サーシャ・フィリペンコのレビュー一覧

  • 理不尽ゲーム

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    ちょっと前の作品だけど、ベラルーシという国の今が描かれている。10年間昏睡状態で目が覚めた時、ほとんど世界は変わっておらず、むしろ独裁具合は悪化していた。話はちょっとズレるけど、ばあちゃんめっちゃいい人

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    2025年04月16日
  • 理不尽ゲーム

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    奈倉有里の解説を読むべき。この人の解説はいつも素晴らしい。
    もちろんフィリペンコの本作はよくぞ書いてくれたと握手を求めたいほどのできだ。
    ルカシェンコの恐怖政治はウクライナ戦争をきっかけに知ったが、理不尽大統領トランプも尻を捲って逃げ出すほどのメチャクチャぶり。実際の出来事を書き込みながらフィクションとして仕上げたことは驚嘆としか言いようがない。ベラルーシの人々の心に強く働きかけたことと思う。彼の勇気を賞賛する。
    普通の、当たり前の考えの人を苦しめる政治家が跋扈する世の中は正常ではない。あんた気は確かかと叫びたい。あんた! ルカシェンコ、プーチン、トランプ、ナタニエフ……

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    2025年03月23日
  • 理不尽ゲーム

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    独裁者に支配されるベラルーシで実際に起きていることが、昏睡状態の孫に語り掛けるばあちゃんや友人の話で割と淡々と描かれます。抵抗しては潰されることを繰り返すようで、閉塞感と絶望感を覚えました。一度狂った独裁者を産んでしまった国は、国民を丸ごと理不尽な渦に巻き込んでしまうことをロシアやベラルーシから感じました。
    一方、孫の回復を諦めないばあちゃんの本当の愛情にも胸が締め付けられるようで、手紙のシーンは涙なしには読めません。
    訳者の言うように、読み終えたらまた読み直したくなりました。すごい価値のある一冊です。

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    2022年11月07日
  • 理不尽ゲーム

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    ネタバレ

    ロシアに隣接しているベラルーシという国のある若者の物語。
    10年間、脳死状態でいて生き返ったという特殊な内容もさることながらこの国で興っている事を厳しい批判の眼で伝え、発信するという穏やかではない現代の体制を書いている。

    自国では発刊出来ない内容であるとともに、
    世界的にみてもこのようなことは氷山の一角なのかもしれないと思わせてくれる。
    また、読んでみたい。

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    2022年10月07日
  • 理不尽ゲーム

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    「赤い十字」に続いて、フィリペンコのデビュー作である本書を読む。
    ベラルーシの現実に暗澹たる気持ちになる。
    ルカシェンコ大統領の強権による虐殺、統制管理の残虐さは、同じ地球に生きていて申し訳ないと思うほど。

    ツィスクの昏睡は民主主義のメタファーだ。ツィスクの目覚めを信じて語り続け励まし続ける祖母の最後の手紙で泣けた。肉親としての愛と、ベラルーシへの愛。

    奈倉有里さんの訳もすばらしい。訳者後書きもまた。(これを読めばベラルーシの現状もこの本の読み方も全てわかる)

    本屋大賞の「同志少女よ敵を撃て」のおかげで、ウクライナ侵攻の現状や歴史に、関心が移ってきた。奈倉有里さんと逢坂冬馬さんが姉弟だと

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    2022年08月05日
  • 赤い十字

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    認知症のタチヤーナばあさんが、向かいの部屋に引っ越してきた青年サーシャに自身のこれまでのことを語る。戦時下のソ連で夫は捕虜になって帰らず、当局の粛清に怯えて暮らすうち、突然逮捕されて幼い娘と引き離され収容所に送られる。
    当時のソ連が自国民を粛清し、外から差し伸べられる手を無視し続けたことなどがタチヤーナの語りと電文で伝えられる。淡々としているようだが彼女の国家に対する疑問や怒り、深い悲しみが静かに胸に迫ってきた。
    タチヤーナの認知症は、こうした体験が語られることなく風化していくことの象徴なのか?そしてまた似たようなことが繰り返される。

