服藤恵三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ面白くて熟読してしまった。
以前ネットニュースで冒頭の土屋元死刑囚とのやり取りが抜粋されており、とても興味深かったのを思い出し購入。
サリン事件は服藤さんのキャリアの一部で、科捜研から警察に転属してからも、様々な事件に関わり科学捜査を現場刑事と世の中のために推進した。
稀有な経歴だけにとても苦労されたようだけど、間違いなく多くを変えた。諸事件の科学的根拠、結論に至るまでも読み応えがある。組織の人事的な部分より科学捜査に興味がある方にとっては、一部の内容は退屈に感じるかもしれないが、この組織特有の窮屈さやおおらかさ、全てをひっくるめてでないと語れない内容でもあったと思う。
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Posted by ブクログ
日本の科学捜査能力の向上に間違いなく貢献した方。過去の多くの事件と職歴を振り返る。官僚組織との戦いに費やされる部分が実に多いところか何とも。
多くの難事件に科学の視点から解決する科学捜査官の警察人生を振り返る一冊。それは正に昭和から平成の事件史と言える。地下鉄サリン事件、和歌山毒物カレー事件、44人死亡の歌舞伎町火災事件など。
警察組織での科学捜査組織の構築に奮闘しているところが印象的であった。出る杭が打たれるのが日本人の特性、筆者も当然のように国、都と組織の論理に相当にやられている。筆者は成功者であろうが、筆者と同様に組織に押し潰された人、他にも日の目に出ることなく職務に尽くした地上の星 -
購入済み
これは面白い本です
科学知識を活かして数々の難事件に取組み、解決していった1人の警察官の生き様を書き記した自伝の書である。オーム真理教の捜査から始まり、様々な事件に取り組むとともに、警察という古い体質の組織の壁にも負けず、科学的な捜査支援組織の導入に取り組んで行く姿は感動的でもある。ちょっと値段は高いが、読んで決して損することはないと思う。
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Posted by ブクログ
「地下鉄サリン事件」「和歌山カレー」「歌舞伎町ビル火災」など、数々の事件に科学で挑んだ男の話。
著者の、執念により蓄積されていった圧倒的な知識量に驚愕する。
しかし終盤にかけては、著者の葛藤がメインになっていく。
出世競争とは無縁そうに思える著者だが、自分のやりたいことをやるため、部下たちがやりやすいようになるためには偉くならなければいけないとも思う。
しかし数々の難事件が著者に助けを求めてくる。その都度私心を振り払い捜査に協力するのだが、結果としてそうした行動が出世競争のレールから外れる結果を生む。
この本は、2つの物語を読んだ気になる。
タイトルにもある通り「難事件に科学で挑んだ男」
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Posted by ブクログ
先日のテレビ、新プロジェクトXをたまたま見て、過剰表現もなく、ただただ面白くて中座できなかったのが、この科捜研の毒物専門家の服藤さんと、オウムの化学者で神経毒サリンを生成した土谷正実の対峙だった。
事件発生後すぐにサリンだと同定できたのもこの方に拠るところが大きい。
静かに物証と化学知識で語る服藤さん。
逮捕後、黙秘のままだった土谷を前に、異例の面会に臨む服藤さんは、化学者として語りかける。
君は面白い研究をしていたね、と大学院論文を読んだ服藤氏が語ると徐々に態度を軟化させる。
大学と違ってオウムは楽しかった、なんでもやらせてくれた、と語る土谷。
それでも黙秘したがる土谷を前に延々と化学式を -
Posted by ブクログ
著者は困っている人を見ると見捨てずに(助けずに)はおれない、良い人なのだろう。だから、頼まれれば、貧乏くじを引くことになることを承知のうえで、引き受けてしまう。それは、警察官としてはとても大切なことだと思う。しかし、警察官僚として、警察組織の中で生きていくにはかえって余計なことと受け取られるようだ。良い人だから、良いことをしたのだから、それが自分のキャリア(出世)に良く働くと期待するところも無くは無い。しかし、前述のように警察社会というところはそれほど単純でもないようだ。そういった警察官、警察官僚としての組織内での生きづらさがいたるところに記される。
「警視庁科学捜査最前線」の内幕的内容。