亀野仁のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
亀野仁『ブリザード・フラワー』ハルキ文庫。
書下ろしの警察小説。
序章に描かれる事件群はすこぶる面白いのだが、それを最後まで徹底して描き切れなかったことが残念。ベトナム人、中国人の犯罪組織が登場するが話は膨らまず、今ひとつに終わる。描き方のバランスが悪いためか、主人公は氷見麻里子なのか、越石渉なのか判然とせず、越石を見舞う不幸な事態は果たして必要だったのかと疑問に思う。
シリーズ化ありきの作品のように思うが、警察のバディがそういう関係になってしまっては、この先は続かないだろう。
都内で『お役に立つと思います』と書かれた紙と一緒に無作為にばら撒かれた拳銃により、重大犯罪や自発が頻発する -
Posted by ブクログ
隣国に侵食された日本という架空の設定。
そうしないと市街地での派手な銃撃戦等が出来ないからかな。
拉致チームにスカウトされた佐野由佳は作戦に失敗し公安に拘束されてしまう。
身柄の移送中に何者かに襲撃され護送を担当していた公安局の雑賀は由佳を連れて逃避行をする。
設定も凝っていて銃器の描写も詳しくハードボイルドアクション物としてはかなり楽しめました。
細かい設定で「何故?」と思う部分や動機がイマイチよく分からない部分はあるが、エンターテイメントとしては嫌いじゃないです。
逃避行の舞台が以前私が住んでいた地域なのでイメージが掴みやすかったのもプラスポイント。
私は隣国に在住経験があるので -
Posted by ブクログ
ネタバレふっ普通。。。
地面師絡みの話なので、詐欺が成功するか否か、という知的なスリルを主軸に据えて欲しかった。詐欺シーンは冒頭だけで中盤以降は切った貼ったが主軸になってしまうと、普通の犯罪小説になってしまう。刑事との駆け引きとかチャイニーズマフィアを罠に嵌めるとか、頭を使う場面がないではないけど、そんなに意外性とか知恵の対決みたいな要素は強くない。
女性犯罪者の造形がよかった。生活に疲れていて、先の展望も見えなくて、ずるずると犯罪に引き込まれてしまっている感じ。エリートでも華やかでもないどちらかというとストレスフルでさえない暮らしぶりと、運転するときの全能感じみた迫力の、二面性。わりと魅力的。