カワタアキナのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ相変わらずいいわ〜
小野寺さんのこの感じ
「刑事」を意識して、読み始めた人には
物足りないんだろうけど
私は小野寺さんの小説を
読みまくってるから
刑事なのに、刑事な話じゃない
このノリが、すごく好きやった
刑事の話なのに、メインが恋愛!
なのに、ちゃんといたるところに
「正義」が散りばめられてる
律、絶対めっちゃ性格いい奴やん
まんまとはまった
普段あまり悲しいことが起きない
小野寺さんの話に
悲しいことが起きたのは
びっくりした
そして最後の展開
普通なら、こういう展開には
いやいや子供育てるって大変やで?
無理やろと否定的に考えちゃうけど
律くんなら、どうにかするんやろなぁ
刑事辞める覚悟と
刑事辞めない覚悟(澄音さんのためにも)と
刑事をする上で死ねない覚悟
(海音ちゃんのために)
全部が詰まっていて「くーっ!」って感じ
良い本でした
子供の何気ない発言を
うまく取り入れてる小野寺さん
性格良い作家さんなんやろなぁ
次作も読みます!
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Posted by ブクログ
前作から8年近くの時をへて2021年5月に出たばかりの、七重町シリーズ最新刊。
……といっても、わたしはSFマガジンを通じて、倉数茂さんを知ったばかりなわけだけど。
著者自身もインタビューで語っているように、今作は、「七重町シリーズ」とはいっても「仕切り直し」の1作で、滴原兄妹はやや背後に退いている。それでも美和はやはりこの世ならぬものを見てしまい、そこから物語がはじまる。
美和が第1発見者となった殺人事件を捜査するのが、主人公である盛岡県警の若手刑事、麻戸で、本作はテンポのいい警察小説になっている。地元警察とのめんどくさいやりとり、コンビを組む上司との確執、マスコミにリークされた責任を負わされての謹慎、など、いずれも「警察小説あるある」かもしれないけど好感の持てるリアルな主人公なので、入れこんで読める。
そして麻戸は、この謹慎期間中、事件に別角度から光を当てることを思いつき、その結果、思いがけない社会問題と葬り去られた過去の悲劇が浮上する。
“浮上する過去の歴史"というのがこの七重町シリーズのひとつの肝なのかな。前作『魔術師たちの秋』ではそこらへんが少しごちゃごちゃして印象に残りにくかったけれど、今作は主筋がくっきりと心に刻みこまれて、サイドストーリーである美和の体験もそこにきちんとからんでくるので、とてもよい。一気読みできて、しかも頭にくっきり残る本でした。 -
Posted by ブクログ
「刑事」。市民生活の平和と安全を守る正義の実行者だ。
けれど刑事にも私生活はある。
家族、恋人、親友。職業上、制約が多くなるのはしかたない。でも……。
若い刑事の日常を描くヒューマンドラマ。
◇
ぼくは刑事。だから忙しい。
実際、何か事件が起きると夜中であってもすぐに呼び出されるし、凶悪な事件が発生しようものなら署に泊まり込んで連日の捜査に当たることになる。
つまり、私的な予定が立てにくい職業だと言える。
今日は、久しぶりに家に帰れることになった。犯人逮捕に伴い、捜査本部が解散したからだ。
署に詰めていたこの1ヶ月、帰宅できたのは10日ほどで、主に着替えを取りに帰っただけだった。
現在の住まいは、京成曳舟にあるワンルームのアパート。所属先の墨田署から徒歩圏にあるから選んだ物件だ。ほぼ寝に帰るだけの部屋。だから室内には、家財道具がほとんどない。
そんな殺風景な部屋に戻って室内干ししたままだった洗濯物を外しているとき、私物の方のスマホが鳴った。
表示された名前は「梅木由宇香」。ずいぶん前に別れたいわゆる「元カノ」だ。もう連絡を取り合うことはないと思っていた相手なので、戸惑いつつ出てみると……。
( 第1章「春」) ※全8章。
* * * * *
小野寺史宜さんの刑事ものとは珍しい。
そう思いつつも、きっとライフに重きを置いたストーリーだろうと見当をつけて読みました。 ( その通りでした。)
主人公は、松川律という31歳の独身男性です。大学卒業後に警視庁に採用され、派出所勤務の制服組を経て刑事になりました。
この松川くん。これまで読んだ小説に登場するどの刑事とも違うタイプの青年です。
