【感想・ネタバレ】異邦人(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

母の死の翌日海水浴に行き、女と関係を結び、映画をみて笑いころげ、友人の女出入りに関係して人を殺害し、動機について「太陽のせい」と答える。判決は死刑であったが、自分は幸福であると確信し、処刑の日に大勢の見物人が憎悪の叫びをあげて迎えてくれることだけを望む。通常の論理的な一貫性が失われている男ムルソーを主人公に、理性や人間性の不合理を追求したカミュの代表作。(解説・白井浩司)

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Posted by ブクログ

これが「異邦人」か。ムルソーが不条理な人物なのだろうか、不条理な男が不条理な殺人を犯した話なのだろうか。生まれたら死ぬのが宿命だ、それを人為的に行うのが不条理なのだろうか。
44歳でノーベル文学賞を受け、当時活躍中のサルトルと並んでさまざまな見地から評される作品を書いた。
「実存主義に沿った作品かそうでないのか」当時、難しいサルトルの哲学をあてはめてよいやら悪いやら、という風潮もなかったとは言えないが、カミュとして、彼の作品はそういったサルトルの思想とは関係ないと断じている。

裁判に入り、ムルソーに対する裁判長の言葉はあながち間違っているわけではない。冒頭の「きょう、ママンが死んだ」にしても、母親がなくなっても悲しみもなく、年齢も知らず、柩を開けて顔を見るでもなく煙草を吸っていた。次の日友達の友達が持っている海岸の別荘に行き、真夏の海で泳ぎ、酒を飲み、女を抱き、砂浜でアラビア人ともめ、いったん引き挙げた後、戻ってまず一発、続いて四発の弾を撃って殺した。検事もそう述べた。

結果はそうであってもポケットに拳銃を入れたのは友人で、銃を持つことに他意はなかった。引き返したのではなくて海岸を歩いていて石の陰で寝ていたアラビア人を見つけた、近づくとナイフで襲って来た。暑かった、汗が瞼の上から流れてきた。アラビア人のナイフに太陽が反射して光った。
ムルソーはその時を回想しても、ただその時の暑さと、すべてがゆらゆらして沈黙が破れたことだけが思い返される。
拳銃の音は不幸の扉をたたいた四つの短い音にも似ていたとも。

その風景は裁判では伝わらなかった、弁護人は正しく弁護したにもかかわらず。彼の日常は平凡とは言えないと裁判所は判断した。彼に身近な人たちの証言も、彼の堅実な勤めぶりも聞き流された。パリ支店への昇格を断ったことの方が不審がられていたし、母親を養老院に入れて一度も会いに行ってなかったことも周りからあまりよく思われていなかった。

あとがきから
のちの作品『裏と表』で「彼らは五人で暮らしていた。祖母と、下の息子と、上の娘、その娘の二人の子供である。息子は啞に近く、娘は病身で何も考えることができなかった。ふたりの子供のうち一人は、既に保険会社で働いており、二番目のは学業を続けていた。七十になってはいたが、祖母はまだこの一家を支配していた。」とカミュは自身の家族を書いている。

しかしカミュ一家は慎み深く暮らし、彼は窮乏の中にいてもアフリカの海と太陽の光を受けて自然の中で成長した。幼い頃から優秀だった。
恩師にも恵まれ教育を受けることができた。

「異邦人」の主人公ムルソーはなぜか律儀な暮らしの背後にどこか説明のつかない現実との距離感がある。カミュはこんな主人公をなぜ作りだしたのだろう。
裁判の最中でもあまりの審理の長さに退屈して、アイスクリーム売りのラッパの音から、外の世界を思ったり、早く房に帰りたいなどと考えている。
ムルソーは上訴を棄却する、「人は死ぬ。三十歳で死のうが七十歳で死のうが、大した違いはない。いつであろうと死ぬのは私だ。死ぬときのことを、いつとか、いかにしてというのは意味がない。それは明白なことだ。
司祭の話にしても興味がない。
助けてもらいたくなかったし、また私に興味のないことに興味を持つというような時間がなかった。」と考えている。

最後に書かれている司祭とムルソーの問答でも、理解されないもどかしさにムルソーが怒り、憤怒の言葉を吐き続ける。
そして死んでしまったけれど、かえって生き返ったようなママンの生涯を思う。
人は環境に育てられる部分が多い。
彼は自由に生きたと思っていたようだが、あるいはカミュの育った究極の貧困を抱えた歪な家族の中で得ていた自由は、心の奥底には、自分のいる場所が現実と乖離するような部分を持つ、今でいうコミュニティー障害の種を抱えていたのではないだろうか。
カミュとムルソーを重ねてはいけないだろうが。

第二部の最終部分、彼は解き放たれた、多くの群衆の憎悪の中で生きて死ぬという、人の持つ宿命との連帯感が幸せだったのか。読み終えて何かもの悲しい不幸な作品だと感じた。

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2026年02月08日

Posted by ブクログ

最近、太陽の光が思考を狂わせる国に引っ越したので、「太陽の国で異邦人になった今こそ、カミュの異邦人を読むべきでは?」と思い読み始めた。

主人公の
「太陽が暑かったから」。

わかるぞ。アルジェリアは行ったことはないけど、大学生の時隣のチュニジアに行ってアルジェリアとの国境まで行ってみたことがある。
暑すぎておかしくなりそうだった。
海が美しかった。

不条理文学の主人公の敵はやはり神父さんなんでしょうか。
このメタ的な展開はもしかしてこの小説が始めたの?

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2026年01月28日

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ネタバレ

マリイに愛しているかどうか二度聞かれて二度愛してないと正直に答えるのが一貫してて良い。ここでムルソーがどういう人物かある程度掴めた。その変わっている彼をまとめて理解し、結婚を申し出たマリイは素敵な人だと思った。

死刑が確定する前と後で、泣きたいという気持ちにさせた私への憎しみが孤独を感じさせないための望みになっているのはすごく自然な流れだと思った。

最後のムルソーの叫びは胸に刺さるものがあった。特に「私はこのように生きたが、また別な風にも生きられるだろう。私はこれをして、あれをしなかった。こんなことはしなかったが、別なことはした。そして、その後は?私はまるで、あの瞬間、自分の正当さを証明されるあの夜明けを、ずうっと待ち続けていたようだった。」「このしるしと星々とに満ちた夜を前にして、私ははじめて、世界の優しい無関心に、心をひらいた。」という文章が好き

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2026年01月21日

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ネタバレ

私とでは時代も国も違うから理解の及ばない事柄もあったけど、ムルソーはあそこまで責められなければならなかったのかは疑問です。ムルソーもムルソーで困ったヤツなのだけど。
とても人間臭い物語で、短いながらも読みごたえ抜群でした。
じりじりと容赦なく照り付ける夏の太陽はとても理不尽で、猛暑のたびにこの作品を思い出しそうです。

