クレア・キップスのレビュー一覧
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ネタバレいい本だった。12年と7週と4日を1940年の世界大戦初期から1952年まで生き抜いたクラレンスというオスのスズメの飼主キップスとの交流を描いた愛溢れるノンフィクション。
150ページ余りの本文と40ページほどの解説からなる文庫。1952年に出版されこの本は2010年に梨木香歩訳で再び世に出た秀作だ。ジュリアン・ハクスレーという英国の鳥類学者の解説とともにネイチャーリストの梨木香歩、作家の小川洋子の解説はこの本を一層高めている。
生まれて間もなく巣から落ちて障害をもったスズメがピアニストのキップスに拾われて12歳の天寿を全うするまでを描いている。野生のスズメだったら老いれば天敵に食べられ亡骸も無くほうむられるが、野生に帰ることなく伴侶も持たず、キップスに愛情深く育てられたおかげで老いて老衰で最期をとげたのは人間に育てられたからだ。スズメは老いて身体が不自由になっても最後まで生き抜く姿勢をキップスは書いている。
スズメの人生は前半はちょっとした芸をやり、カナリア並みにさえずり戦争で痛みつけられたロンドン市民を和ませ芸人としてもてはやされ、6歳以降の後半は老いとの闘いだった。底流に流れる母親代りのキップスとの2人の交流は言葉は通じないが対等の接し方をして和ましてくれる。
戦後の疲弊した社会にも心温まる人間と何処にもいるスズメという小鳥との交わりは胸を熱くさせます。 -
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ネタバレ人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯
古書店巡りしてたときに偶然見かけて、
普段なら買わないジャンルなのですが妙に目が惹かれて、
購入。
読み、泣きました。
実話であり、できる限り感情を省いた記録だと著者が心がけており、
それでも滲み出る「この子が愛おしかった」故の表現の数々に私はとても嬉しくて……。
内容ですが、
戦時中、あるピアニストの婦人が拾ったスズメの記録です。
12年生きたスズメの生涯について、
老いて大病を患った彼の傍らで、思い出を語ってくれています。
小鳥と暮らしたことのある人なら
共感や想像が簡単だと思います。
首にぴったりくっついて同じベッドで眠るなんて、
多分飼ったことない人だと「潰さない!?」と驚くと思います。
でもそれが好きな子、いるんですよ……。
わかる……。
わかる……。
love……。
スズメが芸をすることについても、
小鳥って意外と協力的なことがあって……
信頼関係があれば可能で……
とりあえず……鳥好きに、おすすめ。
あと著者がイギリス人でキリスト教徒なので動物との向き合い方が少し知れて嬉しい。
■最後に
鳥が、好きです。 -
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序に「私は野生の鳥は基本的には野にあるべきだと思っている」とある。だから、作者のキップスさんは生まれたばかりで巣から落ちた障害のあるスズメを深い愛情を持って育てながらも、彼がスズメであることを尊重して適度な距離感を保った視点で見ていたのだろう。この本がスズメの生態や人と一緒に暮らしていたからこそ開花した潜在的な能力などの観察記録としても興味深いものになっているのは、そのおかげだろうと思う。
科学的な興味もさることながら、このスズメの愛らしさと逞しさには驚かされる。巣に見立てたベッドで迸るような歓喜の歌をひとくさり歌ったり、老いて病気になってからも生きる意志と聡明さで自由が利かなくなっていく状況に自分を適応させたり。ティースプーンを見て「がっくりと小さな頭を落とし、視線をそらす」ところなどはかわいらしい上に、キップスさんとのしっかりとした信頼関係も窺えて、心温まる。
訳者の梨木香歩さんはキップスさんと似たところのある人なのではないかと思っている。訳者あとがきもよかった。 -
