上げられる。ランニングを趣味とする自分としては最も興味深く読めた部分。
ウォーキングを扱う章では、「代償性代謝」即ち運動を多くすると安静時代謝が抑えられる現象のせいで、活動的な人と非活性な人で結果的に1日あたりのカロリー総予算がさほど変わらないという「制約された総エネルギー消費量理論」が面白い。歩行などの低負荷の運動ではカロリー予算に大きな影響はないのだ。著者はpedestrian(歩行者、歩行の) という言葉が「平凡な、ありふれた」という意味でも使われることを引き合いに、人間にとってありふれた行為である歩行がカロリーを消費しないよう効率 -
Posted by ブクログ
運動そのものが、根拠なく礼賛されており、それはまるで「神話」のように、理由なく正しいものとして扱われている。
「運動は、体に悪い」と言われれば、その前提があるがゆえに、「なぜ?」と悪いことに対してのみ根拠が求められる。
この本では、そんな運動に関する、数々の神話を紐解いていく。この本の面白いところは、運動が嫌いな人の視点から書かれていること。通常であれば、運動をすれば、こうしたメリットが得られる、という結論へと繋がる本が多いのだが、冒頭でいきなり、運動することの矛盾性を解く。
『つまり、運動とは逆説的なものなのだ。健康的でありながら異常であり、本来無料でありながら高度に商品化され、喜びと -
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Posted by ブクログ
「人間は運動するように進化してきたわけではない。むしろ逆に、運動に費やされるリソースをなるべく節約し、生殖や個体維持のために取り置くように進化してきたはずだ。それなのに、運動が健康のため推奨されるのは一体なぜなのか」。毎日のように何かしらの運動をしている僕だが、言われてみれば確かに不思議な話に思える。我々は盲目的に「運動は体によい」と信じ込んでいるが、もし本当に運動が自然選択上有利な戦略だというなら、なぜ世界がアスリートで溢れないのだろうか。
本書では、ランニング界に革命をもたらした著名本「ボーン・トゥ・ラン」にも登場する著者が、この意外な逆説を各種エビデンスを用いて小気味良く解きほぐして -
Posted by ブクログ
人類はなるべくエネルギーを使わないように進化してきたが、運動は人間の健康に良い影響をもたらす。ことを説明するために、パートⅢではウォーキングやランニングがもたらす効能が書かれている。
そしてパートⅣでは運動嫌いな人に対して、どうやって運動させるか、どんな種類の運動をどのくらいの量させるか説明し、肥満や2型糖尿病、がん、アルツハイマー病、うつ病なども、運動することで改善するという。
最後に
・運動は必要かつ楽しめるように
・有酸素運動を中心に多少のウェートトレーニング
も行う
・運動はしないよりしたほうがいい
・年齢を重ねても続ける
と結論づけられていた。
諸説ある中の一つに過ぎないのか -
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