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2026年01月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1. 象徴的なキーワード:「理由のなさ」と「界隈」
• 「理由がない」ことの衝撃: 世の中や裁判所は「原因と結果」のロジックを求めるが、ムルソーの行動にはそれがない。殺人の動機さえ「太陽のせい」という身体的感覚のみ。この「理由のなさ」こそが、世界の不条理そのものを象徴している。
• 「界隈」というノリへの違和感: 養老院、裁判所、あるいは友人たちのコミュニティ。それぞれの「界隈」が持つ独自のルールや正解に馴染めないムルソーの浮遊感は、現代社会における孤独やシステムへの違和感と重なる。
2. 死生観:希望を捨てた先にある確信
• 司祭との対峙: 「希望を持たず、完全に死ぬと考えて生きているのか」という問いに対し、震えることなく「そうです」と答えるムルソー。不確かな「救い」という仮説を排除し、死という「絶対的な確定値」だけを直視する潔さが、理系的な誠実さとして響く。
• 極限状態の等価性: 死というリミット(極限)の前では、どのような生き方(変数)を選んでも、最終的な解は同じであるというニヒリズムに近い境地。
3. 言葉への誠実さ:愛と意味の剥離
• マリイへの回答: 「愛しているか」という問いに「たぶん愛していない」「それは何の意味もないことだ」と答える。言葉を感情の装飾として使わず、事実を記述する「記号」としてのみ扱う。
• 意味の拒絶: 世間が「愛」や「悲しみ」というラベルを貼って安心しようとする中で、ムルソーだけはラベルのない「生のデータ(感覚)」をそのまま生きようとした。
4. 脇役たちが照らす「人間らしさ」
• サラマノ老人と犬: 罵り合いながらも犬を失って泣き崩れる老人の姿は、執着の中に生きる一般的な人間像を象徴している。母の死に泣かなかったムルソーとの対比によって、「人間らしさの定義」が揺さぶられる。
5. 結論:最後の叫びと世界の受容
• 最後の爆発: 物語終盤の激しい叫びは、自分の「無意味な人生」を他者に否定させないための尊厳の表明。
• 優しい無関心: すべてを吐き出した後に訪れる、世界との和解。世界が自分に無関心である(意味を押し付けてこない)からこそ、自分は自由であり、幸福であるという逆説的な結末。

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2026年01月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ムルソーにかなり深く共感できた。全てを読み取れた気はしないので私の一方的な考えだが、自分の人生が感情に深く入ってこない感覚。
例えばムルソーは母の葬式で母の顔を見ようともしなかったが、死なない方が良かったと述べている。
周りのあれこれはこの小説の本質ではないと思う。ムルソー自身も彼の人生に対し執着していなかったし、むしろ彼にとって人生はただそこにあるものでしかなかったから。
しかし最後にムルソーが自分が正しいと確信し、弁護士や牧師に対し考えを誤魔化さなかった姿勢から、彼の自分自身への忠実さを感じた。

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2026年01月01日

匿名

購入済み

カミュの代表作を読めて良かった。ムルソーと同じことがいつ誰に起こるか分からないことを改めて思い知った。

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2025年12月13日

Posted by ブクログ

読み出してすぐに不安定さを感じる。それは別に冒頭でママンが亡くなったことから話が始まるからではなく、その周辺を淡々と描写していくムルソーの一人称がそう思わせたんだと思う。判決まではどこか他人事のような一人称だけれど、判決後はある種の興奮状態のように思考が鋭くなっていく。判決がでるまで、愛するママンが亡くなったことを受け入れられず、ずっと彷徨っていたのかもしれない。

ムルソーの人間性は、証人尋問が終わったあとに彼が捉えた街の様子にあるんじゃないかなと思って思わず涙が出てしまった。
ママンのこともマリイのことも絶対大好きだったよね。言葉で表現されなくても伝わってきたよ。愛する表現が一般的な人と違うだけなんじゃないか。それをも込みの『異邦人』なのかな。
また読みたい。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

素晴らしかった。
最初の方は何も事件も起こらずつまらなかったけれど。
母親の葬儀で涙を流さない人間は、すべてこの社会で死刑を宣告される恐れがある、という意味は、お芝居をしないと、彼が暮らす社会では、異邦人として扱われるほかはないということである。
解説より。
主人公は、こんな世界でも嘘をつかずに生きた。
その結果、死刑判決を下された。
私はどう生きたらいいんだろうと考えさせられた。
嘘をうまくつく人たちが普通の人で、嘘をつかないASD の人が宇宙人と呼ばれるのにも似ているなとか思った。

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2025年12月05日

Posted by ブクログ

4.5/5.0

ひたすらムルソーの内省が描かれている小説なのに、全くムルソーの「心」が見えない。
ハードボイルドで、ある種ロボットのような主人公は、何を思い、人を殺し、その理由を「太陽のせい」だと答えたのか。
ただ、この上手く言えない、自分でもよく分からない感じが凄く人間の本質を突いているように感じた。
そして、翻訳の文体がめちゃくちゃかっこいい。(なるほど、中村文則さんの文章は完全にここがルーツだったのか!)

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2025年05月10日

Posted by ブクログ

すごい小説だった。
カミュの処女作。

文章が非常に読みにくいのが、単純にそういう文章なのか、
主人公の分裂した思考を表現しているのか気になる。

後者だったらびっくりする。

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2026年02月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ムルソーと自分には似ているところがあるような、ないような…
読み終えたあとも、ムルソーはどんな人間なのか?とページをめくりながらぐるぐる考える。

ママンの埋葬のときの看護婦の言葉を聞き、「逃げ道はないのだ。」と思い、その言葉を獄中でも思い出す。これがムルソーの人生の捉え方なのかな、だから、自分の周辺で起きたらことや自分が起こしてしまったことを淡々と受け入れていて、無関心や無感動な人間に思えるんだろうか。

カミュを読むのが初めてというのもあってか、とても難しかった…
他の作品も読んでみたい。

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2026年01月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読後感はあるが、釈然としない。表現は好きだが、何が言いたかったのかうまく掴めなかった。しかし文章からとんでもないパワーを感じた。
主人公が母を養老院に入れ、年齢を知らず、死に際し涙を流さなかったがために、不本意な殺人事件で死刑になってしまう裁判の不公平性と死刑の確実性を痛烈に批判していることは分かったが、なぜ殺害理由を太陽のせいにし、多くの人に憎悪を持って見送られたいと思ったのかその本意を掴み取ることができなかった。もう一回ゆっくり読みましょう

1日経って2回目読んだ。
やはり終盤のムルソーの言葉のパワーは凄まじい。検事の身勝手な推測で理不尽に死刑にされ、人の生に対して何かを悟り、一貫して自分のことを達観して主体性を持っていなかった主人公が感情を爆発させる。しかし、太陽は何のメタファーだったのだろう、なぜ何人もママンのことを泣く権利はないのだろう、なぜ、残された望みは処刑の日に大勢の見物人が集まり、憎悪の叫びをあげて欲しいのだろう。
なんとなくは分かるが、はっきりとは掴めない。うーんもどかしい。解説読みます。
解説なるほどすぎる。内田樹先生が古典は曖昧なところが多いと「先生はえらい」にて語っていたが、カミュもその定義でいくと間違いなく古典。研究者の解説を読んでもまだ突っ込めそうなところがある。面白い。

