あらすじ
ハーバード大学教授が教える、運動の誤解と真実
運動は、人間にとって自然な行為なのか? 身体活動に関する思い込みを、進化生物学の見地から解き明かす。『運動の神話』改題。
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Posted by ブクログ
頻繁に本書で「中強度の運動を週に150分」という基準が提唱される。本書上下巻を読み終えた今、この基準を完全に下回っている私の日常を顧みる所存である。
下巻では、どのような運動が有効なのか、また運動が身体や精神にもたらす具体的効用が整理されている。
運動が身体に良いことは、エビデンスを理解しないまでも多くの人がなんとなく認めているだろう。しかし、良いことだと分かっていても、なぜこれほど億劫なのか。それは、進化人類学の観点から、人類は余分な運動を避ける傾向にあるから、その気持ちは間違いじゃないよと本書は認めてくれる。
それでも、運動に自身を駆り立てるにはどうすれば。ここでキーワードは「社会的身体活動」である。一人で運動するのは気分が乗らない、でも他の人と一緒に行うことで一体感や交遊関係などの心理的に満たされる報酬がついてくる。そうなると、運動自体はつらいけど、その活動は楽しいものになる。この主張には説得力がある。
しかしながら、私はもっぱら一人でジムで身体を動かす。
他人と関係する強制力がたまに煩わしくなってしまうので、一人で気ままにのんびりウェイトトレーニングやトレッドミルでランニングが性に合っている。
グループ活動は強制力がある反面、個人的には欠席してしまった時自己嫌悪を感じたりと精神面でダメージを受けるリスクもある。
そんな私を救ってくれるのは、60分以上の長尺Podcast番組。好きなPodcastを聴きながらついでに身体も動かすという一石二鳥の方法で、ゆるっと運動を続けることができているのである。これは、運動を楽しくする方法の一つとして本書にも紹介されている。
つまりは、人それぞれの報酬系を与えることが、運動を続けるうえで肝要なのである。
定期的な運動をしなくても健康に人生を全うできる人は確かに存在する。(本書ではドナルド・トランプを引合に出されている。)しかし、運動をすることで成人病の予防にもなるし、セロトニンやエンドルフィンといった神経伝達物質が生成され、精神状態も向上することは事実である。
畳みかけてくる論証によって、読者は運動への興味が高まるだろう。その先自分にとって「必要かつ楽しい」運動の手掛かりも、本書に散りばめれている。