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梨木香歩さん訳の、
1953年初版のベストセラー。
ある1人の寡婦が出会った、自然界では生きていけないだろう雀の子供。
その雀-クラレンスと名付けられた雀の、12年に渡る生涯。
フラットに書かれた文章に現れる、キップス夫人の洞察力の深さにも驚かさせるが、
街中で景色に溶け込むように眺めていた雀が
こんなに感情豊かで、才能溢れる鳥であることを
本書を通じて知ることが出来てよかったと思う。
訳者も書いている通り、クラレンスが老いて、
いつ亡くなるのかも分からない中で書かれた
物語であるからか、クラレンスが全盛期である頃の生き生きとした描写の中にも、一貫して静謐さが漂っている。
全ての生き物が迎える老いと死を、静かに見つめるキップス夫人と、老いてなおその生命の尊厳を決して失わないクラレンス。
今頃2人で、天国で歌い合っているだろうか。
キップス夫人はピアノで、クラレンスはその高らかな歌声でー。 -
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ネタバレクレア・キップス著、梨木香歩訳「ある小さなスズメの記録」、2015.1(文庫)発行です。口絵・イラストは酒井駒子さん、解説小川洋子さんです。感動の書でした。第二次大戦下のイギリス、老ピアニストが出会った生まれたばかりの傷ついた小雀。愛情深く育てられた雀のクレランスとキップス夫人が共に暮らした12年間の記録。1940.7.1~1952.8.23、11歳を過ぎてからは老衰と闘いながら、最期は夫人の手の平の中で穏やかな死を迎えたいとしいスズメの物語です。
人間との意思の疎通、哺乳類は勿論ですが、鳥類もかなりの疎通ができるのですね。昆虫、魚類、両生類、爬虫類は難しそうですが、共に暮らしていると愛情が湧くと思いますw。英国人のクレア・キップス夫人(1890~1976)は、1940.7.1、生まれて間もない雀の雛が巣から落ちているのを助け、右翼と左足異常の雀を育て上げ、12年余、共に暮らしました。この本はキップス夫人とスズメの友情の物語、スズメの生老病死の生き様の記録です。夫人の淡々とした語り口に、相互の信頼と支え合いの様子が伝わってきます。再読です。 -
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第二次大戦下の英国、女性ピアニストの著者がイエスズメのクラレンスと暮らした12年の記録(紹介文には「老ピアニスト」とあるが、著者のキップス夫人がクラレンスに出会ったのは50歳のことであるから、現代の感覚とは合わない)。
翼や足に障害をもって生まれたクラレンスだったが、著者と暮らしていく中で、自作の歌を歌ったり芸をしたりと、スズメらしかぬパフォーマンスをみせる。生き物がサバイバルから解放されたとき、有り余った力を何に使うか。秘められたポテンシャルは未知数である。
また、年老いてからのクラレンスの、生きることをあきらめない姿勢にも感銘を受けた。
本書は(序文で著者が示す通り)「気取りのない文体を使い、シンプルに物語ろう」とされているのだが、あえて言えばもっとドラマチックな演出で観たい気がする(アニメかCGで映画化してほしい)。
日本語訳は梨木果歩氏。「訳者あとがき」と「訳者文庫版あとがき」も掲載。文庫版解説は小川洋子氏。 -
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野生の雀の孵化すぐと思われる雛を育て上げ看取るまでを回想の形で記した本。第二次世界大戦中から戦後の時代です。
動物を慈しみながら一緒に生活している全ての人がそうであると思うが、非常によく観察(?)されていて驚くほどだ。そして野生の雀とは異なる生態を時に見せていく事を客観的に捉えて記載されているところが凄い。研究目的ではないのだから。また文章が高尚で時には難しく哲学的雰囲気の事もある。
