サーシャ・フィリペンコのレビュー一覧

  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    理不尽ゲームとは、理不尽な出来事や物語を語り合うこと。

    欧州最後の独裁国家ベラルーシで、群集事故によって昏睡状態に陥った高校生ツィスクか主人公。
    老いた祖母のエリヴィーラだけがその回復を信じていたが、奇跡的に意識を取り戻したのが10年後の2009年。その時には既に祖母も亡くなっており、母はもう生きる望みがないから、脳死判断しようとしていた主治医と結婚し、義理の弟までいるという始末。
    何から何まで変わっていたが、変わらないと言うか、更に強烈となったのが大統領の独裁。
    ルカシェンコと言う実名までは出てこなかったが、話に出てくる正に「理不尽」な政策と強権は、実態をもの語っていることがひしひしと伝わ

    0
    2022年03月28日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    ベラルーシという国は元々は西欧とロシアの中立的な立ち位置を取っていたが、ルカシェンコ大統領が社会主義的な体制に大きく傾倒し、ロシアの弟国のようになる。たとえば国語においても、ベラルーシ語からロシア語を母語に代えていった。(ちなみにウクライナはロシア語からウクライナ語へと代えていった)
    今回、これだけ国際的に避難されているロシアに対して全く迷うことなくルカシェンコは味方している。ちなみにルカシェンコはコロナはスポーツで吹き飛ぶといっている。サウナにいけばコロナは死ぬらしい。アイスホッケーなんて最高でこんな寒いところではコロナ菌どこにも飛んでない!見えないね!みたいな感じのこと言ってる。これをまわ

    0
    2022年03月02日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ベラルーシ、あまり馴染みのない国だが、その大統領の不正、圧政に共産圏のような息苦しさを感じた。
    10年の昏睡から覚める主人公や献身的な介護をする祖母そういった個人的な物語としても楽しめるが、ベラルーシを正しく見つめ記録すること、小説の形で人々に伝えたいという思いが伝わってきた。

    0
    2022年02月14日
  • 赤い十字

    Posted by ブクログ

    引っ越し先で知り合った隣人は、認知症を患う元ソ連の外務省職員。
    夫が他国の捕虜となったことを彼女が知ってしまったことから始まる運命は、軽妙なタッチでぐいぐいと読ませる。
    そしてそこからの地獄は「理不尽ゲーム」同様。

    国家というものが、いかに簡単にそこで暮らす人々を切り捨ててしまえるのか…ジュネーブに残された赤十字のアーカイブ資料は語る。

    最後の一文に悲しみしかない。

    0
    2022年01月20日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    昏睡状態に陥った主人公が目覚めた10年後。
    そこはより一層独裁に拍車がかかったベラルーシ。

    主人公の長い眠りが、こんな社会になってしまった、こんな社会にさせてしまった世の中への諷刺と、覚醒した後の読者への状況説明の二つの役割を担っているのかもしれない。

    2020年の選挙後の様子を見ても、ベラルーシの状況は変わらない。権力は腐敗する。常に目覚め続けなければならない。

    0
    2021年11月23日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ベラルーシの半ノンフィクション。
    ベラルーシがこんな国だったと今まで知らなかった。
    フランツィスクの昏睡状態と国民の抑圧が比喩として上手に重なっている。
    最後にはドイツの夫婦の手助けもあり国外へ脱出。
    反体制組織の人間が次々消されていったり投票結果の不正操作など、分かりやすく振り切った独裁政権だな。

    0
    2021年10月28日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    前半は群衆事故に巻き込まれて植物状態になった16歳のフランツィスクと、彼の回復を信じて語りかけ続ける祖母が描かれ、後半は目覚めたツィスクが目にする社会の理不尽さが描かれる。祖母も繰り返し、社会が昏睡していると話すし、スターズが教えてくれる社会は完全におかしい。盗聴器が仕込まれたカフェ、車の話しかしないように仕向けられた市民、異様な得票率で当選する大統領、選挙前はゆるく、選挙後に激化する取り締まり。ツィスクとスタースが参加したデモでは、その場にいたというだけでGPSで追跡され逮捕される。対立候補は暗殺され自殺と公表される。ベラルーシが独裁国家だから、ルカシェンコが独裁者だから、とばかりは言い切れ

    0
    2021年05月16日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    ベラルーシのこと、あまり知らない。その歴史も現状も文化も、知らないことだらけ。何度か息が詰まりそうになりながら、不思議とポップな主人公に引っ張られて読んだ。おばあちゃんの手紙がよかった。