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    2022年07月05日
  • 赤い十字

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    ネタバレ

    アルツハイマーを患っている91歳のタチヤーナの第二次世界大戦前後の話を、妻を失って越してきた30歳の青年サーシャが聞く話。
    後書きで訳者が述べる通り、象徴の使い方や歌謡・赤十字の交信資料の引用が巧みで、ゆっくり読み解いたらもっといろんなものが見えると思う。
    赤い十字は、タチヤーナがソ連外務省で翻訳してタイプしていた赤十字とのやりとりであり、タチヤーナの娘アーシャの埋葬地にタチヤーナが立てた錆びた鉄パイプの十字架であり、タチヤーナの出身地ロンドン・友人パーシカの出身地ジェノヴァの印でもあり、タチヤーナが埋葬され「安らかに眠らせてください」と刻まれた御影石の墓石でもある。人間ではどうしようもない苦

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    2022年04月19日
  • 理不尽ゲーム

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    読みながら息が詰まる程の閉塞感。最後の訳者あとがきを読んで、冒頭の作者の言葉を読み返し、東京オリンピックでの出来事を思い出す。かの地の実状を描き出し、読み手の心に突き刺さる。文学の力を見せつけられる一冊だった。すごい。

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    2022年02月09日
  • 赤い十字

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    一気に読んだ。とても面白かった。恐らく膨大なアーカイブから着想を得た、粛清のソ連を描いた作品。運命等という軽い言葉では表せない時代。

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    2022年01月25日
  • 理不尽ゲーム

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    この本は小説なのですが、非常にベラルーシの「現在」と関連しているので、「今」読むのがよいと思います。

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    2021年05月28日
  • 赤い十字

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    ばあちゃん、安らかに眠れ
    国家に、全体主義に、独裁者と権力側に虐げられた人々よ、安らかに眠れ

    戦争において敵国は脅威
    ぶん殴ってくる
    自国も味方ではない
    平気で踏みつけてくる

    戦争、紛争は各地で続いている
    新たに起こるかもしれない
    酷かった過去のお話ですまないことを皆知っている
    繰り返してしまう歴史に恐れ慄かなければ

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    2025年09月27日
  • 赤い十字

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    タチャーナの語りを聞いてると、百年の孤独のウルスラを彷彿とするのはなぜか?
    イライラしながらも先が気になる物語である。

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    2024年08月18日
  • 理不尽ゲーム

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    奈倉有里さんの文学キョーダイ!の流れで遭遇。
    始まりと蘇生後と訳者解説でそれぞれ別のステージに移行した。こんこも東欧歴史を認識したい。

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    2024年04月18日
  • 赤い十字

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    ベラルーシのミンスクで語り手であるサーシャと、彼に自分の生い立ちを語る老婆タチヤーナ。
    タチヤーナの語る話は、第二次大戦前のソ連に生まれ、戦争に夫をとられ、夫がナチス・ドイツの捕虜となり、つまり、「虜囚の辱め」に甘んじた裏切り者となったため、反逆者の妻としてとらえられ、娘と引き離され、、、という重なる悲運に満ちた人生だった。
    そのような悲惨なソ連の状況を生んだ張本人はヨシフ・スターリンなのだが、そのスターリンが死に、その悪行が明らかになっても、やがて時間が経つと、スターリンを持ち上げる人々が生まれてくるのだという予言が語られるが、タチヤーナの人生の最後にあっても、その亡霊の様に蘇るスターリンの

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    2023年11月13日
  • 赤い十字

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    ネタバレ

    ロシアからベラルーシのミンスクに引っ越してきたサーシャは同じフロアの91歳の老人・タチアーナの懐古話を聞く羽目になる。最初は嫌々だったものの段々と自ら彼女の人生を聞きに行くようになる。

