ディーリアオーエンズのレビュー一覧
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素晴らしかった。
「ザリガニの鳴くところ」がとても良かったので、その著者が書いた本と知り購入。「ザリガニ〜」の原点はここだったのかと納得した。
ボツワナのカラハリ砂漠での7年間にわたるフィールドワークの記録。と一言で言ってしまうには勿体ないほど壮大で、文明にまみれた今いる世界が本当に同じ地球なのか?と錯覚する感覚に陥いる。ライオンやカッショクハイエナの生態、著者との信頼関係、カラハリ砂漠の気候や生態系、とても深く考えさせられる。そして、よく著者は生きてたな…とも笑。
コロナ禍でどこにも旅行に行けない中、広大なカラハリ砂漠にトリップできて没入できる本だった。 -
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ネタバレあらすじでサスペンスミステリーだと思ったら、カイアの人生・湿地の自然・アメリカ社会のドキュメンタリーだった。
あらゆる要素が絡み合ってカイアの無罪を信じたくなる。
カイアがチェイスから暴力を受けた時はウワ〜最悪!って思った。
カイアは孤独でも生きていけるけど、誰かから加害心を向けられた時に一人で生きるのはグンと難しくなる。
保安官に訴えても自分の立場ではどうせセカンドレイプされるだけ…というのがキツい。
社会が犯罪から守ってくれないのは困る。
あとアメリカの裁判こんな感じなんだ〜って見れてよかった。
弁護士が強かった。
検察側にも弁護士側にも決定的な証拠がなくて、弁護士の口先で勝ち取った無 -
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かなりの長編小説なのに、終始ドキドキしながら一気読みした。最初から最後まで感情が揺れっぱなし。
まず、家族に置いていかれたあとも、健気に帰りを待つ幼児カイアに胸が締め付けれる。時折り挟まれる母との回想シーンは毎回涙が出てしまった。
そんなときに現れたテイトの存在に、ほっとすると同時に、別れの予感に苦しくなる。
そしてチェイスへの怒り。「わたしを邪魔すんなー!」
裁判のシーンでは、テイト、ジャンピン夫妻や弁護士のトムへのあたたかい感謝の気持ちと、それに応えきれないカイアの強情さに腹立たった。
そして望んだ生活を手に入れて、こちらも幸せな気分になったあと、最後の真相を知り深淵をのぞいた気持ちになる -
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ノース・カロライナの湿地で村の青年チェイスの死体が発見された。
人々は真っ先に湿地の少女と呼ばれるカイアに疑いの目を向ける。
6歳で家族に見捨てられ、生き延びてきたカイア。
村の人々に蔑まれながらも、
生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へ
思いを馳せ暮らしていた彼女は果たして犯人なのか……
読み終え、脱力感の様な不思議な感覚に襲われている。
前半がとにかく重く辛い。
カイアの人生が想像を絶するほどに過酷すぎるのだ。
数えきれない別れ、そして偏見、決めつけ、差別。
そういった負の感情が次々と描写されている。
だが胸を張って酷いとどれぐらいの人が言えるのだろう。
立場が違えば、自 -
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某インフルエンサーさんがおすすめしていて、普段は翻訳ものは苦手なのですが、なんだか気になって購入。
わたしが思う読書の魅力のひとつに、日本語の文章の流れが好き、という点があって、
翻訳ものが苦手なのは、そんな日本の文章の魅力が削がれてしまいがちで読みづらいからっていうのがあるんだけど、
にもかかわらず、この本はグイグイ読めてしまった。
おそらく、そんな苦手ポイント以上に、自然の描写の美しさが勝っていたんだと思う。
主人公の心の揺れ動きにも胸がツーンとなって、共感できた。あれもこれもフレーズをメモ。
あと翻訳ものってなぜか、この先とても怖いことが起きるんじゃ…?っていう恐怖感があるってい -
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ネタバレノンフィクションの冒険譚。
個人的にはやはり、ボーンズが好きだった。
骨を折るほどの怪我をして疲弊しきっているボーンズに簡易治療を施し、計2、3体ほどの餌も与え、その餌もあまり近くに置くと警戒されるので少し離れたところに置かざるおえないが、そこから自らの陣地の木陰までボーンズが運ぶ上で、傷が開くのではないかとドキドキしながら見守る様。そこから無事回復し、耳にオレンジのタグが付けられ、しばらく見かけなかったと思えば再会できたり、とてもドラマチックだった。
挙句、最後はこれらの話を聞いて感動した人間により知らぬ間に殺されていた。ドラマチック。
他、集団で子育てする様や、我が子を見捨てる者もいたり -
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ネタバレ3.5くらいかな…
中盤までは湿地や自然の描写が浮かべなくて、それは多分鳥や草木をイメージ出来ない自分が居たからだと思います。だから読み進めるのダレました。
後半は色々と小説を読んでいて初めて法廷のシーンや弁護士や検察の主張のセリフや描写が本当に素晴らしくて感嘆しました。あのシーン面白かった。映像が頭にイメージ出来ました。
判決が出て、お兄さんに車で送られる中、カイアが兄に『あなたの中の荒地を見つめてほしい』みたいな独白とその下りがとても好きです。
無罪放免になって、テイトと結婚し、兄夫婦や甥や姪と『家族』っぽいやり直しの温かなシーンが出てきますが、なんか嘘くさくて、ラストを読むと、(あえて -
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ネタバレ最後の最後までは世界観が細かく描かれており、それぞれの登場人物の心の移り変わりも読み取れて没入してしまいましたが、判決が下ってから終わりまでの書き方が好きではありませんでした。
結末の意外性を強めるための、読み取りにくい心情や今までの人物像とかけ離れた行動が多々気になりました。
カイアがジョディに怒りをぶつけるシーンや
あれだけ拒否していたテイトをあまりにも
唐突に受け入れるシーン。
繊細に描かれていた心情は一体なんだったんだ?
と思いました。
またあれだけ村人を毛嫌いしていたカイアが
地方紙に自分の詩を投稿していたっていうのも
全く行動として結びつかない…。
最後の数ページで一気に冷めてしま -
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Posted by ブクログ
ネタバレ漢字の備忘録( ´_ゝ`)
潟湖(せきこ)、櫓(やぐら)
あーやっと読み終わった。時間かかった。
まず湿地ってどんな場所なのか知らない、なんとかドリとかなんとかワシとかも知らない、
というわけで情景を思い浮かべるのが激ムズから始まった。
翻訳も直訳に近いような、スラスラと読めるような日本語にはなってなくてほんと頑張って読んだ、って感じ。
野生の女、カイア。
話しかける相手カモメ、隠れる時は四つ這いで移動、足にクギ刺さっても自然治癒。
栄養取れてなさそうな食事ばっかしてたけど、それでよく175センチ?まで伸びたな。生命力すごい。
そして結局犯人カイア。
男装したり、おばあさんぽくして夜中 -
Posted by ブクログ
家族に見捨てられながらも、広大な湿地でたったひとり生きる少女に、ある殺人の容疑がかかる-。
初めてのディーリア・オーエンズsan。
ようやくご縁があり、読むことができました。
舞台は米国ノースカロライナ州の湿地帯。1969年に発見された死体と、1953年の”湿地の娘”の成長を追った2軸の展開。カイアの生い立ち、閉ざされたコミュニティ、ボーイフレンドたち。
湿地帯の森林や潟湖(せきこ)などの自然の描写がとても美しく、とにかく悪い人はカイヤに近づかないで! と祈りながら読み進めました。
裁判の結果は正直予想できてしまったのですが、最後の詩「ホタル」には胸を打たれました。
”愛もまた移ろう -