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2026年01月04日

Posted by ブクログ

人間誰しもが主人公のような所があるんじゃ無いかな。
倫理、ルール、道徳、宗教、空気感で役割を無意識に演じてるけどピュアな人間って主人公みたいな思考をするのでは無いかな。そのせいで見えてるものが見えなくなってる気がする。
彼女に愛してるかって聞かれて愛してないと思うと答えるシーンがすごく印象的だった。自分の感情に嘘偽りが無いんだなぁと。自分だったら反射で愛してるって答えちゃうなぁ笑

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

めっちゃすきだった。うむむ。こーゆーことってあるよね
すべての行動に意味があるわけじゃないんだよね
言う必要ないことは言わない、これは人らしくないけど人らしいんだよな

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

結構よかった
太陽が常に眩しいような日常が穏やかでいい。

死を前にして「ありとある親しい物音を味わう」
自分目に見えるものをもっと大事にしたい

23歳で「世界をのぞむ家」に住む

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

主人公ムルソーは自分の母親の死についても無関心
母親の年齢すら知らず、ガールフレンドとの結婚についても「どうでもいい」と言う
友人から言われるがままに行動したり、全く主体性がない。

彼はこの世界からの異邦人であり、虚無的でその自覚すらない。

ある日浜辺でアラビア人を撃ち殺し、裁判にかけられる
の法廷を持って初めて世界からの疎外感が芽生えるのである。
そして下された判決は死刑

なんとも皮肉だが「死の到来」をもって初めて「生」を実感し、
またこの世界との繋がりを感じ始めたのである。

前半部は淡々と綴られる情景描写が多いが、非常にシネマティックなシーンがある。

ガールフレンドに取り残され、朝を迎えたシーン「ベッドに彼女の髪の毛が残した塩の香りを求めた」 がとても美しい。

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2025年11月20日

Posted by ブクログ

不条理=世間が道理としている論理が通らない
と言う意味で使われるので、ここでは
世の中の道理としている人間らしさがムルソーに通じない、という意味に見える。
が、そこではなくてこの本の不条理とはちょっと違う意味で、
世の中の当たり前とか道理とされてるものが、そもそもそんなに意味を求めても仕方ない=不条
と言うふうに捉えた方がいいと思った。

そう解釈すると、ムルソーに問われる
なんで悲しまない?なんで殺した?そんなような問いに人間らしい答えが出てこないのは
そもそも別におかしいことじゃない
意味を求めること自体が無意味
というメッセージに捉えられるのかな
と思った。

まぁただあんな男を生かしておいたら人間社会がある意味壊れると言うふうにも捉えられるからそこは別問題なのかもしれないけど。

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2025年11月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

裏表紙に書いてあるあらすじでネタバレを喰らった。
しかし、あらすじを読んだ時と物語を読み終わった時とでは、主人公の印象がだいぶ変わった。最初にあらすじを読んで良かったと思った。あえてネタバレしているのかもしれない。
あらすじだけ読むと、主人公がすごく冷酷な人間に思えるが、本編を読むと彼が嘘をつかないまっすぐな人間だとわかる。彼の自分に対しても他人に対しても嘘をつかないところを少し見習いたい。

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2025年11月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭「今日、ママンが死んだ。」が有名すぎて、逆に読んだ気になっていた一冊。実家のトイレに置いてあり、薄いので読もうとしてみたことは何度もあるが、当時はいい歳をしてクールぶった男の「ママン」呼びにウケてしまって、まったく先に進めなかったのを覚えている。
まさに「異邦人」と呼ばれてしかるべき特異性を持った主人公と、そのまわりの人々との生活が描かれており、よほど冷めた性格の人間でなければ「新鮮である」と感じられるだろうし、私としてもとても面白かったのだが、エンタメとして見たときに、主人公が恋に落ちたり、会話をしたり、人を殺したりと盛り上がる場面で、さあここから盛り上がりのテッペンへ行くぞ!とこちらがワクワク思うと、その度に主人公は「まあ、いいか」とひとりで落ち着いてしまうのが、特色でもありひっかかりでもあった。そんな、冷めてしまう主人公が変わっててオモシロい!と思える人もいれば、盛り上がりに欠けて萎える、と思う人もいるだろう。
後半につれて主人公の死刑も決まり、冷きった人間が、生命共通の恐怖である【死】に立ち向かう際の、たとえば突然の絶望や発狂を期待したものの、主人公は結局、内々で感情を飲み込み、解決し、理屈をつけてスンッ……としてしまった。私が死刑執行人であれば、なんと殺しがいのない!と死ぬまで酒場で嘆いたことだろう。

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2025年06月18日

Posted by ブクログ

衝撃的 これだけのものを処女作で書いているのが凄い。サイコパスを本人の視点から描いたと思われる作品で、読者は理解しがたい人間の心を体感しているような感覚になる。

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2026年01月12日

Posted by ブクログ

快不快、関心無関心をベースに皆生きているも、その内容が大多数と同じようにチューニングされていないと異邦人になってしまう
電車の軋み、夜がおりる前の空のざわめき、マリイとの触れ合い。主人公が思考を挟まずに五感レベルで味わっていた快感、不快感と同じように、社会が回りやすいように調節された場面-感情-行動の条件付けに従うことが五感レベルで皆には染み付いている
足で踏み締める砂の感覚が心地いい、焼けるような太陽の日差しが鬱陶しい、これらの感覚が肉体にとって真実でしかないのと同じように、さまざまな観念が知覚器官を通じて真にそこにあるものと判断される
一枚思考を隔てはするが、知覚の異なる他者の目にどう映るかということを指標に行動を変えることもできる。でも、そうすることで得られるメリットやデメリットに心動かされるかも含めて関心無関心装置の機能範囲内(だから170ページの解説「われわれは毎日、嘘をつく。ムルソーは外面から見たところと違って、生活を単純化させようとはしない。ムルソーは彼を絶対と真理に対する情熱に燃え、影を残さぬ太陽を愛する人間である。」とあるけど、なんかムルソーを神格化しすぎてる気がする、ただムルソーには嘘をつくことが関心の範囲外だっただけだと思ってしまう)。ただこの装置(関心無関心&その肉体的とまで言えるほどの原初感覚を放り込んだ時に、どういう行為をするのが自然で妥当かが出てくる関数、この関数処理すら近くを自覚する間なく行われるかもしれない)のなすがままに、こうした、こうしなかった、こうすることもできた、という経過が広がっていく。そうしてできた道をこの星の住人は否応なく舗道し、道を振り返って、整えた規則性を慈しむ。だが何よりもそうした営みすら「こうした」「こうしなかった」というただのランダムの下流でしかないような気がするので、すべて本気のおままごとにしか感じられない。ならば、たまたまこう感じた、たまたまこう思った、それくらいシンプルに生身に触れたものに沿って淡々と生活するのがいいのではないか。そう思うが、道の舗装すらも当事者にとってはそれくらい淡々と行われる自然なものなので、異邦人は理解不可能な整備作業によって排除されるしかない。
太陽が暑かった、人を銃でうった、4発さらにうった。
この流れを作った関数は、虫が嫌いだから後ずさった、と同じくらい説明するほどのこともない肉体に根ざしたものだと思う
人は異質性に遭遇すると、実感が不可能だからこそ、バケモノみたいな想像力がその存在による恐怖を肥大化させる自然法則に抗おうと、自分たちの見知ったものでできたネスト関数で言い当てようとする。その異質性ゆえにネストの正誤性を立証することも、しようとすることもない。
時間という概念を消せば、知覚の多様性を吟味する余地すらなくなって、事象がよりランダムに存在する、つまり解釈や正解(多数派の知覚)で断罪されることなく何かがただそこにある、無関心(関心がない、というのではなく関心無関心という区別すらない)で優しい世界が広がるのになあ

