徳永康元のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ハンガリーの作家バラージュの童話。巻末の解説「バラージュのこと」を読むとなかなか激動の人生だったのではと想像しますが、この「ほんとうの空色」はそれを感じさせないみずみずしい世界。
子供ならみんな覚えのある日常のあれこれ(子供にもいろいろある)と、美しい情景。わくわくする不思議な出来事と冒険。
空色の絵の具については、発想もすごいし想像してはうっとりしてしまいます。
教訓みたいな事は特になく。
子供の世界ってこうだよね、この時期は一瞬なんだよね、すぐに長ズボンはいた大人になっちゃうんだよね。
ウンウンと頷きながら読み終えました。
バラージュ自身もお気に入りの作品だったそう。 -
Posted by ブクログ
フェルコーは貧しい母親と二人暮らし。母親の仕事を手伝いながらの生活で、宿題をする暇もありません。絵が得意なのに絵の具を買うお金もありません。
ある日、友だちに貸してもらった絵の具で絵を描いたが、藍色の絵の具を失くしてしまい、野原の花の汁で作った青い絵の具で空を描くと、その空に本物の太陽や月が輝きだしました。
その不思議な絵の具によっていろんな幸運がもたらされ、最後にお母さんにたくさんの食べ物を持って帰ることができた。
フェルコーは、特別に良い子でもないし、才能があるわけでもない。友だちの絵の具を失くした時も、すぐさま打ち明けて謝るわけでもなく、、そんなごく普通の子が、不思議な絵の具で描いた空に -
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絵が上手なファルコーは、貧しくて自分の絵の具をもっていなかったので、貸してくれた子だけに絵を描いてあげていた。ある日、借りた中から、あい色の絵の具をなくしてしまう。不思議な用務員さんがお昼の鐘がなると一分だけ咲くという野の青い花をつんで、絵の具にしたらいいと教えてくれた。それは「ほんとうの空色」で、太陽や月・星が輝き出し…不思議な出来事の始まりだった。
ひみつのなかまと、ファルコー自身の不思議な体験。
素晴らしく貴重な空色も冒険と共になくなり、思いがけず、最後に残ったひとかけらの「ほんとうの空色」もやがて…
絵画的で美しい描写や、少年が大人になっていく通過儀礼のような象徴的なラストが印象に残 -
Posted by ブクログ
ネタバレ相変わらず感想文が下手なので読むかたは、このコメントは
ネタばれになっちゃうのかな・・・でもとてもうれしかったので
感想を書かせてください。
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ハンガリーの世界観がじぶんのすきな世界観であることに
あらためて確信して ほうっ。。。と うれしいため息がもれそうだった。
日の昇る時間の屋車菊の花畑で 咲いているほんの数分の間に花を摘む。
どきどきとさせるこのシチュエーションに胸が高鳴る。
急いで想いを募らせ、花束をしぼる。
お母さんが雑巾をしぼるのを思い出しながら、
ギュッギュッとしぼる。
花束から青の色、
”ほんとうの空色”がうまれる
なんてすてきな話なんだろう。
”ほんとう -
Posted by ブクログ
物語冒頭では貧しい少年の描写から始まっているので、昔よく読んだタイプの「貧困の中で幸せを見つける」というプロットの物語なのかなぁ・・・・と思い、中盤で野原の花の汁でつくった青い絵の具が出てくると、いわゆる手仕事世界系のほのぼの文学かなぁ・・・・と思い、その絵の具で描かれた絵の空にほんものの太陽や月や星が輝きだすとそのあまりのシュールさに唖然とし、と、同時にこの物語がどこへ向かって語られているのかチンプンカンプンに・・・・ ^^; 描写は美しいんだけど、いったいこの物語のテーマは何なんだろう????ってね。
全てが KiKi の中で解決したのは最後も最後、ラスト2ページでした。
少年の夢 -
Posted by ブクログ
貧乏な洗濯屋の息子は、性格がお人よしで卑屈で
そのため余計な問題を抱え込んでしまう
クラスメートから預けられた藍色の絵の具を
ねずみに食べられて失くしてしまったのだ
それで途方にくれているところ、ふしぎな用務員のおじさんに教えられ
ふしぎな絵の具を手に入れる
その絵の具を使って描くと、そこにまるで本物の空が現れるので
彼はそれを「ほんとうの空色」と名づける
ほんとうの空色は少ししかないうえに
誰もがそれをほしがるもので、あっという間に使い切ってしまうが
それで描かれた空や雲や太陽は、少年に即物的な救済をもたらす
空想の慰めを現実に変えた「子供の話」である
バラージュ・べーラはハンガリー出身の