窪田啓作のレビュー一覧
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ネタバレ冒頭「今日、ママンが死んだ。」が有名すぎて、逆に読んだ気になっていた一冊。実家のトイレに置いてあり、薄いので読もうとしてみたことは何度もあるが、当時はいい歳をしてクールぶった男の「ママン」呼びにウケてしまって、まったく先に進めなかったのを覚えている。
まさに「異邦人」と呼ばれてしかるべき特異性を持った主人公と、そのまわりの人々との生活が描かれており、よほどサメた性格の人間でなければ「新鮮である」と感じられるだろうし、私としてもとても面白かったのだが、エンタメとして見たときに、主人公が恋に落ちたり、会話をしたり、人を殺したりと盛り上がる場面で、さあここから盛り上がりのテッペンへ行くぞ!とこちらが -
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この作品の何が不条理なんだ…あ、この世界かと思いながらの読書でした。
ムルソーではなく、彼を取り巻く世間のほうが不条理なんだなぁと…この人は「全ての事柄に抵抗しない」のかな。自分の行動に嘘つかないし、諦めも早いし。。。
殺人は法に反するから、罪を償わねばなりません。
でも、「母親の葬式で涙を流さない」や「神はいない」で重罪人みたいに言われるのは違うのでは…と。
キリスト教、それもカトリックの観念が強い世界で、「すべては虚妄」とかいう仏教みたいなこと言ってたらそりゃ“異邦人”として異物扱いされてしまうよな、と思います。
裏表紙とか、紹介でよくあるあらすじで、読む前は「その辺の人を“誰でもよか -
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客 が一番すき。
伝わらない善意、それがどこまで行っても善意でありそれもまた、示し合わせの上にあるということ、そして人間はどこまで行っても人間で、その暴力性や理解しがたさも、’人間'という言葉でひとくくりに、理解しえてしまうこと多義性というよりも、その環境下であらゆるかたちに変化?順応?していく生き物としてのうーん、ずる賢さ?狡猾さ?を、それと意識せず体得している それを上から眺める(便宜上この言葉で表現します)箱庭感、というのか、心情がビシビシに伝わってくる劇、お芝居、舞台をみているようだ
涙するまで生きるも観た。アンサーと、願望がないまぜになった映画。わたしはとても好き.
やる -
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ネタバレ「きょう、ママンが死んだ」という有名な冒頭から始まる本作。主人公は友人のトラブルに巻き込まれて人を殺し、その動機を「太陽のせい」と答える。母を悼むこともなく、理解不能な態度のせいで死刑判決を受けてしまう。
彼は社会的な「心の証明」や「物語化」に価値を置かず、ただ事実を受け入れる。
母の死を悼まなくても、生前に交わした時間は揺るがない。殺人の動機が太陽であろうと憎しみであろうと、起きた事実に変わりはない。しかし、その答弁が冷徹で心が欠落した人物に映り、話の通じない異邦人のように見えてしまう。
その思想が鮮やかに露わになるのが、ラスト近くの司祭との対峙。
司祭に「心が盲いているから生を諦めてい -
Posted by ブクログ
主人公のムルソーが殺人を犯し、死刑に至るまでを描いた物語。
「太陽のせい」というセリフで有名なアルベールカミュの作品。カミュは以前コロナ禍の間に「ペスト」を読んで地獄を味わったのですが、こちらはどんな話なのか全然知らなかったので挑戦してみた。文庫で150ページほどなのでいけるだろうと思ったけどやっぱり難解で飲み込むのに時間がかかった。
ムルソーは淡々としていて何を考えているのかわからない男だなと思ったけど、よくよく読んでみると、罪の減免のために真実を捻じ曲げた証言をすることを良しとせず、最後まで神を拒み続け、一貫して自分の信念を貫いた人物だとわかった。弁護士や牧師からしたらムルソーは自分た