古舘恒介のレビュー一覧
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ネタバレ文系の私にとっては全く未知のエネルギー、でも近年課題も多く、身近で知らなければならないものということで聴き始めたところ、歴史を辿りながら、科学などを知らない人にもわかりやすく多面的にエネルギーにまつわる話が描かれているのでとにかく面白い。そして自分が考えてたより遥かに、エネルギーというものはこの世界の全てで、自分に身近(というか自分自身もそう)ということを実感した。
後半の熱力学やエントロピーなどといった具体的な発明についての話は、やはり専門外すぎてさっぱり頭に入ってこず聴き進めるのが滞ってしまったが、最後の章では自分たちの未来のためにどう考えていくべきか、どんなことをすべきかといったわかり -
Posted by ブクログ
抽象的で流動的そして普遍的なエネルギー。
日々の生活でエネルギーと無関係なものはゼロに等しいのにその実態はなんとも掴み難い。
そんな不思議な存在であるエネルギーを「歴史」「科学」「思想」の観点から読み解き、そこから見えてきたエネルギーの姿をもとに、現在から未来における人類とエネルギーのあるべき関係性が語られている。
本書内でも語られているように、エネルギーと言われてもぼんやりとしたイメージしか湧かなかったが、読後には多少は理解度が深まったように感じる。
個人的に一番刺さったのは、熱力学第二法則(散逸/エントロピー増大)のアナロジーが適応できる幅広さ。これから何を見ても、この法則が適応できる -
Posted by ブクログ
エネルギーの使われ方と技術の歴史、エネルギーに対する哲学的な思索を経て、人類が進むべき道が提案されます。
歴史では産業革命などの革命に加えて、農耕の開始や森林伐採についても太陽光という観点からエネルギー革命に分類している点が面白かったです。
ゾッとしたのがトウモロコシの話でした。完全に工業化されて大量生産され、家畜の餌やコーンスターチの原料になり、もはやトウモロコシなしでは我々の食事は成立しないというのが意外でした。麦や米だけではないと。
本書はいろいろと新しい観点をくれる本でした。エントロピーの話では、文化もエントロピーを必要とするという観点が目から鱗でした。確かに文化の情勢には散逸構 -
Posted by ブクログ
エネルギー史を俯瞰するにはわかりやすくお勧めできる。
また、環境問題を巡る直近できる対策や展望についても整理されていて良かった。
哲学的な部分や対策の部分で「粋」の話が出てきたりするのはまあ著者の意見ということで…好みはかなり分かれると思う。
俯瞰の話から急激に個人のレベルに話がズームしていくのは少々説得力に欠けるとは思う。
気になったのは、取るべき対策関連で1番重要と思われる各国政府や地方自治体、企業といったステークホルダーに関する記述が薄かった点だが、ここはまた別分野に等しい知見が必要になる気がするので、ここを考えたい時は別の書を探す必要があったということなのでしょう。 -
Posted by ブクログ
まず、火、農耕、蒸気機関、電気、人工肥料と5次のエネルギー革命を経て人類が元々の限界を解放してエネルギーの消費と拡大をしてきた様を描く。そして次に熱力学の法則を通して、我々のエネルギー消費は高品質から低品質のエネルギー転換という不可逆的な変化を速いスピードで行っていると述べる。最後に人類の抱えるエネルギー問題の将来や対策について議論を展開。
本書は、著者の広範な知的バックグラウンドに支えられている著書だと思った。気候変動問題についてもエビデンスに支えられたバランスの取れた議論を行なっている。
ただ、惜しいのは、著者は市井の研究者ということもあり全体的にどうしても独自研究的な雰囲気がしてしまった