悲しくなるべきなのに涙が出ないから心が冷たい人間なんだろうなっていう状態の人は
大多数の人に搭載されている装置を肉体の中に内在しており、その存在にすら気づかないほど馴染んでいるけど、その装置にも個体差があるため、ある部分集合の中では機能のズレが出る。でもそのズレが装置ではなく操作者にあると疑うほど、装置の見た目が大多数と足並み揃っている人なのかなって
完全な異邦人もそれはそれで迫害されがちだけど、どこか違和感は抱えつつも異邦人かもしれないと自分を疑えないほどにはこの星の住人と見た目が酷似している人も、それはそれで完全に追放される合法的逃亡権を得られず苦しさがありそう

解説
「ムルソーは、このような意味づけを一切認めない。彼にとって重要なのは、現在のものであり、具体的なものだけだ。現在の欲望だけが彼を揺り動かす。」
欲望と同じくらい意味づけも衝動的であり、周りから見て理解できるムルソーの反射的反応が、「喉が渇くと飲む」「女を欲すれば共に寝る」という原始的なものだから、欲望にだけ突き動かされるシンプルな人間というふうに解釈されてしまうが、意味づけもそれと同じくらい条件反応というかシンプルな欲求の一部なのでは?

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2026年02月01日

Posted by ブクログ

魅力的な主人公であった。
人は自分の理解できる・扱える視点でしか他者を理解・観察できないのだなと感じる。
カミュの不条理に対する実存主義的態度が反映された作品。

別件:
本書はロラン・バルトによるエクリチュールの議論においても重要

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2026年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読む前にあらすじを知っていたが、いざ読んでみると印象がだいぶ変化した作品だった。
太陽が眩しかった、と言うシーンは詩的な美しさを感じていたが、通して読んでみると、それは、言葉に出来ないもの、諦めを前にした自身の正義に感じた。が、それがなぜか、とまではわからない。

審判を前に、前にせずとも彼は正直でいたんだろうな、という印象を受けた。
2部に入ってからは面白く、最後の数ページは圧巻。むしろ面白さを求めて読んだ際にはそこに至るまでが長い。

ママン=主人公の構図
養老院から出ることのできないママンと
牢獄から出ることのできない主人公。
それが重なる瞬間があった。


P118の描写は、引きこもりだった私には深く共感出来るものだった。

「私はただ一つ覚えている 終わり頃に弁護士が喋り続けている最中に町の方から この法廷の広がりを渡って アイスクリーム売りのラッパの音が私の耳元まで届いてきたのだ もはや私のものではない 一つの生活しかし その中に私がいともを貧しいがしつこくつきまとう喜びを見いだしていた1つの生活の思い出に 私は襲われた。
夏の匂い 私の愛していた 界隈 夕暮れの空 マリーの笑い声 その服 この場で 私のした いっさいのことのくだらなさ加減がその時 喉元まで 込み上げてきて私はたった一つ これが早く終わりそして 独房 へ帰って眠りたいということだけしか願わなかった」


