エリザベスムーンのレビュー一覧

  • くらやみの速さはどれくらい

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    ネタバレ

    タイトルに惹かれて読んでみた。
    原題の"THE SPEED OF DARK"を『くらやみの速さをどれくらい』と訳したセンスが素晴らしい。

    ルウ目線の文章と健常者目線の文章がはっきりと違いが分かるように訳されていてすごい。文が破綻している訳でもないのに、これは"普通"の人が書いたものではないなと分かる。
    書いていることの中身が違うというのはもちろんあるが、前後の文のつながりが薄かったり、短文が多かったりと"普通"の人と文章構成が全然違って、とても読みづらかった。

    読みづらかったがこういう風に考えている人も社会にはいるんだろうなあとい

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    2025年10月26日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    タイトルも著者名も美しいネビュラ賞受賞作。裏表紙に「21世紀版『アルジャーノンに花束を』」とありますが、なるほど同じ訳者なんですね。

    自閉症の療法が飛躍的に進化した近未来。治療の適齢を過ぎた最後の世代であるルウは、製薬会社に勤めていて、クラシックを聴いたり、仲間とフェンシングをするなど、充実した日々を送っていました。そんなある日、会社に新任の上司が着任し、ルウたち自閉症者を集めたセクションに、解雇をちらつかせながら、自閉症治療の実験台になることを迫られます。ルウは、ノーマルな人たちが普通に感じ取れる微妙なニュアンスや、他人の表情や仕草から感情を読み取れないことを気に病んでいました。それでもフ

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    2024年06月17日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    自閉症の男性が主人公。自閉症とは言え、自分に合った職業があり、フェンシングの趣味ももち、それなりに満たされた暮らしをしている。
    彼の一人称で話が進む。彼が音楽を理解して感じるやり方や、他の内面世界は、一般的な自閉症者のイメージと違ってとても豊か。感情的には落ち着いていて、合理的で美学も感じるような世界観。それに加えて数学の才能も天才的。
    だが、新しい上司が彼ら自閉症の従業員を自閉症治療の治験者にしようと圧力をかけてくる。
    趣味のフェンシングサークルでの人間関係のいざこざもあり、その治験を受けることを決める。リスクを感じつつも決断する、その葛藤、筋道の付け方がしっかりしている。
    結果的に、治療は

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    2023年10月22日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    随分前に時間を掛けて読んだ
    主人公の性格が好きだった
    ラストもかなり好みだった
    物凄く読むのに体力が必要だったがまた読み返したい

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    2023年06月18日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    ネタバレ

    「21世紀版『アルジャーノンに花束を 』」と言われている作品ですが全然違います。アルジャーノン的な話だと思って読むと、1/3くらい読んだところで不安になってくるので、別物だと思って読みましょう(笑)


    ※ここからネタバレあり※※


    私が感じた大きな違いは主人公・ルゥは、ただ、マイノリティである、ということ。自閉症者であるルゥは、健常者(ノーマル)の感覚や価値観とただ異なっているだけでノーマルに比べて全く劣る存在ではないのです。ですが「障がい者」というレッテルを貼られ、ノーマルに合わせることを強要されます。私も、ある立場においてはマイノリティなので、ルゥの置かれた理不尽な状況に共感が止まりま

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    2023年03月13日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    自閉症者が健常者とのコミュニケーションで感じるちょっとした違和感や、自閉症治療前後の自己の同一性に対する疑問などがうまく描かれており、とても興味深かった。

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    2018年05月16日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    SFとは思えない作品で評価が人によって分かれるのは仕方がないと感じ、あのムーンの作品である驚きがある
    表紙   6点岩郷 重力   小尾 芙佐訳
    展開   7点2003年著作
    文章   7点
    内容 765点
    合計 785点

