ドナテッラ・ディ・ピエトラントニオのレビュー一覧

  • 傷つきやすいものたち

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    イタリア文学初めてだったけど、すごく面白かった!当然もとの小説も素晴らしいんだろうけど、翻訳も多分めちゃくちゃすごいです。この作家とこの訳者の組み合わせ、別の作品もあるみたいだからそっちも読んでみる!

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    2026年05月10日
  • 傷つきやすいものたち

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    ネタバレ

    『戻ってきた娘』もよかったが、これもよかった。愛憎こもごもが入り混じった母と娘(或いは父と娘)の複雑な感情のひだを、それはもう丁寧に掬い上げる。

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    2026年02月26日
  • 戻ってきた娘

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    ネタバレ

    13年間も実の娘として育てた後、物を返品するかのように、娘を極貧の実家族へ戻すなんて、、、13年間の愛情や愛着はどこへ消えるのか。主人公が新しい環境で、実の親兄弟から厄介者のように扱われる様は読んでいて心が痛む。実母も「戻ってきた娘」をどう扱って良いかわからない。無邪気で、まっすぐで、時には頼りになる妹アドリアーナの優しさ賢さには胸を打たれる。彼女の存在に、主人公「わたし」だけじゃなく私自身も救われた気がする。姉妹のその後を描いた続編もあるようなので、翻訳本が出れば読んでみたい。

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    2025年04月10日
  • 戻ってきた娘

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    イタリアの貧富の差を描いた小説であるだけでなく、男性の暴力と貧困で暮らすための困難さを描いている。
     観光国イタリアではなくて、貧困にあえぐイタリアということで日本の万引き家族に似ている。

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    2021年10月26日
  • 戻ってきた娘

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    13歳の時、育ての親から生みの親の元へ返された主人公わたしは、恵まれた一人娘の暮しから子だくさんの貧困家庭へ。なぜ戻されたのか理由も分からない。
    これはつらい話だ…と覚悟して読み始めた。

    けれど語られる文体は淡々と静かだ。
    新たな暮らしに順応していく日々を描きながら、時々押さえられない感情が溢れだす。
    「生みの親と育ての親、二人の生きた母親を持ちながら、わたしは孤児だった」と感じる孤独は身を切るようだろう。語りが静かだからこそ、心が揺さぶられる。

    妹のアドリアーナの存在が大きい。装画がわたしとアドリアーナの二人が画かれているところからも分かる。貧困の中で逞しく育った妹の強さも要領の良さも、わたしに対する純粋な愛も救いとなった。

    わたしは大人の事情に翻弄され、つらい目に遭いながらも、ひねくれずに自分の足で歩んでいく芯の強さを持っている。

    その後どう生きたかを知りたいと思っていたら、続編があるらしい。
    日本での出版をお願いします。
    イタリアで映画化も決まっているそうだ。

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    2021年08月30日
  • 戻ってきた娘

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    自分を取り巻く世界とアイデンティティが同一である子どもにとっての、物のように一つの家庭から一つの家庭へと引き渡されるむごさ。同じ経験はしてないものの、幼い頃の痛みとそんな中でも日常のなかにあるささやかな幸福にそのまま触れられるような、瑞々しさに満ちた筆致が素晴らしい。

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    2021年07月21日
  • 傷つきやすいものたち

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    主人公の娘は田舎を嫌がって都会の大学に行ったものの、卒業しないで戻って引きこもる。
    主人公の親友は何かあって出て行って、音信不通。
    娘に起きた事件と、親友に起きた事件は全く異なっているものの、女性であるが故に引き受けさせられる危険である。

    無邪気に過ごしていても、女性であるためレイプや暴力の犠牲になる危険に、本当は常に晒されている。それに気がつき、世界に恐怖を感じて深く傷つく。
    被害者でありながら、出かけるきっかけを作った自分を責め、他の被害者が犠牲になる間に逃げた自分を責め、でも主人公が一緒にいなかったことに、親友は安堵していた。村から出て行った気持ちが痛々しい。

