ポール・ナースのレビュー一覧

  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    ひとつひとつで生命の要件を満たしている細胞が、膨大な数集まり情報を交換しながら緻密に正確に分業を行い秩序立って生物のかたちを成している。情報交換は化学的な操作で行われる。化学物質の濃度の濃淡で空間的な情報が伝わるという話が特におもしろかった。膨大な数の化学反応がそれぞれ時間を守って少しの狂いもなく行われるのは、そのプロセスを知れば知るほど、ほとんど奇跡のように感じてしまう。
    自分が奇跡のような緻密さを保持している機械であることを実感し、また同時に、自分や人間がそれほど特別な存在ではなく、空間的にも時間的にも、連続する世界のほんの一部分なのだと感じた。

    0
    2024年10月21日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    地球の生命の起源について、はっきりと自説が書かれている。生命とは何か、については、意識や記憶とは何か、といった点の議論が無いのと、有機的なものに限るというところがどうかと思うが、非常に科学者的な視点で、中立的立場での記載だな、と。わかりやすく噛み砕いて話を進めており、頭の整理によい。

    0
    2024年06月09日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    優れた科学啓蒙書だな、と思った。こういう本を読む楽しさを引き出す巧みな文体で訳されてもいる。こんな大それたタイトルの本を書ける人になるのは奇跡だけど、読む人が著者と同じように生命とは何かについて考えるのを楽しむことはできる。素朴な問題ほど、偉大な科学者も普通の人と同じようなことに思いを巡らせている。一見当たり前のことの不思議さに気付かせてくれたりもする。そういう身近な感覚を伝えてくれる本は素晴らしいと思う。

    0
    2024年04月06日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    たまたま書店で手に取り購入。感銘を受ける。
    細胞、遺伝子、進化などのわかりやすい解説、ノーベル賞受賞学者の地道な研究の積み重ねや成果が出た時の喜びなどがよく伝わる。後半では科学によって生み出される生命の知識の深化がもたらす我々の未来を展望し、生物とは何かについて自論を展開する。一文一文が深い頷きをもたらし、驚きに出会う。是非多くの人に読んでもらいたい1冊。

    0
    2023年01月13日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    本人によると、生命とは自然淘汰を通じて進化する能力、としている。細胞、遺伝子、自然淘汰による進化、化学としての生命、情報としての生命の5つに分けて説明している。非常に分かりやすいので、生命のついて語る際には必需品であろう。

    0
    2022年03月20日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    生物学関係好きな人にはとりわけ大きな発見はない。でも面白い。

    なぜか?

    ポール・ナースが科学者を愛しているからだ。科学にはブレイクスルーが付きものだ。ピタゴラス、ガリレオ、ニュートン、ガロア、アインシュタイン、、、確かに彼らは偉大だ。誰でも知っている。しかし、彼らの間には無数の無名科学者がいる。彼らが知を受け継ぎ、知を積み上げていったからこそのブレイクスルーである。そんな科学者を愛を感じられる本である。科学者は継続的で多様だ。
    そしてそれは生命も同じだ。この本は人が、虫が、菌が、植物が築き上げて生命の物語である。

    0
    2025年07月03日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    単細胞から始まった全ての生命は、その存在を他の生命に依存している。生き物を構成する細胞もまた生命であり、ありとあらゆる生命が自然の驚くべき機構により、種やスケールの枠を超えて連動している。究極的には、原初のたった1つの生命体が今日まで地球全体に広がってきた一つの物語だと捉えられる。

    0
    2024年12月16日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    それぞれの章でそれぞれ面白かったが,なにより「情報」の章が良い.
    コンピュータ・サイエンス系の目から見た情報と全く異なる様相の情報を教えてもらえる.

