梶龍雄のレビュー一覧

  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション1 龍神池の小さな死体

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    すごい、これは傑作だ!
    過去の出来事から最近の主人公の身の回りまでとにかくたくさん提示された情報や次々起こる事件が、ひとつの真相に収束していく解決パートがほんと気持ちよくて拍手したい気分です。
    パズルのピースが全部パチッと綺麗に嵌まったような読後感。これ長らく絶版だったのもったいなすぎる!

    さすがに文章が時代がかってるのと調査パートが結構長いのでぶっちゃけ序盤は少しだけダレたけど、終盤にむけて加速度的に面白くなっていったのでそこは全然個人的にマイナスポイントじゃないです!

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    2024年07月23日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション1 龍神池の小さな死体

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    トクマの特選!にて購入。名作と呼ばれているのでかなりハードルが上がった状態で読んだが、軽々と超えて華麗なポーズで着地してくれたまさに傑作ミステリ。44年前に刊行、作中では戦中から昭和40年代の日本社会が味わえるのも魅力。え、そこが繋がるの!?その要素重ねてくるの!?バレない自信よっぽどあるんだなぁ、と読んでる最中も楽しくて仕方なかった。きょうだい好きとしてはきょうだいの話なのも高ポイント。これしかないタイトルなんだけどこのタイトルの時点でどこか騙されている気もする、はじまりからおわりまで最高のミステリでした。文章もうつくしい。

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    2024年07月20日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション1 龍神池の小さな死体

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    20年以上前に疎開先で事故死した弟の真相を探るため、現地を訪れた主人公。何者かに襲撃され、新たな殺人も発生する。物語は予想もつかない方向へ大胆に飛躍するが、全ての謎が解決していく怒涛の最終章に圧倒される。おもしろかった!

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    2024年05月04日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション1 龍神池の小さな死体

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    ひぇ〜ฅ(๑⊙д⊙๑)ฅ
    久々に鳥肌たった⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝
    すげぇな伏線回収だぁー( ੭ ˙ω˙ )੭

    あらすじ

    「お前の弟は殺されたんだよ!」と言い残し
    息を引き取ったお母さん……どえらい遺言や‍‍www
    それを聞いた主人公の智一くん
    気が気じゃあなくなり
    弟くん秀二の死の真相を調べる事に
    そしてある事件に巻き込まれ絶体絶命のピンチ
    果たして事件を解決し弟くんの死の真相にたどり着けるのか!?

    今回で2作目になるカジタツ本
    「清里高原殺人別荘」も凄いおもしろかったが!
    今作もすげぇ〜面白かった〜

    弟くんの死の真相を調べている最中に
    あれよあれよと殺人事件に遭遇
    罠に嵌められ殺人の容疑者に……(´・_・`)
    主人公智一くん!大ピンチ!脇が甘いぞ!(〃`・н・´〃)

    しかし!今作のヒロインである!
    ミニスカ探偵☆佐川美緒!参上♪♪
    大ピンチのポンコツ智一くんを助ける為に獅子奮迅の活躍……♡(⑉• •⑉)
    途中まで主人公美緒ちゃんでよくね〜?と本気で思いました。‍www

    しかーーし!今作の本筋はこの事件に在らず!!
    弟くんの死の真相こそが!本筋である!
    無数に散らばった伏線を怒涛の回収劇が始まり!
    その真相を知ってしまった瞬間!!
    鳥肌!!2回、いや!3回!ฅ(๑⊙д⊙๑)ฅ
    いや〜びっくりしたなぁ〜‍

    今回もとても面白かった〜カジタツ本
    隠れ名作と言われているが
    なぜ隠れなのか、分からない
    そのぐらい良かったです!


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    2023年05月31日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション2 清里高原殺人別荘

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    これはすごい!(≧∇≦)

    なんとなんと!!ただでは終わらない!
    このラストはクセになる。
    好きなタイプのやつです‎߹ㅁ‎߹)♡



    いやぁ〜、騙されたよっ(°д° )

    そうきたか!

    犯人当てのバトルをしていたので、めっちゃ悔しいです(╯‵□′)╯︵┻━┻ 笑

    でも騙されたい私としては、大満足のラスト♡(º﹃º )


    1988年の作品という事で、ゆっくり注意して読めばきっと犯人が当てられるようなミステリを予想しておりましたが…いいですねぇ…甘かったです。


    大学生5人が、清里にある別荘に忍び込みます。
    彼らの計画は順調に進んでいたのだが、別荘には見知らぬ先客が潜んでいました。
    そしてその別荘で殺人事件が起こります…。


    ひっかけポイントが点在し、主要だと思っていた部分は「そっちかーーーい!」と華麗に突っ込みたくなる展開に…(*´艸`)

    疑えば疑うほど、不自然に思えてきて「なぜこのワードを強調するのだろう?」という疑問点が頭から離れず、何度読み返しても不信感は募るばかり…。
    結局私が疑っていた所は何もありませんでした。
    。゚(゚ノ∀`゚)゚。アヒャヒャマトハズレ


    バトル、4作目なのですが、毎回あかんと思うこと…

    小説の内容以外の「読者の反応」をも、推理の対象としてしまうこと…(-∀-`; )


    この本を読む前にTLで「これ、凄いよね!!」との会話を見ました。

    これ、凄いよね…
    これ、凄いよね…
    これ、凄い…

    もう頭の中では、
    『どの人が犯人ならば彼等に「すごい」と言わしめることが可能か……』

    そんな、本筋とは全く関係のない所での会話で推理し始める始末…笑


    そして読後には、
    「これ、凄いよ!!」と、自らが言う事に!(*´艸`*)


    これ、凄いよ!!!みんな!!!笑笑



    私は、犯人云々よりラストが痺れました。
    (負け惜しみじゃあないよ笑)

    そこを、推したい!!!


