ジュリー・クラークのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ【人間不信になる現実、でも誰かを信じたい】
アメリカの小説、新鮮でした。
各章短く、テンポよく、
2人の女性、クレアとエヴァのシーンがほぼ交互に綴られる。
プエルトリコゆきの477便のチケットを持ったクレア。
搭乗前に、クレアとチケットを交換するエヴァ。
失踪を試みる二人が交わった空港での出来事を起点に、
エヴァのそれまでと、
クレアのその後について、
目が離せなくなる。
登場人物があまり多くなくて、
シーンが変わっても置いていかれずに読めた。
人に助けてもらうこと、
形跡を残すこと。
信じること。
生きると決めたなら避けられないのかも。
どれだけ人間不信に陥っても。
誰か信じられる人がいる世界であってほしい。
弱っている時に漬け込む人。
立場を濫用する人。
心から手を差し伸べようとする人。
分からないけど、自分は手を差し伸べる人でありたい。
利害を超えた友情を大事にしたい。
全ては流転する、けれど。
あとたぶん、
直感を高める。 -
Posted by ブクログ
プエルトリコに行くクレアは夫の暴力と支配から逃れたかった。クレアに空港で声をかけたエヴァという女性は夫の安楽死を手伝ったのでオークランドに戻れば逮捕される可能性があるという。
今の生活から逃れたいと思う2人は空港で航空券と身分を交換することに。
クレアはオークランドへ。
エヴァはプエルトリコへ。
2人の女性のことが交互に綴られていく。
クレアはオークランドに着いてから当初乗る予定だったプエルトリコ行き477便が墜落したことを知り、今後のことを模索する。
エヴァは何者なのか、実は何から逃れたかったのかが段々と明らかになる。
序盤から終始ハラハラするサスペンス。
とても面白かった‼︎
不安だらけの辛い状況のなかで出来た友情が救いとなり友の言葉が沁みる。
自分らしく生きようと力強く勇気ある行動に大変励まされた。
いい作品に出会えた。 -
Posted by ブクログ
読み終わって、そう、後書きまですべて読み終わっても、どきどきする本にたまに出合うことがあります。
わたしにとって『プエルトリコ行き477便』はそういう本でした。
登場人物はふたり。
ひとりは上流階級に嫁ぎもうすぐ上院議員に立候補しようとしている夫に虐待されているクレア。
もうひとりは薬の売人をしてひとりでひっそりと生きているエヴァ。
ふたりの視点で交互にものがたりは進んでいきます。
クレアの視点は現在進行形でクレアの語り。
エヴァの視点は三人称でプエルトリコ行き477便に搭乗することになるまでの状況がえがかれている。
過去と現在が語られることで相乗効果ってめちゃくちゃ上がることもあるんだな。
過去回想は書き方としてよくないし損しているって前に言われたことがあるのです。
過去回想でも回想でなく、進行形で書けばそんなことはちっとも気にならないんだと分かったのは良かった。
クレア視点で語られるとクレアに肩入れしたくなるけど、私が好感を持ったのはエヴァと隣に引っ越してきたリズの関係でした。
読み終わった今も、ふたりのことを考えると胸が熱くなるし、涙が出そうになります。
単なる友情ってたぶんどこにでもあると思う。
エヴァは薬物依存症の母親と、その面倒を見るために孫のことを見れないと祖父母に捨てられた過去があり、複雑な環境で生きてきたから誰にも頼らず誰にも心を開くことができずにいた。
そんなエヴァのことを友だちだと言ってくれた年上のリズのことをわたしも好きにならずにいられない。
本当の友だちはたぶん全然年齢とか境遇とか関係ないんです。
もちろん、友だちが必要かどうかは自分で決めていいし、ひとりで強く生きていけるのはとってもいいことだとは思うけれど、クレアみたいに誰かが助けてくれる場合もあるかもしれない。
エヴァがリズに会わなかったらきっとあんな風にしなかったとは思ったけど、エヴァは最後の最後で自分の判断をしたけれどそれでもひとりぼっちではなかったって思えたんだとわたしは思いたい。
エヴァは間違ってなかったって言ってあげたい。
クレアはエヴァのことをきっと忘れないし、リズもずっと友だちだから。
泣きそうです、本当に。
あと、著者インタビューもとてもいいのです。
たくさんの人に読んでほしい本です。 -
Posted by ブクログ
『プエルトリコ行き477便』が、二人の女性の運命の糸がクロスする面白さにツイストを入れて、面白かい読み物だったので、続いての本書も迷わず手に取る。二見書房と言えば女性ロマンス路線の文庫なのだが、この作家は従来の狙い通りの女性読者層はもちろん、さらにすべての読者層に受け入れられておかしくない実力派の書きぶりを見せてくれる。
前作と同様に二人の女性の一人称で語られる二つの世界。一人は、不幸な過去を持つ女性詐欺師で、もう一人は彼女に復讐心を抱く駆け出しジャーナリスト。どちらの一人称もぐいぐい読ませる。その運命の交錯のデリカシーさや、それぞれの女性が抱える秘密の事情もページを繰る毎に次第に明かされるのだが、現在と過去の時間を往来しつつ、さらに視点の転換も微妙に関連しつつ、読者は次第に二人の女性の人生と性格と行動の理由をつかみ取ってゆく。
