ヤンソン・トーベのレビュー一覧
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"「この家より美しい家はないわ」
ママはムーミントロールの手を取って、空のように青い部屋へ入っていきました。
こうして、いつまでも、いつまでも、みんなはこの谷に住みつづけました。もっとも、気分を変えるために、何度か遠出はしましたけれどね。"
ムーミンの始まり。そして、この新版のムーミンの終わり。これが9巻目であることに大きな意味があると思った。
ムーミンとムーミンママが、いなくなってしまったムーミンパパを探して旅に出る。あたりはとても重苦しい雰囲気が漂っていて、トーベ自身が書いた序文の通り、戦争の只中に書かれた影響が見られる。
どうしたら良いかわからない混乱を経て、最後にムーミン谷に辿りつく小さな生き物たち。
序文もだけれどお二方の解説もぜひ読んでほしい。
ムーミン。どうしたら良いかわからず進み続けるけれど最後には答えを見つけられる小さい生き物たちの話なのだと改めて思った。 -
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"目が覚めたときにたいせつなのは、眠っている間も、だれかが自分のことを考えてくれていたのがわかることなんじゃないかなって。"
ムーミンシリーズの最終作。「ムーミンパパ海へ行く」と対になるお話。
「ムーミンたちに会いたい」「ムーミン谷に行きたい」と願ったホムサ・トフト、(この巻における)ヘムレンさん、(この巻における)フィリフヨンカ、ミムラ姉さん、スナフキン。
なんらかの解決したい悩みを抱えて彼らはムーミン谷にやってくるものの、ムーミンたちはちょうど島へ行っている最中。彼らには会えない。
そのため客人たちは十一月と十二月をムーミン谷でムーミンたちのように過ごすことになる。
偶然集まってきた小さい生き物たちの共同生活。愛おしかった。
共同生活の中で苛立ちながらも、自分が作りたい音楽の五小節を探す。
"(ぼくは、テントから出なきゃいけない。考えてばかりいるよりも、いっしょにいたほうが、まだましだ。連中ときたら、ムーミン一家とは大ちがいだよ)
はっと急に、スナフキンは一家のことが恋しくて、たまらなくなりました。あのひとたちだって、うるさいことはうるさいんです。おしゃべりだってしたがります。どこへ行っても、出くわします。でもいっしょにいても、ひとりっきりになれるんです。
(いったいムーミンたちは、どんなふうにしてたんだっけ?)
スナフキンは考えて、びっくりしました。
(夏になるたびにいつも、ずっといっしょにすごしていて、そのくせ、ぼくがひとりっきり
になれたひみつがわからないなんて)"
ムーミンたちを恋しく思いながらも、最後はひとりひとり、自分がやることを見つけて冬が始まる。
そして、その冬の始まりにムーミンたちが谷へ帰ってくるところでシリーズは終わる。
自分のやりたいこと、いるべき場所へ帰るという終わり方が好きだなぁ。
本当はもっとこの小さい生き物たちの小説を読んでいたいけれど、トーベがこの巻で筆を置いた理由がなんとなくわかる気がした。 -
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ムーミン一家が登場しない本
秋の気配にテントをたたみ、スナフキンがいつものようにムーミン谷を離れます。
初登場の小さなホムサ・トフト。自分にお話しを作って聞かせるのが好きなトフトは、会ったこともないムーミンママを夢見ています。
フィリフィヨンカ。家の中のことをきちんとするのが好きな彼女が、虫のせいで屋根から落ちそうになるという怖い思いをしたのち、全てを放り出してムーミン一家に会いに行きます。
秩序を重んじるヘムレンさんも、ボートで大海原に出ていくことを、ムーミンパパに話すんだと、雨に濡れながら出かけてゆき…