    私が好きなのは◯◯◯!!

    そこが良ければ、全て私好みの作品になってしまうのです♡


    おすすめします!!ヽ(´▽`)ノ




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    2023年03月26日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション2 清里高原殺人別荘

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    初のカジタツ本
    Twitterでめっちゃ面白いと聞いていたので
    いざ読んだら……もう、もう……
    お、お、おもしろいッッッッ!!
    すげぇ〜や!!

    〜あらすじ〜

    冬、シーズンオフの別荘地・清里──〝内側から開かない窓〟を設えた奇妙な別荘に、五人の男女が忍び込んだ。彼らがある連絡を待って四日間潜むその隠れ家には、意外な先客が。密室での刺殺、毒殺、そして撲殺……相次ぐ死によって狂い始めた歯車。館に潜む殺人鬼の仕業か? 逆転に次ぐ逆転! 伏線の魔術師・カジタツが巧緻の限りを尽くした極上の「雪の山荘」ミステリ。待望の初文庫化


    ある理由で男女5人が別荘に訪れ……
    その理由もおどろかせますが……
    そこから突如として殺人事件発生!!
    刺殺にYO〜
    毒殺にYO〜
    撲殺にYO〜
    殺害方法の玉手箱だYO〜
    ヒェーアーッッ!!
    そして推理小説と言えば!YO〜
    犯人当てだYO〜
    すんッッッッごい!悩んだ!(T ^ T)
    本気でよぉ〜(T ^ T)
    死に物狂いでよぉ〜(T ^ T)
    頭もパンクしかけたよぉ〜(T ^ T)
    でもよぉ〜
    でもよぉ〜
    ……
    ……
    犯人当てたYOッッッッッッ!!!(∩´∀`)∩ワーイ
    キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
    しかも今回は友人と推理対決なるものを
    していたので嬉しさ100万倍!!\(ˊᗜˋ)/ヤター
    いや〜良かった!良かった!と……安心していたが
    まさかのラスト展開に……
    うわぁぁぁ( ☉_☉) パチクリ。
    そう!最後まで楽しませてくれる作品でした〜
    本当に良かったです( *´꒳`*)
    他のカジタツ本も読んでいこうと思います〜

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    2023年03月26日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション1 龍神池の小さな死体

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    ネタバレ

    いや、これは凄い。傑作だ。 
    現在の事件のからくりに驚愕した後、過去とのつながりが明かされ、物語はさらなるカタストロフへ。戦時中の気配が残る寒村の雰囲気や、伏線回収、そして読者への挑戦状を思わせる一文まで飛び出し、これはもう徳間書店に感謝せざるをえない。


    ↓以下、トリックの記録含む感想
    まず、美緒が明かす赤髪連盟的真相。これがその後の智一の推理の土台になっていく。伏線は車を使うはずの花島先生が駅にいたこと、聞こえてきた電話での言葉など。ひき逃げの犯人が花島先生で、とすれば目撃者となっていてもおかしくはない都会風の男に脅されていたというのが巧い。

    そして、現在の事件での一番の驚きは、やはり死体の身元だ。だが、最初は花島先生の智一を騙すための言葉もあり、見抜く手がかりはやや少ないように感じた。が、あの二又の道、何者かの尾行、「電線しか通ってない」と電話の矛盾、吉爺さんに会う日だけ薬を飲ませなかったこと、などを考えればフェアと言えなくもない。

    そしてさらに驚くのが秀二は生きており、黒島先生と同一人物であるということだ。
    まず、マキ子の”秀二さん”という呼び名の伏線が巧い。マキ子が知るはずのない智一の母の病気を知っていたことなども補強となっている。
    そして犯人の黒島が、殺しても構わない(結局爺さんを一人殺しているのでむしろその方が楽)智一を殺さなかったこと、土地の者でないと知らない事実を知っていたことなどと組み合わせて秀二の現在の姿までも暴いている。

    そして、秀二の二度の入れ替わりの真相を知ることで、一気に秀二に対する印象は変わっていき、それは智一にまで及ぶ。これが壮大なカタストロフを生み出し、読後の余韻を生み出す。
    梶龍雄の今後の復刊も楽しみで仕方ない。

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    2022年05月17日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション2 清里高原殺人別荘

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    ネタバレ

    もう40年近く前の作品だが、私は知らない作家さんの知らない作品だった。

    なんだかやけに老けた大学生のグループが、雪山の山荘に閉じ込められる、いや閉じこもるクローズドサークル物だが、王道を行っているように見せかけてとんでもない変化球が飛んでくる。

