梶龍雄のレビュー一覧

  • 梶龍雄 青春迷路ミステリコレクション1 リア王密室に死す〈新装版〉

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    ● 感想
     時代背景としては、昭和23年頃。終戦直後、京都にあった三高において、「リア王」というあだ名で呼ばれていた伊場富三という学生が殺害される。扉が施錠されており、その鍵を持っていて、明確なアリバイがなかったのは「ボン」というあだ名で呼ばれる木津武志。ボンにも一応のアリバイはあるが、京都を案内した老夫婦と宴会をしていたというもの。しかし、その宴会をしていた場所では、そのような宴会はなかったという。
     三高のボンの仲間は、ボンの疑いを晴らそうとする。ボンは、何らかの企みによりアリバイがない状態で犯人にされようとしている。前半部分の探偵役である「カミソリ」というあだ名の紙谷達弘のおかげで、酒宴

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    2023年01月09日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション1 龍神池の小さな死体

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    戦時中、疎開先で事故死したと思っていた弟。しかし母が死に際に、弟は殺されたのだと告げる。その真相を知るために山蔵を訪れた智一に降りかかる新たな事件。ばりばりの本格ミステリです。
    一見したところ地味かなあ、という気がしました。こういうのっていかにも因習漂う村、とかを期待しますが、それほどでもないような。もっとどろどろしたのを期待してたんだけど、案外と読み口もライトだし、コンクリートの欠陥とかそういう要素はちょっと苦手だし、前評判の期待が大きすぎたかな、ってのでなかなか遅々として読み進まなかったのですが。
    ……いや、さすがの解決編でした。やられた! 伏線たっぷり、物理トリックはあるしそれ意外にもト

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    2022年12月28日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション1 龍神池の小さな死体

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    ネタバレ

    ● 感想
     1977年に「透明な季節」で乱歩賞を取っているが、著作が絶版で古書価格が高騰している梶龍雄の代表作の1つ。徳間の特選で復刊され、期待して読んだ。期待が高すぎたため、期待以上とまではいかなかったが、満足できるデキではあった。
     メイントリックは、2つの人物入れ替えトリック。仲城秀二は妙見義典となり、妙見義典は「竜神池の小さな死体」となる。その後、23歳の頃に、大柏たえという人物の息子を殺害。別の人物=黒岩教授になりすます。
    AがBになりすまし、さらにCに成りすますという二重の人物入れ替えトリック。
     秀次の死の真相解明のほかに、コンクリートブロックの亀裂の実験があり、そもそも、この実

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    2022年10月10日
  • 梶龍雄 青春迷路ミステリコレクション1 リア王密室に死す〈新装版〉

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    過去編での解決が、現代編でひっくり返る仕掛けは少なくとも今ではありふれてはいるが、それでも楽しい。加えて、ハゥでもホワイとしても完成度の高い密室トリック。ミステリとしてはこれだけで充分だろう。それでも物語としての一番の美質は、青春物語としての部分にあるだろうね。現代編があることで、全てがノスタルジーの霧に包まれて、少々の美化は許されるだろう構造の勝利。

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    2022年10月05日
  • 透明な季節

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    第23回江戸川乱歩賞を受賞した梶龍雄氏の長篇第一作。太平洋戦争末期、中学の配属将校が射殺された事件をきっかけに、主人公・高志は彼の妻である薫に淡い恋心を抱いていく……推理小説の形式を取りながらも、卓越した筆力で戦時下における青少年の心理状態を鮮烈に描き出した名作である。本作では《戦時中》という特殊な状況が作品全体を貫いて作用しており、時局の変化に左右される国民の姿が生々しく描かれている。当然、そうした背景は殺人事件にも大きく影響している。序盤こそ諸田少尉の死を中心に物語は展開するが、中盤以降は主人公が抱く未亡人薫への恋慕が物語の軸となる。戦局が激しくなるにつれて所轄署の捜査も中断を余儀なくされ

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    2018年08月26日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション1 龍神池の小さな死体

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    トクマの特選!から発売されたかつてのプレミア本。著者の梶龍雄は知る人ぞ知る本格作家である。「弟は殺された」という母の遺言から始まる物語は紆余曲折を得ながら意外な落としどころを迎える。序盤はスローペースながら亡くなったとされる村に主人公が出向いてからは急に物語が進みだす。何が起こっているのかは分かるのだが、意外な方向に動いていくのがまず驚き。そこからの後半は伏線の回収や怒涛の展開。なるほどこの作品が評価されるのが分かる。面白い。

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    2025年10月16日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション3 葉山宝石館の惨劇

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    目玉のはずの殺人(しかも密室)がいつの間にか起こってしまっている、と言いたくなるような描写の仕方がユニーク。事後の伝聞みたいな形で処理されてしまうのだ。面食らったけれども、そこ(如何にして密室を造ったか?)はメインじゃないんだという作者さんの思い入れなんでしょう。後は惹句に「仰天の真相」とある大ネタで驚けるか。楽しいけれど、複数の視点が入れ替わる文章は少し読みにくいかな。

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    2023年08月21日
  • 梶龍雄 青春迷路ミステリコレクション2 若きウェルテルの怪死

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    端正なフーダニット。とびきりのトリックがあるわけでもなく、犯人の正体にも意外感はさしてない。ただ、事の真相が分かってから読み返すと、それを示唆する伏線が、当たり前の日常描写の中に如何に細かく埋め込まれていたかに気付いて、思わず顔がほころんでしまう。これは愉しい。青春ものとしては、主人公がひたすら無力な傍観者なのが少し残念。

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    2023年04月17日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション1 龍神池の小さな死体

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    数え切れない伏線と想像を超えた結末。
    横溝ばりかと思いきや、もっと超えてきた。
    時代を感じるものの、今でも充分通用する。

    トクマの特選は、懐かしいだけでは無かった!

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    2022年06月20日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション1 龍神池の小さな死体

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    ことに会話文がそうなのだけれど、文章が少し生硬な感じで、ちょっと読みにくい気がする。昔の国産ミステリは女性の描き方がめちゃくちゃなことが多いが、本作はそういうことはなく、探偵役を務める美緒嬢など魅力的。その代わりというのも変だが、主人公の感情の振り幅が大きすぎて、ついて行けないところがある。終盤、主人公はある人物に怒りを爆発させるのだけれど、それが唐突に過ぎる。確かに相手の人物は怒られても仕方のないことをしているのだが、それまで主人公がむしろ家族に対しても冷淡な人物として描写されてきただけに、無理矢理な感じは残る。ミステリとしては、意外な動機+大ネタで、そう来るかという感じ。

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    2022年04月17日
  • 海を見ないで陸を見よう

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    昭和20年代を舞台にした青春ミステリーです。ノスタルジックな雰囲気が非常に心地良いです。
    トリックはどうということはないですし、犯人を含めた各キャラの心理にイマイチ理解し難い部分がありますが、多数の伏線が物語と綺麗に結びついているところは素晴らしいと思いました。

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    2013年09月03日