小砂川チトのレビュー一覧

  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    面白かった。この一言に尽きるは尽きるのですが、受賞したとわかった時に買って読むというミーハーじみた読み方をした初めての本でした。芥川賞の本て難しいし、なかなか難読だったりするんですが、この作品はそんなことは無いと思いますね。
    ネタバレ含むかもですが、AIによって仕事をクビになった夫婦が、旦那さんは演奏会旅行という現実逃避を始め、奥さんはVR世界というAIに作られた世界に逃げるという、いやあなたがそうなったのその世界つくってるAIですよと言いたくなる状態でした。
    人は何かしら役割がないと生きていけないという主題があるんじゃないかなぁというのが強く言及されていて、だから奥さんの方は熱狂的にVR

    0
    2026年08月23日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    絶対に捨ててはいけない、捨てられない「感情」を持ち合わせているのは「人間」だけである。



    芥川賞受賞作品、ノミネート作品はその時代背景を鮮明に描き出すと言われている。
    本作におけるその危機感、こそがこの2020年代後半を照らし出す警告そのものであり、我々が密かに抱く脅威そのものなのである。

    主人公は、会社員として勤めていた一般女性、夫と二人暮らしをしていたが、ある日AIに仕事を奪われたことで生活そのものが喪失されてしまう。
    気づけば夫は失踪し、家には主人公の女性一人きり。

    そんな絶望の中、彼女が目の前に見つけたそれは、VRヘッドセットであった。

    ストーリーは空想と現実を彷徨うような展

    0
    2026年08月22日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    AIに仕事を奪われ、ゾンビとなった人々を回収する仕事についているけれど、しかし、たとえ無意識にではあっても、そしてどれほど病んでも、模範的な労働観というくびきからは逃れられない。そういうことが言いたいのかな、と思った。前作『猿の戴冠式』からテーマは変わっていないけれど、しかし、前作の安直なラストを反復せず、著者は抑制された表現に努めていると思う。

    0
    2026年08月22日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    何を軸にして読むかで印象が変わりそう。
    詩的表現でAIやVRなどのデジタル技術が題材になった作品を描いている点がなかなかに面白く、これまで読んだことがない感覚になった。
    昔、バイオハザードヘビーユーザーだったことがあるので、やっつけた敵が地面に転がってて邪魔だなとか、いつのまにか死体が消えてて不思議だなと思った、その経験も生きた。
    ゾンビ回収という仕事に、並々ならぬ思いを抱いているところなどは『コンビニ人間』を彷彿とさせる。他者に認められたいという思いが強い、真面目な主人公の苦悩や心情の吐露などは、共感できる人も多いのではなかろうか。
    キーワードとしては、AI、VR、労働、自我、身体。
    私はV

    0
    2026年08月20日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    これは傑作!芥川賞なのに珍しく面白い!
    AIとかVRのような今風なモチーフを扱いながらも、現代の労働観や社会のあり様を正面から問うている骨太の作品だと感じた。四半世紀後に成長し大人になった『千と千尋』が伊藤計劃に出会ったとでも言おうか。全体としてトーンはディストピアだし、ゾンビだし、陰々滅々としそうな要素のてんこ盛りなのだが、細部にユーモアを織り込むセンスがあって一気に読めた。
    AIの時代の労働の固有性とは何なのか、あるいは労働が人工知能に代替されるとは裏を返すと人間が人工知能を代替する状況も成立し得ることになるのではないか、などこの時代ならではの重層的な問が設定されているだけでなく、後期近代

    0
    2026年08月14日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    仕事を失ってVRの中でも仕事をして、カウンセリングを受けながら仕事ってこういうことだったっていう理解にいたって、安心とともに看取られたのかな。

    0
    2026年08月13日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    頻出する比喩は豊かでありながら選び抜かれており、その一つひとつに使い手のこだわりのようなものが感じられた。ひらがなと比喩を用いた感情描写も、私は使わないけどなるほどと思える表現で、その人物の、その瞬間にしかない感覚を表現しようとしているのだろうと思った。

    「イメージと交際してイメージとしあわせな結婚をして」という一節は、作品の核心に触れているように感じられ、特に気に入った。こうした箴言(?)めいたフレーズが随所に現れるが、作者が前面に出て語っているのではなく、あくまで人物自身の声として私には感じられた。

    物語の設計自体は、プロットに並べてみれば、ともすれば展開を予測しやすく、平坦になりかね

    0
    2026年08月21日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    僕も職場で頑張りを認めてもらえなくて辛かった、同じような感情を抱いたことがあるので胸にささりました。
    働くってなんだろう?って考えさせられる作品だなと思いました。

    0
    2026年08月23日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    ゲームの世界に入り込んだ女性がゲーム内でバラバラになった死体を回収し、元の状態に戻すお仕事をするお話。虚構世界への没入の深度が深くて、それがある意味で現実で必死に生きている人々は実は虚構の世界に生きているだけではないかと感じさせる。まるで映画「マトリックス」の世界のようだ。最初にAIを登場させたのも、将来的にAIが人類にとって代わって現実世界を構成し、我々はAIにとっては虚構の世界の中いるゲームのキャラクタのように扱うかもしれない。現代人はスマホでゲームに没入し、AIに飼いならされる準備をしているような状況のように思える。そんなことを警鐘する作品だと考えた。

    0
    2026年08月21日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    役割がなくなったとき、人はどうやって自分の存在を肯定すればいいんだろうね

