あらすじ
【読み始めたら止まらない!誰も知らない「戦争経済史」】
植民地経営から戦費調達、敗戦後の「清算」まで――
満洲、台湾、朝鮮、樺太、本土を、バンカーたちは決死の覚悟で駆けめぐっていた!
驚きのエピソード満載!
お金から「戦争のからくり」を解き明かす。
国破れてバランスシートあり……
銀行員たちの血と汗と涙の奮闘記!
「本書では戦時銀行体制の中でも少し視点を変えて、「舞台裏」に焦点を当てる。
この「舞台裏」は多岐にわたる。地理的な場合もあれば、制度的、さらには業務的な周辺部分もある。具体的には植民地や占領地での銀行業、硬貨の造幣や紙幣の印刷、また現金の確保や輸送、銀行店舗の閉鎖・避難などだ。道草として、戦後の占領軍経費負担にも目を向けてみたい。
銀行員たちは勝利を信じて軍を支え、敵に追われながら軍の金庫番も務め上げた。そして終戦を迎えると、戦争で途方もなく膨らんだ有形・無形の負債の清算を余儀なくされる。彼らは敗北が明らかになっても、「信用維持」という銀行業に携わる者としての矜持を手放さなかった。さすがのアインチヒも、そこまでは思いもよらなかったであろう。
あちらこちらに散在する断片的な物語を繋ぎ合わせると、戦時に「国力の水増し」を担った銀行体制の新しい輪郭が浮かび上がる。この姿を辿りながら八〇年前の戦争、そして戦後を振り返ってみることにする」――「まえがき――国力水増しの舞台裏」より
【目次】
序章 風雲高まる
第一章 戦時の外地銀行――昭和一九年まで
第二章 本土決戦と金融機関――昭和二〇年七月まで
第三章 長い夏が始まる――昭和二〇年八月
第四章 日本の一番長い日――昭和二〇年八月一五日
第五章 戦争の後始末
終章 諸行無常と万古不易
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Posted by ブクログ
2025/11/30 「太平洋戦争と銀行」☆小野圭司
太平洋戦争を「軍事」ではなく「おカネ」からスポットを当てた。軍事は「嘘=大本営発表」があるが、おカネは事実のみ物語る。しかも敗戦後もその始末が終わるまでおカネの話しは続く。
大きな疑問は「日本の国力でどうしてあの戦争が維持できたのか?」
答えは、「膨らんだバランスシート」であり、①臨時軍事費特別会計と②現地通貨借入金。国内からの調達と海外からの調達だが、どちらも巨額の借金を積み上げ、敗戦後は紙屑として借金を踏み倒した。
現在の日本国国債もいずれ同じ道を辿るのではないか。
疑問も残った。
①巨額の資産を抱えて終戦を迎えた、横浜正金銀行(3,334億円)日銀(321億円)朝鮮銀行(249億円)満洲銀行(122億円)などはどのように負債を整理して戦後に繋がったのか。
②「封鎖預金」による踏み倒し
昭和21年2月17日緊急勅令で額面5円以上の日銀券は無効。
どちらも日本の恥部の歴史だが、真実は直視されるべき。「教訓」としても。