ディーリアオーエンズのレビュー一覧

  • ザリガニの鳴くところ

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    私は、この本を読んで、「人生のピークは遅いほうがいい」って思うようになりました。
    ノースカロライナの湿地で、たった一人で生きる少女・カイアの話です。家族に見捨てられて、村の人に蔑まれて、でも彼女は息をしている。著者が動物学者だからか、自然描写がほんとに細かくて、読んでいるとそこに身体ごと入り込む感覚があります。
    何がいいって、この本は「ミステリー」として読んでも、「成長小説」として読んでも、「自然観察記」として読んでも、全部が成立するんです。複数の見方ができるというか。カイアという人物を、どの角度から見るかで、全然違う物語に見えてくる。
    読み終わってから何日間も、このカイアのことを考えてました

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    2025年12月13日
  • ザリガニの鳴くところ

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    ネタバレ

    ラストがなければ星4にしてたかもしれない。
    “なぜ被害を受けた側が赦すことで前に進まなければならないのか”
    許しを求められる立場にされることへの違和感や不条理を突くような一文が特に印象に残った。
    孤立が弱さじゃなく生きる力に変わっていく過程が、物語の芯としてしっかりと響いた。しばらく余韻に浸る。

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    2025年12月11日
  • ザリガニの鳴くところ

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    ネタバレ

    何度も泣いた。主人公がどうなってしまうのか気になり、ページを捲る手が止まらず1日で読んでしまった。感情が動かされっぱなしのお話。

    テイトが戻ってこなかった時、チェイスの婚約を紙面で知った時、戻ってきたジョディをなかなか受け入れられなかった時、お母さんが亡くなってたと知った時、、他力の幸せに裏切られて、何度も何度も孤独を味合わせられてもなんとか気持ちをやりくりしてるのが可哀想で…カイアが自然の中でたくましく生き抜いているのでそちらに気が向いてしまうのだけど、守られるべき子供が孤独に生きているというのが切なくて、何度も涙が溢れてしまった。

    チェイスに関して、貝殻をずっと付けていてくれたの、本当

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    2025年12月08日
  • ザリガニの鳴くところ

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    なるほど名作だった。
    ラストが少々エンタメよりの収束だったので、そこだけは好みが分かれるんだろう。個人的にはエンタメよりに収束させるよりも、文学的な方向に収束させて欲しかった気もする。とはいえ、そこは単なる好みの問題だろう。素晴らしかった。タイトルの「ザリガニの鳴くところ」というのも実に素晴らしかった。

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    2025年11月17日
  • ザリガニの鳴くところ

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    正直、こんなに分厚い小説を読み切れるだろうか?と手に取った時不安に思った。しかしすぐに、物語に引き込まれてあっという間に読み切ってしまった。

    それほどまでに夢中になれる要素が散りばめられている。
    アメリカ南部の情景を思わせる表現、湿地の自然や動物たちの生態、主人公の悲しくも純粋に生を全うする人生、彼女が出会う人たち…五感を通して訴えかけるものがこの作品には存在している。

    謎の死を遂げた青年の背景と、野生の生き物たちと生きてきた主人公が見事なまでにリンクして、様々な推測をさせる。
    そんなミステリーな要素や、主人公が家族や恋愛を通して感じる人間としての暗い側面や孤独と向き合う姿や感情が繊細に表

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    2025年10月29日
  • ザリガニの鳴くところ

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    家族に置き去りにされ、孤独の中で生きてきた少女の成長物語でもあり、村の青年の謎の転落を追うミステリーでもあります。

    湿地帯の鳥や動物たち、木々の描写が本当に静謐で美しくて読んでて映像が出てくるようです。小説版ナショナルジオグラフィックという感じ。

    読んでると「そいつに惹かれないほうがいいよー」と思うのですが、主人公には届かない。もどかしい。

    600ページある長編ですが、貧困や暴力や生き物の美しさとかいろんな要素が散りばめられていて、飽きずに読めます。私なんぞは涙なしには読めませんでした。

    ネタバレとかそういう無粋な表現では語りきれない結末が待っています。「人間もひとつの生き物」なのだと

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    2025年10月26日
  • ザリガニの鳴くところ

