小林祐児のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
これまでの社会人の経験を振り返るための手がかりとして、本書を再読した。以下は気づいた点のメモ。
本書は、日本社会における転職を、感情的判断や偶発的出来事としてではなく、データと行動科学に基づいた体系的な現象として捉え直す試みである。その出発点として、著者らは日本の転職観に潜む「隠れた前提」に着目する。すなわち、本人が自分の志向や能力を正確に理解していること、その自己像が短期間では変化しないこと、企業や仕事の実態を求職者が十分に理解していること、企業と仕事が安定的に維持されること、そして両者が変化せずに相互に適合する機会を得られるという前提である(p.40)。しかし現実には、人も組織も常に変化 -
Posted by ブクログ
まるで自社のことを言われてるかと思うかのような著書だった。特に管理職と社員とに意識や行動のギャップがある組織は要注意かもしれない。弊社でも本社組織は社員がバリバリ回したりするので該当しない部分もあるが、地域に行くと途端に本に書いてある現象が起こっている。
まだ管理職じゃないが、フォロワーシップアプローチやネットワークアプローチは社員でも積極的に広げることもできるし、負担を下げれる要素に思える。
というより、柔軟性や余白は一人一人の自発性わ成長に繋がりやすいというのがなんとなく感じた。年下部下ができたので、まずは練習として取り組もうと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレよくある持論や自慢話満載の新書ではなく、きちんと論理的かつ構成もきちんと書かれていたので、筆者への信頼感がまず、大きかった。
自分は管理職を目指してギアをいれるかどうかという年齢。管理職になることで幸せな自分が想像つかないことで、キャリアを悩んでしまいこの本を手に取ることに。
結論、自分でこのやばい管理職のあり方を変えていこうと思った。
いくつか心に残ったポイントを記載。
①
「逆説的に言えば、「罰ゲーム化」してもまだ管理職のなり手が現れてきているのは、日本社会に残っているこうした大きなジェンダー・ギャップのおかげだ、という言い方もできます。
つまり、性別役割分業意識を背景に、仕事を通じ -
Posted by ブクログ
管理職への昇進を望まない若手が多いと言われる中、その現状を様々なデータで分析し、その原因と解決策を説いた話題の一冊。
本書の冒頭で、マネジャー向けの本は数あれど、管理職の「負荷」問題について、ここまで多角的に議論した本は、この国には存在しない、と明言しているように、内容を特化させた分、刺さる人には刺さる内容だった印象です。
第1章「理解編」と第2章「解析編」の途中くらいまでは、データをもとに、管理職が何に困っているのかといった内容ですので、よくあるマネジメント本に近いような感覚で読み進めていましたが、管理職のn負担が増大する構造を、人事の対処、現場マネジメント、管理職人材不足の3つが無限ループ -
Posted by ブクログ
ビジネスパーソンの価値観は多様化しており、「管理職になんてなりたくない」というのも今の時代では普通の意見の一つに思われます。
こうした意見の背景にある「管理職の『罰ゲーム化』」という根深い問題について、その概観から具体的データ、構造をわかりやすく紐解き、最後にはどのように修正できるのか解説されています。
示されるアプローチのうち、特にフォロワーシップ・アプローチやワークシェアリング・アプローチには共感する部分も多く、効果的に感じます。
うまく仕事を任せていくために自身の「仕事のものさし」を柔らかくすることの重要性にも共感。
管理職以上の方は強くおすすめしたい一冊です。 -
Posted by ブクログ
終章を読んで泣いてしまった。
日本企業の特異な昇進ルールや、ルールに適応できないまま歪な形で運用されてきた成果主義と目標管理評価制度、それにより疲弊する管理職層とロールモデルを見失ってエンゲージメントを低下させる若手の構造について、多くの文献を読者向けにわかりやすく噛み砕き、再構成しながら説明されている。
