窪田啓作のレビュー一覧

  • 異邦人(新潮文庫)

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    ここ連日暑い日が続いていて、だからなのかこの作品の世界観、主人公彼の世界観がめちゃくちゃリアルに感じて、ひょっとしたら自分がその世界にいたら同じような感じとなるかもなと思ってしまった。 読み始めた当初は、太宰治の人間失格っぽいなーと普段の生活では表さないけれど、頭の中で感じてることまんま文章にしてるのがすごいなあという感想だったのですが、前半中盤ときて、後半、まさかこの作品法廷で争う場面があるとはまったく想定外で、さらに内面に向き合う感。アラフィフ世代のリアルは時代感関係ないのかもしれない。

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    2025年07月12日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    不条理をテーマとした純文学作品。
    カミュは、不条理を「人間の理性的な要求と、理性的には理解不能な世界の間の乖離」と定義した。
    ムルソーの行動に意味を求める人々と相容れぬムルソー、カミュの扱う不条理を深耕するには他の著書や彼の辿った人生を訪ねなくてはならないだろう。

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    2025年06月27日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    冒頭「今日、ママンが死んだ。」が有名すぎて、逆に読んだ気になっていた一冊。実家のトイレに置いてあり、薄いので読もうとしてみたことは何度もあるが、当時はいい歳をしてクールぶった男の「ママン」呼びにウケてしまって、まったく先に進めなかったのを覚えている。
    まさに「異邦人」と呼ばれてしかるべき特異性を持った主人公と、そのまわりの人々との生活が描かれており、よほどサメた性格の人間でなければ「新鮮である」と感じられるだろうし、私としてもとても面白かったのだが、エンタメとして見たときに、主人公が恋に落ちたり、会話をしたり、人を殺したりと盛り上がる場面で、さあここから盛り上がりのテッペンへ行くぞ!とこちらが

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    2025年06月18日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    主人公が今まで出会ったことのないキャラ性だった
    自分の未来に不利益が生じようとも、表面の現象よりも内省への興味が強く、衝動的な生き方

    親近感を覚えるところも多く、
    また一般的な感覚がかなり欠けており、かといってはちゃめちゃでない辺り、魅力的なキャラに感じた
    印象的なのは、他人評価に興味ないであろうに、
    レエモンとのレベルの低いDV話を楽しんでいるわけでもないのに拒否するでもなく、わざわざ手紙を書くところ


    『それは私が不幸のとびらをたたいた、4つの短い音にも似ていた。』

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    2025年06月01日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    法や宗教に依拠しない真実の人を描いているんだろうか。
    「しない理由がないからする」、「あれはしないが別のことはする」といったような、いろんなものを否定し続けた先にある動機と、積極性はなくとも虚無に陥らないムルソーの姿は危うく、一貫性がなく、なぜか魅力がある。
    もとより人が理屈で説明しきれるものでもない、まったくの不幸にもなりきれないという、逆説の希望も見いだせる。
    読み切れない部分が大半だが面白い。

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    2025年05月27日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    この作品の何が不条理なんだ…あ、この世界かと思いながらの読書でした。
    ムルソーではなく、彼を取り巻く世間のほうが不条理なんだなぁと…この人は「全ての事柄に抵抗しない」のかな。自分の行動に嘘つかないし、諦めも早いし。。。

    殺人は法に反するから、罪を償わねばなりません。
    でも、「母親の葬式で涙を流さない」や「神はいない」で重罪人みたいに言われるのは違うのでは…と。
    キリスト教、それもカトリックの観念が強い世界で、「すべては虚妄」とかいう仏教みたいなこと言ってたらそりゃ“異邦人”として異物扱いされてしまうよな、と思います。

    裏表紙とか、紹介でよくあるあらすじで、読む前は「その辺の人を“誰でもよか

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    2025年05月26日
  • 転落・追放と王国(新潮文庫)

