小砂川チトのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。この一言に尽きるは尽きるのですが、受賞したとわかった時に買って読むというミーハーじみた読み方をした初めての本でした。芥川賞の本て難しいし、なかなか難読だったりするんですが、この作品はそんなことは無いと思いますね。
ネタバレ含むかもですが、AIによって仕事をクビになった夫婦が、旦那さんは演奏会旅行という現実逃避を始め、奥さんはVR世界というAIに作られた世界に逃げるという、いやあなたがそうなったのその世界つくってるAIですよと言いたくなる状態でした。
人は何かしら役割がないと生きていけないという主題があるんじゃないかなぁというのが強く言及されていて、だから奥さんの方は熱狂的にVR -
Posted by ブクログ
絶対に捨ててはいけない、捨てられない「感情」を持ち合わせているのは「人間」だけである。
芥川賞受賞作品、ノミネート作品はその時代背景を鮮明に描き出すと言われている。
本作におけるその危機感、こそがこの2020年代後半を照らし出す警告そのものであり、我々が密かに抱く脅威そのものなのである。
主人公は、会社員として勤めていた一般女性、夫と二人暮らしをしていたが、ある日AIに仕事を奪われたことで生活そのものが喪失されてしまう。
気づけば夫は失踪し、家には主人公の女性一人きり。
そんな絶望の中、彼女が目の前に見つけたそれは、VRヘッドセットであった。
ストーリーは空想と現実を彷徨うような展 -
Posted by ブクログ
何を軸にして読むかで印象が変わりそう。
詩的表現でAIやVRなどのデジタル技術が題材になった作品を描いている点がなかなかに面白く、これまで読んだことがない感覚になった。
昔、バイオハザードヘビーユーザーだったことがあるので、やっつけた敵が地面に転がってて邪魔だなとか、いつのまにか死体が消えてて不思議だなと思った、その経験も生きた。
ゾンビ回収という仕事に、並々ならぬ思いを抱いているところなどは『コンビニ人間』を彷彿とさせる。他者に認められたいという思いが強い、真面目な主人公の苦悩や心情の吐露などは、共感できる人も多いのではなかろうか。
キーワードとしては、AI、VR、労働、自我、身体。
私はV -
Posted by ブクログ
これは傑作!芥川賞なのに珍しく面白い!
AIとかVRのような今風なモチーフを扱いながらも、現代の労働観や社会のあり様を正面から問うている骨太の作品だと感じた。四半世紀後に成長し大人になった『千と千尋』が伊藤計劃に出会ったとでも言おうか。全体としてトーンはディストピアだし、ゾンビだし、陰々滅々としそうな要素のてんこ盛りなのだが、細部にユーモアを織り込むセンスがあって一気に読めた。
AIの時代の労働の固有性とは何なのか、あるいは労働が人工知能に代替されるとは裏を返すと人間が人工知能を代替する状況も成立し得ることになるのではないか、などこの時代ならではの重層的な問が設定されているだけでなく、後期近代 -
Posted by ブクログ
ネタバレ頻出する比喩は豊かでありながら選び抜かれており、その一つひとつに使い手のこだわりのようなものが感じられた。ひらがなと比喩を用いた感情描写も、私は使わないけどなるほどと思える表現で、その人物の、その瞬間にしかない感覚を表現しようとしているのだろうと思った。
「イメージと交際してイメージとしあわせな結婚をして」という一節は、作品の核心に触れているように感じられ、特に気に入った。こうした箴言(?)めいたフレーズが随所に現れるが、作者が前面に出て語っているのではなく、あくまで人物自身の声として私には感じられた。
物語の設計自体は、プロットに並べてみれば、ともすれば展開を予測しやすく、平坦になりかね -
Posted by ブクログ
ゲームの世界に入り込んだ女性がゲーム内でバラバラになった死体を回収し、元の状態に戻すお仕事をするお話。虚構世界への没入の深度が深くて、それがある意味で現実で必死に生きている人々は実は虚構の世界に生きているだけではないかと感じさせる。まるで映画「マトリックス」の世界のようだ。最初にAIを登場させたのも、将来的にAIが人類にとって代わって現実世界を構成し、我々はAIにとっては虚構の世界の中いるゲームのキャラクタのように扱うかもしれない。現代人はスマホでゲームに没入し、AIに飼いならされる準備をしているような状況のように思える。そんなことを警鐘する作品だと考えた。
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Posted by ブクログ
ネタバレ役割がなくなったとき、人はどうやって自分の存在を肯定すればいいんだろうね
仕事を失う。失うというか、この作品ではAIに奪われる?のだけど。そして夫もいなくなる。誰かに必要とされている感覚も、自分がここにいる理由もなくなっていく。
それでVRの世界にハマる、のめり込む
ゲーム自体はゾンビを倒していくゲームらしいのだけど、この人はゾンビを倒すでもなく、冒険するでもなく、ゲームの中でAI(NPC)がやってた仕事を奪ってゾンビの死体を回収する仕事を始める。
人は誰かに必要とされたいし、感謝されたい。そういうものがなくなると孤独に耐えられなくなる、、、という話なのかなと思ってた。ただ、どうやら感謝 -
Posted by ブクログ
ネタバレAIに仕事を奪われ失業したことをきっかけに、これまで自分の存在のほとんどを会社に明け渡してしまっていたことに気付く主人公。ある事情から、VR世界で清掃婦として働くことになる。
仕事は、ゲームのプレイヤーが倒したゾンビを回収すること。
ゲームでゾンビをいくら倒しても、屋敷が死体だらけにならないのは“勝手に”消えるゲームの仕様で、誰かが掃除をしているという発想はなかった。
現実社会の「当たり前」もまた、誰かの見えない労働によって支えられている。
皆にとっては“当たり前”だから、感謝されることも、褒められることもない。それでも主人公は、この「人間じゃなくてもできる」「見えない」仕事に、次第にのめり -
Posted by ブクログ
ネタバレ芥川賞受賞作をリアルタイムで読むのは、綿矢りささんの『蹴りたい背中』と金原ひとみさんの『蛇にピアス』以来だから、本当に本当に久しぶり。
今年から、色んな文学賞を追いかけようと思って、芥川賞・直木賞の選考会も生中継で見てました。
作品の方は、とても摩訶不思議な世界観だった。
主人公が虚構世界のゾンビ回収婦としての役目に没頭している様子がとても奇妙だった。
メンテナンス・デーでは、AIの医師が人工知能たちの"痛み"を聞いているのだという。
AIのクマのぬいぐるみと対話するシーンは、主人公の劣等感だとか、働くことへの執着心を感じた。
"働かざるもの食うべからず&