    0
    2021年04月16日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    語り口自体はライトだけどなんとも重苦しい気分に。結局ベラルーシを出るしかないのか…。地下鉄駅に雨宿りしたい人々が押しかけて圧死者が出た事故はもしかしたらベラルーシで本当にあった事故なのかもしれないけど、もしやスターリン死すの一報を聞いたモスクワ市民が赤の広場に詰めかけて大勢圧死した事故のパロディかとも思えてくる。

    0
    2026年01月25日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    独裁政権の恐ろしさ。
    ベラルーシというどこか遠い国の話のようで(実際に場所や歴史など調べながら読んだ)、主人公の現代的な語りがどこにでもいるような10代の男の子で、地続きの恐怖を感じた。
    以前読んだルーマニアの話(『モノクロの街の夜明け』)も独裁政権下で市民はどれほどの苦痛を強いられるのかが書かれていたが、本当に恐ろしい。

    権力を集中させないこと、あきらめないこと。
    今のアメリカの人にも広く読んでほしい。

    0
    2024年11月05日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    ベラルーシがどんな国なのか、よく知っている日本人はあまりいないと思うので、最後の独裁者(とは思えないけど)と呼ばれるルカシェンコが牛耳るこの国に暮らすことがどんなに絶望的か感じられるだけでも良い本だった。
    小説としての出来はどうかな…と思わなくもないが、ラストは良かった。
    奈倉さんの訳は読みやすい。が、おばあちゃんの喋りはあれで良かったのか。主人公は「ばあちゃん」と読んでいる。口調は庶民的に訳してあるが、孫をチェリストにするために必死になる、科学アカデミーに勤務するおばあちゃんということは、もっとハイソな話し方なんじゃないだろうか?
    孫は音楽高校に通っているし、親友も医者だし、娘も(大統領派の

    0
    2023年02月17日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    オビに全て(時間制限付きのWiFi、嘘を吐く国営放送等)が書いてあるんだよね…。だからそれ以上の驚きはないというか…。
    いや、十分驚くことではあるんだけど。

    この国で生まれていたら、大変なんて言葉では済まされないが、大変だったと思う。
    真実を知らなければ不幸と感じることもないだろうが、皆、どこかおかしい、なぜ自分たちはこんなに管理されているのだろうと違和感を持っているはず。

    途中出てくる「理不尽ゲーム」は、本当にあった理不尽な話を順番にしていって、最後までネタが尽きなかった人の勝ち。
    皆出るわ出るわ。どれもこれもびっくりするくらい理不尽な話。

    皆、世の中のことに関心は持っているし、「これ

    0
    2022年07月31日
  • 赤い十字

    Posted by ブクログ

    サーシャは幼い娘と暮らすため、アパートへ越してきた。隣の部屋に住むおばあさんタチヤーナは、アルツハイマーで最近の事は忘れてしまうことが多いという。ソ連時代に外務省で働いていたタチヤーナは、サーシャに第二次世界大戦中に自分がしたことを話して聞かせる。
    ソ連の粛清を恐れて文章の改ざんをしたタチヤーナ。長い投獄生活を送り、行方不明の夫と娘を探し続けたタチヤーナ。そして、最後にわかった真実。厳しくも悲しい人生だ。

    0
    2022年07月01日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    群衆事故に巻き込まれて、十年間を昏睡状態で過ごしたツィスク。目を覚ませば、硬直し息の詰まるような社会が彼を迎える。疑問を持つことは憚られ、自分の命の価値さえ心許ない。
    半径数メートルの世界で暮らす考えなしの高校生の物語で始まったのに、少しずつ、旧ソ連を引き摺り、ロシアの顔色を窺い、不正選挙がまかり通るベラルーシという国をツィスクの視線で見つめ、閉塞感に息苦しくなっていく。
    ジャーナリズムも世界の暗い部分を私たちの前に晒すけれど、文学も(たぶん音楽や映画やアートも)同じことができる。

    0
    2022年05月22日
  • 理不尽ゲーム

    Posted by ブクログ

    確か新聞で知った本書。なんとなく気にはなっていたものの購入には至っていなかった。
    しかし、2021夏の東京オリンピックで陸上の女性選手が強制的に帰国させられそうになって保護を求めて、ポーランドに亡命する、と言うニュースを見ていたところ、同時に報じられていた2020年の不正選挙とその後のデモのこと。
    あれ?ベラルーシ、、、そういう本をどこかで見かけなかったっけ?
    そうして購入し読んでみることに。

    この本が執筆されたのは2012年のこと。作者のメッセージや訳者解説にもあるように、その当時はこんなことが現代のヨーロッパであるわけがない、と批判されたと言う。しかし、2020年に大統領選の不正、デモが

    0
    2022年01月26日