小佐野景浩のレビュー一覧
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本の見た目の分厚さと、ページ数の多さ(592ページ)にたじろいではいけない。
なぜなら、プロレスに関して“ずぶの素人”の私のような者でも、デビュー前から引退までの間で次々と現れる鶴田の作り物でない本物の伝説に読む手が止まらず、最後には「鶴田こそ歴代日本人最強レスラーだ!」という熱い思いを著者と共有できるようになったから。
そもそも私はプロレスに対する一定の考え方を持っていて、つまり、プロレスを「①スポーツ」「②ショウ」「③パンクラチオン(死闘)」を頂点する三角形のちょうど重心の位置にあるものと思っている。だからプロレスはスポーツではないとか、あれはショウだという議論は無意味だ。言い換えればど -
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鳴り物入りのデビュー、大物外国人とのタイトルマッチ、AWA世界王者としてのサーキット、インターから初代三冠王者。間違いなくスターであり、トップレスラーではあったが、現役時代はファンの声援を一身に集めるレスラーとは言えなかった。”プロレスに就職します”など、今では当たり前の考え方かもしれないが、レスラーの生き様を投影する当時のファンたちには凄さの表現力が不足しており、支持されなかった。天龍革命、超世代軍によって徐々に引き出されていったのも、立ちはだかる壁としての、ある意味ヒールとしての表現だった。そして突然の病による入院から第一線を退く。鶴田最強説の由縁はレスラーとしての歴史そのものだった。同
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「至高の三冠王者」三沢光晴。
週刊ゴング編集長として、また同世代の友人として、取材し続けた筆者が、その軌跡を丹念に綴った。
リング上での衝撃の逝去から13回忌に、リング上での三沢の活躍と苦悩を徹底的に描き尽くした。
母子家庭で苦労し抜いた少年時代。
プロレスラーになるために進学した、アマレスの強豪校足利工業大学付属高校。
全日本プロレス入門。
越中詩郎、冬木弘道、ターザン後藤らと切磋琢磨した若手時代の佐藤昭雄からの教え。
メキシコ修行時代。
2代目タイガーマスクの苦悩。
ターニングポイントとなった天龍源一郎戦、ジャンボ鶴田戦。
マスクを脱いで、鶴田超え。
そして、超世代軍の結 -
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大相撲を関脇で廃業して、アメリカからプロレスを持ち込んだ力道山。
戦後の復興期に、アメリカ人を空手チョップでなぎ倒す姿が街頭テレビに映し出され、彼は国民的英雄となった。
プロレスのこけら落としを、タッグマッチで行ったこと。
世界の強豪レスラーを招聘し、「ワールド大リーグ戦」を開催。
オリンピック的な価値観を持ち込んだアイデアも秀逸だった。
彼が残した二人の弟子。
東洋の巨人--ジャイアント馬場は、元巨人軍の投手。
燃える闘魂--アントニオ猪木は、彼がブラジル遠征中にスカウトして日本に連れ帰った。
両雄はしのぎを削り、やがて袂を分かち、永遠のライバルになっていく。
そして、多くの -
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「プロレスは僕に最も適した就職だと思い、監督と相談の上、尊敬する馬場さんの会社を選びました」
1972年。
ミュンヘン五輪アマレス代表の経歴をひっさげて、中央大学の鶴田友美はプロレスラーとなった。
すぐさま渡米し、テキサスのファンク兄弟のもとで修行。
世界王者の兄弟から王道のプロレスを叩き込まれる。
そして、それをどんどんものにしていく。
半年後に凱旋帰国しデビュー。
3戦目でメインイベントのインターナショナルタッグ選手権に、師匠馬場とのタッグで、アメリカの師匠ファンクスに挑戦。
1フォールを奪い60分フルタイムを戦い抜いた。
デビューしてすぐに、馬場の後継者としてメインイベンター -
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名レスラー 三沢光晴の出生から名レスラーとして頂点を極めた全日本プロレス 四天王時代までを書き記している本作。
僕が子供の頃に三沢選手を知り、試合を観ていたのは本書では描かれていないNOAH時代。
僕にとって三沢選手のちょうど空白部分を埋めるのにピッタリな一冊でした。
本作の軸は"三沢と川田"
軸というより三沢選手を語る上で決して欠かせない存在が川田利明選手だ。
1979年の高校での出会いから始まり、2005年の最後の一騎打ちで終わりを迎えるこの物語は、もはや大河ドラマである。
筆者のインタビューや様々な証言から語られる三沢光晴という人物と歴史。
2009年に亡くな -
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プロレスを見始めたころからのスター選手、ジャンボ鶴田の評伝。
恐ろしいまでの強さを誇っていた鶴田が突如消えてから、セミリタイア以降は、留学→フィリピンで死亡のニュースととぎれとぎれの情報しかなかったのだが、本書でその間何が起こっていたのかがよく分かった。
デビュー直後のエピソードや珍しい写真も掲載されていて、ファンにはたまらなない一冊。
YOUTUBEなどで、昔の映像を見ることができるが、打点の高いドロップキックやエグイい角度のバックドロップなど、今見ても迫力十分。
プロレス選手って、通常は新技の開発やら改良やら「技のイノベーション」があってスターになる。ただ、ジャンボとブロディだけは -
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ジャンボ鶴田のレスリング人生を余す所無く伝えた力作。プロレス入り後の驚きの新事実や新証言はほぼないが、決定版と言っていい内容。
ジャンボ伝説の定番、「大学二年でバスケからレスリングに転向、四年にオリンピック」があるが、国内有数の実力者だったことは確かであるものの、当時の日本アマレス界の層の薄さも確実にあったと見える。
馬場と昵懇の八田会長によるプロ入りのための箔付け、というのが谷津の推測だが (別誌にて)、そう思われても仕方がない部分もあると本書で明かされた事実でもって理解した。少なくとも世界で揉まれた谷津とはちがう、と。
一方で自分はアメリカ修行時代に着目したい。(箔付けされた)オリンピ -