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    ネタバレ

    自分が湿地に住む生き物になってカイアを見守り続けたかのような小説。
    湿地のイメージが漠然としていたから、事前に「ノースカロライナ 湿地」を画像検索してから臨みました。(あとがきで「ディズマル湿地」がモデルになっていると知ったけど)

    翻訳作品を読み慣れてなかったため序盤は時間がかかりしんどかったけど、翻訳であっても美しい表現や著者独特の言い回しは受け止められた気がします。翻訳家さんのご尽力にひたすら感謝です。けどやっぱり原文のまま読める方々羨ましい…
    テイトやチェイスが登場してから先が気になって止まらなくなり、序盤のローペースが嘘みたいにするする読めた。

    事件後とカイアの幼少期以降を行った

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    2025年10月26日
  • ザリガニの鳴くところ

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    サスペンス要素はいらないんじゃないかと思いながら読んでいたが、読み終えた後は、それは主人公のミステリアスな雰囲気を際立たせてもいたんだなと納得した。
    動物学者が作者だけあって、自然の描写が本当に美しく感じたし、人間も結局、野生の本能を残している自然の一部であるのだなと思った。
    なによりも、ひとりぼっちで生きてきた主人公の、愛と孤独に翻弄される描写と静かな自然との対比が良かった。
    映画版も絶対見ようと思う!

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    2025年10月19日
  • ザリガニの鳴くところ

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    カイアのような孤独な人生は嫌だと思いつつも、そんな風に生きたいと羨ましいと感じたりもする。カイアの一生を体験するような話だった。

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    2025年10月17日
  • ザリガニの鳴くところ

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    ネタバレ

    最近読んだ中で抜群に面白かった!
    全体通して、具体的な情景や雰囲気、空気がどんどん頭に入ってきて読みやすい文章だった。またそれらを美しいとも思った。

    読み終えてから途中で挟まれる詩がカイアの気持ちをなるべく表現されているのではと思った。
    なのでそれらを読み返してみたらカイアは最後まで孤独と愛の間を揺れ動いていたのではと考えた。そして終盤、彼女は愛を選びテイトと結婚をする。(釈放後の詩では孤独を選ぼうとしてたように思える。)
    そこからアマンダハミルトンの詩は1回も出てこないので、その選択が彼女にとって最善だったかはわからない。

    釈放後、カイアはジョディを拒絶する。みんなで頑張ったのにまだ無理

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    2025年10月09日
  • ザリガニの鳴くところ

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    1960年代アメリカの片田舎で湿地に住む少女。差別に晒されている中ある殺人事件の犯人であると疑われてしまう。人間の善悪両面を描きながら、それを包み込むように存在する自然。孤独の素晴らしさと他者との関わりの難しさなど、物事の両側面を描くこの小説自体が全てを受け止める包容力を持った大自然のような小説だった。

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    2025年10月07日
  • ザリガニの鳴くところ

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    ずっと読みたいと思っていた「ザリガニの鳴くところ」。
    いやーすごかった。。

    幼い頃から家族や大切な人たちに見捨てられ、激しい孤独と寂寥感をかかえながら、湿地の小屋で一人で生き延びてきた少女カイヤ。

    前半部はやや長い印象もあったが、読み終わってから振り返ると、カイヤがどれほど寂しかったか、生き延びるのがどれほど大変だったかを感じ取るのには必要な長さだったと思う。「つらいのは、いくどもの拒絶によって自分の人生が決められたこと」。特にここは心臓がぐっとつかまれたように苦しくなった。

    また、著者が動物学者ということで、自然に対する洞察力とその表現が卓越しているところがこの小説の大きな特徴。
    そし

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    2025年09月28日
  • ザリガニの鳴くところ

