小野圭司のレビュー一覧
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第二次大戦の銀行を描く。今は金融は虚業なんて言われるが、とんでもない。戦争時の銀行員はそれぞれの戦地で血生臭い仕事をし、国を挙げての総力戦を金融の側面から回していた。占領地や植民地での通貨発行、現金輸送、外貨両替、いずれも戦争遂行に欠かせない。また、金融は国力の水増しも可能で国の経済規模から見れば膨大な戦費調達を可能にしたのも金融のなせる技。戦後の銀行再編は現在にも歴史を紡ぐ。あおぞら銀行が朝鮮銀行をルーツに持つとは知らなかった。もっと言えば、朝鮮・台湾の通貨発行を日本が行なっていた歴史も知らなかった。植民地支配や戦争の歴史は軍事面から語られることは多いが、金融の面から見る歴史もとても面白かった。
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こういう視点で大東亜戦争を見るとは、斬新!
銀行、、とあるが、話の中心は「現金」「紙幣」だと勝手に感じた。
戦争によって軍事費が膨大になり、
その捻出のためにあれやこれやと手を尽くす政府。
まずは大量に紙幣を刷るため、初めて民間企業に紙幣の印刷を託す。
その会社が、私がかつて在籍した「凸版印刷」。
自社で紙幣を刷ったことがある、というのは年史に載っているくらい、
ある意味誇らしいことではあったが、
実はそういう国の窮状が背景にあったということを初めて知った。
ABCDE包囲網で原材料が海外から手に入らなくなり、
紙もインクも金属も不足する。
さらには広島長崎への原爆で、いよいよ敗戦濃厚となったときの
銀行の対応。
国民不安、現金を下ろす動きが拡大することを察知して、
モラトリアムにするか、資金を用意するかで判断を迫られる銀行。
さらには当時朝鮮、満州に侵攻し、銀行も置いていたわけだが、
敗戦後その引き上げ。紙幣の処分、、、
さらにさらに新券切り替え時の混乱、、、
戦中戦後の日本人は苦労したんだろうな。
これを繰り返す手はない。
でも今の某政党はその道にまっしぐらに見える。
環境が悪化しているから?
確かに中国の軍事力は増大している。北朝鮮も。
しかしそれは日本相手ではなく、アメリカ相手ではないか。
そもそも日本がどれだけ軍事費を増やしたところで、
中国に物量でかなうわけもなく、、、
皆過去を知るべきだ。
序章 風雲高まる
第一章 戦時の外地銀行――昭和一九年まで
第二章 本土決戦と金融機関――昭和二〇年七月まで
第三章 長い夏が始まる――昭和二〇年八月
第四章 日本の一番長い日――昭和二〇年八月一五日
第五章 戦争の後始末
終章 諸行無常と万古不易 -
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勉強のために読んだ本。勉強になった。でも、できたら平和ボケして生きていきたいと思っている。
私見として、防衛って囚人のジレンマみたい。
お互い本当は武器は持ちたくないけど、どちらかが武器をもつと持ってない方が不利になる。だから、お互いに武器をもっともっとと集めなくてはいけない。
武器を持っていくから攻められないと言うのもその通り。でも本当は攻める概念を無くしてお互いに武器を持たないのが一番いい。
エネルギーや電力の話も同じ。最近は、レコードが流行り出したり、デジタルデトックスしたがったり、みんなちょっと「もういいやん」って思い始めてるのに。競争を止められない。
まあ、そうは言ってもの世界。いい落とし所がまとまって、このまま平和ボケできることを願っている。 -
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帯というかカバーというか、とにかく表書きにある通り、まさに驚きのエピソード満載、と言う内容。日本が敗戦まで植民地としていた各地の中央銀行の話がとにかくすごい。
朝鮮半島、台湾、満州。沖縄。樺太。
戦況が悪くなり撤退や敗戦となるにあたり、戦費の支払いや人々の口座解約、出金、取付騒動に備え、ギリギリまで居残る銀行員、十分な資金準備のため危険を顧みず資金調達する銀行員。終戦目前のときに、樺太から海をわたり北海道の拓銀本店からリュックに現金を詰めて宗谷海峡を渡る銀行員。
バランスシートを綺麗にする。債務返済。
現金貴金属を占領押収される前に避難。
最後は食べ物もなかった南方の凄惨な戦況はさまざま知ることができるがマニラ、ビルマ、シンガポールなどの正金銀行の様子も詳しく
また、正金銀行で外国銀行として展開していたベルリン支店、ハンブルク支店の業務やチェコ国境付近への疎開、
ソ連参戦前になんとか戦争を終わらせる交渉にしたいとスイス駐在の国際決済銀行BISに勤務していた正金銀行員の和平終戦工作連絡経路。
広島でも原爆投下後8/8には日銀はじめ各銀行が業務開始無通帳で払い出しに応じたとか。物資がなく通貨紙幣の質がどんどん悪くなる、紙幣の植民地銀行券へのスタンプ押印転用、ゴム製の通貨作製など、涙ぐましいやりくりと、それでも粗末すぎてみっともないとお蔵入りになったもの、など。