とんでもなく年寄りで、なんでも忘れてしまうスクルッタおじさんは、遠い昔に行ったことのあるムーミン谷を思い出しました。
いつもと何一つ変わらないミムラねえさんは、妹のミイに会いたくなってムーミン屋敷を訪ねました。
そして、ムーミン谷を出たはずのスナフキンがやってくるのをみんなが迎えました。
スナフキンは、自分だけの音楽を掴みそこねてムーミンに会いに戻ってきたのです。
このひとたち、それぞれに属性、性格が違いすぎて、どこか噛み合わない日々を過ごします。でも、だんだんとお互いを尊重し合い、
翻訳者の畑中さんが仰った事なんですが、
《共鳴》してゆくのです。
私が好きだったのは、お話にしか聞いた事のないムーミン一家のことを頑なに信じているホムサ。
この子は、屋敷で出会ったチビチビ虫に関する本を読み続けるんだけど、それがとても不思議な事を起こすのです。
ここが、『ムーミンパパ海へ行く』で、1人お庭を想い、取り憑かれたように壁に絵を描いていたムーミンママに通ずるような気がしたんです。ホムサの想いがママと響きあったよう。
そうです、ムーミン一家とおちびのミイは、あのパパの島の灯台にいるんです。
それに、ホムサが香りで誰かのことを理解する所も素敵。ミムラはペパーミントのにおいがするんですって
ホムサだけがどうしてみんなスナフキンのことを尊敬するのだろうと、本気で考えます。
みんなから距離をとって自分の世界に閉じこもっているのではと
ミムラ族はどうも自分は自分、人は人という感じが強いですからね。
(でも、ここって時に手を差しのべます)
ミムラが好きにしていられるのは、フィリフィヨンカのようにご飯を作って、家を仕切ってくれる人がいるからで… ミムラ族に近い自分も反省
あらためて大人こそ楽しめるお話しです
トーべの評伝を読むと、こんな風に書かれていて驚きます。
_トフトの語りはトーべ自身のものであり、ムーミン谷の一家の話を語り続けることがもうできなくなってしまった、トーべ自身の声なのだ。『ムーミン谷の十一月』はどんな風に「ムーミン谷と幸せな一家が色褪せ、姿を消していった」か、という物語になっていくのである。_
と、あります。ムーミン谷の物語を描き始めて25年が経ち、このお話でムーミン谷の本は、最後となります。トーベは大人向けの作品へとシフトし、自分を取り戻していった…のかな。
プーとクリストファーロビンのように
でも、愛がなければここまで書けないし、こんなに長く読まれてもいないですよね。
ムーミンママとホムサとママの森にはトーべの愛を感じられたから。 -
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本棚に置きたい一冊
トーベ・ヤンソンさんの世界が大好きです。
以前何かで、ムーミン全集をお勧めされており、拝読。
ムーミンといえば、高校生のころ。
今からもう22年も前のことになるのか。
アニメにはまり、そしたら大好きな友人もはまって、今思えばそれも嬉しかったなぁ。
あの頃はまだ、市内に出てもムーミンのグッズは少なかったけど、今はムーミングッズがこんなに増えました。
かわいいだけではない、トーベ・ヤンソンさん描く物語。
序文では、ちょうど戦争があっていた時に、
風刺画を描く時に署名がわりに使っていた、
怒った顔の生きものを主人公にしてムーミントロールという名をつけたとのこと。
かわいい登場人物たち
ムーミントロール
ムーミントロールのママ
スニフ
チューリッパー 青い髪の毛をした子。チューリッパーの絵が可愛くてとても好きだった。
ニョロニョロ
赤い髪の少年
コウノトリ
ママは凄いです。
パパを探す旅の間で、素敵な世界に辿り着いたのです。何から何で美味しい食べ物でできた世界。
そのあとは怒ってばかりのアリジゴクに出会ったり、
そしたらなんとニョロニョロ。
ママがパパのことを尋ねてもニョロニョロには伝わらず、
ニョロニョロと船と一緒に海の大嵐にさらわれます。
そして流れ着いた浜辺には赤髪の少年が。
海のプディングって一体どうなもの?
