地球では、無生物から生物への変化が1回だけ起こったか、地球外の宇宙空間の何処かから生命がもたらされた。
それが進化して現在の地球上の生物になっている。
宇宙を過去に遡っていくと、ビックバンが起こる直前の1点に行きつくように、
地球上の全生物を過去に遡ると、1つの最初の生物にたどり着く(らしい)。
...続きを読む
現生物と異なる起源を持つ生命体も生まれたのかも知れないが、痕跡は残っていないということだ。
私は、中途半端に物理なんぞを勉強したせいか、生命の存在が不思議でならない。
生物の存在そのものが、熱力学の第2法則に反しているとしか考えられない。
時間と共に秩序だった状態から無秩序な状態に向かうエントロピー増大の法則の真逆だ。
生物は細胞でできているとか言われても、もっと細かく見れば分子の集まりで、要するに原子からできている。
生き物が持っている"遺伝子"だって物理と化学の法則に従う安定した原子の集まりにすぎない。
生き物は死ぬ。
死ぬ瞬間というのはないかも知れないが、死ぬ前と後で何が違うのか不思議だと思う。
身体を構成している原子の集まりとして見れば同じではないのか?
本書「生命とは何か」は、今だに正確な定義もなく謎だらけの"生物"について考えてみようという本だ。
図や絵が欲しいと思ったが、学術書ではなくエッセイみたいな内容なのでこれで良いのだろう。
特に目新しい情報はなく、これまで"生命"の謎についてあまり考えたことがない人向けのようだ。
著者は、「進化する能力を備えるもの」が生物であると定義している。
そのためには「生殖」「遺伝システム」「遺伝システムの変動」の3つの特性が必要と言っている。
こう定義されると、最初の生物はどの時点で生物とみなされるのかが気になる。
無生物から生物になる瞬間については、いろんな説があるがどれも納得できない。
スタップ細胞と同じで、再現できないものは認めるわけにはいかない。
最近やっと悟ったことがある。
生きていると、どこかしらガタがくる。
血圧が高くなったり、骨や筋肉が弱ったり、内臓もどこかしら調子が悪くなったり。
プログラムされた「遺伝システム」で、いつか生き物は死ぬようにできている。
何らかの病名を付けられて死ぬ。
生物にとっては "生きていること" 自体が(熱力学の第2法則に反しているという)病気なのだ。