後のメモは好きだった部分と、太陽や熱の描写があった部分を中心にまとめている。

異邦人
P18 すでに 日の光が満ちていた それは大地にのしかかってきて 暑さは急速に増した なぜだかわからなかったが我々は歩き出すまでに ずいぶん長くなった 喪服を着ていて暑かった。
P20 行列は少し急ぎ出したように見えた私の周囲は相も変わらず陽の光に満ちたどこまでも同じ輝かな野原だ。
P21 「ゆっくり行くと日射病にかかる恐れがあります。けれども急ぎすぎると汗をかいて教会で寒気がします」と彼女は言った。彼女は正しい、逃げ道はないのだ。
P45 夕方、マリィが誘いに来ると、自分と結婚したいかと尋ねた。私は、それはどっちでもいいことだが、マリィの方でそう望むのなら、結婚してもいいと言った。すると、あなたは私を愛しているか、と聞いてきた。前に一ぺん言った通り、それには何の意味もないが、おそらくは君を愛してはいないだろう、と答えた。「じゃあなぜ私と結婚するの?」というから、そんなことは何の重要性もないのだが、君の方が望むのなら一緒になっても構わないのだ、と説明した。
P50 老人と知り合ってから初めてのことだがコソコソした仕草で私に手を差し出した 私は彼の皮膚の鱗を感じた老人はにやりと笑い 部屋を出る前に私に向かって 「今夜は 犬どもが吠えないといいんだが そのためにうちの犬じゃないかと思うんだよ」と言った。
P50 通りへ出ると、私の疲労のためと、またそれまで鎧戸を開けずにいたせいで もうすっかり明るくなった陽の光がまるで 平手打ちのように、私を見舞った。
P54 私は太陽によって爽快になるのを感じ それに気を取られていたからだ 足元の砂が温まってきた水に入りたいという欲望をなおしばらくこらえていたが とうとうマソンに入らないかと言った。
...
沖に出て 我々は浮き身をした顔を空へ向けていると 私の口元まで 流れてくる水のベールを太陽が 払いのけてくれるようだった。
...
マリの体のほてりと太陽の熱とのせいで私は少しうとうとした。
P56 太陽の光は ほとんど 垂直に砂の上に降り注ぎ海面でのきらめきはこらえられぬほどだった 浜にはもう誰もいなかった。
P59
太陽は今 圧倒的だった 砂の上に 海の上に光は粉々に砕けていた。
P59(レエモンとアラビア人の喧嘩)
P59レエモンをやっつけた方も何も言わずにレエモンを眺めていた。もう一方も小さな葦笛を吹き我々の方を盗み見しながら その楽器でやれる3つの音を繰り返すことを止めなかった。
こうしている間 ここには 太陽と泉のせせらぎと葦笛の3つの音を含む この沈黙との他には何一つなかった。
P60ここでは全てが海と砂と太陽 笛と水音との2つの静寂の間に停止していた。
...
レエモンが木の階段を よじ登っていく間 登り口のところへ 佇んでいた。
星の光にやられて頭がガンガンしていたし木の階段を上り また 女たちのそばへ帰っていく そんな努力がいかにも億劫になったのだ。
P61私は静かに 岩の方へ歩いて行ったが 太陽のために 額が膨れ上がるように感じたこの激しい 暑さが私の方へ のしかかり 私の歩みを阻んだ顔の上に大きな熱気を感じるたびごとに歯がしみたり ズボンのポケットの中で拳を握りしめたり 全力を尽くして 太陽と太陽が浴びせかける 不透明な 酔い心地とにうちかとうと試みた。砂や 白い貝殻やガラスの破片 から光の刃がきらめくごとに顎が引きつった 私は長いこと歩いた。
光と波のしぶき のためにきらめくようなまろい暈に包まれた岩の小暗い影が遠くから見えた 私は 岩陰の涼しい泉を思った。
その水のつぶやきを聞きたいと思い 太陽や骨折や 女たちの涙から逃れたいと思い それから 影といこいと そこに見出したいと願った。ところが そばまで行った時 私は 例のレエモンの相手がまた来ているのを見た。
彼は一人だった 首の下に手を組む 顔だけを岩陰に入れ 体は日を浴びながら仰向けに寝て休んでいた。
P62
男は 私を見つけると少し 体を起こし ポケットに手を突っ込んだもちろん私は上着のままでレエモンのピストルを握りしめたそこでまた彼はポケットに手を入れたまま 後ずさりしていった 私はかなり離れて10m ばかりのところにいた彼の半ば閉じた瞼の間から時々 ちらりと視線の漏れるのがわかった でも ひっきりなしに彼の姿が私の目の前に 踊り 燃え上がる大気の中に踊った。波音は正午よりも もっと物憂げでもっと穏やかだった ここに広がる 同じ 砂の上に同じ 太陽 同じ光が注いでいた。もう2時間も前から日は進みを止め沸き立つ金属 みたいな海の中に錨を投げていたのだ。水平線に小さな蒸気船が通った それを 視線の端に黒いシミができたように感じたのは私がずっとアラビア人から目を離さずにいたからだった。
自分が回れ右をしさえすれば それでことは終わると 私は考えたが 太陽の光に打ち震えている砂浜が私の後ろに迫っていた。泉の方へ 56歩歩いたが アラビア人は動かなかった。それでもまだかなり離れていたおそらくその顔を覆う影のせいだったろうが 彼は笑っている風に見えた 私は待った日の光で方が焼けるようだった 眉毛に汗のしずくがたまるのを感じた それはママを埋葬した日と同じ太陽だったあの時のように 特に額に痛みを感じ ありとあらゆる 血管が皮膚の下で 一どきに脈打っていた。焼けつくような光に耐えかねて 私は一歩を前に踏み出した。私はそれが馬鹿げたことだと知っていたし一歩 体を移したところで 太陽からは逃れられないことも分かっていた それでも一歩、ただ一足私は前に踏み出した。すると今度はアラビア人は身を起こさずに 匕首を抜き光を浴びつつ私に向かって構えた。光は刃に跳ね返り きらめく 長い刀のように私の額に迫った。その瞬間 眉毛にたまった 汗が一度に瞼を 流れ 生ぬるく熱いベールで瞼を包んだ 涙と塩のとばりで私の目は見えなくなった額になる太陽のシンバル それから 相 口から ほとばせる 光の刃の相変わらず目の前に ちらつく 他は何一つ 感じられなかった。やけつくような剣は私のまつげをかみ、痛む 目をえぐった その時すべてがゆらゆらした海は 重苦しく激しい息吹を運んできた空は 端から端まで避けて火を降らすかと思われた。私の全体がこわばり ピストルの上で手が引きつった 引き金はしなやかだった。私は銃尾のすべっこい腹に触った 乾いた それでいて 耳を聾する 高音とともに全てが始まったのはこの時だった私は 汗と太陽とを振り払った 昼間の均衡と、私がそこに幸福を感じていた、その浜辺の異常な沈黙とを打ち壊したことを悟った。そこで私はこの身動きしない体になお 4 たび打ち込んだ。弾丸は深くくい入ったがそうとも見えなかった それは私が不幸の扉を叩いた4つの短い音にも似ていた。
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健康な人は誰でも、多少とも、愛するものの死を期待するものだ。
P76格子と格子との間に距離があるので面会人も囚人も共に大声で話さなければならなかった中へ入っていくとこの部屋の広い 裸の壁に跳ね返る人 声 のざわめきと空から窓ガラスへと降り注ぎ 広間にほとばしる 荒々しい光のために私は何か めまいのようなものを感じた 私の独房はもっと静かで暗かった この場所になれるのに数秒を要したが しまいには白日の中に浮きだした各人の顔をはっきりと見られるようになった。
P80海へと降りて行きたいという欲望にとらえられた 足元の草に寄せてくる 磯波の響き 体を水に浸す 感触 水の中での解放感こうしたものを思い浮かべると 急に この監獄の壁がどれほど せせこましいかを感じた これが数ヶ月続いた それから あとはもう私には囚人の考え方しかできなかった私は中庭での毎日 お決まりの散歩や 弁護士の訪問を待っていた 残りの時間は うまく処理した その頃私はよく もし生きたまま 枯れ木の幹の中に入れられて頭上の空に 開く花を眺めるより他には仕事がなくなったとしても だんだん それに慣れて行くだろうと考えたそうすれば過ぎていく鳥影や行き違う雲の流れを待ちもうけるのだろう。今ここで 弁護士の妙なネクタイの現れるのを待っているように またあの もう一つの世界で マリーの体を抱きしめるのを期待しながら土曜まで我慢していたように ところでよく考えてみると 私は 枯れ木の中に入れられたのではない 私より不幸なものだってあった これはまたママンの考え方でママンはよく口にしていたものだが 人間はどんなことにも慣れてしまうものなのだ。
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刑務所に入るとベルトや 靴の紐屋 ネクタイは取られ またポケットに入れているもの一切 特にタバコは取り上げられてしまった。一度 独房で返して欲しいと頼んだが それは禁じられていると言われた。最初の何日かはひどく つらかった。私が一番打撃を受けたのはおそらくこのことだったろう 自分のベッドの板を剥がしてその木片をしゃぶった1日中絶え間なく吐き気がついて回った 誰にも害を与えぬものを なぜ取り上げられてしまうのか わけがわからなかった。後になって これもまた懲罰の一部をなしていることがわかった
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こうした辛さを別にすればそうひどく不幸ではなかった問題はかかってもう一度言えば、時を殺すことにあった追憶にふけることを覚えてからはもう退屈することもなくなってしまった時には自分の部屋に思いを馳せたりした 想像の中で私は部屋の一部から出て 元の場所まで一回りするのだが その途中に見出される全てを一つ一つ 心の内に数え上げてみた 最初はすぐ済んでしまったが だんだんとこれを繰り返すたびに少しずつ 長くかかるようになったというのは私は 各々の家具を思い出しその一つ一つの家具についてはその中にしまってある一つ一つのものを思い出し一つ一つのものについては どんな細かな部分までも思い出しその細かな部分 象眼ひびや口の掛け 落ちたところなどについては 色合いや 木目を思い出したからだ 同時に 私は自分の財産目録を失わないようにして完全作り出そうと試みた その結果 数週間経つと自分の部屋にあったもの一つ一つ数えるだけで何時間も何時間も過ごすことができた こういう風にして私が考えれば考えるほど無視していたり忘れてしまっていたりしたもの 後から後から記憶から引き出してきた そしてこの時私はたった1日だけしか 生活しなかった人間でもゆうに 100年は 刑務所で生きて行かれるということがわかった その人は退屈しないで済むだけの思い出を蓄えているだろう ある意味では それは一つの強みだった。
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眠りの時間 思い出 記事を読むこと 光と闇との交代 こうしたことのうちに時は過ぎた 牢獄にいると時の観念を失ってしまうということを確かに読んだことがあったが これは 私には大して意味を持たなかった どうして 日々が長くて同時に短くなるのか 私には分かっていなかった もちろん 生きてゆく には 長いもの だが膨れ上がって日々 お互いに溢れ出してしまう 名前をなくしていた 私に対しては 昨日とか明日とかいう言葉だけだった。
ある日 看守が来て私がここへ来てからもう5ヶ月になると言った時にもその言葉は信じたがよく理解できなかった。私にとっては 絶え間なく 同じ日が 独房の中へ 打ち寄せて来、同じ 努力を続けていたりすぎない その日 監視 の出て行った後で 私は 鉄製の椀に移った自分の姿を眺めた 私の肖像はそれに向かって 微笑んでやろうとしたにも関わらずなお 真面目な顔をしているように見えた私はそれを目の前で 揺り動かした微小 したが 顔の方は相変わらず いかめしく悲しげな様子だった 日が暮れかけていた これは私の語りたくない時刻だったこの名のない時刻に沈黙を連ねた 刑務所の各階という階から夕べの物音が立ち上っていく。私は天窓に近寄り最後の光の中でもう一度自分の姿を映して 眺めた。相変わらず 真面目な顔だったが この時 なお私が 生真面目だったからと言って何の驚くことがあろう?しかしそれと同時に またこの数ヶ月来初めてのことだったが 私は自分の声音をはっきりと聞いたその声がもう長いこと 私の耳に鳴り響いている 声だと聞き分け この間 独り言を言っていたのに 了解した そしてママンの埋葬の時看護婦が言った言葉を思い出した本当に抜け道はないのだ そして 刑務所内のゆうべ ゆうべがどんなものか 誰にも想像がつかないのだ。
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要するに その夏は早く過ぎてまた時期に次の夏が来たということができる
最初の初夏の上記とともに私についても何か新しい事態が到来することを私は知っていた
P90 いよいよ暑さは上っていた。部屋の中で 傍聴人が新聞で風を入れているのが見える しわくちゃの紙の立てる小さな音が絶え間なく響いていた