    恵まれていた子供時代、初恋、外務人民委員部での書類処理の仕事、恋愛結婚、そして開戦。

    赤十字から送られる捕虜の扱いに関する手紙を処理する仕事の最中にタチアーナは捕虜リストの中に夫の名前を見つけ、彼女は大胆な行動を取る。1945年7月、夫の帰りを待っていた彼女は逮捕され娘を取り上げられた上、収容所へ送られてしまう。

    ソ連の人間の尊厳を微塵も大切と思わないお粗末極まりない手段に辟易してしまう。現在の戦争にも通

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    2022年12月22日
  • 理不尽ゲーム

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    ディストピア小説のように書いてある、たぶん本当にあるような話。
    初のベラルーシ文学は読んで衝撃でした。
    「1984年」くらい救いのないような現実がもしあるのであれば本当にやりきれない…

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    2022年11月23日
  • 理不尽ゲーム

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    半年ほど前、ジャーナリストの金平さんが、ルカシェンコにインタビューをしにベラルーシへ行った時の映像を思い出した。街角で市民に問いかけると、何の問題もないと言っていた人も居たが、泣きなから訴えていた女性もいた。何を訴えていたのか具体的な内容は忘れたが、かなり怯えていたことが印象に残っている。この本にも、大統領選挙の結果を聞きに広場に集まっただけで、暴行を受け捕まってしまう場面があった。
    訳者の奈倉さんは言う「この本の世界と私たちの目の前にある社会には、継ぎ目などない」と。「もはや他人事ではありえないのだ」

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    2022年10月29日
  • 赤い十字

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    ベラルーシで何が起こっているのか、少しでも知る手がかりがあるのでは、と思い読んだ。

    著者のサーシャ・フィリペンコは国外で暮らしているそうだ。かつて見たドキュメンタリー番組でも、同じように心あるベラルーシの人々は、リトアニアに脱出していた。ルカシェンコ大統領の不正選挙の後、民主化運動へ息を潜め、ルカシェンコ政権のもと、自由な発言は国内ではできない状態だ。もちろん、ロシア連邦の中でも同様だ。

    どんな発言が許されないのか。
    社会主義の大義に反すること。そして、独裁者の意に背くこと。

    この小説でも、アレクシェーヴィチの「戦争は女の顔をしていない」でも、逢坂冬馬「同志少女よ敵を撃て」でも同様に描か

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    2022年07月22日
  • 赤い十字

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    「生きて虜囚(りょしゅう)の辱(はずかしめ)を受けず」かつて日本が戦時中に兵士たちの訓戒とした言葉だ。それはソ連も同じだった。
    2000年、ベラルーシの首都ミンスクのとあるアパートに青年サーシャが引っ越す事から物語が始まる。同じ階に住む老婦人タチヤーナは91歳でアルツハイマーを患っており強引なコミニケーションで自らの半生を語りだす。彼女が第二次世界大戦で夫が戦地で捕虜になり彼女の生活は一変され放浪されていった。経験した者が話す血の通った話に、青年は引き込まれていってしまう。

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    2022年06月29日
  • 赤い十字

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    著者と同じ名前の主人公、サーシャは、30歳の青年。ロシアからベラルーシの首都、ミンスクに越してきたばかりだ。
    家族に大きな不幸があり、母親が再婚相手と暮らしているこの街に住むことになったのだ。
    だが越してきた早々、階の入口ドアに奇妙な赤い十字が描かれているのを見つける。苛立ちながらそれを消すサーシャに、同じ階に住む老婆が話しかけてくる。十字は老婆が描いたもので、アルツハイマーを患っているため、自分の家の目印にするつもりだったのだという。
    自分の不幸で手一杯で辟易気味のサーシャに、老婆は強引に身の上話をし始める。
    それはソ連の暗部にまつわる、強烈に皮肉な人生の物語だった。

    老婆、タチヤーナは、

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    2022年06月20日