関口正司のレビュー一覧

  • J・S・ミル 自由を探究した思想家

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    ミルの思想については、正直なところ理解した、とは言えません。
    ただ、ミルが小さなときからスパルタ教育を受けたこと、男女平等の考えてをもっていたことは、わかりました。

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    2023年10月26日
  • 自由論

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    19世紀英国の思想家であるミルの代表作になります。本書は題名の通り「自由」について論じている本ですが、冒頭にも書かれているように、各人の市民的、社会的自由はどのように定義されるのか、を論じています。端的にいってしまえば、最終章に書かれている2つの格率が結論になります。第1に「個人は彼の行為が彼自身以外の何びとの利害とも無関係である限りは、社会に対して責任を負っていない」こと、第2に「他人の利益を害する行為については、個人は責任があり、また、社会が、その防衛のためには社会的刑罰または法律的刑罰を必要とする場合には、個人はそのいずれかに服さなければならない」ということです。そしてそれを説明するため

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    2023年05月02日
  • 自由論

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    内容の割に大変読みやすく、名著だと思った。
    あくまで合理主義の観点から考えているとはしつつ、ベンサムのような機械的な考え方ではなく、個人にフォーカスした人間的な考え方をしている点が受け入れやすかった。危害原理に対しては、パターナリズムや道徳の観点から反論も考えられると思うが、現代の自由論の基礎をなす考え方の一つだと思う。
    多様性について支持する考えがこの時代からあったことにとても驚いた。

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    2023年04月17日
  • 自由論

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    タイトルだけ読むと個人のあり方に関する書物という印象でしたが、個人にとどまらず、21世紀も色褪せない社会や組織のあり方について深く多面的な洞察による数多くのヒントが書かれていました。何回も読みたい名著です。

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    2023年01月23日
  • 自由論

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    完全な真理に到達するまでは可謬性を伴ってしまうとしても、多様な意見のぶつかり合いが必要だということなのです。基本的に世の中では一部の真理を含んでいる意見というものが多いわけなので(逆に言えば全て正解ではない)突飛な意見に見えるとしても実は聞くに値します。そのような訳でカントが「啓蒙とはなにか」の中で展開した議論と非常に似ているものがあります。この本の中で理性の公的な使用は制限されるべきではなく、一方で理性の私的利用は時には控えるべき場面もあると彼はいいます。例えば、すでに上官から命令が出ているのにも関わらず兵士がそれに対して意見を言うのは理性の私的利用を控えるべき場面に当たります。カントは全て

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    2023年01月18日
  • 功利主義

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    マルクシズムが終わってポストモダンもなんかよくわかんないまま終わってコロナとか戦争とかで結局ナショナリズムなの?ってとこにきて唯一機能し得る政治哲学は功利主義なんじゃないかって思ってる。てか下の世代の意識高い人の発想を聞いてると大抵無自覚に功利主義できなんだよね。
    ベンサムの功利主義への批判の半分くらいは既にミルが論破してるよね。動物的快楽に溺れてる自分の姿って嫌だから善人になりたくなるっしょ?みたいな。マズローの6段階?のやつは科学的ではなかったって証明されてしまったらしいけど、行動経済学とか新たな知見によって功利主義は補強されうると思う。
    ただし人間以外の動物も頭数に入れちゃうのはよくない

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    2022年04月03日
  • 功利主義

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    人間の生きる目的(幸福の追求)における「幸福」は決して普遍的ではなく、社会や他者・自身の思考の変化にも影響されて変わり続けていく
    幸福への手段である正義や道徳も避けがたい矛盾や変化を孕んでおり、絶対的な正解などはあり得ない
    だからこそ幸福についてあらゆる視点から考え続けていくことが重要なのだということが伝わってきた

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    2022年03月25日
  • 功利主義

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    ネタバレ

    初岩波白。

    正義にはそもそも色んな種類があって、その時々にちょうど良い正義を取り繕ってなんやかんや取り組むぜみたいなところには確かにそうかもなと思った。ぶっちゃけ見方次第で事の是非なんかどうとでもなる気がする。