    もっとも物語は冒頭から違和感を持って進み、なんだかすっきりしない展開で、「なんでそうなるの」の感が拭えないまま終盤に入っていく。

    驚愕が訪れるのは最後の1/4のいわゆる解決編に入ってから。いやー驚きました。違和感のもとであった部分も見事に回収されます。

    事件を起こしたこの大学生は、生きていればほぼ私と同世代になるのだが、もう少し当時の若者にマッチした人物造形がされて、登場人物に感情移入できると満点だったかな。

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    2025年09月06日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション2 清里高原殺人別荘

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    トクマ特選!で購入。龍神池がかなりおもしろかったためこちらも期待していたが、なるほどそっちか!と驚きと騙された喜びを与えてくれるミステリでした。最終的に男と女の(謎のこだわりである"年下男"と"年上女")嵐のような執着に行き着くところもおもしろかった。

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    2024年07月20日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション1 龍神池の小さな死体

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    この医者めちゃくちゃ怪しいな…というあからさまなところには気付いても、この人とあの人が繋がっていたことは予測できなかったので大分驚いた。その上、結局二人は相入れないまま終わり、肝心の母の想いもはっきり解き明かされなかったので、随分と無情な話と思わずにいられなかった。トリックは割とシンプルだからこそ動機の複雑さが際立って、なんとも言えない読後感だった。

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    2024年01月19日
  • 梶龍雄 青春迷路ミステリコレクション2 若きウェルテルの怪死

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    旧制高校もの第二作。今回は三高(仙台)が舞台。
    白樺派が大好きな文学青年が主人公だけあって、随所に武者小路実篤に佐藤春夫や萩原朔太郎の詩を引用したり、章タイトルに文学ネタを持ってくるあたり、くすぐりがきいてて良いですね。
    さらに昭和9年~10年頃舞台ということで、学生寮のバンカラな風潮(ストーム)とそれと対立するインテリゲンチア、マルクス主義、反戦同盟など、特高警察まで交えての当時の10代の若者の胸中と時局の絡みがとても私好み。
    事件の関係者それぞれの供述の食い違いや行動の違和感が見事に最後で畳まれる様も鮮やかでした。

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    2024年01月10日
  • 梶龍雄 青春迷路ミステリコレクション1 リア王密室に死す〈新装版〉

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    戦後の京都を舞台に、三高最期の学生達が経験した密室殺人と焼かれたノートの謎。
    二部仕立ての構成は、青春モノというより過ぎ去った過去へのノスタルジーに溢れた懐古モノといったテイストだが、とにかく無駄のない物語と伏線の巧みさでとても面白かった。

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    2023年10月29日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション3 葉山宝石館の惨劇

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    宝石館でおこる連続殺人。
    芳樹くんという宝石館の近くに住むクリスチャンの頭の良い子の日記が挟まるのだがそのせいもあるのか何だか余計に混乱してくる。
    頑張ってる刑事、素人名探偵、いかにも怪しい犯人など
    読みやすくて面白い。シリーズものじゃないちょっとだけシリアスな2時間サスペンスをみてる気分になった。
    驚愕ミステリシリーズのカジタツもので個人的には竜神池や清里高原より読みやすいし面白かった。。
    今回もカバーイラストが素敵。

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    2023年09月26日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション2 清里高原殺人別荘

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    ネタバレ

    初の梶龍雄。「トクマの特選!」で話題になっていたので購入。復刊されるまで名前も知らなかったが、あらすじを読む限り面白そうな作品が多い。

    雪の別荘を訪れた5人の大学生と、たまたま居合わせた妖艶な女性。
    一人また一人と減っていく。所謂、雪の山荘ものだが、物理的ではなく心理的なクローズドサークル。出ようと思えば出ていけるのだが、どうやら大学生たちには大きな秘密があるらしく、何かを待っている様子で。。。

    意外な真相でかなりびっくり。ある一点にかけた、たまーに見かける大掛かりな仕掛け。しかし似たような作品はあれど、ここまで綺麗に、どんでん返す作品は初めて。

    文体というか、表現などがかなり時代を感じるものとなっている(似たような時期に出た十角館の殺人が、今でもあまり違和感なく読めるのは改めてすごいと思った)。そこさえなければ、星5。仕掛けだけなら文句なしで星5。

    昔の名作が復刊することは大変喜ばしくあり、国内作品、国外作品問わずその流れが続いて欲しいと思う。

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    2023年08月19日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション2 清里高原殺人別荘

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    いろいろと想定外の決着だったので、大分びっくりした。銀行強盗がそんな急カーブを決めるのか!?とも驚いたし、最終的な死体の数もなかなか容赦が無くて、すごくいいミステリだと感心せずにはいられなかった。あれこれ引っ掻き回したものの、それも含めて秋江嬢のキャラクター性が面白かったので、余韻の残る最後の締めも良かったと思う。

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    2023年08月14日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション2 清里高原殺人別荘