    娘にはそれほどの事件は起きていないが、娘に向ける主人公の心理は共感できる。「私が手に入れた場所にすら到達できない娘を受け入れられずにいる」「娘を重荷に感じる一方で、彼女がたまらなく愛しい」母が娘に向ける視線であり、コロナ時代の若者に対する、昔の世代の視線である。この視線は秀逸。父、主人公、娘の3世代の関係も、描写がすごくいい。

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    2026年09月06日
  • 傷つきやすいものたち

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    ネタバレ

    私はイタリアに行ったことはないけれど、頭の中で出来上がったイタリアの田舎の自然は美しかったし、パニーレや、イタリアの車、ナポリの方言など、物語の構成要素によって、イタリアに浸ることが出来た。住居の共有スペースにある中庭で友達とご飯だなんて、本当に素敵!

    文章も美しく、心が満たされた。訳者さんも素晴らしいと思う。

    “それから数週間というもの、アマンダは寝てばかりだった。昼に眠る娘と夜に眠る私。さながら梟と雲雀だ。おなじ空間で交代に暮らし、ときには衝突もした。
    正午近くなると、私は娘を起こさなければという衝動に駆られた。彼女の部屋の前まで行っては、まるで家じゅうの汚れがそこの廊下に集中しているとでもいうかのように、執拗に掃除機をかけた。そんなことをしても無駄だとわかっていたが、フルパワーの掃除機の騒音が、眠っている彼女に、瞼や部屋の外には春の光が、生命があふれていることを思い出させてくれるかもしれないと思ったからだ。​​​​​​​​​​​​​​​​“

    終わり方も良かったな。

    続きが気になって、すぐ読み終わった。

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    2026年06月07日
  • 傷つきやすいものたち

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    母と娘、そして過去の選択にまつわる「後悔」と「受容」を静かに描いた物語。

    コロナが広がり、町がロックダウンされる時、ミラノに憧れて故郷を離れた娘アマンダが突然実家に戻り、部屋に閉じこもるところから物語は始まる。主人公は母ルチア。理学療法士として働き、老いた父の世話、趣味のコーラスと、忙しく日常を回しながらも、娘に漂う異変に心をすり減らしていく。夫とは離婚の危機にある。

    なぜ娘は大学に戻らないのか。何が起きたのか。でも、ルチアはそれを直接尋ねることができない。

    娘とのことは、やがて彼女自身の過去と重なっていく。十代の頃、親友ドラリーチェとの間に起きた出来事。あの日、もし違う選択をしていたら──。封じ込めてきた記憶が、娘の沈黙によって呼び起こされていく。

    物語は現在とあの事件の時を往復しながら進む。印象的なのは「問題が完全には解決しない」点。娘との関係も、親友との過去も、明確な答えは与えられない。それでも不思議と、読後には温かい余韻が残りました。

    この小説を読んで感じたのは、後悔は「諦め」ではないということ。後悔、それは過去を変えられないと知った後も、なお誰かを大切に思い続けている証なのかもしれない。大切に想っている。だから、人生はやり直せない、でも関係は紡ぎ直せる。

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    2026年05月04日
  • 傷つきやすいものたち

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    ネタバレ

    主人公・ルチアは老いた父と大学生の娘を持つ中年女性。夫とは別居中。家族の中での自分の役割や居場所に感じる息苦しさがリアルで、読んでいてこちらまで少し苦しくなるほど。イタリアで実際に起こった事件に着想を得ているだけあってミステリー要素もあり、最後まで引き込まれた。「新しい日常においては、暗譜している曲もこれまでとは異なって響く。」という一文が印象的。

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    2026年04月19日
  • 戻ってきた娘

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    まず読みやすい。暖かくて哀しくて、不安定、それでも生命のたくましさと優しさのある、古いイタリア映画のような、味わい深い作品だと思った。突然貧しい実の親のもとに返された娘の内面を思うと、本当に気の毒だけれど、彼女の意思の強さが彼女の命とプライドを守った。姉妹たちはこの先もきっとつらい思いもしながら、したたかに生き抜いていくのだろう。ああイタリアだわよ