熱血漢でもないし、反骨精神の塊でもないし、斜に構えたニヒリストでもない。体育会系のパワハラセクハラ傾向など微塵もなく、不正を働いたりもしません。
誠実で穏やか。細やかな心遣いができて、ナイーブな面も持っていますが、バランス感覚に優れ、物事を冷静に判断できる思慮深さも持ち合わせているため、体育会系の男社会である警察内で浮いてしまうことはありません。
我欲はあまり強くなく、物事に淡々と向き合おうとする、小野寺作品の主人公に多い人間的に好もしい青年です。
物語で描かれるのは、そんな松川くんの 31歳からの2年間の出来事ですが、中心になるのは恋愛事情です。
松川くんには現在、「恋人」として交際中の女性がいるので、まずはその女性、竹本澄音さんについて、紹介しておきます。
澄音さんは、松川くんが高校時代に所属していたバドミントン部の先輩だった女性で、松川くんより2つ歳上です。
現在はバツイチのシングルマザーで、5歳になる娘の海音を1人で育てています。
この澄音さん、実にステキな女性です。
さっぱりした気性でユーモアもあり、他者への配慮も忘れません。
シングルマザーなので仕事と育児をこなしていて多忙にも関わらず、情緒は常に安定していて、海音ちゃんや松川くんにも安らぎを感じさせるような「大人の女性」です。 ( 小野寺さんの作品によく登場する、ステキな女性のひとりです。)
そんな澄音さんと過ごす時間の心地よさをこよなく愛する松川くんは、海音ちゃんにも懐かれたことで、澄音さんとの結婚を真剣に考えるようになるのです。
続いて、松川くんを取り巻く登場人物について触れておきます。
松川くんの家族はいい人揃いであり、澄音さんのお父さんも好人物です。さらに、松川くんの上司や同僚にも性根の悪い人間は見当たりません。
つまり、松川くんは自分に好意的な人たちに囲まれて日常を送ることができているということです。
ここまで見てくると、澄音さんとの結婚という松川くんの希望の実現には何の支障もないように思えるのですが、実は松川くんがまだ知らない事情が澄音さんにはあって……。
というのが前半の基本的なストーリーです。 ( 後半についての詳細は控えます。)
最後に、読み終えて感じたことを少しつぶやかせてください。 ( ネタバレに繋がるかもしれませんので、気になる方はどうかお読みにならないでください。)
2つあります。
1つめは警察組織の特殊性についてです。
警察官は、採用される際に「身体検査」と言われる身元調査があり、結婚する際には婚約者のことも調べられると聞いたことがあります。
職業柄、本人に対する「身体検査」は止むを得ない気はしますし、結婚相手についても仕方ないのかも知れないとは思います。
けれど、当事者の家族のことまで調査されるということは初めて知りました。
そして、もし家族に何らかの傷があれば、例え軽微なものであったとしても、採用は見送られるし結婚は許可されないというのは、心情的に納得しづらいものがあります。
警察官志望者が減少の一途であるそうですが、その原因は、業務の過酷さに加えてこのような縛りがあることも影響しているのではないかと思いました。
( ところで、すでに警察官になっていた人の家族や親族が罪を犯した場合は、どうなるのでしょうか。もしかして、よくて内勤や関連団体への出向、下手すると依願退職とかになるのかも。などと、ぐだぐだ考えてしまいました。)
2つめは、物語の収め方についてです。
澄音さんとの結婚話が暗礁に乗り上げたことで、松川くんはある決断をするのですが、これについては予想できました。
そんな松川くんの思いに対して澄音さんもまた大きな決断をしますが、これも想定の範囲内でした。
けれど、そんな2人に向けて小野寺さんが用意したエンディングは、まったく想像もしていなかった衝撃的なものでした。
「こんな収め方はちょっと……」と、読後すぐは思ったのですが、レビューを書けずに少なくない日数を過ごすうちに、落としどころとしては悪くないのかもしれないと思えるようになりました。
燃え上がる炎のような激しさではなく、石炭の火のような静かだけどしっかりした松川くんの情熱のあり方には、この結末がよくマッチしていることに気づいたからです。
完全にネタバレになるのは避けたいので詳細は控えますが、これはこれで小野寺さんらしい「うれしさも中くらい」のよさがある作品だと今では感じています。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ淡々と、まさに淡々と進む物語。