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    ネタバレ

    正直途中までは、少し設定というか古い感じで少し違和感があり読みにくいな、という印象だったが、途中からは一気読み。展開がとても良かった。だからこそ、最後の選択が……そっちかァ……っていう。でもここまでの経緯とかがきちんと描かれているから、その選択を選んでも不思議では無いことも分かる。
    良作だが、やはり主人公にはその道を選んで欲しくなかったかなぁと言うのと、呉は死ななければならなかったのか……?ということも込めて☆4で。

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    2023年06月04日
  • 梶龍雄 青春迷路ミステリコレクション1 リア王密室に死す〈新装版〉

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    戦後直後、旧制三高生の木津武志は、同居する伊場富三(リア王)の怪死に直面する。アリバイが弱く鍵を持つ武志は疑われるが、三高の仲間達と真相を目指す。
    龍神池〜で期待していたカジタツはやはりすごかった。後半の想定外の展開に心地よく翻弄されました。

    カラバンやバールトなど癖が強いあだ名に辟易しつつ、郷愁を強く感じるラストは自分がアラフィフだから?
    三高生達を活き活きと描きつつ、それらが事件の主要要素として無理なく無駄なく配置されているのはさすが。青春小説でもあります。

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    2023年05月05日
  • 梶龍雄 青春迷路ミステリコレクション2 若きウェルテルの怪死

