仕事を効率的に進めるにあたり、考え方をちょっと変えるためのスイッチを57にわたり紹介する1冊。
ハックという書名ですが、テクニックというより、考え方の切り替えですので、これまでのハック本とは異なります。
巻末に多くの参考文献が掲載されているとおり、これまでの様々な文献を丁寧に分類・整理した上で、著者の経験などを交えた内容になっていますので、気になる部分だけをピックアップして読んでも十分有効です。場面→課題→ポイント→解説→まとめという流れで解説していますので、読みやすい上に実践しやすいと感じます。
▼判断するときの3つのポイント
①「判断の正しさ」より「判断の早さ」→方針転換の判断も早めにできる
②「判断する期限」を決めておく→「ズルズルと段取りが進まない」状態を防げる
③「判断後のアクション」に集中する
▼「ツァイガルニック効果」:人は未完成のものが気になるという心理傾向。少しでも資料作成に着手することで、作業継続へのモチベーションをつくることができる。自分を動かすルーティンを作っておく。
▼進捗確認のタイミングごとに「結論の仮設」を上司に伝えておく
▼相手のニーズに応える報告の仕方
①「自分が話したいこと」ではなく、「相手が聞きたいことを」を考える→見たこと聞いたことをそのまま「描写」すると、その大半が結論に至るまでの「経緯」の話になるため、「要点」を話す
②「結論と根拠」をセットで話す→納得感をつくる
▼文章量が多い資料は、読み手に満腹感を与え、直感的な理解を防ぐため、シンプルにする必要がある
①文章ではなく箇条書きを多用する
②複雑な関係や構造は図解で示す
③「そして」「それから」「だから」などの接続詞を省略する
④「しっかりと」「丁寧に」「じっくり」などの形容詞を省略する
⑤体言止めを使う
▼会議において、「収束」の段階になると「選ぶ判断」「捨てる勇気」が伴うので、一気に生産性が下がる。特に日本人は、場の空気を読む文化なので、せっかく出してもらった意見やアイデアを「絞る」「捨てる」のが苦手→「あらかじめ、決め方を決めておく」ことが有効
▼会議での結論の決め方
①多数決で決める
②判断基準に照らして決める
③リーダーが決断する
→それぞれ一長一短あるが、「多数決」と「リーダーの決断」を組み合わせて決めることがおすすめ
①現場による多数決の結果と、その内容・意見をリーダーが理解する
②「無難なアイデア」か「一部が熱狂的に支持されるアイデア」かを、リーダーが最終的にジャッジ
▼「情報量で戦う」より「思考力で戦う」ことの重要性
①ロジカルシンキング:物事を論理的に筋道を立てて考える力
②クリティカルシンキング:物事を適切に疑って考える力
③概念化思考:物事を実体から切り離して概念で考える力
④アナロジー思考:物事を別の分野に当てはめて考える力
▼この世の中に“正解”など存在しない。未来に向けた“可能性”があるだけ
<目次>
第1章 「時間」の生産性を上げる
第2章 「段取り」の生産性を上げる
第3章 「コミュニケーション」の生産性を上げる
第4章 「資料作成」の生産性を上げる
第5章 「会議」の生産性を上げる
第6章 「学び」の生産性を上げる
第7章 「思考」の生産性を上げる
第8章 「発想」の生産性を上げる