で、結婚前の調査のところでなるほどそういう展開ですか、となる。
初めて前のめりになって読む感じ。
そして澄音の事故死で意表をつかれる。
横断歩道のAくんBくんのところ、よかったな。
2人の子を見ながら海音ちゃんを引き取ることを考えてたんだろうなとあとから思った。
不倫してた同期との会話にも主人公の魅力がいい感じに溢れでる。
こんな刑事さんがいたら最強でしょう、自分の弱さを知っていて訓練された体を持ち、天性の性格の良さを持ちながら、さりげなく相手を守る。
名前もいいよ、律。
小野寺史宣の小説って朝ドラみたいだな。悪人が出てこない。
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Posted by ブクログ
『ぼくは刑事です』
松川律という三十一歳の刑事の日々を、淡々と綴った物語。そう、まさに淡々と・・・
そして、小野寺さんらしく、実直で真面目な主人公の目線がリアルに描かれている。
記憶の断片のあるあるシーンや、
掴みどころのない会話シーンなど、
フワフワ柔らかいのに、すーっと心に沁みてくる小野寺マジックに、今回も見事にハマってしまった。笑
刑事という職業を、正直なところあまり身近に感じたことがなかったので、新鮮に感じた。
意外とこんな風に「普通」な刑事さんが多いのかもしれない。
けれど、就職や結婚のタイミングで身辺調査をされることや、恋人とのデート、知人の結婚式にも、急な呼び出しなどで制約が入ってしまうこと。
確かに、そういう側面を持ち合わせている職種なのだ。本当に頭が下がる思いがした。
従姉妹が警察官と結婚したとか、
甥っ子が刑事になりたいとか、
職業選択の一つとしか捉えていなかったが、その大変さや、様々な気苦労、本人のみならず身近な人も巻き込むことの多い職業であること。
小野寺さんらしい、優しく真っ直ぐな物語の中に、ひとりの刑事の生き方がギュッと濃縮されていて、心温まると同時に、身の引き締まる思いがした。
それにしても、松川律はいい男だ。
思考の回路が素敵過ぎて、心が洗われるようだった。
読後の清々しさがたまらない。
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Posted by ブクログ
岩手県の七重市(架空)で見つかった元ホームレスの男の遺体。体の自由を奪われ、食事も与えないまま、絞殺したという残虐な方法だった。色んな疑問がありながら、捜査は難航。そんな時、その男の過去を探るうちに意外な経歴が浮かび上がる。
読み終わった後が、気づいたのですが、この作品は続編だそうです。「黒揚羽の夏」「魔術師たちの秋」に次ぐ3作目ですが、単独としても、楽しめます。
ただし、登場する滴原兄妹の背景をより詳しく知りたい方には、1作目から読まれた方が良いかと思います。
何も知らずに読んだのですが、霊感のある妹と妹思いの兄がなぜそのような行動に至るのかといった背景が、あまり描かれず、主に警察の捜査を中心に描いています。
なので、ちょっとモヤモヤ感はありました。警察の捜査とちょっとずつ絡んでいくのですが、近すぎず遠からずといった位置付けなので、兄妹パートは必要かな?という疑問がちらほら浮かんでいました。
事件の方に着目すると、主人公は捜査一課では若手の浩明と女性刑事の絵美がコンビとなって捜査します。
捜査していくうちに様々なことが浮上し、それらが段々と線で結ばれていくので、その過程は読んでいて爽快でした。
様々なことの中で、重要な鍵を握るのが、ハンセン病や差別といった社会問題です。ちょっと前に発生した相模原での障害者による事件も扱いながら、被害者の過去に迫っていきます。
正直、ハンセン病といった言葉は聞いたことはありましたが、知らないことだらけで色々考えさせられました。
自分とは違う、普通とは違うというだけで、簡単に人を蹴落とすという行為に重い気持ちにもなりましたし、色んな人間の「闇」を垣間見たようで、憤りの気持ちにもなりました。
なぜ、車上暮らしだった被害者が、交通が不便の土地に住むようになったのか?
なぜ、残虐な方法で殺されたのか?
次々と事実が明らかになっていく先に見えてくる犯人の正体が、意外で衝撃でした。一つの殺人事件から犯人逮捕まで、背景となる要素が社会的で重厚だったので、読み応えがありました。
その分、兄妹の存在感がぼやけた感覚があったので、どんな背景が隠されているのか、前作品も読んでみたいと思います。