    仕事を失う。失うというか、この作品ではAIに奪われる?のだけど。そして夫もいなくなる。誰かに必要とされている感覚も、自分がここにいる理由もなくなっていく。

    それでVRの世界にハマる、のめり込む
    ゲーム自体はゾンビを倒していくゲームらしいのだけど、この人はゾンビを倒すでもなく、冒険するでもなく、ゲームの中でAI(NPC)がやってた仕事を奪ってゾンビの死体を回収する仕事を始める。

    人は誰かに必要とされたいし、感謝されたい。そういうものがなくなると孤独に耐えられなくなる、、、という話なのかなと思ってた。ただ、どうやら感謝

    0
    2026年08月21日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    AIに仕事を奪われた夫婦の物語。夫は意味不明で不気味な書き置きを残して失踪。ゾンビ回収のイメージは、仕事の意味やAIと人の逆転を想起させる。ゲームの知識がないとやや想像しづらい箇所がある。また、分かりやすい物語ではない。

    0
    2026年08月17日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    ゾンビを回収する婦人のお話(?)。

    VRゾンビゲーム内で掃除婦としての仕事を行う中、現実における仕事やAIと仕事の関係などの話が絡み、現実とゲームとの境目が曖昧になり、となんだか不思議な感覚のするお話でしたな。

    小難しさ読みにくさもありつつ。

    0
    2026年08月15日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    これはVR依存症になって廃人になってしまった人の話しってことかしら?
    「働かない自分は価値がない」そう思い込んでいたのは両親からの呪縛で、AIによって仕事がなくなった主人公は、自らがAIの世界で、精神世界でひたすら働き続けることを選ぶ(現実世界では廃人ということ?)
    入り込んでいる世界で自分と同じような思考を持つ死に絶えたゾンビを回収しているって、もう現実世界では生きられないんだという悲痛な叫びを聞いているようで、なるほど芥川賞ってこんなふうに難しくて考えさせられる作品多いなぁとか思ってしまった。

    0
    2026年08月14日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    難しいね!
    何度か読み返さないと、解らないね。
    ただ、一度読み始めたら、引き込まれて止まらない!
    シミュレーション仮説の話?なのかな…

    0
    2026年08月13日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    読めた、という感じか。自分には文学はわけがわからない。わからなくてもいいんだと思いながら読んでいる。
    認められたくて必死にゾンビのかけらを拾う、意味があるかもわからないのにアドバルーンを上げる、成果を出したい、感謝されたい、愛されたい…誰かの役に立つこと(働かざる者食うべからず)が私たちの初期値なのだったら、そこがうまくいかない苦しさを抱える人は多いだろう。

    0
    2026年08月12日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    AIに仕事を奪われ失業したことをきっかけに、これまで自分の存在のほとんどを会社に明け渡してしまっていたことに気付く主人公。ある事情から、VR世界で清掃婦として働くことになる。
    仕事は、ゲームのプレイヤーが倒したゾンビを回収すること。

    ゲームでゾンビをいくら倒しても、屋敷が死体だらけにならないのは“勝手に”消えるゲームの仕様で、誰かが掃除をしているという発想はなかった。
    現実社会の「当たり前」もまた、誰かの見えない労働によって支えられている。
    皆にとっては“当たり前”だから、感謝されることも、褒められることもない。それでも主人公は、この「人間じゃなくてもできる」「見えない」仕事に、次第にのめり

    0
    2026年07月19日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    芥川賞受賞作をリアルタイムで読むのは、綿矢りささんの『蹴りたい背中』と金原ひとみさんの『蛇にピアス』以来だから、本当に本当に久しぶり。

    今年から、色んな文学賞を追いかけようと思って、芥川賞・直木賞の選考会も生中継で見てました。


    作品の方は、とても摩訶不思議な世界観だった。
    主人公が虚構世界のゾンビ回収婦としての役目に没頭している様子がとても奇妙だった。

    メンテナンス・デーでは、AIの医師が人工知能たちの"痛み"を聞いているのだという。
    AIのクマのぬいぐるみと対話するシーンは、主人公の劣等感だとか、働くことへの執着心を感じた。
    "働かざるもの食うべからず&

    0
    2026年08月22日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    常に正しさを押し付けられ続けていると、正しさから逸れた時に立ち直ることは難しくなるんだなと感じます。誰かに求めないこと、求められないことの自由さを感じられたラストの爽快さと後味の悪さが好きです。

    0
    2026年08月19日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    現実世界で仕事と家庭の両方の「責務」を同時に失い、仮想現実という虚構の中に代わりとなる責務を求め、そこで得た責務を果たすことで喜びを得る。
    そして仮想現実のゾンビと同じように彷徨い、溶け合い、混ざっていく…。
    AIや仮想現実の仕組みというよりも、昨今のゲームで使われる用語や表現についての前提知識が必要で、それさえ押さえていれば場面や描写が何を表現しているのか理解しやすくなる。
    逆に言えば、多少なりともゲームの知識がないと、舞台設定そのものが掴みにくい作品だなと感じました。

    0
    2026年08月19日
  • ゾンビ回収婦

    Posted by ブクログ

    今回の芥川賞受賞作はAIやVRなど出てきて手強い感じ。
    主人公はAIに仕事を奪われ、亭主も演奏旅行に行くと言って蒸発。ある日、亭主部屋で見つけたVRヘッドセットをつけ、VR空間ではゾンビ回収を日々行うことに。ここでも極々まじめに役割行動する主人公は自分の思い、承認欲求が表に現れてくる。

    0
    2026年08月19日