    質的快楽についても、たとえば、セックスと研究のどちらがより価値のある快楽かと問われても、わたしにはわからない。セックスしたことある研究者に聞いてもどっちが優れてるかなんかまた別の話なんじゃないかな。

    それから功利主義は社会全体の利益を考えて行動するという提案をしているけど、この「社会全体」とはいったいどこまでをいうんだろう。この問いは翻訳者の解説に書いてあった問いだけど、確かに、

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    2021年07月19日
  • 功利主義

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    ジェレミ・ベンサムによって創始された最大多数の最大幸福を第一とする功利主義を、同調者であったジョン・スチュアート・ミルが解説する一冊。
    幸福と不幸の兼ね合いによって正誤を判断する思想を功利主義と認識していますが、幸不幸は主観的であり客観的に計測することは不可能です。
    高尚ですが曖昧さによって脆い骨子となっている考え方であり、それを語る本書は著者の挑戦であっただろうと思います。
    功利主義について要約されている部分を引用します。

    効用、つまり最大幸福原理を道徳の基礎として受け容れる考え方によれば、行為は幸福を増進する傾向があれば、その度合に応じて正しいものとなり、幸福とは反対のものをもたらす傾向

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    2021年07月10日
  • 自由論

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    他者危害の原則という考えは自分自身も非常に影響を受けた。他人に危害を加えない限り、当人の行為は自由に尊重されるべきである、というフィロソフィーは現代においても通ずるものが多々あると思う。

    ただこの理論思っていた以上に複雑。多岐に場面・シチュエーションが想定されていて、行為が尊重されるかどうかが論理的に説明されいる。個人的にはミルが一夫多妻制に否定的な立場だったのが意外だった。

    2章あたりのキリスト教が絡んでくる話がよく分からなかったので、次回の再読ポイント。

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    2021年05月30日
  • 自由論

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    ネタバレ

    他者危害原則(Harm principle)の出典として有名な言わずと知れた名著。自由論についてゼロベースで論理的に述べられているのが特徴。以下に、本書を実際に読んで印象的だった点を三つ述べる。

    ・ミルの自由侵害の範囲は法的刑罰のみを指していない。そこには政治的抑圧のみならず社会的専制、つまり世論による圧力のようなものも含んでいる。ミルによると、支配的な意見や感情の専制は政治的抑圧と比較し逃れる手段が少なく、生活の隅々に深く入り込んで魂それ自体を奴隷化する恐れがあり、これらからの防護は人間生活の健全な状態にとって必要不可欠である、という。特に「協調」が重要視されるアジアにおいては社会的専制の

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    2020年09月24日
  • 自由論

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    意見が世論や宗教に抑圧されず、議論が開かれていることの大切さ、個人を尊重する意義などが論じられており説得力があった。

    実例はイギリス政治やキリスト教などであったが、本質はどの時代でも通ずる内容であった。

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    2020年09月13日
  • 功利主義

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    大学の講義の課題として選んだ。抽象的で自分としては難解な部分も多かったので、理解したとは言い難いが、功利主義の良さと、曖昧な部分を学べた。批判されていることに対する反論を述べる部分が多かったが、確かに批判していることもわかるし、反論している部分もわかる。道徳基準としては、答えを出すということ自体難しいと再認識させられた。低級な満足と高級な満足など、面白い考え方が多くて面白かった。

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    2025年01月06日
  • J・S・ミル 自由を探究した思想家

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    昔、『自由論』を読んだことがあったので、ミルの名前は知っていたので、どのような人物なのかと思い、この評伝を読んでみた。ミルの生い立ちを踏まえ、彼の著作の『自由論』『代議制統治論』『功利主義』を紹介。晩年の政治活動にも触れている。『自由論』以外の『代議制統治論』『功利主義』を難しそうだが読んでみようと思った。その上で、この本を再読したらさらなる学びがありそう。 最後に著者紹介を読んで、この本の著者の関口先生が上記3冊の訳本を岩波文庫から出していたことに驚いた。著者の方は凄い先生なんですね。