どれだけものが足りない時代か、と本や映画やドラマで知っているがそんな中でも銀行は果敢に公共事業として、また戦争推進にも人々の暮らしにも必要な業務を淡々と正確に執行していた。
各地の銀行員の敗戦終戦前後の動きは、サスペンス、アクション映画のような臨場感。
戦争も植民占領も絶対に繰り返してはいけない。
そこに人の生活があり暮らしに銀行、お金はかかせない。
状況が悪化してもバランスシートを綺麗にしようとし、最後まで店舗を運営防衛した銀行員、
終戦とともに大量の金売り抜けで債務返済ということも、米軍支配下で軍票ではなく円貨の使用を交渉し認められてこと、など本書で知り九死に一生を得た、少しでもマシな戦後となったことも感慨深い。
戦争という愚かな行為とその推進が主流となった愚かな時代に、それでも真面目で賢い銀行員、経営者、マイノリティであったが戦争を止める努力をした人たちがいたこと。
今、異常事態とも言える高市自民党政権下で、官僚や、金儲けに忙しい銀行員必読の書ではないか。
あとがきに小野さんが書いておられる、
銀行は、ある意味で、バランスシートの上に立つ形而上的な存在で、とにかくリスクを嫌う。銀行員にとってリスク回避は、まさに金科玉条で、その最たるものが戦争だ。
と。戦争はリスクを広げ、銀行制度が国力の水増しを可能にした。
戦争を回避することを金融のスタンスからも、当たり前だけど一義的に考え行動する。今、銀行員はそんな視座をもてているのか。 -
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【内容】
戦前の日本、及び植民地における銀行、金融体制、戦時下の軍事資金の調達、そして終戦直前から終戦直後の混乱期、GHQの進駐までの間の各地域の銀行マンたちがインフレによる金融崩壊を防ぐために文字通り命懸けで奮闘した姿を克明に描いている。
【感想】
戦争を銀行の視点で捉えたことはなかったため、視野が広がり新たな発見が多々あった。戦争はお金がないと出来ない。また終われば後始末は必ず必要である。当たり前だがなかなか見過ごしがちな視点である。
また各自の手記等を参照した詳細な記述によって各銀行員が奮闘するその緊迫感を、まるで小説の様に感じることができ非常に面白かった。現金輸送のために銀行員が自らカバンに札束を詰めて運んだエピソードや、八路軍に包囲された新京から徒歩で脱出しスパイ容疑を過去の同僚に助けられて命からがら帰国したエピソード等、これだけで映画が何本も作れそうな勢いである。
中国大陸において、終戦直後に戦勝国に差し押さえられる前に保有する金を全て売却し債務を返済し切った件には感心した。これにより将来発生しうる混乱や問題をどれだけ回避できたことか。緊急事態に際してその時に出来うる最良を尽くすことが出来る点は、まさにプロフェッショナルだと感じた。
戦争を生き抜いたこうした銀行たちが、バブル期に無計画な金融により倒産、合併による消滅してしまったことも諸行無常を感じてなんとも趣深い。 -
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2025/11/30 「太平洋戦争と銀行」☆小野圭司
太平洋戦争を「軍事」ではなく「おカネ」からスポットを当てた。軍事は「嘘=大本営発表」があるが、おカネは事実のみ物語る。しかも敗戦後もその始末が終わるまでおカネの話しは続く。
大きな疑問は「日本の国力でどうしてあの戦争が維持できたのか?」
答えは、「膨らんだバランスシート」であり、①臨時軍事費特別会計と②現地通貨借入金。国内からの調達と海外からの調達だが、どちらも巨額の借金を積み上げ、敗戦後は紙屑として借金を踏み倒した。
現在の日本国国債もいずれ同じ道を辿るのではないか。
疑問も残った。
①巨額の資産を抱えて終戦を迎えた、横浜正金銀行(3,334億円)日銀(321億円)朝鮮銀行(249億円)満洲銀行(122億円)などはどのように負債を整理して戦後に繋がったのか。
②「封鎖預金」による踏み倒し
昭和21年2月17日緊急勅令で額面5円以上の日銀券は無効。
どちらも日本の恥部の歴史だが、真実は直視されるべき。「教訓」としても。 -
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防衛産業の入門書として最適。
第5章は、ビジネスチャンス獲得の観点から、中小製造業の経営企画、開発担当に強くおすすめしたい。私の個人的な気づきとしても、だからあの企業があの大手と開発をしていたのか、と腹落ちしました。
また、巻末の、失敗の本質を引用した、イノベーションへの提言は日本製造業全体に刺さるものです、
第1章はタイトルに比較的促しており、教養として知っておく価値が高い。
第2〜4、7章は趣味的要素が強い点もある。私は勉強になりました。
図表、写真が効果的に利用されており、読みやすい。出典明記、索引も充実。作り手の入門者への親切さも感じる。