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    ネタバレ

    ● 感想
     解説に「外連味はないものの」とあったのもプラスで、真相にそこまで意外性はなかったものの、よいミステリだった。意外な犯人への期待値が低かったので、大平の妻が真犯人という、それほど意外性のない犯人でも期待外れ感はなく、むしろ伏線の多さなどを冷静に判断することができた。
     堀分の死が自殺とは思えない。その死の真相は?という謎から始まるが、この真相そのものは、特異体質が原因で、眠らせようとしたというもの。
     このミステリの構成として、大平の妻が研究所設立に大平が費やした財産を取り戻そうとする犯罪と、大平がTHDのメンバーであり、また北原郁子の父であったことから、THDと北原親子にも財産を残すため、ひそかに嘘をついていたこと、この2つが重なって、真相が分かりにくくなっている。
     作品中でも、秋津という刑事が「チグハグ」と言っているが、この2つの嘘のせいで真相が見えにくくなっている。大平の嘘がなければ、妻が夫の財産を取り戻そうとするという単純なプロット。しかし、大平の妻があまりに大胆かつ冷淡に殺人をするので、そのほかの部分との印象の差があり、これは意外性になっている。
     大平がTHDのリーダーであるという真相は、意外性は全くない。北原郁子の本当の父という点もあまり意外性がない。ここは、THDのパンフレット等を大平の奥さんが利用できるようになるという読者に対するミスディレクションと、高塚にアリバイ工作をさせることで、読者の目を高塚に向けさせるミスディレクションになっている。
     結論的に見ると、大平がTHDのリーダーで、大平の妻が財産を奪おうとして犯罪をしていたという、ひねりが全くない構造となっている。これを多数の伏線を貼り、嘘の見せ方を工夫することで、よくできたミステリとして見せている。メインの犯罪以外に、登場人物が様々な事情により嘘をついていて、筋が混乱するというのはクリスティっぽい手法。技巧的な佳作といえる。
     総合得点は、意外性についての期待値が下がっていたという点もあり、おまけの★4で。
    ● サプライズ ★☆☆☆☆
     外連味はないという前提で読むのであれば、大平の奥さんが犯人というオチでもがっかりはない。堀分に毒を飲ませた犯人としては、大平の妻、高塚、郁子あたりが容疑者になるが、このあたりの誰が犯人でも外連味はない。サプライズを狙った作品ではない。
    ● 熱中度 ★★★☆☆
     サスペンス感はあまりない。日記形式で読みやすくはあるが、熱中度も高くはない。
    ● 納得度 ★★★★★
     伏線は多いし、大平の妻の犯行は納得度が高い。大平がTHDのリーダーであるという真相も納得度が高いし、北原郁子親子の立ち位置も納得度が高い。納得度の高さが梶達雄ミステリの長所であるように思う。
    ● 読後感 ★★★★☆
     金谷と郁子が結婚し、幸せに暮らしていたようで、読後感はいい。
    ● インパクト ★★☆☆☆
     伏線は巧みではあるが、大筋はごく単純なミステリであり、インパクトは薄い。
    ● 偏愛度 ★★★★☆
     そもそも、梶達雄ミステリは結構長い間、読みたいと思っていたという経緯もあり、偏愛度は高い。読後感もいいし、伏線も巧みで、よくできた作品。好きな作品である。
    ● メモ
     カウンター飲み屋「奈加子」で、金谷から「推理小説」として読めるものとして、昭和9年頃に書いた旧制二高生時代の日記を渡される、という設定。
     日記の中で示される謎は、若き日の金谷の親友である堀分の自殺の真相。堀分には退寮処分があるなど、自殺の動機が一応はある。しかし、退寮処分から既に1か月が経過しており、もはや自殺の動機とはなり得ない。本当に自殺だったのか?
     堀分の自殺報道と併せて、東北反戦同盟の秘密大会への手入れがあったが、首魁を取り逃がしたという記事がある。これは伏線。加えて、30歳過ぎの身元不明男性の自殺死体が発見されるという記事も紹介されており、これも伏線。
     事件の前日、金谷は郁子の母が経営するミルクホールを訪れたが閉まっており、誰か客がいるのを窓越しに見ていた。さりげなく書かれているが、これも伏線。
     この辺りの注釈部分に、大平が反戦につながる思想を持っていたり、郁子親子もそういった思想を持っている可能性が示唆されている。
     堀分が薬品に対して特異体質だったことから、少量の睡眠薬でも死ぬ可能性があることが、小竹刑事との会話で分かる。堀分が飲んだ睡眠薬は、藤木という運転手が持っていたもの。
     小竹は特高の刑事。大平家にTHDの分子の一人がいるとの情報があった。
     THDのビラが「平易簡明な語り口」とあり、大平の文章と似通っているという伏線になっている。
     大平が家を売却し研究所を設立。財産を処分し、つつましく生活しようとしていることを金谷に告げる。これが、大平の妻の財産略取の動機でもある。
     秋津という刑事が、堀分の自殺を疑う。致死量を超える睡眠薬がなくなっていたことが引っかかる。
     大平家では原人の骨がなくなっていたことが分かる。
     ここで、研究所の会計を担当する三隅という男が登場する。堀分自殺事件の日に大平邸を訪れていた。この三隅を、大平の妻が殺害し、弟が三隅になりすまして財産を奪う。殺害された本物の三隅は、謎の身元不明の自殺死体として発見されている。
     本物の三隅を、大平の妻が迎えに行ったところを須藤(ゴリ)が目撃している。
     三隅の話。判子を自分の名前の下ではなく三隅の名前の下に押そうとしたり、早く用事を終わらせようとしていたという発言がある。これは、大平ではなく、大平になりすました高塚が対応していたという伏線。この三隅もすでに、大平の妻の弟に入れ替わっている。
     大平の妻から、金谷は文献整理等の謝礼金を受け取る。これは、大平の妻が気が利くいい人ともとれるが、真相を知ってから見ると、金でしか自分より下の立場の者を縛れないと考えていることの現れにもなる。ダブルミーニングとなっている。