P92 私は同じ 法廷の同じ顔の前に自分を見出したただ暑さだけが一段と猛烈になっていて まるで一つの奇跡のように どの陪審員も検事も私の弁護士も 新聞記者たちも いずれも 麦藁のうちわを手にしていた
若い記者も小柄な女も相変わらず そこにいた しかし その二人だけは うちわを使わず 相変わらず 物も言わずに私を見つめていた
P102
検事と私の弁護士の弁論の間 大いに 私について語られた おそらく 私の犯罪よりも私自身について語られたということができる それにしても両者の言い訳はそんなに違うものだったろうか 弁護士は腕を上げて有罪を認めたが ただそれに 言い訳をつけた検事は手を伸ばして有罪を告発したらそれに 言い訳をつけない それでもあることが漠然と私を困らせていた 私は十分注意はしていたものの時には口を入れたくなった すると 弁護士は黙っていなさい その方があなたの事件のためにいいのです と言った いわば この事件を 私抜きで扱っているような風だった私の参加なしに全てが運んで行った私の意見を徴することなしに私の運命が決められていた時々私はみんなの言葉を遮ってこう言ってやりたくなった それはともかくとして一体 被告は誰なんです 被告だということは重大なことです それで私にも若干 言いたいことがあります しかし よく考えてみると言うべきことは何もなかった それに人々の心を閉めるということは長くは続かなことを認めなければならない 例えば 検事の弁論はじきに私を退屈させた 私の心を打ち私の興味を目覚めさせたものは 断片化 仕草 かあるいは全体から切り離された長広舌そのものだけだった
P104 「悔恨の上だけでも示したでしょうか?諸君影もないのだ 余震の最中にも一度といえども この男は自らの憎むべき 滞在に感じた様子はなかったのです」
P105
「我々は彼を咎めることもできないでしょう 彼が手に入れられないものを彼にそれが欠けているからと言って 我々が不平を鳴らすことはできない しかしこの法廷について言うなら 寛容という消極的な 徳はより容易ではないが より上位にある正義という特に変わるべきなのです とりわけ この男に見出されるような心の空洞が社会を飲み込み かねない 一つの深淵となるような時には」それから私の母に対する態度を論じた
...
あまりに長々しくてしまいには この朝の暑さを私が感じなくなったほどだった
...
この男の不感無覚を前にして 感ずる 恐ろしさには及びもつかないだろう とはばからずに言い切った同じく彼によれば 精神的に母を殺害した男はその父に対し 自ら 教皇の手を下した男と同じ意味において 人間社会から抹殺 さるべきだった いずれにせよ、前者は後者の行為を準備しいやはそれを予告し 正当化していたのだ
P107
弁護士の陳述を聞く前にあなたの行為を呼び起こした動機をはっきりしてもらえれば幸いだと言った私は早口に少し言葉をもつれさせながら そして自分の滑稽さを承知しつつ それは太陽のせいだと言った法内に笑い声が上がった弁護士は肩をすくめた
P108 〜
私はただ一つ覚えている 終わり頃に弁護士が喋り続けている最中に町の方から この法廷の広がりを渡って アイスクリーム売りのラッパの音が私の耳元まで届いてきたのだ もはや私のものではない 一つの生活しかし その中に私がいともを貧しいがしつこくつきまとう喜びを見いだしていた一つの生活の思い出に 私は襲われた 夏の匂い 私の愛していた 界隈 夕暮れの空 マリーの笑い声 その服 この場で 私のした1歳のことの くだらなさ加減がその喉元まで こみ上げてきて私はたった1つ これが早く終わりそして 独房 へ帰って眠りたいということだけしか願わなかった
P111
独房が変えられた その部屋で長く寝そべると空が見える そして空しか見えない その空の表に昼から夜へ移る色彩の凋落を眺めることで1日が過ぎていく 横になり手枕をして私は待っている
P113
そんな時に私はママンから聞いた父の話を思い出した父は私の記憶にはない父について私が正確に知っていたことと言ってはおそらくママンが その時話してくれたことだけだろう 父は ある人殺しの死刑執行を見に行ったのだ それを見に行くと考えただけで 父は病気になった それでも父は見に行き帰ってくると朝のうちは秋に入ったのだ それを聞くと私は少し 父が嫌になった しかし今となると それがごく当たり前だということがわかった 死刑執行 より重大なものはない ある意味までは それは人間にとって真に興味がある 唯一のことなのだそんなことがどうして これまでわからなかったのだろう いつか 刑務所を出たとしたら 私はありとあらゆる 死刑執行を見に行こう いや こうした可能性を考えるのは間違いだったと思うというのはある朝早く警戒線の後ろにいわば 向こう側に私が自由な姿を現すことを考え 見に行った後で吐いたりするかもしれぬ 一人の見物人になることを考えると押し殺されていた 喜悦の波が胸に登ってきたからだ しかしこれは道理に合わなかった こうした家庭に身を任せたりするのは間違いだったなぜならそのすぐ後で恐ろしく寒気がして私は毛布の下に体を縮めていたのだから こらえようがなくて私は カチカチ 歯を鳴らしていた
P116
彼らがやってくるのは夜明けだ私はそれを知っていた結局私の夜々はあの夜明けを待つことだけに過ごされた私は驚かされることが嫌いだった何かが起こる時には身構えていたいそういうわけで私は昼間少ししか眠らず夜は夜もすがら暁の光が空のガラスの上に生まれ出るの辛抱強く待った一番苦しいのは通常彼らのやってくることを私の知っているあのどうも怪しい時刻だった真夜中を過ぎると私は待ち構え見張っていた私の耳がこれほど物音に敏感になりこれほど低い響きを聞き分けたことはなかったのみならずこの間決して足音が聞こえたことはなかったのだからある意味では私には運があったということができる人間は全く不幸になることはないとママンはよく言っていた空が色づいてくるときや暁の光が私の独房に忍び込んで来るときママンの言葉は本当だと思った 足音が聞こえたとしたら私の心臓は破裂しただろうからどんなかすかな 軋みにも 戸口のところへ飛んで行き 板に耳を押し付けて 夢中になって 待ち構えていたのでしまいには 自分の息遣いが聞こえてきて しかも それがしわがれて犬の息切れに似てはいないかと気になったりした
そんなことはあったにせよ結局のところ 心臓は破裂しなかったし 私はまた 24時間を手に入れたのだ
...
他の人より先に死ぬそれは明白な こと だがしかし 人生が 生きるに値しないということは誰でもが知っている 結局のところ 30歳で死のうが70歳で死のうが大した違いはないということを私は知らないわけではないというのは いずれにしたところでもちろん 他の男たちや、他の女たちは生きていくだろうし それにもう何千年もそうしてきたのだから 要するに これほど 明らかなことはないのだ 今であろうと20年後であろうと 死んでいくのは 同じく この私なのだ この時こうした推論の中で多少 私を苦しめたのは それはこれから先の20年の生活を考えた時 私が胸に感じた ひどい 興奮だった しかしそれは20年経ってやっぱり そこまで行かねばならなくなった時 自分がどう思うかを想像することによって息のね 止めてしまいさえすればよかった 死ぬ時のことをいつとかいかにして とかいうのは意味がない