    もちろん,科学技術に関する楽しさも伝わってくる.
    「教科書」を見て「授業」を受けるときの,あの「やりたくないなぁ」という感じ.同じ対象なのに「わくわくする,面白い,知りたい」という感じになる.
    例えばポケモンを全く知らず興味のない人に,ポケモン図鑑という教科書を渡して覚えてねと授業をしようとすると,その人は「やりたくないなぁ」になると思う.だけどポケモン大好き人間に上手に『何がおもしろいのか』を伝えられちゃってハマっていしまったら気がついたら深

    0
    2024年09月27日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

     細胞活動を知りたい場合のイントロダクションとしてかなり良い。平易な文章でイメージが湧きやすく書かれている。
     随所に著書であるポールナースの思想が現れているのもよい。生命全体で生命の謎を探究し、理解を深めていくことが肝要なのである。
     特に好きな箇所は、人は孤独では無く、細胞一つ一つに生命があり、何億という集合体である、というような言及だ。今ここにいる状態でも我々一人一人が、細菌や単細胞生物の宇宙なのである。

    0
    2024年06月27日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    地球にはたくさんの生命が存在しているが、人間だけが理性を使って生きることについて考えることができる。だからこそ、我々は地球の生態系を守る責任があるのだ。これからも益々科学は進化し続けるが、人間自身も生命とは何かを理解し続けなくてはいけない。

    0
    2024年01月15日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    生命とはなにか?この壮大なテーマに対し、科学の歴史ではこう考えたというアプローチ方法で説明を試みる。
    本当に自分自身のことを不思議に思ってしまう。
    この「生きている」という感覚は、本当に何なのだろうか?
    その根源は何で、一体どう説明したらよいのだろうか?
    分子、細胞から始まり、遺伝子を通じての情報の伝達へとつながっている。
    理科の授業で習った、アデニン(A)・チミン(T)・グワニン(G)・シトシン(C)も懐かしさを感じてしまった。
    もちろん細かくは覚えていないが、遺伝子の中にはDNAが組み込まれており、その配列がATGCの4種だけで構成されているということを思い出した。
    結局のところ、生命とは

    0
    2023年07月12日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    わかりやすく書いてくれているが、私には難しいところが多々あった。それでも充分に、生命の複雑で緻密でシンプルな小さくて壮大なすごい世界を感じた。
    現在も蔓延るコロナについても書かれている。
    どんなに科学者が人類全体の為に頑張っても、知識もなく聞き入れる耳もない大衆に無駄にされてしまう悲しさ、悔しさ。何事も疑うことが悪ではない。自分に不都合な情報を一切合切、耳に入れないず反対することが悪に感じた。
    人間も一生命体。他の生命体をおろそかにせず、どうすれば「よりよい」世界になるのか、知識を入れ、疑い、考え、試行錯誤して、「よりよい」生き方をした人間になりたいと矮小ながら思う。

    0
    2023年04月09日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    生命は場所、すなわちつながりと関係性の総体だという考えをまとめたいと思っている私にとって、素晴らしく示唆に富み、考えを後押ししてくれる内容だった。

    0
    2023年02月14日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    この素晴らしき生命というもの。

    ノーベル賞受賞者による生物学の本。親しみのわく語り口で、少年時代の思い出を楽しく読んでいるうちに、自分も一度は考えた「生きているとは?」「生命とは?」という問いを一緒に解きほぐしていくことができる。中学1年生で頬の内側の細胞を観察したことを思い出した。あの時、自分の身体にある「細胞」と出会ったのだ。

    文系だから、生物学は苦手だから、と敬遠せずに手に取ってほしい。身近なものを使ったユーモラスな例えと、実験の苦労やワクワク感をいきいきと語る文章を読んでいたら、そのようなことは忘れてしまう。そして読んだ後は、この生命の奇跡と大きなつながりに感動を覚えるだろう。

    0
    2023年01月29日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    ノーベル生理学・医学賞を受賞した生物学者ポール・ナースさんの書籍。