そして主人公の雀がまた凄いのだ。素敵な文章の中に登場するこの雀の一生が、通常の野生の雀とは一線を画している。その面白さが端的な文章にギュッと詰まってる。著者の雀との関係性も素晴らしい。決してヒトの思う通りにするのではなく、雀彼本人の個性にあくまでも寄り添う形で生活していく様が凡人には出来ぬことかもなと思った。雀の晩年に創意工夫をして如何に彼が快適に過ごせるかを模索しておりもう愛しか感じない。挿入される写真が慈愛に満ち満ちていてなんとも愛おしい。
酒井駒子さんの優しい装丁。
梨木香歩(西の魔女が死んだ)さんの訳本。
MRさんのタイムライン?で知った本ですがそこに本当に感謝♪ -
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キップス夫人が家の前で拾ったスズメと、約12年間一緒に暮らした日々の記録。
夫人はスズメくんに愛情を持ちながらも、観察する姿勢は研究者的なところも感じた。
ある日家の前で弱ったスズメの雛を見つける。介抱して元気にはなったが、そのスズメは生まれつき足と翼に障がいがあり、自力では自然界には戻れないだろうということで、キップス夫人が子供のように育てる。
ベッドに潜って一緒に寝たり、服のポケットに巣篭もりしたりする様子が可愛い。
成長するに従って、夫人のピアノに合わせて歓喜の歌を歌ったり、ちょっとした芸を披露して戦時中、子供を癒したりと大活躍。
そんなスズメくんも老いには逆らえず、11歳の時に病気を患う。ティースプーンで薬を飲まされていた彼は、「ティースプーンが目に入ると、彼はがっくりと小さな頭を落とし、視線をそらすのだった」という可愛さよ。
あとシャンパンを飲み交わす場面もあったなぁ。
思うように体が動かなくなってからも、今まで使ってこなかった障がいのある足の使い方を発見し、精一杯生きていく姿に感動した。
総じて、可愛かった!
生態についても初耳なことが多くて、色々な面で面白い一冊だった。 -
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このクラランスの伝記を読んでいると、
作者とスズメの関係が、
単なる飼い主とペットの主従の関係ではなく、
一人の人間に接するかのように、
時には一人前に男として、
スズメを尊重し、愛情と敬意をもって
スズメを大事に育てたのかが伝わってくる。
空襲の中、明日、死ぬかもしれない
戦時下の中を、12年間も長く生きる事が
できたのは、作者の深い愛情と支え。
逆も然りで、
クラランスの存在自体が、作者や
戦時下の人々の喜びに。
だから尚さら一層、脳卒中を患ってから、
だんだんと弱って行く姿を読むのは、辛い。
不自由な体になってからも、生きることを諦めずに、最後はぼろぼろの羽毛になったが、
命を全うする最後の瞬間まで、命の輝きを
失わなかったクラランス。
私も小鳥を飼っているが、
動物を飼っている人は、誰もが直面する
生老病死。
あまり、考えたくはないが、この本を読んで、
尚一層、小鳥達が愛おしく、彼らと一緒に過ごす時間をもっと大切にしたいと思った。
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私がプロフィール画像を小鳥(ジョウビタキ)にしているのは小鳥が好きだから。
そして、小鳥たちの中でも一番好きなのが、スズメ。
野鳥は普通飼えないのだが、このスズメは生まれてすぐに巣から落下し、脚と翅に障碍を持っていた。
自然に返せるような肢体を持っていなかったので、保護するかたちで12年も一緒に暮らすことになった。
生まれてから老衰で死ぬまでのスズメの記録なんて今後出会うことはないだろう。
本編は150ページと短い。
本編が終わって原書の解説がある。
さらに梨木果歩さんの訳者あとがきに続いて、小川洋子さんの解説があった。
これらの解説だけで40頁もあり、本書の要約にもなっている。
人間にはイヌやネコと出会い一緒に暮らす人生と、出会わない人生がある。
小鳥と暮らす人生もあるだろうが、スズメと暮らす人生はほぼない。
動物は、成長し、成熟し、充実した時期を迎えると、自分がリーダーになりたがる性質が現れる。
これは、言葉を理解し人とコミュニケーションができた有名なヨウムの"アレックス"も同じだった。
