稲垣諭のレビュー一覧

  • やさしいがつづかない

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    ネタバレ

    やさしさが続かないことについて、定義や文化的背景を用いて丁寧に説明した本です。
    人に優しくできないことを解決はしませんが、理由は何となくわかるようになると思います。
    以下は個人的なキーワードです。

    やさしさは続かないもの。
    やさしさや悪意はコントロールの問題。やさしさはコントロールを相手に委ねる、悪意はコントロールを相手から奪うこと。
    やさしさは、コントロールを相手に委ねるだけでなく、その責任を自分が引き受けること。苦しい。
    身近な人にやさしくするのが難しいのは、その後の相手との関係に責任を持つのが苦しいから。
    やさしさはアンパンマンの顔そのもの。余裕があれば顔をあげることができるが、余裕が

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    2025年08月07日
  • やさしいがつづかない

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    ずっとやさしくしたいのに、結局できなくて自己嫌悪に陥ることがある。
    だから、この本に書いてある「やさしいの仕組み」を知って少し気持ちがラクになった。
    なるほど、“優しい”は“痩さす”からきているのね。
    何かしら削られるものがあるならば、続けられないのも納得。
    やさしいを解剖すると『コントロール』の話に行き着くのも面白い。
    筆者曰く、やさしいの定義とは『自分のコントロール権を手放し、相手に委ねる行為』をいう。
    これを読んだ瞬間、理解した。
    だからか!と。
    自分はコントロールしたい側の人間だという自覚があるので、妙に納得してしまった。
    あと、余裕がないと人にやさしくできない。
    これも分かる!と大き

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    2025年07月31日
  • 「くぐり抜け」の哲学

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    一つのストーリーを繋いでいくような感じではない。連載を取りまとめたからなのかな。
    結論としてのマイクロカインドネスも、思想自体に納得感はあれど唐突で、「漫画の終盤で出てきた新キャラ」感があった。

    しかし内容は刺激的で、PlayとGameの定義づけからのジェンダー的社会構成の変化や、「現代はラスボス後の消化試合」「『絶望』ではなく『取り残され』による孤独死」「ヒトは平等であればあるほど、恣意さな不平等に気付き、傷つく」など、ぼんやりと感じていたイメージを言語化してくれる妙味が多い。

    Playの世界に堕ちきれない弱い人間が辿り着く、GAMEの世界→再殺部隊
    弱いものによる弱いものへのからかい、

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    2025年02月15日
  • 「くぐり抜け」の哲学

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    「弱さ」をもった他者に「共感」するのでなく「くぐり抜け」という手法で近づきケアしようと試みる一作
    くらげという他者から始めて現代社会に潜む「男性性の問題」に向けてくぐり抜けて社会に希望を見出していく壮大な本
    「弱さ」を肯定できる社会をめざして

    「弱さ」に苛まれて苦しむ人達に強く深く介入するのでも共感するのでもなく、その場その場での突発的・偶発的な「プレイ」によるマイクロ・カインドネスによって他者をくぐり抜けようと提案する、本書の主題である男性は勿論「弱さ」を抱えた人は押し並べて読むべき一冊

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    2025年01月02日
  • 絶滅へようこそ

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    現実にある人類の諸課題に対し、現実の中からまともに向き合ってしまうのではなく、様々な視点拡張の試みで捉え方・考え方を変えることで苦しみの緩和や別の解法への糸口を探るといった筋の話だった。

    テーマは12あり、下記のようなもの。
    ・太陽の終わりに伴う生命の流れえぬ絶滅
    ・機械、道具による人工的な環境の中での安寧な生活
    ・暴力を減らし、自己を家畜化してきた試みの成功

    太陽の終わりから考えるという最初の視点は良かったが、それ以外のテーマは2022年時点の社会課題の描写に終始しており、現状理解には役立つが、解決への考えなどはなかった。

    また、最後の章とそれに続く結びの文章が村上春樹の賞賛で締められ

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    2023年10月17日
  • 絶滅へようこそ

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    非暴力の社会になっているはずなのに、ますます暴力的になってしまう世の中。スマートでどんどん効率的になっているのに、人々は幸福になるどころか、システムの道具となってゆく。悲観的になりすぎないように現状に対して懐疑的であることは大切だと思った。

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    2022年10月10日
  • 絶滅へようこそ

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    哲学について知るのは好きだけども、絶望という点について考えたことはなかった。絶望とは暗いイメージがあるが、わたしたちが感じていなかっただけですでに絶望派始まっていて、それは世界の流れの一部でしかない。ニーチェ、マックス・ウェーバー、デリダ、コジェーヴなど経済哲学者を知るきっかけにもなった。

