ヴィルジニーデパントのレビュー一覧

  • キングコング・セオリー

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    面白かった。いろんなフェミニズム本を読んできたけど、ここまで主観で語られてるものはなかった。怒りの強さと語りの激しさに最初はちょっとひるんだけど、読んでるうちにそれ自体がこの本の本質なんだってわかってくる。めちゃくちゃエキサイティングだった。

    ポルノにおいて男は女に自己投影してる、っていう考察はすごく納得したし、女がオナニーをしないことで自分の妄想や欲望に向き合わないままでいる、という指摘にはドキッとした。自分の嗜好を知ったのはオナニーを通してだったってのはあるよなあ。

    そして、レイプされた経験や売春の経験まで語っていて、そこからしか出てこない視点がたくさんある。それがすごく貴重だし、勇気

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    2025年07月28日
  • アポカリプス・ベイビー

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    みんなの擦り減りっぷりに、何度か涙がポロリ。登場人物に都度都度自分を憑依させれば、自分が色々な人になれる体験もできる。激しくも切なすぎるストーリー。

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    2024年09月09日
  • キングコング・セオリー

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    とても素晴らしい。
    決して浅はかな怒りではなく、心の芯から世界に対して響かせる強烈な怒号であり、それゆえに啓蒙的で何よりもパンク。
    とりあえずパンクで生きたいね。
    階級闘争の意識を絶望的なほど持ち合わせていない日本人こそ読むべき本。

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    2023年11月24日
  • キングコング・セオリー

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    セックスワークイズワークには同意できないのでずっと避けていた本だが読んで良かった。洞察力にあふれた言葉がこれまで言語化できてなかった感情に名前をつけてくれる。

    ただ、やはりセックスワークイズワークの理屈は最後までさっぱり理解出来なかった。売春はどれほど条件が整備されていても解離症状が出ていないかぎり自ら進んで従事できるものではない。それがもし万人にとって苦痛をともなわない行為ならば、それこそ男性自身がすでにまともな仕事として売春に従事し、整備しているはずだろう。

    著者にとっても売春行為は事件のトラウマを克服するための戦いであり、一種の自傷行為だとしか読めなかった。それ自体は痛々しいけれど、

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    2022年09月20日
  • キングコング・セオリー

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    痛快!だけどシリアス。
    『家事や育児のように、女性の性サービスは無償でなければならない。金は自立を意味する。売春がモラルを乱すのは、女性がそこに喜びを見出さないからではなく、女性が家の外で自分で金を稼ぐからだ。』
    セックスワークイズワーク、という言葉があるけど、それが正しいか私にはわからない。著者は賛成の立場のようだけど、中毒のようなものだとも書いてる。

    『女らしさとはすなわち、ご機嫌取りだ。服従の技法。』
    結婚していく友人たちが、思ってもないくせに、新妻気分でこんなことを口にする。「もう結婚するから、旅行なんかも気軽に行けなくなるでしょう?」そんなこと思ってないでしょ、というと今はまだ笑っ

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    2022年05月06日
  • キングコング・セオリー

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    やだ!パパにこの本読んでるのバレちゃって、恥ずかしー! でも、あ、私ってこう感じてたの!そうそう、あー、言語化してくれたね!!っていう爽快が詰まった本。

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    2024年09月09日
  • キングコング・セオリー

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    ネタバレ

    フェミニズムについて、フランスの本。
    気になったところ覚書とつらつら感想。
    「無理やり足を開かれても絶対に男を傷つけるなと教える一方で、レイプという犯罪から立ち直ることは絶対にできないと私に吹き込んだ社会に対して怒っている」
    本当に、性被害について、社会は、被害者はこう感じるべきを押し付けすぎ。
    「傷ついて恥と思って人前で語れる訳が無い」とか。
    うるせえクソやろう法の裁きを受けろ、と感じて、全然良いじゃない。
    むしろそう感じられる人が増えるよう、社会が変わるべきでは。なぜ被害を受けたのが恥なのか。


    「女性の性サービスは無償でなければならない。金は自立を意味する。売春がモラルを乱すのは、女性

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    2020年12月27日
  • キングコング・セオリー

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    ガンッと頭に衝撃を受けるような作品。
    デパントにしか書けないような非常にメッセージ性のある文章だと感じる。
    おそらく批判しようと思えば色々な点で批判できるだろうけど、誰かがこういうことを書かねばならなかったんだと思う。
    間違ってる、とか偏りすぎ、というような印象をいったん置いておいて、素直に受け入れる読み方をするのがオススメです

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    2020年12月09日
  • キングコング・セオリー