     照代は、書庫の方で人の気配を感じたとある。これは外から侵入者があったようにも取れるが、真相としては大平の妻の動き
     この段階での秋津の推理。犯人は骨を盗むために堀分を眠らせようとして睡眠薬を入れた。しかし特異体質の堀分は死んでしまう。そこで自殺に偽装したというもの。
     秋津は、この事件にチグハグしたものを感じている。いろいろな人の証言が細かいところで追加されたり訂正されたりしている。このあたりは、登場人物の事件に関係ない嘘をミスディレクションとしてちりばめる、クリスティっぽい印象
     THDと名乗る者から、「骨を返してほしければ2000円を用意しろ」との脅迫状が届く。ここで、大平が「THDの名を騙って」と言っている部分は、自分がTHDのトップであり、THDが犯人でないと知っているという伏線となっている。
     2000円を運んだのは大平の妻。高塚、藤木、金谷が取り囲むが、犯人は2000円を奪って逃走する。
     東京から客が来る。ここで、金谷の大平の妻に対する印象。「気位が高く、冷たいようでいて、だが、神経がよく行き届く人」。だが来客があると、人の気をそらさない快活な活動性が加わる。郁子は「生まれ落ちた環境とか、幼い頃に受けた教育というのは、一生抜け落ちないものね」と評する。これらはすべてダブルミーニング。ここまでを読んで素直に解すると大平の妻への称賛だが、真犯人が大平の妻であると知って読むと、すべては抜け目ない性格を示唆した伏線とも読める。
     郁子のアリバイ作り。このあたりは、郁子もTHDのメンバーであることの伏線となっている。もっとも、郁子が真犯人と思わせるミスディレクションでもある。
     このあたりで、先入観にとらわれず捜査を進める秋津は、大平の妻を疑う。弟は気が小さく姑息。大平の妻は、「小さい頃から人の目の色を読んで器用に立ち回る女の子だった」など。これも真相を知った上で読むと伏線だが、ここではむしろ単なる噂として描かれている。
     THDの小冊子が配布される。相変わらず平易で親しみやすい口語体で書かれており、大平が書いたことを示唆している。
     金谷と郁子は遠足。そこで奥山(フケ)に会い、郁子は芥川全集の2巻を、たまたま出会った奥山(フケ)に渡す。これはすべて芝居。郁子と奥山(フケ)はTHDのメンバー。書類の受け渡しに金谷は利用されていた。それをほのめかすことを郁子は金谷に伝えている。
     大平が入院。癌で余命がさほど長くないことが分かる。大平はこのことを以前から知っており、研究所設立もこれが原因の一つ。
     三隅が財産を奪って逃走したことが分かる。大平の耳に入れないように、秋津が個人で捜査。三隅の家から、2000円を奪った際のバッグが見つかる。これは、大平の妻が仕込んだもの。
     THDとして奥山(フケ)が捕まる。北原郁子親子も行方をくらます。
     大平は、秘密の書類を処分するように高塚に指示。大平の妻もそれを見るチャンスを得る。大平の妻の弟から連絡があったとして、妻は弟のところへ向かう。
     小竹は藤木をTHDの大物として捜査。それを裏付ける書類が見つかる。藤木は、大平の妻を連れて行ったあと逃走。大平の妻の弟は死体となって発見される。これが偽三隅。
     須藤(ゴリ)と高塚は、ボートの事故で死亡。
     秋津は事件の真相を見抜く。大平が死ぬ。ここで、問題編に当たる日記は終わる。
     解決編。犯人は骨を盗むために堀分を眠らせたのではない。骨を盗むチャンスはいくらでもあった。三隅が偽三隅でないことを見抜かれないように堀分を眠らせた。全ては大平の妻の犯行。大平の妻は贅沢な暮らしを続けるために犯行に及んだ。この犯罪は、大平が研究所に投げ出した金を、ひそかに取り戻そうとする奥さんの犯罪だった。奥さんはその後も三隅と出会わないように、堀分に家を出るよう勧めていた。
     堀分は砂糖に入った睡眠薬を飲んだ。砂糖の中身が増えているという伏線があった。
     堀分は死んだ日、普段より長く夕食後に話をしていた。それから部屋に戻り、睡眠薬入りのコーヒーを飲んで倒れる。それを奥さんが偽三隅に伝え、訪問。このため、20分遅れた。奥さんはこの後、堀分が死んだあとに自殺に偽装する工作をする。この姿を女中が見ていたので、奥さんが来客中の大平にお茶を出したとか出していないとかのチグハグがあった。これも伏線。奥さんは砂糖の量を間違える。
     奥さんは工作後、窓から部屋に戻る。奥さんが偽三隅を見送ったというのは、奥さんにアリバイを作るための嘘。
     2000円騒ぎで犯人が消失したのは、奥さんが犯人だとすると謎ではなくなる。監視態勢が大げさになりすぎて、犯人が消えたように見えたのは奥さんにとって誤算だった。
     秋津はこういった推理から、三隅がどのような人物だったかを確認するため、本物の三隅と奥さんを目撃した須藤(ゴリ)に会おうとした。
     奥さんは偽三隅を殺害し、自殺に見せかけ、すべての罪を押し付けようとした。仙台の大平邸で殺害し、車で死体を運んだ。奥さんは藤木に金を渡して失踪させた。
     エピローグでは、東京で藤木が発見されたことを知り、自供。奥さんは藤木と後に東京で会い、殺害するつもりだった。
     2年後、金谷は北原郁子親子に偶然出会う。そこで、大平がTHDのリーダーだったことを知る。大平は研究所の設立のほかに、THDの資金の確保と、北原親子の生活費の確保を考えていた。郁子は、本当は大平の娘だった。「先生は、奥さんばかりのものじゃないんです! 私や母にとっても大切な人なんです」というセリフがこれの伏線。
     大平は、本当の売却価格と偽りの価格との差額を、THDの活動資金と北原郁子親子の生活費とした。大平は高塚にアリバイ作りを頼んでおり、偽三隅と会ったのは大平。
     このミステリは、夫の財産を奪おうとした単純な動機ながら、冷徹で大胆な大平の妻による犯罪と、THDのリーダーである大平による嘘の2つが重なっており、チグハグな状況が生まれるという構成となっている。
     最後は、金谷が郁子と結婚していたことがわかり、加奈子の女主人は、この日記=ミステリを、郁子を容疑者と疑わずに読めるというオチでエンド