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    2022年09月30日
  • やさしいがつづかない

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    本書でやさしいはコントロール権を渡して、その結果の責任を負うこととと定義されている。また、やさしくなれないことは当然だが、責任を切り離したマイクロカインドネスは奇跡ではあるけれどもだれしも経験して持っているはずだと説いている。

    一部共感できる点もあるが、一読ではすっきり自分の中に落とし込めるまではいかなかった。ただ、やさしさは性格ではなく行為である、やさしくできないときはコントロール権を軸に言語化して客観視するという方法は試そうと思った。また、やはりやさしさを搾取されない環境、やさしくする余裕を持つことが重要なのはよく言われるているし実感もある。

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    2025年11月10日
  • やさしいがつづかない

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    「長い対話としての結婚。――結婚にふみ切るさいには人は自問すべきである。お前はその相手と老年になってまで愉快に語り合えると信じるか?結婚におけるあらゆる他のことは一時的である、しかし交わりの大部分の時間は対話に属する」と。

    パートナー関係とは、すなわち、その相手との長い対話を継続することだ、というニーチェの言葉には重みがあります。118
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    どうして私たちは怒りをいずれは宥め、収めなければならないのでしょうか。私が被った傷は完全に癒えることはないにもかかわらずです。216

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    2025年11月06日
  • やさしいがつづかない

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    著者も書かれていますが、「つづける」ためのテクニック等ではなく、「つづかなくていいんだよ」ということを踏まえていこう、という本です。

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    2025年10月29日
  • やさしいがつづかない

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    最近、優しい人と自分を比べて、じわじわ削られてしまうことが多々あった。
    タイトルで「まさに…!」と手に取った本。

    まず、自分だけじゃないんだという思いで救われた感がある。悪意の言語化も興味深かった。
    そしてケアの視点。以前聞いた話で、自分に厳しい言葉をぶつけてしまう時は「これがもし自分の大切な人だったらなんて言葉をかける?」と考えてみるといい、というのに納得した記憶があるけど、それと同じ感覚を覚えた。
    タイトルと矛盾するかもしれないけど、なんで人にはやさしくできるのに、自分には厳しく当たっちゃうんだろうね。まずは自分をケアすること。おもしろかった。

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    2025年10月02日
  • やさしいがつづかない

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    ネタバレ

    少し冗長に感じる部分もあったが、「時間面での余裕」には納得

    ・部屋でひとりでぼーっとする何も考えないでいる時間

    ・やさしくなれない可能性が高い時期は人とのコンタクトを避けておく

    ・10分でも20分でも、ひとりになって、スマホをおいて、テレビを消して、何にもコントロールされない時間を体験

    ・何もしない時間=贅沢な時間

    ・どう過ごしていいかわからず、不安や焦り→それもOK。自分自身に注意や思考が向けられている時間(瞑想の簡易版)

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    2025年09月16日
  • やさしいがつづかない

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    自分が対人援助職としていろいろと取り組んでいくうえでの、中核的な概念に近いようなことがやさしくまとめられているような、そんな印象を受けた。著者の本を何冊か読んでみようと思った。

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    2025年08月24日
  • やさしいがつづかない

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    ネタバレ

    やさしいはコントロールの問題。性格ではなく行為だから変えられるし、相手との関係や周囲の環境からも大きな影響を受ける。
    結果への責任を負わなくてよい状況・相手であればいくらでも優しくなれる。

    なるほどなあ。
    やさしいがつづかない、というテーマに対して、他の切り口もあるように感じるが、この切り口で深めていったのはとてもおもしろくて、納得した。
    日々歯がゆく思っているけど声に出さないことをとりあげる本って素敵だと思う。

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    2025年07月27日
  • 絶滅へようこそ

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    絶滅が救いであるという視点は興味深かったし、共感するのだが、それがほとんど哲学的な論証を与えられていない単なる主観でしかなかったのは残念だった。また、論が粗雑で危うい点も多々見られた。例えば、自己家畜化という生物学的な進化の方向を無批判に文明の向かうべき道かのように描いてしまっているところなど。

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    2024年04月03日
  • 絶滅へようこそ

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    50 57 61ポスト太陽的思考
    64 身体なしの思考
    74 ケアする機械
    114 アンダース
    183 絶対的寛容
    219
    224 自然の幻想☆
    242
    257 自己家畜化
    263
    266
    270 女性イメージが好まれる
    288 コジェーヴ
    300 アウシュヴィッツ
    318 345 村上春樹

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    2023年11月30日