カワタアキナのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ぼくは刑事です
著:小野寺 史宜
---
**〈 書籍の内容 〉**
松川律は三十一歳の刑事で、シングルマザーの竹本澄音とつきあっている。澄音の五歳の娘・海音との距離も縮まり結婚を真剣に考えたところで、澄音から自分の父親には前科があると告げられて――。ラーメン店を経営する姉一家との交流や同期刑事とのやりとりなどを小気味よく織り交ぜながら、若き刑事の二年の月日を描く。スカイツリーの見える東京・下町で繰り広げられる心温まる人生の物語。
---
**〈 感想 〉**
小野寺さんの作品は『まち』や『タクジョ!』も印象に残っていますが、本作も同じく私の心に深く響きました。最大の魅力は、日常のリア -
Posted by ブクログ
警察官の2年間の日常を擬似体験でき、心が温かくなる小説。
警察官の足枷が周りに与える影響など、深く考えたことがなかったです。
だからこそ、新鮮な気持ちでこの小説と向き合える事ができました。
2年間の各季節の流れなど、しっかり人としての成長や思考の変化などがあり。
心地よく読むことができました。
後半の流れも想像とは違っていたのも楽しめました。
人によっての考え方や状況などいろいろな発見があるのもいい小説です。
小野寺文宜さんの小説は、日常を視点にしているので物語がすっと入ってきて好きだと実感しました。他の作品にも多く触れたくなりました。 -
Posted by ブクログ
前作から8年近くの時をへて2021年5月に出たばかりの、七重町シリーズ最新刊。
……といっても、わたしはSFマガジンを通じて、倉数茂さんを知ったばかりなわけだけど。
著者自身もインタビューで語っているように、今作は、「七重町シリーズ」とはいっても「仕切り直し」の1作で、滴原兄妹はやや背後に退いている。それでも美和はやはりこの世ならぬものを見てしまい、そこから物語がはじまる。
美和が第1発見者となった殺人事件を捜査するのが、主人公である盛岡県警の若手刑事、麻戸で、本作はテンポのいい警察小説になっている。地元警察とのめんどくさいやりとり、コンビを組む上司との確執、マスコミにリークされた責任を負 -
Posted by ブクログ
『ぼくは刑事です』
松川律という三十一歳の刑事の日々を、淡々と綴った物語。そう、まさに淡々と・・・
そして、小野寺さんらしく、実直で真面目な主人公の目線がリアルに描かれている。
記憶の断片のあるあるシーンや、
掴みどころのない会話シーンなど、
フワフワ柔らかいのに、すーっと心に沁みてくる小野寺マジックに、今回も見事にハマってしまった。笑
刑事という職業を、正直なところあまり身近に感じたことがなかったので、新鮮に感じた。
意外とこんな風に「普通」な刑事さんが多いのかもしれない。
けれど、就職や結婚のタイミングで身辺調査をされることや、恋人とのデート、知人の結婚式にも、急な呼び出しなどで制約 -
Posted by ブクログ
ネタバレ刑事って仕事はどんなものか…これまでドラマや漫画、ミステリー小説などで持つ一般的なイメージは、正義感が強く、平和を守るために命の危険も厭わない『聖職』として仕事をしている人が、逆に暴力団と結託して悪事をはたらくダーティーなヤツ…みたいな2択しかないような印象が普通ではないだろうか。
この小説に登場する松川律(まつかわ・りつ)はちょっと違う。合コンし、子持ちの歳上の彼女と付き合い、長いLINEをし、どちらかというと私生活は普通の32才の若者だ。
まあ、それは当たり前のことなのかもしれない。僕らは『刑事くん』(古い)から『太陽ほえろ』や様々な刑事ドラマで、刑事という職業は市民の安全のために尽くす -
Posted by ブクログ
ネタバレ安定の小野寺節。
メンタルの安定した落ち着いたいい男目線の一人称語り。淡々としている。今回は物語終盤に向けて怒涛の展開だったのだが、それでもやはり「大きなことは起きない」と感じさせてしまう語り口。いい意味でとても現実的な物語。
主人公は松川律。刑事。警察官のなかでも、事件を扱う刑事。高校時代の先輩でシングルマザーの澄音と付き合っている。澄音の子ども海音ちゃんとも会い、結婚も考える。でも澄音の父には傷害の前科があった。で、上司からも結婚を止められる。それでも結婚しようと考える。警察を辞めてでも結婚しようと考え、そう伝えるが澄音が反対。2人は別れる。そして2ヶ月ほどで澄音が交通事故で亡くなる。海 -
Posted by ブクログ
岩手県の七重市(架空)で見つかった元ホームレスの男の遺体。体の自由を奪われ、食事も与えないまま、絞殺したという残虐な方法だった。色んな疑問がありながら、捜査は難航。そんな時、その男の過去を探るうちに意外な経歴が浮かび上がる。
読み終わった後が、気づいたのですが、この作品は続編だそうです。「黒揚羽の夏」「魔術師たちの秋」に次ぐ3作目ですが、単独としても、楽しめます。
ただし、登場する滴原兄妹の背景をより詳しく知りたい方には、1作目から読まれた方が良いかと思います。
何も知らずに読んだのですが、霊感のある妹と妹思いの兄がなぜそのような行動に至るのかといった背景が、あまり描かれず、主に警察の捜