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    客 が一番すき。
    伝わらない善意、それがどこまで行っても善意でありそれもまた、示し合わせの上にあるということ、そして人間はどこまで行っても人間で、その暴力性や理解しがたさも、’人間'という言葉でひとくくりに、理解しえてしまうこと多義性というよりも、その環境下であらゆるかたちに変化?順応?していく生き物としてのうーん、ずる賢さ?狡猾さ?を、それと意識せず体得している それを上から眺める(便宜上この言葉で表現します)箱庭感、というのか、心情がビシビシに伝わってくる劇、お芝居、舞台をみているようだ

    涙するまで生きるも観た。アンサーと、願望がないまぜになった映画。わたしはとても好き.
    やる

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    2023年04月10日
  • 転落・追放と王国(新潮文庫)

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    ネタバレ

    転落とその他短編がいくつか載っているが、転落のみを読む。多分読むのは二回目。

    上流階級にいた人が、人生のむなしさを感じ、自らの意思で浮浪者のような暮らしをする。というのがそもそもの粗筋かな。

    粗筋からして低俗な感じは受けるが、結局それがカミュの魅力なのかもしれない。
    カミュの場合は、人間の暮らしに近いところを書いていて、人間とは何かとか正義とは何かとか、にはあんまり近寄らない。だからこそ、悩んでいるときや青春時代に読むと感動するのではないかと思った。

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    2022年05月21日
  • 転落・追放と王国(新潮文庫)

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    「わたしはあと何年残っているかを数えてみました。()そしてわたしには自分の義務をまっとうするだけの時間がないという考えに悩まされたんです。なんの義務かですって?分かりません。」
    「最後の審判を待つのはおやめなさい。それは毎日行われているんですから」
    カミュの場合、ジュネの場合を考えて、サルトルという人のことを考えてみたりする。サルトルの何を?わかりません。

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    2018年11月24日
  • 転落・追放と王国(新潮文庫)

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    酒飲んだ後に橋を渡るくだりのとこが好き。カミュは基本小難しいので、これくらい適度に断片的な方がいいでしょう。「異邦人」に感動したので、別テイストのこちらに触れられたのも良かったです。ポップ哲学に合掌!

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    2011年05月08日
  • 転落・追放と王国(新潮文庫)

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    中編『転落』と、六つの短編からなる『追放と王国』。
    転落:カミュの作品の中では異質な暗さ。じっとりとしたような。しかしそれでいてスッと入ってくるカミュの思想。
    追放と王国:舞台もそれぞれな話の中、様々な形で描かれている「追放」のさまと「王国」の姿。「王国」が現れるならそれでいい、というわけではもちろんないのだが、それを拠り所にして生に立ち向かうような力強さを感じる。

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    2010年06月06日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    難しかったです。何が描かれているのかはわかりましたが、なぜ、そうなるのかわからないところが多々ありました。

    なぜ、主人公が殺人を犯したのか、主人公が母親が亡くなった時に涙を見せなかったことが非道と捉えられるのか、時代背景や国の違いもあるのかもしれませんが、自然に受け止めることができません。

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    2025年11月15日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    カミュは1957年当時史上2番目の若さでノーベル文学賞を受賞したフランスの作家。本書『異邦人』はサルトルの『嘔吐』とともにフランス小説史上の傑作である。そんな世界的名著をたまたま家の本棚で見つけたので読んでみた。

    第一章は小説のストーリーとして面白くも可笑しくもない...それが第二章になるとがぜん読むスピードが上がる。人殺しをしたのは太陽のせい、斬首刑が言い渡されれ司祭に向かって、いま死のうが100年後に死のうがどこに違いがあるのかなどなど...この辺りがカミュが実在主義と言われた所以なのかな。

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    2025年10月06日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    自分の実力不足で半分も魅力を理解できなかったが、犯罪の重さが常識的感覚の有無に左右されるという不条理を描いているのだろうか。

