サーシャ・フィリペンコのレビュー一覧
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理不尽ゲームとは、理不尽な出来事や物語を語り合うこと。
欧州最後の独裁国家ベラルーシで、群集事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスクか主人公。
老いた祖母のエリヴィーラだけがその回復を信じていたが、奇跡的に意識を取り戻したのが10年後の2009年。その時には既に祖母も亡くなっており、母はもう生きる望みがないから、脳死判断しようとしていた主治医と結婚し、義理の弟までいるという始末。
何から何まで変わっていたが、変わらないと言うか、更に強烈となったのが大統領の独裁。
ルカシェンコと言う実名までは出てこなかったが、話に出てくる正に「理不尽」な政策と強権は、実態をもの語っていることがひしひしと伝わ -
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ベラルーシという国は元々は西欧とロシアの中立的な立ち位置を取っていたが、ルカシェンコ大統領が社会主義的な体制に大きく傾倒し、ロシアの弟国のようになる。たとえば国語においても、ベラルーシ語からロシア語を母語に代えていった。(ちなみにウクライナはロシア語からウクライナ語へと代えていった)
今回、これだけ国際的に避難されているロシアに対して全く迷うことなくルカシェンコは味方している。ちなみにルカシェンコはコロナはスポーツで吹き飛ぶといっている。サウナにいけばコロナは死ぬらしい。アイスホッケーなんて最高でこんな寒いところではコロナ菌どこにも飛んでない!見えないね!みたいな感じのこと言ってる。これをまわ -
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ネタバレ前半は群衆事故に巻き込まれて植物状態になった16歳のフランツィスクと、彼の回復を信じて語りかけ続ける祖母が描かれ、後半は目覚めたツィスクが目にする社会の理不尽さが描かれる。祖母も繰り返し、社会が昏睡していると話すし、スターズが教えてくれる社会は完全におかしい。盗聴器が仕込まれたカフェ、車の話しかしないように仕向けられた市民、異様な得票率で当選する大統領、選挙前はゆるく、選挙後に激化する取り締まり。ツィスクとスタースが参加したデモでは、その場にいたというだけでGPSで追跡され逮捕される。対立候補は暗殺され自殺と公表される。ベラルーシが独裁国家だから、ルカシェンコが独裁者だから、とばかりは言い切れ
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ベラルーシがどんな国なのか、よく知っている日本人はあまりいないと思うので、最後の独裁者(とは思えないけど)と呼ばれるルカシェンコが牛耳るこの国に暮らすことがどんなに絶望的か感じられるだけでも良い本だった。
小説としての出来はどうかな…と思わなくもないが、ラストは良かった。
奈倉さんの訳は読みやすい。が、おばあちゃんの喋りはあれで良かったのか。主人公は「ばあちゃん」と読んでいる。口調は庶民的に訳してあるが、孫をチェリストにするために必死になる、科学アカデミーに勤務するおばあちゃんということは、もっとハイソな話し方なんじゃないだろうか?
孫は音楽高校に通っているし、親友も医者だし、娘も(大統領派の -
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オビに全て(時間制限付きのWiFi、嘘を吐く国営放送等)が書いてあるんだよね…。だからそれ以上の驚きはないというか…。
いや、十分驚くことではあるんだけど。
この国で生まれていたら、大変なんて言葉では済まされないが、大変だったと思う。
真実を知らなければ不幸と感じることもないだろうが、皆、どこかおかしい、なぜ自分たちはこんなに管理されているのだろうと違和感を持っているはず。
途中出てくる「理不尽ゲーム」は、本当にあった理不尽な話を順番にしていって、最後までネタが尽きなかった人の勝ち。
皆出るわ出るわ。どれもこれもびっくりするくらい理不尽な話。
皆、世の中のことに関心は持っているし、「これ -
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確か新聞で知った本書。なんとなく気にはなっていたものの購入には至っていなかった。
しかし、2021夏の東京オリンピックで陸上の女性選手が強制的に帰国させられそうになって保護を求めて、ポーランドに亡命する、と言うニュースを見ていたところ、同時に報じられていた2020年の不正選挙とその後のデモのこと。
あれ?ベラルーシ、、、そういう本をどこかで見かけなかったっけ?
そうして購入し読んでみることに。
この本が執筆されたのは2012年のこと。作者のメッセージや訳者解説にもあるように、その当時はこんなことが現代のヨーロッパであるわけがない、と批判されたと言う。しかし、2020年に大統領選の不正、デモが