クレア・キップスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『もしも物思いに耽りやすい夏の宵闇に、どこかで報われない恋の涙が落ちたとしたら、窓硝子の遥か彼方で彼女か流したものだったに違いない。』
第二次世界大戦下のイギリス。夫に先立たれた一人の老ピアニストが出会ったのは、一羽の傷ついた小雀だった。愛情深く育てられた雀のクラレンスは、敵機の襲来に怯える人々の希望の灯となっていく―。特異な才能を開花させたクラレンスとキップス夫人が共に暮らした12年間の実録。
わたしが好きな作家の梨木香歩さん訳、解説が小川洋子さんの作品だったので手に取った一冊。
戦争の描写は少なめで、雀との生活にフォーカスしているので楽しく読んだ。
雀のクラセンスには足に障碍があり、そのせいで巣から落とされてしまったらしいのだが、もし夫人と出会わなければ自然淘汰されていたであろう彼はとても個性的で、知的で、優しい音楽家だった。
なぜ彼が音楽家と呼ばれていたのかは是非読んでみて欲しい。
中でも好きなエピソードとして、近所に住んでいる野生の雌雀たちやアオガラから熱烈な崇拝を受ける様子が記されているのだが、その恋物語がなんとも微笑ましい。
本書には当時の写真も収録されているのも嬉しい。
そのおかげで想像を膨らませて読むことができた。
私たちの生活に当たり前に存在し、身近にいる生き物の雀がこんなにも愛らしく興味深い生き物だったとは思わなかった。
一羽の小さな雀を通して生き方を学べる一冊だ。
こんなひとにおすすめ.ᐟ.ᐟ
・動物が好きなひと
・梨木香歩が好きなひと
・小川洋子が好きなひと
・心あたたまる作品が好きなひと
・鳥が好きなひと