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    2024年05月22日
  • 戻ってきた娘

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    妹のちょっと舌足らず的な喋り方が(訳し方?)とてもすんなり入ってきてこの小説のアクセントになっていて、すごく好き。
    個性的な兄妹や環境、主人公の心情が痛いほど伝わってきてこの作者と訳者の他の作品も読みたくなった。

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    2021年08月18日
  • 傷つきやすいものたち

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    イタリアの郊外の町で暮らす女性、夫は単身赴任、娘はミラノの大学を休学して引きこもっている、父親はいわくつきの土地を継ぐよう迫ってくる、などなど過去から現在までいろんなことに煩わされながら生きていく物語。人生を揺るがすほどの大きな出来事はないが、いろいろ大変だなあと思った。

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    2026年09月26日
  • 傷つきやすいものたち

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    感受性の強い少女時代にショッキングな事件に遭遇した親友と主人公(私)、とそれぞれの両親たち、と私の娘。これらの人びとの内面に移りゆく事ごとを私を通じて語りかけてくれる。人と人との繋がりのありがたみを感じる。
    この地球から女性たちへのジェンダー暴力がなくなりますように。

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    2026年04月28日
  • 傷つきやすいものたち

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    イタリアのヒューマンドラマ。
    あとがきにあったのだけど、作中の事件は実際に起きた「モッローネ殺人事件」をベースにしたそう。
    自分は事件そのものを知らなかった。
    母親、親友、娘、被害者、犯人までも。出てくる人たちが傷ついてる。

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    2026年04月05日
  • 戻ってきた娘

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    こういったイタリア文学を読む度、イタリアの貧困と格差の問題を目の当たりにする。旅行やメディアのイメージだけではわからない、リアルなイタリア問題を知る。

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    2026年01月05日
  • 戻ってきた娘

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    13歳の頃にそれまで育った裕福な家庭から産みの母のもとへ返された主人公。戻ってきたというより、戻された娘といったところか。最後に、なぜ返されたのかがわかるのだが、つらいなぁ……。

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    2022年07月15日
  • 戻ってきた娘

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    貧富の差なのか文化の違いなのかしらんが、貧しい地域の子供たちは早くに働かせられたり、子供のうちから大人たちと社会的で現実的な話し合いをしいられたりする。そんな子沢山な家庭から養子として裕福な家庭に引き取られて育てられていた少女が突然実家という他人の家に戻される。3歳下の妹の方がしっかりして、世慣れている。娘は新しい環境に慣れるわけがない。でもやっぱり「子供時代」を昇華させられなかった人間というのは、現代でいうところのネグレクトなんだろうし、こういう物語はなー。人の立場考え方によって結構開きがあると思う

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    2022年06月24日
  • 戻ってきた娘

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    大人の都合に翻弄される「わたし」が、彼女を取りまく特殊な環境の中で、出会った人、出来事、産みの親・育ての親との関係を通じて成長していく話。しかし自分でもびっくりするくらい、読後に残るものがなかった。

    思うにそれは作品のせいではなく、このところ本を読む、自分の中に言葉を取り入れるということをさぼっていた自分のせい。本の読み方、受け止め方、言葉の拾い方を忘れてしまったんだろう。ああ、もったいない。やっぱり読書は筋トレと一緒だ。読み続けないと、あっという間に読む力をなくしてしまう。

    ところで、我が家の長女は12歳。主人公の「わたし」と同世代。自分と同じくらいの年頃で、だけど自分と全然違う世界を生きる「わたし」のことを、いったいどんな風に感じるだろうか。小学校、中学校と大きくはみ出すもののない世界を生きてきた彼女が「わたし」の生きる世界をどう感じるのか、娘の言葉で聞いてみたい。

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    2021年11月12日
  • 戻ってきた娘

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    ネタバレ

    すごく好きな本だった。遠い国なのに情景が浮かぶ心境で,そういう本が好きなのだと思う。ニュー・シネマ・パラダイスを見た田中裕子の感想というか。続きも読みたくなる。
    他の人も書いてたけど,方言の翻訳って難しいなと思った。

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    2021年08月18日