ジョナサン・ゴットシャルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「物語」が持つ力のダークサイドをアテネの盛衰、ルワンダの虐殺、トランプ現象などと重ね合わせ、プラトンの「国家」を引き合いに紐解く。啓蒙書や歴史書、小説は言うに及ばず、ニュースも私たちを〝なびかせる〟ドラマの一部に過ぎない。現代はそこにソーシャルメディアやAIが加わり、事態はより複雑に、深刻になっていると説く。確かに、と思う。陰謀論やディープフェイクの横行には辟易しているし、「物語とストーリーテラーが力を増し、事実とエビデンスが弱まっていく」一途の世界は本当にゾッとする。自分の読書嗜好や歴史認識、SNS依存度などについても改めて見直してみる気になった。ポスト真実時代の今こそ読むべき一冊。
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Posted by ブクログ
物語:私たちに感情を抱かせるためのもの
感情に訴えない部分を取り除いた現実
emotion(感情)は動かすを意味するラテン語emovere が語源
説得には 理性の経路か感情の経路 要点を感じてもらうには物語を
「パノプティコン」監視技術 すべてを見ているというギリシャ語
無料デジタル経済 何から何まで知っている ナラティブのターゲットに
対立するナラティブを作り出す プロパガンダ攻撃
物語戦争 普及したものが勝つ
芸術 感情の感染症(トルストイ)
活性化する感情と不活性化する感情
教会 キリスト教の物語で国境を越えた 一大文明を作り上げた独占組織
ユ -
Posted by ブクログ
物語が持つ暴力性と、私たち人間が物語りを語らざる負えないという性質、そのどちらもが現実であり、生きる上で逃れることが出来ないという事を、様々な事案や社会情勢を参考にしながら語られている良本でした。
昨今のポストトゥルースと言われる21世紀を生きる私たちですが、都市伝説や陰謀論、根拠のない言説がSNSにより多分に散見され、私達自身の日常生活にも影響を及ぼしているように感じていました。それ自体は時代の変化や、メディア環境の変化によって必然的に起こるべくして起こった事だと思っています、しかし、私達自身がどこを頼りに生きれば良いか、「真実」や「現実」とは一体なんなのか、という問いも同様に生まれ、頼る