平尾昌宏のレビュー一覧
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タイトルの「人生はゲームなのだろうか?」という問いを出発点として、哲学のやり方をなぞっていく本です。
本書の構成はパートⅠ~Ⅳに分かれます。
パートⅠ:「ゲーム」の分析(必要条件の検討)とその条件への「人生」の当てはめ
パートⅡ:「ゲーム」の分析のブラッシュアップ(十分条件の検討)
パートⅢ:「人生」の分析
パートⅣ:不確定で見通せない「人生」をどう変えるか(宗教、金、教育、恋愛)
タイトルの問いに対する答えはパートⅠで一応出ます。
ただし、内容的なテーマとしては、「ゲーム」よりも「人生」の問題の方に重心があります。
また、別角度から言うと、本書を読むことで、哲学のやり方を読者に体験させる -
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本書はまさにタイトルのとおり、「人生はゲームなのだろうか」という問いに答えていく作品である。
問いに対して前提を立てて整理したり、問いの要素を別の要素に変えた時に新たにわかることをきっかけに見解が深まっていく様子が読んでいて非常に楽しいし、議論の過程でなんとなく感じるモヤモヤが言語化されていくのは快感だった。
また、案外意見の影に隠れた前提が潜んでいるということも改めて学ぶことができた。
タイムリーなことに私は直前にちきりんさんの「自分の意見で生きていこう」を読んでいた。
それと絡めると本書では根拠や理由のない意見には意味がないともっともな指摘がされており、より強固な意見にするための思 -
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立命館大学などで教える思想史・倫理学研究者の平尾昌弘による口語体の新書。著者の専門はスピノザやシェリングや贈与論とのことだが、『なぜ論文を〈です・ます〉で書いてはならないのか : 日本語からの哲学』といった論文や、本書『人生はゲームなのだろうか?』のような身の回りの疑問に答えるような著作も多く持っているようだ。本書の内容は、「人生はゲームか」という問いに対し、哲学的に答えを出していく道筋を読者にデモンストレーションするものである。つまり、①ゲームとは何かの定義付け、②人生はゲームの定義に当てはまるかの検討、③様々な反論に答えながら定義を修正、④前段のステップを踏むことで本論とは関係ないところで
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哲学とはそもそも何か。
思想家の考え方を学び、分類するのが哲学ではない。哲学とは、自分で考え「続ける」ことなのだ。
その題材として、取り上げられているのが、「人生とはゲームか?」というものであり、本書では、そのテーマに対して、一冊まるごと取り組む、という意味で面白い。
では、「人生はゲームなのか」と問われたときに、まずは単語を分解しなければならない。
私たちは、普段、言葉を無意識のうちに使っているけれども、こうした命題に対しては、そもそもの定義が曖昧だと、それに対する答えというものは大きく変わってしまう。ゲームがいわゆる「テレビゲーム」なのか、それともスポーツで言うところの「ゲーム」なの -
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ネオ高等遊民さんのYouTube(5000円5冊で始める哲学入門)で紹介されていたので読んでみた一冊(5冊紹介されていたので、一冊目)。
哲学書はあまり読んだことが無かったのですが、予想通り一冊を通じて考え続ける内容でした。タイトルになってる事を考えていく内容なのですが、深く、広く物事をみていく、考えて行くもので、普段使わない頭を使います。
ゲームとは何かの条件定義し、人生にそれを当てはめて終わりではなく、その他の事柄にも当てはめる、その過程で条件を再考する、といった流れで書かれています。読みやすくはありますが、少し流すとわからなくなります。 -
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本書は「人生とは何か?」という基本的だが普段あまり考えない問いについて、人生をゲームにたとえ、考察することを提案している。
各問に対する自分の考えは下記の通り。
人生とは何か?という問いに明確に回答できる人は少ないと思う。自分もそう。何から考えていけば分からず、思考停止してしまう。ただ、ゲームに置き換えれば、とっつきやすくなる。
人生というゲームのルールはなにか?
→与えられた身体、仕事、お金でどれだけ自分、そして他人を幸せにできるというゲーム。きっと法律的に禁止されていることはあるが、それも時と場合によるだろう。このルールは人によって違うもの。そしてそのことすら考えずに生きている人の方が多 -
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もしあなたがこの本のキャッチコピーを書くとしたらなんと書く?(質問はアプリのガイドによるものです。)
「本当に人間関係について知りたい人だけ読んでください」
ベタかもしれないけど、私にはこのキャッチコピーが一番しっくりきています。
人間関係に悩んでいる人やあるいはこれからの人間関係をどうするか考えたい人がそのヒントをもらう本ではありません。
でも論理的かつ哲学的に人間関係を読み解いていくことで自身の人間関係の問題点や解決法につながる可能性はあります。
印象的なのは何度も何度も前提を覆すような記述をし、元も子もないようなことまで丁寧に書かれていることです。
少々読むのに疲れた部分もありまし -
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友達、親子、カップル、師弟……、そういった人間関係が、何によって成り立っているのかを原理的に考える本。「こうすると友達関係はうまくいく」とか、「現代の親子関係はこんな風になっている」とか分かりやすい答えを示してくれるわけではない。そもそも、自分の身の周りに人間関係は、どうなっていて、どうして上手くいったり、いかなかったりしているのだろうか? それを考えるための道具をくれる本である。
内容もそうだけれども、本当にこれは言い切っていいのかなあ……、でもここの部分は間違いないなあ、という迷いのある文体に、すごく親近感が湧いた。
議論の組み立て方は、とても哲学的。そもそも、人間には、「個人」「社会」