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コロナ禍で早期退職の募集が急増している。対象は3年連続で1万人を超え、リーマンショック後に次ぐ高水準だ。業績良好な企業の「黒字リストラ」も少なくない。長年尽くした会社から突然、戦力外通告を突きつけられ、会社に残れば「働かないおじさん」と後ろ指を指される。なぜキャリアを積んだ中高年がこんなに邪魔者扱いされるのか。転職すべきか、留まるべきか、どう変わればいいのか。制度疲労を起こしている「日本型雇用」の問題を浮き彫りにしながら、大リストラ時代を生き残る術を示す。
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Posted by ブクログ
昨年定年退職(60歳)し、契約社員として継続勤務中。 今後の事を、あらためて考える必要性の認識を促してくれた重要な一冊。部分的に再読しよう。
人事・組織について考えている人・「社会課題」としての中高年問題に関心のある人向けの要素が多め。 「働かない」「帰らない」「話さない」「変われない」という男性中高年の「四ない」問題について、歴史的背景から解説している。 これからの時代の会社経営や採用、教育研修を考えるにあたり勉強になった。 中高年問...続きを読む題を考えるにあたり、多くの人が心理還元主義に陥っているという話はドキッとしてしまった。 中高年向けのキャリアデザイン研修なども増えているが、「モチベーションが低いから…」といった考えが「本人に刺激を与える」といった表面的な啓発でとどまってしまい、仕組みが追い付いていないのが日本企業の課題である。 (社会学では社会の「心理学化」と呼ばれ、ヨガや瞑想の流行、自己分析の一般化など、様々な問題に対して「個人」の「心」を通じてアプローチしていく発想は、既にありふれたものになっている) キャリアの考え方については、フランスなどのラテンモデルだと、飛び級システムで優秀な新人でも管理職として採用するし、良いポジションがもらえないなら入らない。一方で日本企業のキャリアの歩み方が校内マラソンで、よーいドンで一斉スタートし、平和主義・競争主義で長い長い昇進レースをしていく。会社事情で異動もするからキャリア計画もろくにできず、昇進だけをモチベーションとして走り続けている。 アメリカドイツは出世の見込みがない人が5割になるのが10年前後、日本は22年でとても遅い。 これを踏まえて出世意欲の「出世したいと思わない」が「出世したい」が上回るタイミングが42.5歳、またキャリアの終わりを意識するのが45歳くらいというデータを見ると、昇進以外のモチベーションの代わりになるものがないまま走り続けて、出世意欲がなくなると引退モードが見えてくるというのも納得できる。 先進各国の中で最低クラスの学習習慣のなさが、中高年の「変わらなさ」の背景にあり、APAC就業者の学習状況のデータでは、勤務先以外での学習や自己啓発について、日本は「特に行ってない」が46.3%。次に多いのはオーストラリアとニュージーランドだが22%程度で大きな差がある。 キャリアについて計画ができない校内マラソン型人事なので、配属された後に覚えた方が合理的と考えることと、長時間労働の文化が根付いていることが背景と考えられる。 社会関係資本(ソーシャルキャピタル)の分厚さが人生の幸福感や満足感に繋がるという話はよく聞くが、年齢と交友関係の幅の分析で男性の方が年を重ねると他社との交流が急減し、女性は寧ろ50代でまた増えている。 忙しい仕事を引退した後の妻との時間を楽しみにしている夫に対し、日々ママ友や地域交流を通じて社会関係資本を蓄積してきた妻、という比較が悲しくもその通りだなと感じた。 目標達成の志向性・新しいことへの挑戦や学びへの意欲・興味の柔軟性の3点が変化適応力の促進心理であり、これらは組織と雇用のあり方によって変えられる。
中高年には切実な問題ですね。 確かに若い頃とは、いろんな事が変わってきました。 働かないおじさんの問題もあるけど、日本の雇用形態にも大きな欠陥があると思う。
