関口正司のレビュー一覧
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19世紀英国の思想家であるミルの代表作になります。本書は題名の通り「自由」について論じている本ですが、冒頭にも書かれているように、各人の市民的、社会的自由はどのように定義されるのか、を論じています。端的にいってしまえば、最終章に書かれている2つの格率が結論になります。第1に「個人は彼の行為が彼自身以外の何びとの利害とも無関係である限りは、社会に対して責任を負っていない」こと、第2に「他人の利益を害する行為については、個人は責任があり、また、社会が、その防衛のためには社会的刑罰または法律的刑罰を必要とする場合には、個人はそのいずれかに服さなければならない」ということです。そしてそれを説明するため
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完全な真理に到達するまでは可謬性を伴ってしまうとしても、多様な意見のぶつかり合いが必要だということなのです。基本的に世の中では一部の真理を含んでいる意見というものが多いわけなので(逆に言えば全て正解ではない)突飛な意見に見えるとしても実は聞くに値します。そのような訳でカントが「啓蒙とはなにか」の中で展開した議論と非常に似ているものがあります。この本の中で理性の公的な使用は制限されるべきではなく、一方で理性の私的利用は時には控えるべき場面もあると彼はいいます。例えば、すでに上官から命令が出ているのにも関わらず兵士がそれに対して意見を言うのは理性の私的利用を控えるべき場面に当たります。カントは全て
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マルクシズムが終わってポストモダンもなんかよくわかんないまま終わってコロナとか戦争とかで結局ナショナリズムなの?ってとこにきて唯一機能し得る政治哲学は功利主義なんじゃないかって思ってる。てか下の世代の意識高い人の発想を聞いてると大抵無自覚に功利主義できなんだよね。
ベンサムの功利主義への批判の半分くらいは既にミルが論破してるよね。動物的快楽に溺れてる自分の姿って嫌だから善人になりたくなるっしょ?みたいな。マズローの6段階?のやつは科学的ではなかったって証明されてしまったらしいけど、行動経済学とか新たな知見によって功利主義は補強されうると思う。
ただし人間以外の動物も頭数に入れちゃうのはよくない -
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ネタバレ初岩波白。
正義にはそもそも色んな種類があって、その時々にちょうど良い正義を取り繕ってなんやかんや取り組むぜみたいなところには確かにそうかもなと思った。ぶっちゃけ見方次第で事の是非なんかどうとでもなる気がする。
質的快楽についても、たとえば、セックスと研究のどちらがより価値のある快楽かと問われても、わたしにはわからない。セックスしたことある研究者に聞いてもどっちが優れてるかなんかまた別の話なんじゃないかな。
それから功利主義は社会全体の利益を考えて行動するという提案をしているけど、この「社会全体」とはいったいどこまでをいうんだろう。この問いは翻訳者の解説に書いてあった問いだけど、確かに、 -
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ジェレミ・ベンサムによって創始された最大多数の最大幸福を第一とする功利主義を、同調者であったジョン・スチュアート・ミルが解説する一冊。
幸福と不幸の兼ね合いによって正誤を判断する思想を功利主義と認識していますが、幸不幸は主観的であり客観的に計測することは不可能です。
高尚ですが曖昧さによって脆い骨子となっている考え方であり、それを語る本書は著者の挑戦であっただろうと思います。
功利主義について要約されている部分を引用します。
効用、つまり最大幸福原理を道徳の基礎として受け容れる考え方によれば、行為は幸福を増進する傾向があれば、その度合に応じて正しいものとなり、幸福とは反対のものをもたらす傾向 -
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ネタバレ他者危害原則(Harm principle)の出典として有名な言わずと知れた名著。自由論についてゼロベースで論理的に述べられているのが特徴。以下に、本書を実際に読んで印象的だった点を三つ述べる。
・ミルの自由侵害の範囲は法的刑罰のみを指していない。そこには政治的抑圧のみならず社会的専制、つまり世論による圧力のようなものも含んでいる。ミルによると、支配的な意見や感情の専制は政治的抑圧と比較し逃れる手段が少なく、生活の隅々に深く入り込んで魂それ自体を奴隷化する恐れがあり、これらからの防護は人間生活の健全な状態にとって必要不可欠である、という。特に「協調」が重要視されるアジアにおいては社会的専制の -
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「幸福」とは何か。人はどうするば幸福を高められるか、感じられるかについて考える時間を与えてくれる本。
「満足した豚であるよりも不満足な人間であれ」とは有名な言葉だが、この一言が全てを表していると言っても過言では無い。
また、幸福を得るために人はどう動くか、その行動の原動力は何かなど、根っこの部分まで分析をしていく。
また、本の後半では個人の幸福度だけではなく、社会全体の幸福度の高まりについても触れられている。
その中で徳を積もうとする行動の原動力は外的なものと内的なものに分かれるとも説いている。
少し心理学のような論文であるとも感じさせられる、まさに経済学とは経済だけにあらず、さまざまな学 -
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※イングランド。都市労働者が議会に対して選挙権を要求。チャーティスト運動(1838-1848)。
すべての人は他人の自由を侵害しない限り、望むことを何でもする自由がある。国家は他人による自由の侵害から各人を守り、共同体を外国の侵略から守る役割のみをもち、それ以上の権力行使は認められない。ハーバート・スペンサーSpencer『Social Statics』1850
自由とは人間の独創性と多様性が最大限に発揮できること。価値観の画一化は個性の発展を妨げる。個性が発展しないと社会全体にもマイナス。異なる意見を十分に自由に比較でもしない限り、意見の一致は望ましいものではない。全人類が同一の意見をも -
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「最近、ミルの『自由論』の翻訳でよいものが出た」と聞いたので、読んでみました。
1850年代に書かれた本ではありますが、現代でも十分に通用する内容だと思いますし、リベラリズムやネオ・リベラリズム、リバタリアニズムを考える上でも参考になると思います。
個人的には、ミルの『自由論』は、進化論との相性がいいな、と思いました。
生物がこれほど多様なのは、遺伝子(DNA)がガチガチに固定されているわけではなく、変化をする余地(自由度)があるため。
もちろん、遺伝子(DNA)の自由度のために淘汰されていった生物もいますが、生物全体を見ると、そのときどきの環境に応じて、より生き残りやすい形質が残ることにな -
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J.S.ミルの新しい本が出てるなんて。と思ったら、没後150年なんですね。
著者のミルへの愛を感じました。
ミルってだいたいベンサムとセットで出てくるし、「功利主義を修正した人」「他者危害原則」、もしくはノージックのオマケ的な扱いが多いです。
まるで清水書院のセンチュリーブックスのような雰囲気の評伝でありながら、思想の内容は中公新書らしく詳しく説明してくれています。
短い婚姻期間ですが、ハリエットがミルへの思想に与えたであろう影響を感じることが出来ました。初めて知るミルの側面もちらほら。ジェイムズの主知主義教育も、保護者として興味深いものがありました。
晩年のミルには胸が熱くなるものがありまし -
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本書の主題は社会の中での「自由」について。つまりは、社会が個人の行動を規制することができる状況において、何が個人の自由の領域であるか。言い換えると、社会は、個人の不可侵の領域として、どんなことをしてはいけないか。また、そのためにどんなことを推奨すべきかということを論じた本。
1859年初版。
その原理は、ある個人が、他者に危害を加えた場合やその危険が明白にある場合以外は、その個人の行為に関して何も強制してはならない、というもの。
この原理とどのようにつながるのか理解が浅いが、
言論の自由についても強く語っていた。言論を擁護する理論は、真理は批判を打ち負かすことでより確実になるし、偽の真理で