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    2017年11月28日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    進駸堂書店×早川書房コラボカバー作品。
    自閉症者枠で高度な仕事についているルゥが新たな治療の被験者となることを選ぶまでの彼の世界があまりにも豊かで瑞々しく、深く、そして美しすぎて、ずっとその世界にいて欲しいと思ってしまう。けどそれはあくまで部外者の気持ち。
    ノーマルなルゥとして新しい人生を歩き始めた彼の、その人生は「元ルゥ」の人生よりも先にある暗闇だったのか、あるいは逆か。
    「自閉症」という病気だから読者の気持ちは大きくぶれる。別の病気だったらだれもが生まれ変わった彼を祝福するだろう。
    本当は、どっちが幸せなのか。それは誰が決めるのか。

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    2017年07月29日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    自閉症の治療が開発されたとき、彼らは何を決断するのか。結末はとても意外だったし、主人公ルゥを応援するような気持ちで読んでいた私には切ないような気がしたが、彼の生活を体感してきたかのような物語のあとではルゥの決断以外にあり得ないような気もする。それが彼にとって幸せだったのか、読み終わってからも分からない。
    SF小説のジャンルになっているが、自閉症の(となっているけどアスペルガーと思われる)ルゥの一人称で書かれる物語は、彼らが世界をどう知覚しているのかが肌で感じられてとてもリアル。

    ルゥがノーマル(正常)な人に抱く感情はとても共感するものがあって、読めば読むほど、なにが自閉的で、なにがノーマルな

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    2016年06月23日
  • くらやみの速さはどれくらい

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     もしも自閉症の完全な治療が可能になったら。

     最先端の臨床試験と精神遅滞の主人公をとりまく世界を描いた小説、と聞いたら多くの人はダニエル・キイスの名作『アルジャーノンに花束を』を連想することと思います。

     「あんたは、健常者の友だちといつもいっしょにいる」エミー
     「隠喩だと言うなら―鯨は砂漠のシンボルとも言えるわね」ルシア

     エリザベス・ムーンの近未来小説『くらやみの速さはどれくらい』は、自閉症である主人公が同じく自閉症の仲間たちと彼らが言うところの健常者(ノーマル)との生活の狭間で突如新たな治療法の実験台となることを薦められる物語。

     「むかしむかし、機械は二たす二もできなかった

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    2016年02月17日
  • くらやみの速さはどれくらい

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     21世紀版『アルジャーノンに花束を』なんて嘘である。
     作者の狙いは自閉症者の視点から人間社会を描くことのようだからである。
     近未来、自閉症が幼少期の治療により治癒する時代。ルーはその治療の恩恵に浴せなかった世代で、コミュニケーション技術のトレーニングにより、社会参加はできているものの、「正常者」とのコミュニケーションに困難を抱えている。会社の上司が替わり、自閉症の障害を改善する実験的な治療を強要されそうになる。というのがストーリーだが、ルーを取り巻く人間たちがルーの一人称で語られるのが本書の味わい。
     自閉症者は言葉に騙されない。字義的にしか捉えられない傾向があるため、正常者たちの用いる

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    2016年02月11日
  • くらやみの速さはどれくらい

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     自閉症であるルウは症状と付き合いつつ、仕事に趣味と自分なりに充実した日々を過ごしていた。しかしある日ルウは、彼の職場の上司から、自閉症治療の実験台になることを要求される。

     語り手となるのは自閉症患者のルウ。この語りが非常に繊細です。普段自分たちが会話している中では考えもしていないようなことがルウの語りでは描かれます。そこには自閉症というテーマとしっかりと向き合った著者の努力が表れていると思います。

     そしてフェンシング場での人間関係や社内政治、ルウに対する何者かからの嫌がらせなど、そうした出来事を通し、ルウは自閉症の自分と”ノーマル”の人たちの違いは何なのか。
     また治療を受け自閉症で

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    2014年10月01日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    もしくらやみに速さがなく、そこに停滞するものだとしたら、光はくらやみの場所を奪ったことになるのかもしれない。
    そんなことを考え始めると、結末がまた違う形で見えてきた。
    ルウは好きだし、その選択も否定はできないけど、トムに共感してしまうなあ…。