ほとんどのペットは、飼い主が「主人」だ、と思い知らされる「しつけ」を受けてリーダーにはなれない。
いつの間にかリーダーの座を獲得しているのはネコくらいだ。
このスズメの"クラレンス"は、リーダー気分を味わえた。
キップス夫人がたくましくなった"クラレンス"を「立派な一人前の男になった」と喜び、余裕しゃくしゃくで彼の要求に答えたからである。
だが主従関係を感じることはなくて、お互いに信頼し合っている関係が伝わって来る。
ヨウムの"アレックス"は気持ちを人の言葉で伝えることができたが、スズメの"クラレンス"は人との共通言語を持たなくても理解し合えている。 -
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表紙絵に一目惚れして購入。第二次世界大戦頃の話だが、全く耳にしたことがない作者、作品であった。日本でも早くから出版され、根強い人気だったようだ。いくつかの書評にあるように、楽しく、幸せを感じさせてくれる素晴らしい作品だ。
「秘密の花園」のバーネットが書いた「私のコマドリ」と似ているが、鳥と作者との長い共同生活の結果であるため、類い希なる鳥類の研究記録となった。また擬人化表現(と言うか、このスズメの中身は本当にヒトなのかも 笑)によるユーモア溢れる文章でクスクスと読み手を笑わせてくれ、またこの小さき者が如何に人間に「教え」を示すかが語られていく。
どんな生き物にも、感情はもちろん、知性や個性があると信じさせてくれる。そして、生を受け、精一杯生き、生の尽きることを受け入れ、やがて静かに眠りに帰るという生き物の務めと至福を考えさせてくれる良書である。
以下、クラレンス様(スズメ)が読んでいたマタイ伝の箇所⭐「スズメは二羽まとめて一銭で売っているほどのものである。しかしそういうスズメの一羽ですら、主の許しなしでは、地に落ちることもかなわないではないか」
それが、単なる偶然か神様のいたずらだったのかは分からないが、生きるチャンスを得たクラレンスは、スズメの持つ可能性を最大限に発揮してみせたのだ。何の気負いもなく、ただ明るく前向きに・・・。彼の最後を、作者は「ぼろぼろになった羽毛の、ほんとうにちっぽけな一塊」と書いているが、生を謳歌した、なんて偉大な羽毛の塊!
今回の装丁の酒井駒子さんの絵も大好き。以前、本屋で手を伸ばした「ビロードのうさぎ」も彼女の作画と知り、納得。素敵なお話に導いていただけた。 -
Posted by ブクログ
イギリスのピアニスト、クレア・キップス(1890-1976)は、対ドイツ戦で灯火管制の続いていた1940年、玄関先で障がいを負ったスズメの雛を拾う。その日から12年間、スズメのクラレンスが老衰で亡くなるまで母子とも友愛関係とも取れる2人の交友が始まる。
マッチ棒の先のミルクを頼りに生命を繋いだ幼少期から、俳優のように地域の人気者になり、奇跡の歌声をむつみ出した青年期、卒中で倒れたあとシャンパンの「薬」によって奇跡の復活を果たし、眠るようにクレアの手のひらで亡くなった老年期。その一生は、本にされるや英国のみならず、世界中のペット愛好家から愛された。
私はつい最近、同じく英国で拾われたホームレスでビッグイシュー売り子の飼い猫が、瞬く間にロンドン子の人気者になって、映画出演まで(しかも2回)果たしたエピソードを思い出した。古今東西愛されペットの話は多いが、英国の愛され方は質が違うように思える。売るためにプロデュースされたペットは、時代を跨がない。僥倖にも拾われたペットが、その存在だけで、人に希望を与えるのである。思えば、ペルーからやってきて途方に暮れていた熊のパディントンも「拾われた」のでした。
その存在だけで?
いや、今回の相棒、2年前に夫を亡くしたばかりのクレアにとっては、唯一無二の個性と才能と愛らしさを持ったクラレンスは、彼女の冷静かつ詩的な文章によって普遍性のある人格まで(鳥格?)高められている。梨木香歩さんの訳も素晴らしい。むかし手乗り文鳥の飼育に失敗して可哀想なこともし、後悔の檻がずっと溜まっている私にとっても、とても癒しになる読書だった。
正月、ねおさんのレビューにより、本の存在を知った。ありがとうございます。