    細胞とは何か、遺伝子とは何か、進化とはどういことか、そして、今私たちが「生きている」と思っているものの基本的な仕組みがどうなっているのかを、非常にわかりやすい柔らかい言葉で書いてありました。

    そして、それを踏まえて「WHAT IS LIFE?(生命とは何か)」という問いへの答えに挑戦してくれています。


    ひとことで表わせるような簡単な言葉にはならないし、読み終わった私には、やっぱりよくわからないけれど、考えるためのヒントをたくさんもらいました。

    生命活動に関する本はいくつか読んでいるので、「生命の定義」みたいなものは知

    0
    2022年12月16日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    メモ:「細胞」「遺伝子」「自然淘汰による進化」「化学としての生命」「情報としての生命」。

    生命とは①生殖し、遺伝システムを持ち、システムが動的(変動可能)な、②(細胞などで)物理的に区切られた、③化学的・物理的・情報的な機械的構造をもつもの。

    0
    2022年11月05日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    タイトルで思わず手に取ってしまった本。語り口も柔らかく、内容も初心者向けでよい。タイトルへの答えも著者としての回答をきちんとしている。良い本です。
    章で分けて説明していくのもわかりやすい。生命とはなにかは明確な答えのでないとてもむずかしい問題なんだなと改めて思う。コンピュータやシステムが難しいと言われているが、生命に比べたら複雑さはまだまだ所詮人間の理解できるレベルなんだろう。つまり、人間の理解を大きく超えてくると、機械が生命に見えたり、意識を持ったりするとということなのかもしれない。(人間から見てそう見えるようになるという意味)

    0
    2022年07月07日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    シュレディンガーの著書『生命とは何か』のオマージュという事だが、原作を読んでいないので、関係性が分からず。ただ、そのテーマを考える時、シュレディンガーが生命の秩序を保つ上で「遺伝」の重要性を指摘する他方、著者のポール・ナースは、ノーベル賞受賞者であるハーマン・マラーの定義「進化する能力を有するもの」という言葉を引く。その上で著者が示す三つの原理は、進化、境界をもつ物理的な存在、代謝を構築する機械。

    遺伝子単位、分子レベルで生物を定義すると、人間にはとても綺麗に線を引けない例外的な存在があり、それも含めて、秩序が保たれている。有機無機を包含しながら、今、ここにある物質と事象により構成される要素

    0
    2022年07月06日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    生物の目的は「自分を永続させること」にあり、その方法は「生殖」し「遺伝子を残すこと」。つまり生物としての人間が人生でやるべき唯一のことは、遺伝子を残すことだと解釈しました。一方で、生物は自然淘汰によって進化し、その進化は「生き残れなかったものたち」のおかげでもある、とも書かれていました。自分が後世に遺伝子を繋いでいく人間なのか、生き残れずに途絶えていく人間なのか分かりませんが、どちらにせよ、それは自然淘汰のシステムに従ったあくまで正常な選別プロセスなのだと理解しました。つまり、子孫を残せてもいいし、残せなくてもいい。どんな結果になろうと、それは人類の進化に少なからず貢献している…と解釈しました

    0
    2022年05月30日
  • WHAT IS LIFE?(ホワット・イズ・ライフ?)生命とは何か

    Posted by ブクログ

    「生命とは何か」というワードで検索するとたくさんの本がヒットする。それだけ普遍的かつ根源的な問いなのだろう。本書はそれらの類書の中で大きく二つの特徴がある。最新の知見まで網羅している一流科学者による最新の著書であるということと、想定読者の間口をかなり広く取ろうとした、ある意味入門書であるという2点である。触れられている内容は高度なものも含まれてはいるが、バランス感覚の優れた著者なのであろう、狭いところに踏み込みすぎることなく生命に関わりのある複数の分野を横断し案内してくれる好著である。
    とは書いたが、個人的には若干物足りないと感じる部分もあった。特にとても新しい情報が書かれているわけではないか

    0
    2022年02月23日