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    2012年06月05日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    全600ページ。
    フェンシングとか、
    脳神経とか、
    クラシック音楽とか、
    宇宙とか。
    他の人とのコミュニケーションが少しだけ苦手で、
    他人の言動をちょっとだけ気にしすぎて、
    極めて素直で真面目で純真な主人公の話。
    "自閉症"って病気の名前がそもそもどうなのかとも思うが、
    "ノーマル"って言い方がそもそもどうなのかとも思うが、
    世間では"ノーマル"ではないとされていると本の中では描かれている
    "自閉症"の人たちの話。
    『アルジャーノンに花束を』よりは現代的で読みやすかった。
    とはいえ外国の作品なので、
    特有の雰囲気は

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    2011年10月29日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    帯に「21世紀のアルジャーノンに花束を」とあった気がする。
    そのうえでレビューをすると、こちらの方が上だと思う。
    幼少期であれば治療が行えるようになり、自らの世代以降には患者がいなくなった自閉症の主人公が送る日常、治療法が発見された時の彼の選択、そしてそのエピローグ。

    「光が届く前に暗闇があるのであれば、光が届くときには暗闇がなければならない。とすると暗闇の速さはどれくらいなのか」という質問自体は決して難しくはない。しかし、答えることは難しい。

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    2010年06月30日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    ネビュラ賞受賞作。


    自閉症の幼少期において治療可能になっている近未来。

    自閉症者最後の世代であるルウが様々な困難を乗り越え、決断していく姿に打たれます。


    訳者の方の力量が素晴らしい。

    「アルジャーノンに花束を」の訳者、小尾美佐氏にも拍手です。


    くらやみの速さはどれくらい?

    天文学のパラドックス。

    ルウの決断。

    あなたはどう答えますか?

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    2010年02月13日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    今まで読んだ中で
    一番痛いと思った小説。

    光より常に先にある暗闇は
    光速よりも速く進むって、
    光がいくら速くても暗闇はいつも先に。
    だから光を追う限り
    終局に辿り着くことはない。*

    世界に入り込んで、
    わたしは、
    そのままのルウを愛してた。

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    2010年01月31日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    「光の前にはいつも闇がある。だから暗闇のほうが光よりも速く進むはず」
    自閉症と診断を受けている主人公のルゥはそのアイデアを胸のうちで温めている。
    裏表紙のあらすじで「光の前にはいつも闇がある。だから暗闇のほうが光よりも速く進むはず」という言葉を読んだだけで、内容もまったく知らないうちから、深く感動して泣いてしまいそうになる。なぜ感動したのか自分でも思うわからない。それどころかそのセンテンスが果たしてなにを意図しているのかさえもわからぬまま、泣きそうになる。そういったことが、この小説のなかにはあふれている。

    ルゥの語りによって物語は進む。『アルジャーノンに花束を』に似ているとのことだったが、実

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    2024年07月11日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    自閉症者の自我、というか、感性というか、自意識というか、とにかく彼らがどのように感じ、人と関わっているのか、それは知る由もないのだが、本書を読む限り、健常者になるよりも今のままでいても充分幸せだったんじゃないかと感じさせる。
    果たして、どちらのルウが本当に幸せなんだろう?

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    2019年10月13日
  • くらやみの速さはどれくらい

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    ネタバレ

    アルジャーノンとはちょっと方向性が違うけど、自閉症の人々の感性とかものの見方とかへぇ…って感心した。

    どう頑張っても「自閉症の人」って扱いをされてしまうし、わたしだって「自閉症の人なんだな」って思ってしまうし、もう自閉症は自分のアイデンティティだよっていうキャラクターもいたけど「自閉症」から逃れられなくてどうしても「ノーマル」になりたいっていうのもなんかちょっと分かるしラスト付近すごい辛かった。

    最後、ルゥは同じ人じゃない…って思ってしまった。
    結局、光の速さとくらやみの速さは同じになったのだろうか

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    2019年04月20日