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     本書は、「フランスの人気女性作家ヴィルジニー・デパントが、17歳のときに受けたレイプ被害や個人売春の経験をもとに、性暴力や売春、ポルノの本質について独自のフェニズム理論を展開する自伝的エッセイ」(訳者あとがき)である。

     著者の怒り、ストレートな物言いが、現在の男と女の関係に安住しているオトコの自分にグサッ、グサッと刺さってくる。非対称の関係で権力を持つ立場にいる男の自分が気づいていないこと、当たり前だと思っていることについて、著者の舌鋒が迫ってくる。
     著者の主張を全て肯うものではないし、著者の言う「男の支配と折り合いをつけるのがうまい女たち」をつい可愛く思ってしまうが、少しずつでも変わ

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    2024年03月04日
  • アポカリプス・ベイビー

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    手にとって「う、前回読んで苦手だった人だ」と思った作者で、前作よりは読みやすかった。粗筋は15歳の少女の失踪を巡り、家族、仕事として捜索に関わる探偵たちの一人一人が抱える闇を全世界に向けて披露しますぜ、って感じですか。多分作家自身もいいとこの育ちで、一般人よりもより色濃く、偽善者による偽善発言を浴びて生きてきたんだろうとは思うけども。なーんだか、乱暴なんだよね。やっぱ背景(ここではヨーロッパの情勢)がよくわからない人に対しても、伝えたい物が生きるような、いわゆる周りの編集者の動きが重要なんではなかろうかな。

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    2022年04月25日
  • キングコング・セオリー

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    ネタバレ

    第3章 堕落しきったこの女をレイプすることはできない
    p46
    逆に、1960年代のアルジェリア戦争以来フランスの男が戦争に行っていないせいで、「民間人」へのレイプは確実に増加している。

    p49
    警官どもの法律は、男の法律だ。

    p67
    レイプはなによりもまず、「男の性欲は本人にはどうすることもできず、男はそれを制御することができない」という認識を伝える媒体の役割を果たす。

    p71
    本で読んだ通りなら、これはレイプのトラウマよりも戦争のトラウマに近いものだ。死の可能性、死との距離の近さ、非人間的な憎悪を他者から浴びせられること。

    第4章 敵と寝る
    p115
    小説のなかにはたくさんの娼婦が出

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    2022年02月10日
  • キングコング・セオリー

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    フランスの女性作家ヴィルジニー・デパントによるフェミニズム・エッセイ。

    「私はブスの側から書いている。ブスのために、ババアのために、男みたいな女のために、不感症の女、欲求不満の女、セックスの対象にならない女、ヒステリーの女、バカな女、「いい女」市場から排除されたすべての女らしさたちのために。」

    冒頭からファイティングポーズな文体にしびれます。巻末の著者写真を見ると、彼女は決してブスではなく、その存在感がめちゃくちゃかっこいいんですが、そもそも著者の外見について論じるようなルッキズムくそくらえみたいな本です。

    MeToo運動が起こったときに、「男性には女性を口説く権利がある」と反論し

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    2021年11月28日
  • キングコング・セオリー

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    『キングコング・セオリー』ヴィルジニー・デパント、相川千尋訳、2020/11/26、柏書房

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    リズムのよい文体と率直な文章が心地よいフェミニズムの書。まだ勉強を始めたばかりで細かい議論に関しては全体像を把握し切れていない部分もあるけれど、一つの視点を知ることができたのはとても大きい。

    最近日本で売られているフランスの女性作家による小説というと『三つ編み』や『彼女たちの部屋』くらいしか知らないのだけど、この本の作者の作品も読みたいと思った。

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    2021年09月20日
  • キングコング・セオリー

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    何でこれを手に取ろうと思ったのか、その経緯は忘れてしまったけれども、いつも読む本とは毛色が違って読んで良かったと思う。

    女であることは、その良さも悪さもわかった上で生きてきたつもりだが、もしかして…?と思わせる作品。
    昔の自分だったら反発したかもしれない。

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    2021年06月06日
  • ウィズ・ザ・ライツ・アウト ヴェルノン・クロニクル1

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    パリの伝説的レコード店主だったヴェルノン。むかし店に出入りしていて後に国民的歌手になったものの、不遇の死を遂げたアレックスの告白テープを託されたことから始まる群像劇。というか次々つながっていく人の輪!
    序盤はセックス&ドラッグ満載でうんざりぎみでしたが、後半は現代社会におけるはみ出し者たちの生い立ちに考えさせられました。
    気になるところで終わったので続編も翻訳よろしく!

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    2020年11月20日