P118
私はただ一つ覚えている 終わり頃に弁護士が喋り続けている最中に町の方から この法廷の広がりを渡って アイスクリーム売りのラッパの音が私の耳元まで届いてきたのだ もはや私のものではない 一つの生活しかし その中に私がいともを貧しいがしつこくつきまとう喜びを見いだしていた1つの生活の思い出に 私は襲われた。
夏の匂い 私の愛していた 界隈 夕暮れの空 マリーの笑い声 その服 この場で 私のした いっさいのことのくだらなさ加減がその時 喉元まで 込み上げてきて私はたった一つ これが早く終わりそして 独房 へ帰って眠りたいということだけしか願わなかった


P123
司祭は長いこと 脇を向いたままでいた彼の姿が 私には重荷となり 私をイライラさせていた 私は彼にもう帰って 私を一人にしてほしいと言おうとしたがその時私の方を振り向きながら不意に 彼は大声で溢れるように喋りたてた「いいや私はあなたが信じられないあなただってもう一つの生活を望むことがあったに違いない」
もちろんだ しかし 金持ちになったり早く 泳いだり 形の良い口元になることを望むのと同じように意味のないことだと私は答えたそれは同じ次元 に属することなのだ しかし彼は私の言葉を留めてそのもう一つの生活というものをどういう風に考えているのかとお尋ねた その時 私は「この今の生活を思い出すような生活だ」と叫び すぐ付け加えて もう飽き飽きしたと言った彼はなお 神について語りたがっていたが 私は彼の方へ進んで行ってもう一度自分には時間が残り少ないことを説明しようと試みた 私は神のことで時間を無駄にしたくなかったのだ 彼は話題を変えようとして自分のことを ムッシュウと呼んで わが父と呼ばないのはなぜかと尋ねた
それが私をイライラさせたあなたは他の人たちには そうかもしれないが 私には父ではないと答えたいや 我が子よと彼は私の肩に手を置いていった 私はあなたと共にいます しかし あなたの心は盲いているから それがわからないのです私はあなたのために祈りましょう
その時なぜか知らないが 私の内部で何かが裂けた私は大口を開けて怒鳴り出し 彼を罵り 祈りなどするなといい消えてなくならなければ 焼き殺すぞと言った私は法衣の襟首を掴んだ喜びと 怒りの 入り混じったもののけと共に彼に向かって心の底をぶちまけた君は まさに自信満々の様子だそうではないかしかし その新年の どれをとっても女の髪の毛1本の重さにも値しない君は死人のような生き方をしているから自分が生きているということにさえ 自信がない 私と言えば両手は空っぽのようだ しかし私は自信を持っている自分について 全てについて 君より強く また私の人生について来るべき あの死についてそうだ私にはこれだけしかない しかし少なくともこの心理が私を補えていると同じだけ 私はこの心理をしっかり 捉えている私はかつて 正しかったし 今もなお 正しい いつも私は正しいのだ 私はこのように生きたがまた別な風にも生きられるだろう 私はこれをしてあれをしなかった こんなことはしなかったが別なことはしたそしてその後は?私はまるで あの瞬間 自分の正当さを証明される あの夜明けをずっと待ち続けていたようだった 何者も何者も重要ではなかったその訳を私は知っている 君もまたそのわけを知っているこれまでのあの虚妄な 人生の営みの間中 私の未来の底から まだやってこない 年月を通じて 一つの暗い息吹が私の方へ 立ち上ってくるそのくらい いぶきがその道筋において 私の生きる 日々ほどには現実的とは言えない 年月のうちに私に差し出される全てのものを等しなみにするのだ他人の死 母の愛 そんなものが何だろういわゆる 神 人々の 選び取る生活 人々の選ぶ宿命 そんなものに何の意味があろう ただ一つの 宿命がこの私自身を選び そして 君のように 私の兄弟と言われる無数の特権ある人々 私とともに選ばなければならないのだから君はわかっているのか一体君はわかっているのか?誰でもが 特権を持っているのだ 特権者しかいわしないのだ 他の人たちもまたいつか 処刑されるだろう 君もまた 処刑されるだろう 人殺し として 告発されその男が母の埋葬に際して涙を流さなかったために処刑されたとしても それは何の意味があろうサラマノの犬にはその女房と同じ値打ちがあるのだ 機械人形みたいな小柄な女もマソンが結婚したパリ女と等しくまた 私が結婚したかった マリー と等しく 罪人なのだ セレスとは レエモン より優れてはいるが そのセレストと等しく レエモンが私の仲間であろうと それが何だろう?マリーが今日もう一人の無理そうに接吻を与えたとしてもそれが何だろう この死刑囚ね君 会いたいわかっているのか 私の未来の底から......こうした全てを叫びながら私は息が詰まってしまった しかし すでに 司祭は私の手から引き離され 看守 たちが私を脅かしていた でも 司祭は彼らをなだめ 一瞬 黙って私を見たその目には涙が溢れていた彼は踵を返して消え去った
彼が出て行くと 私は平穏を取り返した私は精魂尽きてベッドに身を投げた 私は眠ったらしかった顔の上に星々の光を感じて目を覚ましたのだから田園のざわめきが私のところまで登ってきた 夜と大地と 潮の匂いが こめかみを爽やかにしたこの眠れる夏の素晴らしい平和が 潮のように私の中に染み入ってきた この時 夜の外れでサイレンが鳴った それは 今や私とは永遠に無関係になった1つの世界への出発を告げていた本当に久しぶりで 私はママのことを思った1つの生涯の終わりに なぜママンが許嫁を持ったのか また生涯をやり直すフリをしたのか それが今わかるような気がした あそこ いくつもの生命が消えていく あの 養老院の周りでもまた 日暮れは憂愁に満ちた休息のひと時 だった 死に近づいてママはあそこで解放を感じ 全く生き返るのを感じたに違いなかった 何ぴとも 何人といえども ママンのことをなく権利はない そして私もまた 全く生き返ったような思いがしている あの大きな憤怒が私の罪を洗い きよめ 希望を全て空にしてしまったかのようにこのしるしと星々に満ちた夜を前にして 私は初めて世界の優しい無関心に心を開いた これほど世界を自分に近いものと感じ 自分の兄弟のように感じると私は自分が幸福だったし 今もなお 幸福であることを悟った全てが終わって 私がより孤独でないことを感じるために この私に残された 望みと言っては 私の処刑の日に大勢の見物 人が集まり 像の叫びを上げて 私を迎えることだけだった。