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何をやるにしても大抵の事にはお金が必要だ。戦争も例外ではなく、多大なお金が無ければ、弾は打てない、武器は作れない。そして兵士は動かせない。かつて日本は太平洋戦争に於いて海を越えてアジア各地を侵略した。現地で兵士たちが活動する為には食糧も寝る場所も移動手段も必要となるが、それにも全てお金が必要だ。だからそのお金を出す人とは別にお金を必要な場所に必要なだけ届ける必要性も生じる。現代社会でもそのお金の流通は経済活動の心臓であり、血管としての役目を果たしているのは銀行だ。銀行へ行けば支払いが必要なお金を(口座にお金があれば)手に入れることができるし、場合によっては信用をベースに将来の返済を約束した上でお金を貸してくれる。それを元にして活動して生み出した利益から借りたお金に利子をつけて返済するから、経済は活性化し拡大する。
戦争には前述したように莫大なお金が必要だが、経済活動と同じく、他国を占領して他国から奪い取る利益がその返済の原資となる。これは勝っていれば上手く回る話だが、結果を知る我々からしてみれば、その後原子爆弾を投下され、敗北する日本にそのような夢のような未来は無かった事は誰もが知る事実である。
当時アジアに大量に兵士を送った日本。そして朝鮮半島や台湾を支配して、中国大陸更にはシンガポールをはじめとする東南アジアへその侵略地域を拡大していく。そこには現地で設立した銀行や、国内に拠点を置く銀行の支店が開設されていく。そして、開戦当初華々しく勝利を重ねた日本軍が発行する軍票で武器や食糧を調達し、更に新たな利益獲得を目指して侵略地域を拡大していく。そしてまた新たに銀行を作り、必要なお金を回していくという流れだ。勝っている段階なら上手くいくこのスキームも、やがて日本が敗戦に向けて坂道を転がり落ちていく頃には、銀行の活動も徐々に悲惨な状態に変わっていく。現地には日本から出張する日本人やその家族が居るから、敗走する日本兵と共に逃げなければならないし、樺太などでは多くの日本兵と同じく、捕まった銀行員はシベリアへ抑留される。金庫に残った紙幣を可能な限り分配し、配り切らないものを埋めたり焼却したりと、最後まで銀行員として戦った人々の歴史があった事を本書は教えてくれる。
いつの時代もお金が無ければ人は活動することが出来ず、それがある事によって、新たな価値を生み出し、新たな価値の利益に預かることが可能になる。私もかつて就職活動で銀行を数社受けたが(いずれも落ちた)、私のような不真面目な人間には出来ないことだと思う。お金を渡した先に何が生まれ、それが齎す人々の幸せを想像できなければ銀行員は務まらない。 -
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なんの力も地位も持っていませんが、日本に住んでいる1人の大人として、世界情勢や日本の置かれている状況は最低限知っておいた方がいいと考えています。
また、無知であることで、人を傷つけることや間接的に自分に不利益を被ることも起こり得るからです。
読んでみると自分の生きている時代のことなのに知らないことばかりでした。
ウクライナとロシアの争いで、ウクライナが善戦しているのは、認知戦が功を奏したから。そして、募金やSNSにより、日本人も間接的に参戦している可能性があること。
日本は現在イギリス、オーストラリアと関係を強化していること。
その他にも、日本、アメリカ、中国、ロシアの防衛事情や台湾有事、南シナ海問題、世界経済etc。
興味深く、勉強になったので今後もアップデートしていきたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ
主義、主張の違いはあっても、独立国として毅然と他国に対峙していくためには、どうあるべきかを知り、学ぶことは重要と思う。
本書はその入門書として、日本を取り巻く国々が、どのような軍事体制を取っているかを知る事ができ、軍事強国を隣にもつ弱小国家日本の姿が否が応でも見えてくる。
極超音速滑空兵器(HGV)が飛んで来ても、迎え撃つ術を持っていない、という恐ろしい現実が見えてくる。
本書のはじめに
「『何となく避けている』『考えないようにしている』ではダメ 防衛問題を知ることは、自分たちの自由や幸福を考えること」とある。
私は自由を失いたくない。読みたい本を読み、勝手な感想を述べられるこの自由を大切にしたい。
先ずは、知って考える事が大切だ。本書は現実を認識させてくれ、必要な危機感を募らせてくれた。
おわりに「軍事・防衛問題では『文民統制』による決断が求められます。軍事力に対する民主主義的な政治による統制を意味しますが、その政治は主権者・有権者が選ぶ国民の代表によって運営されます。間接的ではありますが、軍事力に対する文民統制は、この本の読者の皆さん一人ひとりがかかわっています。」とあった。
以前、中国を中心に、逆さにした地図を見た。その時から地政学等に興味が湧いた。と同時に、政治にも無関心ではいられなくなった。試しに、お手元にある地図を回して見て欲しい。見え方が変わると、見方が変わる。そして、その後の入門書としてこの一冊はお勧めだ。