    ◆ 端的なまとめ
     夫の財産を取り戻そうとする冷酷な妻の犯罪と、左翼運動組織「THD」のリーダーである夫の偽装という、二重の“嘘”が重なり、事件の真相を複雑に見せているミステリ。
     謎の中心は、ある学生の不自然な「自殺」だが、それは特異体質による予期せぬ死であり、犯人の目的は別にある。多数の伏線とミスディレクションによって、シンプルな真相を技巧的に見せる構成が特徴である。
    ◆ 評価(要素別)
    意外性      ★☆☆☆☆
    犯人の意外性は低めだが、あえて外連味を排した構成
    論理性・納得度 ★★★★★
     動機・行動・伏線の整合性が極めて高い
    熱中度     ★★★☆☆
    サスペンス感は薄いが、日記形式で読みやすい
    伏線の巧みさ  ★★★★☆
    些細な会話・新聞記事・人間関係に伏線を潜ませる緻密さ
    読後感     ★★★★☆
    苦味のある事件を経て穏やかな結末が得られる構成
    総合評価    ★★★★☆
    「技巧的な佳作」。派手さはないが、重層的構成と納得度の高さで読ませる一冊
    ◆ 総括
     トリック重視や驚きの犯人を期待すると拍子抜けするが、「人物の動機」「嘘の重なり」「伏線の妙」で読ませる、地味だが骨太なミステリ
     一見平凡な真相を、構成と技巧で魅力的に仕上げた作品であり、クリスティ的な「嘘と混乱」の演出に近い。知的な読者にこそ評価されるタイプの良作である。
    ◆ あらすじ(端的整理)
     旧制高校時代の親友・堀分の「自殺」の真相をめぐり、語り手の金谷が過去を回想する形式で物語が進む。堀分は特異体質により少量の睡眠薬で死亡したが、それは大平の妻による計画的な犯行だった。
     大平の妻は、夫が研究所に投じた財産を密かに取り戻すため、研究所会計の三隅を殺害し、実弟にすり替える。堀分は、偽三隅の存在を見抜く恐れがあったため、眠らされ、結果として死亡。自殺に偽装される。
     一方で、大平は左翼組織「THD」のリーダーであり、その活動資金を隠していた。この夫婦それぞれの嘘が複雑に絡み合い、事件を分かりにくくしていた。
     物語の終盤で、金谷は真相を知り、郁子(大平の実の娘)と結婚していたことが明かされ、事件の全貌が静かに収束する。
    ◆ 核心
    「冷酷な妻の犯行」と「理想主義者の夫の偽装」が交差する、嘘と伏線が巧妙に絡んだ二重構造ミステリ。
    ◆ トリック
     『若きウェルテルの怪死』のトリックは、「複雑に見える事件の真相が、実は極めて単純」という構造トリック型である。以下、主要なトリック要素を整理して解説する。
    ◆ トリックの中核:「堀分の自殺は偽装、しかし本当の死因は予期せぬ事故」
     堀分の死=事故死を自殺に偽装
     堀分は薬物に対する特異体質を持っており、微量の睡眠薬でも死に至る。
     大平の妻は、堀分に睡眠薬を盛って一時的に眠らせ、偽三隅(弟)と対面させずに追い出すつもりだった。
     しかし、特異体質のせいで堀分は予想外に死亡。それを「自殺」に偽装した。
    骨泥棒=犯人像という誤誘導(ミスディレクション)
     表向きの動機として提示されるのは「研究用の原人の骨の盗難」。しかしこれは本筋と無関係で、実際には、堀分の死と三隅の入れ替えを隠すための犯行が主目的
    ◆ 入れ替わりのトリック:「研究所の会計担当“三隅”がすでに別人」
     大平の妻は、本物の三隅を殺害し、自分の弟を三隅になりすまさせた。
     これにより、財産や金銭の流れを妻がコントロールできるようになる。
     偽三隅の人物描写(話し方、印鑑の押し方、態度)などに不自然さを匂わせ、伏線とする。
     偽三隅の死体は「身元不明の自殺者」として新聞記事に登場(伏線)。
    ◆ アリバイ・時間差のトリック:「奥さんは来客中のはずなのに、裏で偽装工作」
     堀分が死亡した後、大平の妻は「来客対応中」とされていたが、実は堀分の部屋に回り込んで自殺に見せかけた工作をしていた。
     女中の証言で、「お茶を出した」「いや出していない」など小さな齟齬が伏線となる。
    ◆ サブトリック:脅迫状・THDの影
     「THD」を名乗る者からの脅迫状(2000円要求)は、大平の妻による攪乱目的の自作自演
     大平は「THDの名を騙って…」と漏らすが、これは自分がTHDのリーダーであるという伏線