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    湿地でひとり生き抜き、ついには名のある人の仲間入りを果たすほどの成功を得たカイアの強さに心打たれた。
    少ないながらもカイアに寄り添う人たちの優しさに救われたり、ふたりの男性との愛に翻弄されるカイアの姿に心が苦しくなったり、ミステリーというよりは〝湿地の少女〟の人生譚を楽しんだように思う。
    とはいえ結末には驚かされた…赤い繊維についてよく考えてみると、答えはそれ以外になかったのだけど。

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    2025年09月08日
  • ザリガニの鳴くところ

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    ネタバレ

    引き込まれる。登場人物はそれほど多くない。  
    カイヤにとって、自然は家族、自然の中では、動物たちは生きるために残酷なこともする。カイヤはただそうしただけ。罪悪感などないのかもしれない。ケイトと結ばれたけれど、なぜか切ない。

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    2025年08月26日
  • ザリガニの鳴くところ

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    ネタバレ

    久々に読んだ海外長編小説。好きな作品でした。
    色々な要素がギュギュッと詰め込まれているのに、とても読みやすくて、物語の世界にスッと入って没頭できた。

    ノースカロライナの風土の描写が生々しく想像掻き立てられる。主人公の少女カイアが境遇が可哀想だけど、逞しく生きていて魅力的。
    カイアを取り巻く登場人物も、目に浮かぶような人物描写でイメージしやすく、翻訳物苦手な人でも読みやすそう。
    ミステリー要素もあって先が気になって一気に読んだ。
    生物の知識も学べてとても面白かった!

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    2025年08月16日
  • ザリガニの鳴くところ

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    ネタバレ

    美しい湿地の情景が浮かんできます。
    カイアの住む小屋の描写も好きです。
    辛い場面が多く、いちいち胸を締め付けられながらも、カイアのたくましさにページを繰る手が止まりません。
    まさかの法廷シーンがあったり
    ラストでは「あーあー…」と脱力したり
    感情が忙しい〜

    映像化しているんですよね。
    きれいなんだろうなぁ

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    2025年07月25日
  • ザリガニの鳴くところ

    購入済み

    静かな波が立つ作品

    なんでしょうね。波は立たないストーリーなのに、読後、ココロが揺さぶられてしまいました。ジャケ買いっぽく買いましたが、正解でした。

    #切ない

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    2024年02月16日
  • カラハリが呼んでいる

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    ザリガニの鳴くところの著者夫婦、実際に育った湿地のリアル。
    すごく綺麗で儚くて美しくて生々しかった。
    写真集ぽいところもあり。

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    2023年11月02日
  • カラハリが呼んでいる

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    ネタバレ

    ザリガニが泣くところの筆者とそのパートナー マークによるカラハリ砂漠での野生生物(ライオン、ハイエナ、ジャッカルなどの)観察ノンフィクション。
     動物のことだけでなく、野外調査に付随する様々な問題、文明化の問題、調査にかかる費用をどう捻出するか、また野生生物をどのように保護するべきかなど、様々なことが語られる。たった二人で文明と隔絶した世界で、乾季に耐え、野火に耐え、何度も命の危険を感じながら、それでも野生生物を観察し、記録し、感動し、怒り、当惑しそして記憶するという類まれないエッセイになっている。
     人類の営みとは別に地球上の生物が進化してきたことをまざまざと感じることができる本。
     万人に

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    2022年04月25日
  • カラハリが呼んでいる

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    今年のベスト3に入る一冊。
    若き動物生態学者夫婦が、カラハリ砂漠の動物たちを追って過ごした7年にも亘る日々の記録。分厚い本だが、動物が好きなら夢中で読めるだろう。
    日中50℃にもなる荒野で熱中症と闘いながら、アナログな機器と身体を使って動物を探し、書いて記録し、来るかわからない補助金を待つ。でも好きなことをやる人たちってなんでこんなに幸せそうなんだろう。
    そしてまた、野生の動物が垣間見せてくれる、自然のバランスの凄さ。王者ライオンとの絆、悪者イメージの強いハイエナの驚くべき社会的行動、妻になつく小鳥たち。飢えの最中にあってもコロニーの幼獣に餌を運ぶ雄ハイエナの行為を「運ぶ者が自分の血を絶やさな

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    2021年12月13日