ニック・チェイターのレビュー一覧

  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

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    ネタバレ

     心はこうして創られる、というタイトル通りの一書。「心などなく、あるのは巧妙にストーリーを紡ぎ、何かを解った(知った)ように思い込ませる脳の働き」。
     原題はMind is flat、心には奥行きも闇もなく、ただ表面を漂う、その時の気持ちのみ。
     私がいままで自己啓発本や能力開発本を読んできたのと重なるところを列挙すると、
     「本を読むとき目に入っているのはせいぜい1語。それを順に追いかけているにすぎない。その一語以外は視野にも入っていない。ページ全体が見えているように思うのは、脳が超高速で視覚画像をつなぎ合わせているから」…これだと速読法の根拠がひっくり返る。速読では、「ページ全体を写真を撮

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    2025年05月11日
  • 言語はこうして生まれる―「即興する脳」とジェスチャーゲーム―

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    チョムスキー帝国を瓦解に導く強力な一撃。キーワードは、ジェスチャーゲーム、即興、ボトルネック、チャンキング。なにも難しい概念ではない。これらをもとに、人間の言語に関してまったく新しい視点が提供される。
    人間どうしの意思疎通の基本は身振りや音声を用いた即興的なジェスチャーゲーム。クリスチャンセンとチェイターはそう主張する。そのゲームが何度も繰り返されて様式化し(簡素なものへと変化し)、多数の人々の間で共有されれば、それが言語になる。世界に何千という言語があるのも、それぞれの人間集団が即興的なやりとりのなかでそれぞれの言語を生み出し、受け継いできたからだ。
    読みどころは4章と5章。チョムスキーのい

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    2025年05月07日
  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

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    心には意識・無意識といった区別よ深層心理といった深みなどなく表面的な振る舞いのみが全てであるという解説が書かれている。意識といった太古から人類が考え続けた事柄に関して心理学的にその本質をついている。身近な疑問から徐々に深いところに入っていき、疑問が順番に生じてくる点を順を追って解決してゆくので流れを追いやすかった。

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    2025年01月16日
  • 言語はこうして生まれる―「即興する脳」とジェスチャーゲーム―

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     タイトルから少し重たい本かな?と思い、ついつい積読をしていたのだが、読み始めると止まらず一気に読んでしまった。言語という文化への視野が増えたように思える。
     単語の意味を覚えたり理解するのではなく、如何にチャンク(かたまり)で前後と共に覚え、互いの背景、フィールドを理解してコミュニケーションをするのか。単語の意味に囚われていた私にとって、考え方を180度変えてくれた。
     AIの大規模言語モデルも、AIに一つ一つの単語の意味を教え込むのではなく、その文脈の確率を覚えさせているのだと言う。例えば「空」という単語の前に付く形容詞は「青い」が多く、「黄色い」が少ないように。そうやって、文脈の単語間の

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    2024年07月26日
  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

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    就活中に考えた「人生の目的」とか、流行中のMBTI診断とか、Strength Finderとか、本当の自分(の強み)を見つけよう、とか、全部疑わしく思えてくる。

    本書に照らして言うならば、個性とかアイデンティティとか言うものは、今日まで生きた過程で得た経験の解釈(意味の押し付け)の中で最も馴染んだもの、程度のものであって、必ずしもそれらに基づき一貫した行動をする必要はない。

    にも関わらず、どうして就職活動や転職活動では「あなたの軸は?」とか、過去から今、これからやりたいことへの一貫性とかを問われるのだろう?

    思うに、わかりやすいストーリーなんか無くて、実際には都度都度の解釈で生きている、

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    2024年05月03日
  • 言語はこうして生まれる―「即興する脳」とジェスチャーゲーム―

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    ネタバレ

    コミュニケーションについて興味、関心があれば読むべき本。認知科学者二人による。事例による例示が多い。
    私自身の興味分野でもあり、かつ、かなりの分量、結論→説明の順でない、などの体裁により読むのには一苦労。1日かかってしまった。
    ヴィトゲンシュタインな哲学論考、言語ゲーム。コミュニケーションの基本となるジェスチャーゲーム。ノーム・チョムスキーの生成構文。などが本書のキーワード。
    本書における筆者の主張。そのひとつが言語に正解はないということ。また、法則があるようで実は例外もたくさんあるということ。生活や文化的な背景によりその言語の利用が制限されてしまうということ。
    言語に対する絶対視。正解を求め

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    2023年08月26日
  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

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    「なんじゃこの即興芝居人生」と思いながら生きてきたので「てか他の人も皆んなそうだよ Don’t worry ひとつずつ解説していくねー」と言われた気がして好き。この本。オススメ本。

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    2023年07月27日
  • 言語はこうして生まれる―「即興する脳」とジェスチャーゲーム―

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    普遍文法への真っ向勝負。 
    言語は文化的な産物なのだという主張は、近年の言語生得説に対する見方とは違う観点を学ばせてもらいました。

    最後のAIへの知見は、シンギュラリティ到達に戦々恐々としている私としては安心材料の補強になりました。ChatGPTが世間を賑わせていますが、無数のデータの蓄積を統計的に紡ぎ合わせているだけで人間的な相互関係を加味したやり取りにはまだ至っていないのだという。でも、ニューラルネットワークの底力はムンムン感じますよね。

    後は、「3000万語の格差」についての言及で、子どもに単に単語数を稼いで浴びせまくるのではなく、家族との会話に引き入れて相互作用を組み入れることが肝

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    2023年02月09日
  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