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    2024年09月08日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション2 清里高原殺人別荘

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    ネタバレ

     プロローグは三沢義信の視点から始まり、物語の舞台となる別荘の建物が、かつて思いを寄せていた叔母からもらったクリスマスカードに似ていることに気付くシーンが描かれている。この部分は物語のラストで義信と秋江が結びつき逃走するシーンにつながる伏線となっており、こうした伏線の多さが梶龍雄のミステリの特徴である。
     物語の冒頭部分では状況の説明がなく、読者を置いてけぼりにする。義信のほか、勝浦、瀬戸、高森、呉、沢木、川光といった人物が登場するが、彼らの関係性や清里の別荘に来ている理由が不明である。
     詳細な説明はないが、勝浦、瀬戸、高森、呉、義信の5人が沢木というリーダーの指示のもと、何らかの犯罪を犯し、その計画の一環として川口という男の別荘に忍び込んでいることが描かれる。その後、本来誰もいないはずの別荘に女性がいることが分かる。
     義信は偶然出会ったその女性が、かつて思いを寄せた叔母・陽子に似ていると感じる。その女性は秋江で、別荘の持ち主の娘である。ここから、何らかの犯罪をしている5人と、その5人に軟禁される女性というシチュエーションが展開される。
     高森と呉が喧嘩し、テレビとラジオを破壊するが、この喧嘩は外部からの情報収集手段を壊すための偽装の喧嘩であることが後に判明する。その後、一番奥の部屋で高森がナイフで刺され死亡する。
     高森の刺殺によって動機やアリバイの調査が行われ、秋江は高森と喧嘩していた呉を疑うが、呉は「馬鹿馬鹿しい。あの喧嘩は…」と発言し、喧嘩が偽装だったことを示す伏線となる。また、高森を刺したナイフが強い力で刺されていることも、高森殺害の真相に関する伏線である。
     ルリ子は秋江を疑い、秋江はメンバーの中に犯人がいるのではないかと指摘する。勝浦は外部からの侵入者による犯行の可能性を示唆し、外部にいる沢木からの電話もある。
     義信は秋江に対し、自分たちが銀行強盗をしてきたと説明し、自己嘲笑する。これは叙述トリックで、義信の説明を通じて読者に銀行強盗が行われているという誤解を与えている。実際には義信が誘拐されているが、義信自身は銀行強盗をしていると思っている。
     ブレーカーが落ちる事態が発生し、これはミスディレクションで、秋江がこの別荘の内部に詳しいことがさりげなく示されている。
     章が変わり、義信がルリ子のために勝手に外部に出てコーラを買ってくるシーンが描かれる。この行動について、ルリ子を含むメンバーが義信を叱責する。この反応は、実際には銀行強盗ではなく義信の誘拐であることを示す伏線である。
     秋江は義信に対して、義信が他のメンバーに利用されていることや、ルリ子が実際には勝浦と付き合っていると思われることなどを伝える。ここで秋江が川口の娘ではなく、会社の金を横領し、この別荘を死に場所として来ていた人物であることが明かされる。
     その後、ルリ子が毒殺される。絞殺の疑いもあり、別荘内に殺人鬼である川口光一が潜んでいるのではないかという疑惑が生じる。「そして誰もいなくなった」系のミステリでよく見られる第三者の存在が疑われる。呉は隠し部屋の存在に気付き、隠し部屋には誰かが過ごしていた形跡が見つかる。
     秋江は呉に沢木への疑いを向けるが、呉は動じない。そもそも義信の誘拐が事件の真相であり、身代金の支払いがない段階では疑う必要がないというのが真相である。
     義信が誘拐されていると意識して読むと、勝浦や呉の言動にも、分け前を増やすために殺人をしている容疑者から義信を省く点など、伏線がしっかりとちりばめられている。
     その後、沢木からの連絡があり、身代金を無事に入手したことが分かる。そして、呉が死亡する。勝浦は呉の殺害について秋江を疑うが、死体の冷え具合などから不可能であると判断する。仮に高森の死体を代用していたとしても無理である。
     ブレーカーが落ちて、勝浦が殺害される。義信による推理が展開され、秋江が外部の福田京子という人物に電話して何かを確認している場面も描かれる。
     義信による推理では、高森は川口光栄が仕掛けていた装置によってナイフが刺さり死亡したとされる。つまり事故である。隠し部屋に誰かが潜んでいた跡は、秋江が仕込んだトリックであると指摘される。義信は秋江が建物の構造をよく知っていたことを指摘し、ルリ子の毒殺は自殺のために用意されていたものであるとされる。呉殺害は、もう一つの死体である川口光一の死体を使ったトリックである。
     秋江は川口光栄の秘書であり、ルリ子、呉、勝浦を殺害したのは秋江である。ここまでは普通のミステリで、アリバイトリックもある。ここから、271ページの最後で沢木たちが行っていた犯罪が銀行強盗ではなく義信の誘拐だったことが明かされる。誘拐されながら、誘拐された本人はそのことに気付かず、むしろ誘拐に協力しているというアイデアは見事である。
     その後、作者による伏線の解説が行われ、誘拐の被害者である義信にこれが銀行強盗ではなく誘拐であることが説明される。膨大な伏線が仕込まれていたことが示される。伏線の解説はやや興ざめに感じるかもしれないが、分かりやすさもある。この作品がまだ少なかった時代背景も関係しているだろう。
     最後に、秋江による説得の後、義信は沢木を殺害し、身代金を持って秋江と義信が逃走する。別荘で警察と川口光栄が死体を見つけるシーンがあり、最終的には年上の女と年下の男が逃走するシーンで終わる。
     「実は誘拐だった」というオチを納得させる伏線はあるものの、物語全体の流れにはリアリティが欠けている。義信を閉じ込める場所として選ばれた別荘に秋江がたまたまいたという偶然や、秋江がいないと殺人も起こらない点、連続殺人のきっかけとなる高森殺しの真相が単なる事故である点は御都合主義的である。銀行強盗に見せかけた誘拐事件という形では斬新だが、ミステリとしては荒唐無稽な筋書きである。当時、またこうした児戯にあふれるミステリが少なく、評価が低かったのも仕方ないかもしれない。
     根っことなるアイデアは近いが、『RのZ』はよりリアリティが高い。この作品の評価については、アイデアの形を作った作品として歴史的な価値を加味し、75点としたい。さらに、「本格ミステリ・フラッシュバック」というブックガイドの存在を知り、興味を持った。高森真士の『割れた虚像』や磯部立彦の『フランス革命殺人事件』など、読んでみたい作品も知れたのは嬉しい。
     トータルで見れば、読んで良かった作品であると言える。

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    2023年04月09日
  • 梶龍雄 驚愕ミステリ大発掘コレクション2 清里高原殺人別荘

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    閉ざされた別荘内で不可解な死が続くというのが基本のプロットだが、解説にもあるとおり、今で言うクローズドサークルと言うより、昔のアクション映画によくあった籠城物のイメージに近い。メインの大ネタが、同工異曲の作品が後に多く書かれたせいで、今の読者をあまり驚かせはしないだろうことが残念ですね。正直見え見えかも知れない。帯にまで真相を暗示する惹句が書かれてるくらいで、あまりフーダニットの感じはしない。ひねくれた読み方だが、この人物にどうやって犯行が可能だったかという、ハウダニットとして読めばいいのかも知れません。

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    2023年02月17日