素敵な髪色同士の2人が一緒になったり。
そのあとは洪水に遭います。
そこで、猫の親子、ヘルムと出会います。
コウノトリの大切な眼鏡を見つけたムーミン。
コウノトリから大きな恩返しを貰います。
コウノトリに乗って、パパが見つかったり。
そして名前ぴったりなコウノトリは、それからも洪水で避難にあった生き物たちを助ける様子。
そして最後に、あのムーミンの家、洪水で流されたと思った家が小さな谷に流されてあったこと。
翻訳の冨原眞弓さんが
「ムーミンシリーズでは、すべてのキャラクターが、成長する生きものとして描かれています。おとなだからといって完全ではありませんし、子どもだからといって軽んじられることもありません。おとなも子どもも、たがいにかかわりあいながら、たがいのありかたを少しづつ変えていくのです。年齢にかかわりなく、ムーミンシリーズがわたしたちの心にまっすぐに語りかけてくる理由は、この辺りにあるのではないでしょうか」 -
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朝日が昇るのが遅くなる。
夕日が沈むのが早くなる。
朝夕が肌寒くなる。
木々の葉の色が変わってくる。
手足が乾燥してくる。
知らぬ間に季節が冬へと進んでいく十一月。
わたしは、この本が読みたくなります。
ページをめくると、今年もスナフキンは旅に出たくなっていました。
ある朝の早く、スナフキンは、ムーミン谷のテントの中で、目がさめました。
あたりは、ひっそりしずまりかえっていました。
しんみりとした秋のけはいがします。旅にでたいなあ。
ほんとにふいに、どこもここも、しんみりとしてきたのです。
あたりのようすは、もう、なにもかも、いままでとは、がらっとかわっていました。
旅に出ようと思いたった人には、いっときいっときが、身のちぢむ思いでした。
ムーミン谷はしずかです。
ぽつぽつと話す人の声と、風の音と、雨の音と、川の音と、海の音と、木々のざわめきと、時折だれかが作業をするトントンという音しかありません。
自然の中はしずかです。スナフキンが木の葉を踏みしめて歩く音が聞こえてきそうです。
スナフキンは、旅の途中で、いろいろな人に逢います。
みんなは、それぞれ、ムーミンママや、ムーミンパパや、ムーミンのことを思い出しています。まだムーミンパパの家へ行ったことのない人もいます。
みんなは、ムーミンパパの家に行くことにします。
けれど、家にはだれもいません。
そうなのです。ムーミンシリーズで、この巻だけ、ムーミン一家の人たちが出てこないのです。ムーミン一家は旅に出ていたのです。
奇妙な同居が始まります。不思議な巻です。
そして最後は、はるか地平線から追い風に乗って一直線に岸にむかってくる、ムーミンパパたちの乗るヨットが見えてくるのでした。
ムーミンパパが帆柱に吊るしたカンテラの灯が冬近い夕暮にあたたかく見えてますよ…
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ネタバレ『ボーダー 二つの世界』というスウェーデン映画を見て、
「トロールの話って他にどんなものがあるんだろう?」と気になり、
検索した結果出てきたのが『小さなトロールと大きな洪水』(トーベ・ヤンソン)。
今更思い出したけど…トロールって、『ハリーポッター』『ロード・オブ・ザ・リング』のイメージ強くて、
まさかムーミン出てくるとは思わなかった!!!!!