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    直観的な理解とそぐわないことが、例えば物理学とか諸々とあり、人間の心に関する理解も同じ。視覚の例がわかりやすいが、人間が知覚してるのはほんの一部分で、あとは脳がさもいろいろなものを同時に見てるかのように補正している。心は平坦で探るべき深みなどなく、人間の内面世界は脳が都度即興しているものに過ぎない。
    自分の感情も、生理的状態をその時の文脈で解釈したもので、好みですらごとに臨んだその時に捏造している。脳の働きは原理原則ではなく前例に基づくもので、思考のサイクルの残した痕跡の積み重ねである。

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    2022年08月10日
  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

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    心、人格、キャラクターは後付け…まあそうだろうね。ただ神の媒体、フィルター、パイプ、楽器としての個性はあると思う。

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    2025年11月23日
  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

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    〜だから、〜だ。例えば、雲ひとつない空だから、雨は降らないはずだ。雲ひとつない空は朗らかだ。笑顔も朗らかだ。創造主が朗らかな気分だから晴れたのだ。人が善行をすれば、互いに笑顔だ。人の善行は創造主を朗らかにし晴れさせる。
    この推論が物語化、意味づけの正体ではないか。

    この本が明らかにするのは、我々が意味づけをしながら世界を認知する生命体であるということ。それに加えて、斬新なのは「自らの身体的変化に対しても、何かしらの意味づけをして物語化する。そしてそれこそが、感情である」という仮説である。

    ロールシャッハテストのような黒いインク。あれは、一度ネタバレすると、その形状にしか見えなくなる。これを

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    2025年10月04日
  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

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    心は錯覚に過ぎないという非常に刺激的な言説。
    その上で人間の即興性、柔軟性をむしろポジティブに捉えているのは斬新だった。
    ただ原著が2018年ということで、AIの推論能力が超進化した現在、私は著者の言うような人間の独自性を確信できなくなってきている。
    この後にNEXUS読んだら面白いのでは。

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    2025年07月29日
  • 言語はこうして生まれる―「即興する脳」とジェスチャーゲーム―

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    言語がなぜ単純化されるのか?複雑性を回避する言語の動態にすごく納得。残る謎(いや残る謎だらけではあるんだけど)としてオノマトペが存在する言語、存在しない言語の、言語の習得過程について知りたい。

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    2024年09月02日
  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

    購入済み

    「深層心理」などない?!

    心や意識についての、最先端に近い捉え方だと感じた。

    深層心理、無意識だとかいうものはなく、パターンにそって即興で反応しているのが、心や意識の実態、
    ということかと理解した。

    #深い #タメになる #共感する

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    2024年08月09日
  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

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    「深層心理」とか「本当の自分」とかなんてない、という主張の本。

    今までの自分を振り返ってみると、「心は脳の即興」という筆者の主張がわかる気がするけど、だからこそ信念を持たなきゃならない、本当の自分に気づかなきゃならないと考えてきたので、信念までも脳の即興だって言われて、共感半分、疑い半分の気持ちで読み進めた。
    第11章までは、要は脳は一度に1つのことしか処理できないよね〜ってことと、だから「深層心理」なんてあるわけないよね〜ってことが多くの実験結果を引用して何度も書かれていた。実験の話はたまに「その実験結果からその結論にいくの…?」と思うところがあったけど、筆者の主張は理解。
    でもずーっと

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    2024年05月06日
  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

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    原題の「Mind is flat」のほうが内容を過不足なく表現している気もするが、まあ楽しい本だった。先に読んだ「言語は~」のほうは、言語のルールが即興ジェスチャーの伝統でしかないという話だったが、心もまた経験から判断される即興の場繋ぎでしかないとは。
    部分しか把握できない人間が、意識できないレベルでの視点移動で全体を把握しようとし、そうしたトリックを意識それ自体は把握できず、ただ入力される感覚情報に頼るしかないなどなど、得心が行くとともに実に興味深い話ばかりだった。

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    2024年01月18日
  • 言語はこうして生まれる―「即興する脳」とジェスチャーゲーム―

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    ネタバレ

    言語をジェスチャーゲーム、つまりその場その場の約束事の積み重ねとして捉える視点は大層面白く、説得力も十分あった。「正しい言葉」を求めてやまなかった人々の話も身につまされる。
    また3.0のころではあるが、ChatGPTが引き合いに出され、AIが言語の背景をまるで理解していないことが示されるくだりはなるほどを膝を打った。

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    2023年12月18日
  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

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    「心の奥」なんてものは存在しないと言われると、「本当にそう言い切れるか…?」と疑ってしまう。そんな感じで、本書を読み始めた。冒頭を読んでいる間は、「なんだか言い過ぎている感じがするなあ」と思っていたが、読み進めていくうちに、「やはりこっちが正しそうだ」と説得された。
    「心の奥」が存在しないことは、少し寂しい気もするが、むしろ存在しないからこそ、人間は変わっていけるし、クリエイティブになれるのだという、希望のもてる話であった。

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    2023年04月02日
  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

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    具体的にイメージしにくい部分があり、やや理解に苦しんだが、脳は「心の奥」があるという錯覚を創り出しているのみならず、「心というものが存在している」という錯覚さえも創り出している。感覚情報のほんのひとかけらを解釈して意味付けした結果がその瞬間の意識となっているのみであって「心」と呼ばれるものはない と言うある意味衝撃的なセオリーだった。

    以下、心(と言ってはいけないのだが)に残った言葉。

    「喜びや怒りといった感情も、内なる深みから湧き上がってなどいなくて、人は自分の感情をその瞬間に解釈している。かつ、その解釈は、自分の置かれた状況(居合わせた人が浮かれているか怒っているか)のみならず、自分の

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    2023年03月13日
  • 心はこうして創られる 「即興する脳」の心理学

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    最後の方は畳みかけられて少し主張がぼやけたが、全体として脳の即興であるという筋は通っているし、実感とも近い。

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    2023年02月25日