この構造はやはりこの作者特有のものなのか? 続く作品も全部このスタイルでやってしまってもいい。あるいはそこに期待させる面白さを持つのがジュリー・クラークという作家の優れたオリジナリティなのかもしれない。二作とも、ちょっとした凄みを感じてしまったのは、一人称描写の見事さ、そしてそこに仕掛けられたいくつもの謎。すべてを操る語り口、といったところである。
日本語化された文章力にも無理がなく、、、、と思ったら、何と、この翻訳者は翻訳ミステリー読書会世話人の小林さゆりさんではないですか。コロナ中もZOOM読書会では何度もお世話になりました。それにしても、難度の高いこの手の作品をこうもスムースに読ませて頂けて有難い限り。
作品では不動産詐欺に関わる悪辣な手口が出てくるのだけど、それらへの怒りをどう収めるかというのも、読者の興味を引くところ。ヒロインの一人がさらに狡猾な詐欺師である点がポイントである。詐欺師が、詐欺師へ復讐するという人生を賭けた長大なドラマという構成に辿り着くるまでの語り口の見事さ、展開のスピーディさも読後に感じさせる読書的快感に繋がってゆく秀逸なストーリー。
昔はお世話になったけれど最近ではあまり手に取ることのない二見文庫だが、この通りの凄玉ミステリ、今年もやってくれました。拍手! -
Posted by ブクログ
思わぬ拾い物という印象が強い一作である。まだこれが二作目という新人女流作家には、目のつけどころの良さと、ストーリーテラーとしての稀有な才能を感じさせられる。邦題は原題の直訳ではないけれど、なかなか洒落た納得のゆくタイトルであることが、本書を読み始めればわかって頂けると思う。
本書を読み始めると、まずページを繰る手が止まらなくなる。クレアとエヴァという二人の境遇の異なる女性が出会うのは、ニューヨーク、ジョン・F・ケネディ空港。しかも小見出しによれば「墜落事故当日」。え?
二人の女性が航空券を交換するシーンがこの小説のスタート地点だ。見ず知らずの他人同士として、初めて出会った女性二人が、空港という人生の交差点で、これまでの捨て去りたい人生を互いに交換する。そんな運命と、その裏に窺える二人の追いつめられた人生こそが、小説の序章である。
墜落当日から始まるクレアの物語。そして、墜落当日の6か月前から現在へと回想されるエヴァの物語。二つの物語の進行で本書は構成されている。
クレアは、財団の理事である夫の隠れた家庭内暴力に苦しめられ、そこから逃げ出したい。エヴァは、親に捨てられた孤児として育ち、現在は違法ドラッグ製造に関わっているが、組織から逃走して別の人生に逃げ込みたい。クレアとエヴァが航空券を交換することにより、本当に実際に交換したものは何であったのか?
二人の乗り換えた飛行機の一つ、エヴァが最終的に手にしたプエルトリコ行き477便は、その日、出発後間もなく墜落し、海の藻屑と消える。エヴァはこれに乗り込まずに済んだかに見える。そしてふたりの時系列も場所も異なる二つの物語がそれぞれ一人称の物語として進むことによって、運命のそれぞれの行方が次第に明らかになり、それとともに訪れる結末が想像できぬまま、ぼくらはこの作品を追い続ける以外何もできなくなる。
何よりこうしたアイディア、そして構成が、この作品の肝なのである。先が読めない展開も去ることながら、男たちからの支配、暴力、悪意、利用などをダイレクトに身に受ける存在としての二人のヒロインの物語が残酷で、彼女らの未来を彼女らの力で取り戻すプロセスと、そして訪れるべき幸せな結果を読者は望むことになる。
人生の残酷さをこれでもかと受けてきた女性たちの行方は、最後にはどうなるのか? そうしたプロットを主軸にしつつ、エヴァの隣人であるリズの存在が次第に強くなる。彼女が傾ける無償の優しさが、徐々に明らかになるように見える。それは罠なのか、それとも真に無償の救いなのか? 思わぬ展開と人間関係の妙という力学も働きつつ、終盤に待ち受ける意外などんでん返しの連続技が圧巻である。面白さと物語の内容の深さという両輪を兼ね備えた、重たくも推進力を感じさせる作品なのである。
この素晴らしい作品は翻訳ミステリー読書会関係者の皆様よりご紹介頂いた。いつもながらただただ感謝である。 -
Posted by ブクログ
その場から脱出したい女性がふたり。片方は夫からの凄まじい虐待に遭い、もう片方は犯罪がらみのやばい状況。空港でばったり会って航空券を交換したら現状から抜け出せるのか。
どうか無事に逃げられますようにとひたすら願う。一時逃げられたとしても、その後の生活に不安を抱くようでは駄目。とにかく完全に振り切ってと。
臨場感が凄い。歳を取るにつれて片仮名の名前が頭に入りにくくなっているため(笑)、海外ミステリーは年に数冊しか読まなくなっていましたが、こんな作品を読むと俄然もっと読みたくなる。
冒頭に「勇気を持って自らのために声をあげたすべての女性に捧げます」とあります。見てくれている人、助けてくれる人は、きっといる。