情婦 レコ
「愛人(じょうふ)」を指す隠語

アンサンブル
素材や色、デザインに共通性を持たせ、セットで着ることを想定して作られた服の組み合わせ


卓布 たくふ
食卓を覆う布のことで、テーブルクロス

夜気 やき
夜の(ひえた)空気。「―にあたる」。夜の静かなけはい。

女衒 げぜん
女性を売春行為へ誘導したり、売春雇用者に斡旋して対価を受け取るブローカー

練兵場(れんぺいじょう)
兵士が訓練を行うために設けられた場所

かさっかき
皮膚病にかかってかさぶたにまみれた人

細面 ほそおもて
ほっそりした感じの顔。

烈日 れつじつ
強く照りつける太陽。夏の太陽が強く照りつけるような、激しい勢い。

合口 あいくち
鍔のない小刀
柄と鞘の口が合うことから来ている

銃尾 じゅうび

徒刑 とけい
懲役のこと

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2026年01月26日

Posted by ブクログ

『異邦人』は、正直なところとても読みにくい作品だった。
文章は終始淡々としており、ムルソーの内面が語られることはほとんどない。だが、その抑揚のなさこそが、彼自身のアイデンティティなのだと感じた。彼の性格上、感情に大きな起伏はなく、仮に何かを感じていたとしても、それは文章の上では事実として平坦に述べられるだけだ。そのため感情移入はしづらく、読者として距離を感じ続けることになる。

しかし読み進めるうちに、外から見た自分自身もまた、ムルソーと似た存在なのではないかと思い始めた。人と同じことをせず、他人との距離を保ち、感情を積極的に表に出さない。淡々としているように見えるその在り方は、ムルソーと重なる部分がある。彼の生き方は、理解されにくいが、決して空虚なのではない。

特に強く引っかかったのは、ムルソーが受けた裁きの顛末である。本質を大切にする自分にとって、それは到底妥当だとは思えなかった。人が人を裁く以上、そこには必ず主観や価値観が入り込み、本当の意味で罪を測ることなどできないはずだ。ましてや、神への信仰心や感情の示し方によって罪の重さが左右されることには、強い違和感を覚えた。

『異邦人』は読みやすい小説ではないし、明確な救いも提示しない。だがその分、世界や社会の価値観、そして自分自身の立ち位置を静かに問い返してくる作品だった。読み終えた今も、整理しきれない感情が残っているが、その居心地の悪さこそが、この小説を読んだ証なのだと思う。

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2026年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公は倫理的に欠落しているところがあり、それが結果的に彼を無実の罪で処刑台に送ることになる。彼は人と違うところを持つことで(異邦人であることで)この世界に居場所がなくなったことを最後に受け入れ、救いを拒否する。何ならそれが彼にとっての救いであると言わんばかりの最後。テーマは不条理であるとのことだが、同じくカミュのペストがそれに抗い、最後は克服しながらも常に不条理はそばにあるという終わり方をしたのと比べると対照的な終わり方。異質なものを排除しようとする社会と、不条理を受け入れることによる救いを描いた作品と解釈。

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2026年01月01日

Posted by ブクログ

『今日、ママンが死んだ』『太陽が眩しかったから』などのフレーズが有名な作品。不条理文学の一つとして、人々に理解されない主人公の内面も含めて魅力的。しかし、難解かつ人によっては釈然としない内容である。
解説・再読が必要かもしれない。

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2025年12月16日

Posted by ブクログ

久々にこういう名著読んだ
初カミュ。1942年の本。難しかった

個人的には、独特な思考回路を持つ人間の一生の物語だと感じた。世間からみたら異質だけど彼本人からしたら極めて当たり前。そんな人間も、結局は普通の人間と同じように生きて死ぬ。『人間が生まれながらにして無意味で無償はゴールではなく、出発点なのだ』

こういうタイプの本だと別はカフカの変身のみ履修してるんだけど、
カフカにとって宇宙はしるしに満ちているが、カミュの見方は地上的である。
という解説の一文がとても分かりやすかった

ペストも読んでみたいと思う!

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

難しかったです。何が描かれているのかはわかりましたが、なぜ、そうなるのかわからないところが多々ありました。

なぜ、主人公が殺人を犯したのか、主人公が母親が亡くなった時に涙を見せなかったことが非道と捉えられるのか、時代背景や国の違いもあるのかもしれませんが、自然に受け止めることができません。

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2025年11月15日

Posted by ブクログ

感情が読めない男の、感情にフォーカスしない物語。
不条理に抗うでもなく、解釈し、受け入れていく姿はカミュ自身を表現しているのだろうか。
ところでタイトルは「異邦人」だが、これはどう言う意味だろう

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

殺人の理由を「太陽が眩しかったから 」と答えたことで知られるフランス のノーベ ル文学賞 作家カミュ の代表作です。どうしてこんな言葉を発したのか知りたくなり本書を手に取りました。感想をざっくり書くと、本書の世界が主人公を受け入れない理不尽な世界だからこそ、悲惨な結末に希望を寄せたのかなと思いました

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2025年12月21日

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