校内マラソン型人事において、日本では40代前半で限界が見えてくるため、代替モチベーションが存在しないがゆえに働かないおじさんを生み出される、ということを説明している。(米国などでは30代前半でラットレースにある程度見えてくるため、代替モチベーションを見つけやすい?) また雇用環境では、年功序列雇用で...続きを読むはなく、昨今はジョブ型雇用のトレンドがあり、年功による賃金カーブの平準化が進んでいる。 そのような環境下において、1970年代生まれ前後のミドルは厳しい現実を突きつけられる可能性が高そうということである。就職氷河期に社会に出て、ミドル時代ではジョブ型雇用として年功序列制度にメリットを享受できる割合も少なく、早期退職募集を受ける可能性が高い、一方で受給年金の後ろ倒しが行われていき、健康であれば75歳前後までは働く必要がある。そこで本書に書かれているようなサバイバル術として、備えておくことが大事ということがよく分かった。
「個別の施策の切り貼り状態で、その全体像をデザインする発想が欠けていることも多くあります」 「キャリア自律アプローチの最大の問題点は、実行的な制度上の工夫もこらさず、きちんとした予算もつけない、ただの呼びかけが多い」 同意します。 が、社員側が利口になり、会社の制度をうまく利用すればいいとも思う。
働かないおじさん問題は自分たちが若い頃から言われてるけど、相変わらず温存されてるんだろうなぁ。怖いのは自分が就職した頃のそんな人たちはもう会社を去り、自分たちがそんな年齢に差し掛かっていること。 結局、専門性なのか、それにとらわれず広範な業務を経験するゼネラリストか。 転職を繰り返す人に「強い」人が...続きを読むいるのはなんとなくわかるけど、必ずしもそうばかりでない。キャリアの硬直性は考えるべきだけど、どこまでいっても隣の芝は青く見えることは忘れちゃいけない。
著者が述べる中高年就業者の問題点「四ない(働かない、帰らない、話さない、変われない)」、それに対する日本の労働市場の歴史的背景や将来的課題の根拠提示やデータ分析は俊逸だ。例えば年功序列制も単なる累進加算ではなく加齢に対する期待値が本来趣旨ということが分かる(であればIT時代では時代遅れと言われても仕...続きを読む方ないであろう)。一方で「早期退職サバイバル」と銘打っておきながら、主な読者層であろう40~50代にとっては気が滅入るような論説をただただひたすら200頁超見せつけられる。具体的提言である第7~8章も、結局はべき論を以てして企業にしわ寄せし問題を先延ばしする行政の姿勢と何ら変わらないものである。当人である中高年就業者にとっては「結局どうしようもないのね」という沈痛な面持ちになる本かもしれない。本質的問題をしっかり捉えている著者であればもう少し切れ味鋭く踏み込んだ解決策を(もう少し端的に)提示できたのではないかと思い、やや残念に感じる。
中高年は、働かないだけでなく、帰らない、話さない、変われない。 ロールモデルが語るエピソード、は違いを見せつけられて負の効果がある。 会社がキャリアを考えて行動を促せば、自覚している中高年はよりしがみつく。 年功賃金は、全国電気産業が提案した電算型賃金。同時に55歳定年制も定着した。 60年代の職務...続きを読む給は根付かず、職能給制度が定着。 日本の雇用の独特さは、行内マラソンに似た広くて長い出世競争にある。 強制参加=降りることは本人の意思として理解される。=女性活躍が女性の意欲の問題とみなされる。 42.5歳で出世競争から外れる。と同時にモチベーションが下がり働かなくなる。代替えのモチベーションがない。 昇進の差が出始めるのは、日本は7.9年、ドイツは3.7年、アメリカ3.4年。日本企業では22年を超えるまで出世意欲がおとろえない=42.5歳程度になるとあきらめる人が出てくる。 ラテンモデル=フランスなど。最初から昇進する人は選ばれている。 ドイツモデル=スイス、オランダ、なども。昇進は専門性を高めるために行われる。部門をまたいだ移動はない。 モチベーションが社内出世競争だけだったことが問題。 対人コミュニケーションでは自己開示が不可欠。 35歳転職限界説は実体では正しい。出世の見込みがなくなってからだと転職はできない。 変化適応力とは、変化適応への自己効力感。 ジョブ型人材マネジメントとの差はかなり深い。 仕事を意味づける、まずやってみる、学びを活かす、年下とうまくやる。 特定の専門性を高めることでキャリア全体を支える分野、領域はどんどん少なくなっている。 専門スキルのコモディティ化=ココナラ、ランサーズ、クラウドワークスなど。 過去へのこだわりを捨てられるか=アンラーニングが必要。
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