クイーム・マクドネルのレビュー一覧
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ネタバレ2026年の10冊目は、クイーム・マクドネルの「幸運すぎて埋められる」です。〈ダブリン3部作〉の4作目となります。何故3部作なのに4作目かというと、前作「悪人すぎて憎めない」が、3部作の前日譚にあたるからです。
「幸運すぎて埋められる」は、「悪人すぎて憎めない」からの決着編となりますから、出来れば前作から読む事をお勧めします。
作者のクイーム・マクドネルは、元コメディアンという事で、今回も登場人物のジョークの応酬が楽しめます。
物語は、主人公のバニーの葬儀の場面から始まります。本当にバニーが亡くなってしまったのか?それともカモフラージュなのか?。引きの強いオープニングです。
そこから時間が引き戻されて、何故バニーの葬儀に至ったのかが解明されて行きます。
バニー、ブリジット、ポールの主役3人に加えて、登場する人物のキャラクタリゼーションが、素晴らしいと思います。とにかくアクの強い登場人物の目白押しです。作者の面目躍如と言った所でしょうし、それだけで楽しめます。コミカルさだけでなく、風刺が効いていたり、登場人物が、それぞれの正義を貫く所も好きなポイントです。
☆4.5 -
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ネタバレ2025年の18冊目は、クイーム・マクドネルの「悪人すぎて憎めない」です。「平凡すぎて殺される」に始まるシリーズの前日譚、主人公は若き日のバニー・マガリー刑事になります。個人的にもアノラックは大好きです。結論から言うと、これが一番好きです。いつもの良さに加えて、ハードボイルド的要素(解説ではノワールと言及されています)も加わり、ネオ・ハードボイルド、ネオ・ノワールの良作に仕上がっていると思います。強いて言うならば、最後、全てが読者が想像する方へと収斂して行く様子が、予定調和的と捉えられる事かもしれません。決して、嫌いな訳では有りません。驚きが欲しいだけです。
舞台は、1999年のアイルランド、ダブリン。連続して起きている武装強盗団による事件の顛末を軸に主人公バニーと相棒グリンゴの活躍!?、バニーとシモーンの恋の行方が時に可笑しく、時にシリアスに描かれて行きます。バニーと尼僧達、バニーとパーリングチームのメンバーとのやり取りも良い味を出していると思います。
☆4.6相変わらず、原題が素晴らしい。 -
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寝たきり状態の老人に人違いで襲撃されたがために、命を狙われるハメになった主人公の逃亡と真実の追求への顛末を描いた物語。だんだん「こういう文章か」というクセに慣れたら、個性あるキャラクタにも愛着がわいてそれなりに楽しめました。
ただ万人向けかというとどうでしょう…。(アイルランド)ローカルネタ多めなユーモア、映像畑出身だからか目で見て想像できるように比喩や装飾性を多めに描いたキャラクタの外見や行動など、結構な独特のクセがあり、それがそのまま文章量の多さにつながってもいるので、「逃亡劇」のわりにはさほどのスピード感を感じられなかったように思えました。
ただ主人公と看護師の、厳しい現実と立ち向かいながら自分たちなりに前を向いて頑張っているそれぞれのキャラクタ性や、彼の幼なじみの粗暴な警官や訪問先の老女など、知人たちにもいとおしい魅力を感じたので、また違うお話で出会ってみたいな、とは私は思いました。 -
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翻訳までされる海外のユーモア・ミステリーは、たいてい外れがない。しかも本書は翻訳者が原書で読んで、いたく気に入ったための持ち込み企画作品だそうだ。さればこそと読者側からの期待値も込めてしまう。無論ただものではないはずだ、と。
しかし出だしを読んでゆくにつれ、少し後悔の念が。ぼくの場合、食べ合わせがよくなかったのかもしれない。ルースルンドの『三日間の隔絶』、ウィンズロウの『業火の市』といった超ド級のシリアス・アクション大作ニ作の読後だったので、この本を読み始めた途端、思わず膝が砕けそうになった。そこら辺にいる人たち皆にこの本を読ませたら、吉本興業の公演のお笑い芸人たちみたいにどどどっと、倒れちゃうんじゃないだろうか。それも何度も。
タイトルから既に気が付くべきだった。何しろ『平凡すぎて殺される』だもの。帯には「このミステリ面白すぎる!!」とうたい文句。面白いとは、そういう方向の(つまりユーモアの)面白さだったのか。やられた! そう、本書はミステリーの内容を持ったユーモア小説である。
主人公は特に何のとりえもない地味ぃ~な青年。無職なので日銭を得るために病院でして老人患者たちの介護をしているというどうも頼りない男なのだが、いきなり事件が起こる。死にかけた老人にナイフで襲われ怪我を負ってしまうのだ。老人は実はやくざの親玉で、彼を襲った直後に死んでしまう。と同時に主人公は命を狙われ始め、行動も口も達者な看護婦がそれを救い出す。老人の正体は誰だったのか? これが本書を貫く謎の肝となる。
ぼくの場合前半は、登場人物が次々増えてくる様子や、小さなギャグのために割かれるページが多いことに、しばしの間慣れることができなくて、実は苦労したのだが、徐々にこの作品の持ち味としてのユーモアに馴染みができて頭に入ってくるようになってからは、急速にページがめくられてゆくようになった。そう、本書は笑って面白く読まなければいけなかったんだ。「このミステリ面白すぎる!!」なんだから、とこの辺りでようやく気づいたわけなのさ。
逆にそうなると後半部で、練りに練られた仕掛けや錯綜した人間関係図、それらを整理してゆく二人の素人探偵と、彼らを助ける定年間際の刑事、との主役トリオの役割や、敵・味方・脇役のそれぞれの人間関係が明らかになってゆくとともに、面白さと比例して読書速度は一気にスピードアップした。
巧い仕掛けに満ちたミステリーだな、と読後感はすっきり。アイルランド作家によるダブリンを舞台にしたミステリーで、作者がTVの放送作家かつコメディアン出身という裏事情も興味深い。同じアイリッシュ作家でも、IRA健在の時期の危険極まりないキャリックファーガスという北アイルランドの田舎町を描き続けているエイドリアン・マッキンティとの毛色の違いは甚だしい。読み比べても意味がないだろうし。
本作はシリーズ化されているそうである。二作目も出るなら読もうかどうか迷ってしまいそうだが、この主人公の今後も気になる。そう。シリーズに甘い読者なのだよ、ぼくは。 -
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28歳のポールの特徴は“平凡すぎる”顔だ。病院を慰問し、彼を自分の身内と思いこんだ老人たちを癒す日々を送っている。ある日、末期ガンの老人を見舞うと、錯乱した彼に誰かと間違えられてナイフで刺されてしまう。その患者は悪名高い犯罪者で、ある有名な誘拐事件の関係者だった。警察に衝撃が走る一方、ポールはさらに爆弾で命を狙われた。身を守るには逃げながら誘拐事件の真相を探るしかない。巧みな構成が光るノンストップ・ミステリ!
アイルランドつながりで、新刊本を読んでみた。つかみはOKだが、後半ややとっ散らかった感じ。映画がらみの言及が楽しい。スティーブン・セガール・マラソン、最高です。