それだけでも素晴らしいのだけど、終章にかかれた管理職の意義(と私は感じたのですが)に胸が震えました。
与えられる側から与える側になり、後進を育て、託すという気持ち、この気持ちを持てるかどうかが管理職にとって1番大事な能力なのかもしれませんね。
著者は経営畑の人にしては随分とエモーショナル -
Posted by ブクログ
・管理職が多忙になっている現状に対して、会社側は筋トレ発想で研修を与えスキルアップを促している
・部下にはビクビク系、いうこと聞かない系、先回り系の3つがあり、それぞれのタイプに対してマネジメントをした時にメリットデメリットがある。とくにビクビク系、いうこと聞かない系にマイクロマネジメントをするとかえって仕事が増える悪循環に陥る
・日本の管理職は勝手に参加させられて勝手に降ろされる雑用係である(任用のプロセスの観点で)
・対策として①フォロワーシップアプローチ(メンバーも管理職の立場や必要な素養を知る)②ワークシェアリングアプローチ(権限移譲)③ネットワークアプローチ(社内外で話せる関係を作る -
Posted by ブクログ
国際的にも「学ばない日本人」。その原因は企業において必要なスキルの「鋳型」を作り、工場のように人材をその鋳型にはめ込み、人手不足のポストに充てようという発想が限界に達しているからだという。個人においても受動態でもなく、能動態でもない「中動態」で愚痴を言いながらも、そこそこ真面目に、そこそこ楽しく、平等主義の中で生きている個と組織のなれ合いの関係が、今の日本で働く人の環境を形作っている。非常に鋭い洞察だと思う。
<変化抑制意識>を防止し、<変化適応力>という心理的資本を蓄積するための内部(社内)労働市場の流動性の質を高めるような”仕組み”を企業は考えないと、「学ばなさ」と「変わらなさ」という根本 -
Posted by ブクログ
自分も何度か転職を経験して、いまもまた転職したい気になっている。いつも思うのが、現状逃避のような気持ちが根っこにあるんじゃないかなというところなんだけど、とにかくこの本は知識の面でもマインドの面でも学ぶところが多かった。
海外のキャリアアップ型の転職に比べ、日本の転職は条件が悪くなることが多い。それでも転職するのは、もとの職場の人間関係や働き方への不満からくる、いってみればネガティブ型の転職ということになる。
そして転職で「天職」にめぐり合うことを期待してしまうけれど、それもなかなか難しい。なぜなら――
「世の中に『完全転職』はありえない」というものです。
オリエンテーションでも述べたとお -
Posted by ブクログ
ネタバレリスキリングのブームは(1)DX(デジタルトランスフォーメーション)の潮流(2)人的資本開示の潮流から起きた。しかし、そのリスキリングの対応は表層的と言わざろう得ない。それはリスキリングを工場モデルで考えているからだ。(個人へスキルを注入する。)欠点としては、1)「個」への過度のフォーカス、2)学びの偏在性(学ぶ人しか学ばない)、3)スキルの明確化がスタートに置かれている(例えば、次はどのプログラミング言語が市場で求められるか?は誰も予想できない)、4)スキルを「獲得した」らすぐに「発揮出来る」と短絡的に考えている。
企業が従業員に対して行う研修が、果たして企業の業績にプラスに寄与するのか? -
Posted by ブクログ
リスキリングは経営課題~日本企業の「学びとキャリア」考
著:小林 祐児
リスキリングとは、業務上の技術や専門スキルを新しく獲得すること、そしてそれを企業が従業員に促進することである。DXと合わせて普及しつつあるこの言葉は、「生涯学習:「リカレント教育」などと同じく、広く大人の「学び直し」と捉えられる。
本書では、リスキリングに必要な「仕組み」を「行動変化」「学びのコミュニティ化」「意思の創発」の三つの提示及び以下の8章により説明している。
①リスキリングの流行とその課題
②学ばなさの根本を探る
③変わらなさの根本を探る
④リスキリングを支える「三つの学び」
⑤工場から創発へ
⑥学びの共同