「トロール」とは一体何者なのか、本作を読み終えてから調べるか……と思っていたら書いてあったので抜粋。
【「トロール」というのは、北欧の神話や民話に出てくる妖精や小鬼のことで、北欧の人ならだれでも知っています。】
小鬼と妖精が一緒にされている事にもおどろきね。
そしてそこにさらに書いてあったのは、
【ムーミントロールというのは、ひとりのキャラクターにつけられた固有名詞ではなく、グループにつけられた種族名なのです。】
…とのこと。
普段私が「ムーミンかわいい」と言っているのは、
どうやら「ワンちゃんかわいい」と言っているようなものだったらしい。
主人公の名前やと思ってた…。
ムーミン以外にもいろいろ名前ある子が出てくると思ってた……
そして何気なく取ったこの一冊こそが【ムーミンシリーズ第1作目】との事。(第二次世界大戦の終了直後に、かぎられた部数で出版されたきり、長らく絶版になっていたそうです)
4重にビックリしました。
……と今まで幾度となく見てきたキャラクターをちゃんと知る良い機会になったなぁ。
ピカチュウがネズミだという事は間違いなく断言できるけど…
ウルトラマン……あなたは一体何者なのだ……。
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ムーミン物語を読むのは、実はこれが初めて。
本作は、ムーミン物語の第一作。
戦時中の1939年に、子供達のために
トーべが風刺画を描く際に、サイン代わりに
使っていた怒った顔の生き物をムーミントロールと名付けて主人公に構想、1945年に物語化。
当時トーベのフィンランドは、ドイツ軍の侵入
ソ連の空爆を受ける。
物語、最初はパパが不在で、ムーミンが、
ママと二人で、暖かくて住みやすい場所を探して、暗い森の中を旅する。
家族がばらばら、絵の挿絵もどことなく暗く、
戦争の影響を受けていると読むと、
最後にムーミンパパと再会できた時は、
心から安堵の気持ちがした。 -
Posted by ブクログ
なんとムーミン一家はいないとさ。
読者も集まってきた臨時住人と一緒に、彼らの帰りを心待ちにするが、無情にも耳の先さえ一切出てこない。あぁ無情。これでシリーズ終わっちゃうのにだよ。
でも何で星4にしていたかと思い出すと、読後感がさっぱりしているんだよね。
始めは人の家に勝手に住み着いて、好き勝手にやっている奴らにモヤモヤしたり、早くムーミンが出てこないかな?なんてソワソワしたりしている。
そのうち住民と同じ心境になる。この状況を受け入れるのだ。そして、このおかしな住人たちの人生を眺めようという気になってくる。
欠けているものを埋めたくてやってきた彼らは、思えば我々読者そのものだ。
私たちはこの本を読んで、「自分らしく生きるとは?」を考えたかったり、暇を潰したかったり、シリーズ読破の達成感を得たいと思ったりしている。癒されたい気持ちもあるかもしれない。
そのどれも、おもてなし状態で快適には満たしてくれない。不協和音の物語で、小首をかしげながら読み進めているうちに、自分の悩みも少し小さくなるような、美味しいものが食べたいと思うような。
生きるのも満更ではないという心境になってくる。
ムーミン一家はいつまでも、あなたの心の中にいます。ムーミンたちが出てこない物語を乗り切った私たちは、次に名言を生むのは自分だと言わんばかりに、このシリーズを卒業していくのだった。また会いましょう! -
Posted by ブクログ
ネタバレムーミンの本て、基本的に雨とか雷とか風とか薄暗い雰囲気で親近感湧きます。
物語の中盤でスクルッタおじさんのためのパーティーをすることになって、フィリフヨンカさんが台所に立ち始めたあたりから、ちょっとずつ雰囲気が明るくなってきて、みんな少しずつ楽しくなってきて、最後はめいめい温かい気持ちで別れられたのが良かったです(*ˊ꒳ˋ*)
フィリフヨンカさんが「わたし、おそうじせずにはいられなかったの。みんなだってそうしなくちゃ!したくてたまらないことをすればいいんだわ。ね、ミムラ」って言ったのが印象的でした。もともとはミムラの考えですが、フィリフヨンカさんが、目覚めたようで嬉しかったです(*ˊ꒳ˋ*)