ロジェ・カイヨワのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「遊び」という言葉の指し示す範囲は莫大である。生存本能には関係ないが、ヒトが本能的にやってしまうこと全てを「遊び」だと考えれば、例えばアートは見る側も作る側も遊びだと言える。
遊びについて論じた本としてはホイジンガによる『ホモ・ルーデンス』が有名だ。それまで遊びとは文化の堕落形態としてみなされていたが、ホイジンガの「文化は遊びの中で始まった」という考えが革新を起こした。カイヨワも根本的には近い立場を取るが、本書はより、遊びそのものの叙述や分類に重きを置く。
都市生活の中で非日常的な気持ちの昂りが得られないのは、コミュニティの祭りに参加することがなくなってきているからでは、と本書を読んで思う -
Posted by ブクログ
ネタバレカイヨワの『遊びと人間』は、遊びという現象を通して人間の文化や社会を読み解こうとした野心的な試みです。
本書の真骨頂は、遊びを単なる子どもの営みや余暇活動としてではなく、社会の根本的な営みとして捉え直したことにあります。特に印象的なのは、遊びと文明の関係についての考察です。
カイヨワは遊びを4つのカテゴリー(アゴン、アレア、ミミクリ、イリンクス)に分類しましたが、これは単なる分類に留まりません。彼の分析によれば、文明の発展とともに、アゴン(競争)とアレア(運)が支配的になり、ミミクリ(模倣)とイリンクス(眩暈)は周縁化されていく傾向があります。例えば、前近代社会では重要な役割を果たしていた仮面 -
Posted by ブクログ
ホイジンガの『ホモ・ルーデンス』をうけて、「遊び」の定義をより広く、より細かくとるべきと指摘した一冊。
アゴン(競争)、アレア(賭け)、ミミクリ(模擬)、イリンクス(眩暈)の四分類と遊び手の姿勢を表すルドゥスとパイディアの二分類。
本書では主に前者の四分類に焦点を当て、遊びの分類を示した後は、文明の発展とそれら四分類の結びつきを論じている。
ミミクリとイリンクス、すなわち宗教的な儀式やそれに伴うある種のトランス状態が社会を動かす前近代、そこに理性が加わることで自らの手による能力や地位によって社会的な地位を得るアゴンと生まれつきの身分差や能力の差を左右するアレア(運)的な要因が近代的な社会におい