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    2025年01月05日
  • 功利主義

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    「幸福」とは何か。人はどうするば幸福を高められるか、感じられるかについて考える時間を与えてくれる本。
    「満足した豚であるよりも不満足な人間であれ」とは有名な言葉だが、この一言が全てを表していると言っても過言では無い。

    また、幸福を得るために人はどう動くか、その行動の原動力は何かなど、根っこの部分まで分析をしていく。
    また、本の後半では個人の幸福度だけではなく、社会全体の幸福度の高まりについても触れられている。
    その中で徳を積もうとする行動の原動力は外的なものと内的なものに分かれるとも説いている。

    少し心理学のような論文であるとも感じさせられる、まさに経済学とは経済だけにあらず、さまざまな学

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    2024年09月26日
  • 自由論

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    ※イングランド。都市労働者が議会に対して選挙権を要求。チャーティスト運動(1838-1848)。

    すべての人は他人の自由を侵害しない限り、望むことを何でもする自由がある。国家は他人による自由の侵害から各人を守り、共同体を外国の侵略から守る役割のみをもち、それ以上の権力行使は認められない。ハーバート・スペンサーSpencer『Social Statics』1850

    自由とは人間の独創性と多様性が最大限に発揮できること。価値観の画一化は個性の発展を妨げる。個性が発展しないと社会全体にもマイナス。異なる意見を十分に自由に比較でもしない限り、意見の一致は望ましいものではない。全人類が同一の意見をも

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    2025年09月12日
  • 自由論

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    「最近、ミルの『自由論』の翻訳でよいものが出た」と聞いたので、読んでみました。
    1850年代に書かれた本ではありますが、現代でも十分に通用する内容だと思いますし、リベラリズムやネオ・リベラリズム、リバタリアニズムを考える上でも参考になると思います。

    個人的には、ミルの『自由論』は、進化論との相性がいいな、と思いました。
    生物がこれほど多様なのは、遺伝子(DNA)がガチガチに固定されているわけではなく、変化をする余地(自由度)があるため。
    もちろん、遺伝子(DNA)の自由度のために淘汰されていった生物もいますが、生物全体を見ると、そのときどきの環境に応じて、より生き残りやすい形質が残ることにな

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    2024年03月12日
  • J・S・ミル 自由を探究した思想家

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    J.S.ミルの新しい本が出てるなんて。と思ったら、没後150年なんですね。
    著者のミルへの愛を感じました。
    ミルってだいたいベンサムとセットで出てくるし、「功利主義を修正した人」「他者危害原則」、もしくはノージックのオマケ的な扱いが多いです。
    まるで清水書院のセンチュリーブックスのような雰囲気の評伝でありながら、思想の内容は中公新書らしく詳しく説明してくれています。
    短い婚姻期間ですが、ハリエットがミルへの思想に与えたであろう影響を感じることが出来ました。初めて知るミルの側面もちらほら。ジェイムズの主知主義教育も、保護者として興味深いものがありました。
    晩年のミルには胸が熱くなるものがありまし

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    2023年09月02日
  • 自由論

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    2020年の訳なのでよみやすい。津村のよみなおし世界文学のおすすめ本の1冊である。文学書ではないが読みやすい。実例はキリスト教に関するものも多いがそれ以外のものもあるので、それがわかりやすい理由であろう。常識の範囲で論を追っていけるので理解しやすいと思われる。

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    2025年04月03日
  • 自由論

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    本書の主題は社会の中での「自由」について。つまりは、社会が個人の行動を規制することができる状況において、何が個人の自由の領域であるか。言い換えると、社会は、個人の不可侵の領域として、どんなことをしてはいけないか。また、そのためにどんなことを推奨すべきかということを論じた本。
    1859年初版。

    その原理は、ある個人が、他者に危害を加えた場合やその危険が明白にある場合以外は、その個人の行為に関して何も強制してはならない、というもの。

    この原理とどのようにつながるのか理解が浅いが、
    言論の自由についても強く語っていた。言論を擁護する理論は、真理は批判を打ち負かすことでより確実になるし、偽の真理で

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    2023年05月26日