    自分を貫くというか取り繕わない姿勢や、普段の主人公の感覚に違和感を覚えるなど、多様な感覚、価値観が得られるように思った。
    村田沙耶香さんの本を読んだ時の感覚に似ている。

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    2025年09月27日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    ネタバレ

    「きょう、ママンが死んだ」という有名な冒頭から始まる本作。主人公は友人のトラブルに巻き込まれて人を殺し、その動機を「太陽のせい」と答える。母を悼むこともなく、理解不能な態度のせいで死刑判決を受けてしまう。

    彼は社会的な「心の証明」や「物語化」に価値を置かず、ただ事実を受け入れる。
    母の死を悼まなくても、生前に交わした時間は揺るがない。殺人の動機が太陽であろうと憎しみであろうと、起きた事実に変わりはない。しかし、その答弁が冷徹で心が欠落した人物に映り、話の通じない異邦人のように見えてしまう。

    その思想が鮮やかに露わになるのが、ラスト近くの司祭との対峙。
    司祭に「心が盲いているから生を諦めてい

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    2025年09月07日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    主人公ムルソーは、現実世界に幸せを見出せていない(出来ない)人間のようです。宗教を信じておらず、無関心な感情が浮き彫りになっていますが、亡くなったママンに対する気持ちの複雑さが不条理を引き立てています。

    本人はなかなか難しい性格の人物。けど、愛しているから結婚しようと言ってくれる女性もいるのに何故?
    登場人物の全員があまり賢くはありません。事の成り行きを深く考えず、行動を起こしています。
    それでも、人間らしい感情に魅力を感じるのはフランス文学ならではかもしれません。

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    2025年08月11日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    主人公のムルソーが殺人を犯し、死刑に至るまでを描いた物語。

    「太陽のせい」というセリフで有名なアルベールカミュの作品。カミュは以前コロナ禍の間に「ペスト」を読んで地獄を味わったのですが、こちらはどんな話なのか全然知らなかったので挑戦してみた。文庫で150ページほどなのでいけるだろうと思ったけどやっぱり難解で飲み込むのに時間がかかった。

    ムルソーは淡々としていて何を考えているのかわからない男だなと思ったけど、よくよく読んでみると、罪の減免のために真実を捻じ曲げた証言をすることを良しとせず、最後まで神を拒み続け、一貫して自分の信念を貫いた人物だとわかった。弁護士や牧師からしたらムルソーは自分た

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    2025年06月20日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    この種の気味悪さというものは、人生をついてまわるものだと思っている。

    普通とは何か?という問いに類似する。

    誰しもが異常な人間であるにもかかわらず、体裁の良い普通という、虚構に生きている。

    はたまた、自分だけが本当に異常なのではないか、それを認めたくないだけではないかと思わせられることもある。

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    2025年06月15日
  • 異邦人(新潮文庫)

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    不条理•反抗をテーマにした作品
    主人公ムルソーの中での世界は美しいものであったことに変わりはないが、それがそれを受けいれない当たり前の世界に生きる人々には受け入れなかった。ムルソーが母を愛してないわけじゃない。マリイを大切にしてなかったわけじゃない。彼の世界、倫理観の中では全てを愛していたはずだった。

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    2025年05月24日
  • 転落・追放と王国(新潮文庫)

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    自分は本を読む際、物語そのものよりも作者の出生、血筋が気になって、この本も未知の何かを垣間見れたらなという動機である。爺ちゃんがフランスからアルジェリアに入植。母はスペイン系。そしてアルジェリアという国の様子はさあ、どうなの?と。本を読む限りはくっきりはわからん。オリエンタル、そして無国籍。北アフリカで海にも面していて、高地では雪も降るらしく、砂漠の表記もある。自分は「北風と太陽」の話に惹かれるが、あの本のように人間以外の目線で描かれているような、なんかそういう神々しいものがあるような。

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    2019年10月17日