大野一のレビュー一覧

  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    英国の産業革命と米国の第二次産業革命に対する労働者の反応を中心に、論理的に各章順を追って考察を重ねていく。第5部の未来への考察、すなわち今今発展しているAIに対する考察だけでも読む価値あり。
    情報技術の進展により世界はフラット化するという過去の予測は当たらず、対面での交流の重要性などにより特定の場所に技術発展が集中してきている、という考察にはハッとさせられた。

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    2026年05月02日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    「AIの産業革命論」=AIは新しい汎用技術であり、今後百年単位のスケールで経済・社会を変革していく。問題は技術のみならず、それを受け入れる社会、特に「雇用の問題」である。そのスタンス次第で、国家は繁栄もし、衰退もする。第一次産業革命「蒸気機関」の英国vs中国・インドのように。
    AIの入り口に立つ我々は、不安におののくだけではなく、積極的に「歴史に学ぶ」姿勢が重要。大部な書であるが、欧米の知識人の努力に負けてはいられない。
    1.イノベーション 何時の時代にも重要である。社会発展をブレークスルーするのはイノベーションのみだから。
    2.汎用技術 蒸気機関・電気・コンピュータ・AI
    これらさまざまな分野に応用できる技術は、多くのイノベーションの元となる。その集大成が「産業革命」であり、100年単位の生産性向上の歴史を作ってきた。
    3.産業革命を支えるのは中産階級
    産業革命当初は労働者に不利益となることもあり、失業やラッダイト運動など社会問題・労働問題をもたらす。資本の原始蓄積と先行投資の時期だからか?
    いずれ成長の果実が賃上げなど社会的に分配され、中産階級が分厚く形成される。
    民主主義の発展・福祉制度の形成などが進み、社会発展が実現する。
    4.AI時代の未来をどう創るかは我々の課題である。
    過去の産業革命同様、技術進歩に加えて、経済・社会・政治のサポートを含めて視野の広い対応が求められるという認識を共有すべきである。
    日本の社会体制は対応できるだろうか?
    5.その他 トピック
    ①ムーアの法則が指数関数的成長をもたらした
    ②コンテナ革命(1956年)貨物の標準化により世界的効果は巨大 港湾・鉄道・トラックなどのインフラ整備  
    技術よりアイデア・実行力 特に既存荷受け業者との軋轢 

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    2026年03月13日
  • 日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 1

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    ネタバレ

    資本主義/社会主義の利点、欠点を知れました。
    よく見聞きする、独占や寡占のマイナスなイメージを塗り替えられました。
    また、十分に発展した経済・社会であれば、「理論的」には、社会主義も悪くないのかもと思いました。

    また、マルクスについて、中立的に評価・解説されており、学びになりました。


    ・「競争=善、独占、寡占=悪」という考えについてのメモ
    静学的な最適化では確かに完全競争が最も効率が高くなるかもしれないが、
    その効率を実現するために必要だった技術開発への投資は、完全競争ではなく、ある程度の独占による利益を見込んで行われた可能性がある。

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    2026年03月08日
  • 日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 2

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    第2巻では「第4部:社会主義と民主主義」、「第5部:社会主義政党の略史」に加えて、戦後のその後の展開へのコメントとして、「イギリス第三版への序文(1949年)」と「社会主義への行進」というシュンペーターが亡くなる直前の(不完全な)論文が収録されていました。
    率直な感想はというと、第1巻での資本主義の深い洞察パートに加えると、第4部、第5部はやや物足りない感がありました。特に民主主義に関しては歯切れの悪さというか、分析の切れ味がどうしても資本主義に対するのに比べれば悪いなという印象でした。その意味で予想外だったのが第5部がとても面白かったこと。冒頭には自分は専門家ではないが、と断っていますが、そこらへんのジャーナリストよりはずいぶん読者をひきつける文章だったと思いますし、とても勉強になりました。第1巻よりはボリュームが少ないのであっという間に読めると思います。

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    2023年04月30日
  • 日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 1

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    シュンペーターといえば「創造的破壊」の概念を提唱した人物として日本人にもなじみの深い経済学者ですが、その概念を紹介したのが本書になります。本書は第二次世界大戦中の1942年に発刊された本ということで、そのあたりの背景を考慮しながら読み進めると良いかと思います。また本書では、序文としてシュンペーター伝を書いているトーマス・マクロウによる紹介文が掲載されていますが、これは非常に良い。本編を読み進めるに当たっての素晴らしいガイドラインになっています。

    上巻では第1部マルクス主義、第2部資本主義は存続できるか、第3部社会主義は機能するか、が収録されています。第1部では、マルクスの資本論簡潔に説明し、批判を加えていて、資本論になじみのない人でもマルクスの考えがよくわかるようになっています。第2部は本書の本丸ともいうべきパートで、冒頭に「資本主義は存続できるか。いや、そうは思えない」という断言からはじまっていて、読者にショックを与えています。そして中身を読み進めると、シュンペーター氏がいかに現実世界を認識しているか、人間の心理や非合理的な行動、不確実性への企業の対処方法などを鋭く分析していて、とても感銘を受けました。経済学者で理論だけをやっている人は、実業界の人間からすると、「まったく世の中をわかっていない」という評価が与えられることも多いですが、シュンペーター氏は実業界の人間以上に経済や経営の奥深くまで理解しているという印象を受けました。シュンペーター氏の予言は外れた、とかこの部分はまちがっている、と批判する人もありますが、本書からいかに多くの気づきを得られるかの方がよほど大事で、私からすれば間違いの箇所を批判するより、多くの気づきを得させてくれた感謝の方が大きいです。

    第3部の社会主義については、正直あまり感銘を受けませんでしたが、その理由として定義している社会主義の範囲が広いこと(現実世界でもそうですが)、またwhat if的な記述が多く、ほとんどフィクション的な印象を受けてしまいました。ただそれこそがシュンペーターの狙いかもしれない(つまり社会主義はフィクションのようなものだ)とすると、それはそれでやはりシュンペーターのすごさではあると思います。資本主義の将来を考える人にとって本書は必読書だと思います。

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    2023年04月30日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    まさに「自動化」の渦中にある現代テクノロジーにおいて「人々の仕事は機械に奪われてしまうのか?」「社会経済は、人々は、どうなってしまうのか?」という大問に、真正面から対峙した重厚な一冊。

    古くは先史時代から技術革新の歴史を顧みながら、特に近代以降の大変革ーーイギリス産業革命並びに第二次産業革命ーーを敷衍し、これらがいかにして起こり、特に労働者に対してどのような影響を与えたのかについて考察を重ねていく。またこれらの決定因子として、2つの労働の型ーー「労働置換型」と「労働補完型」ーーを提示し、補助線とすることで、難題を柔らかく解きほぐしていく。
    著者曰く、特にブルーカラーで起きている自動化はまさに「労働置換型」であり、これはかつてない規模で広範に起きていくということ。そして「労働補完型」のテクノロジーを活用する者のみが富む世界が、目前まで迫っているということ。

    これらを整理した上で、終盤では特にアメリカ社会にフォーカスし、現在進行形で起きている格差の拡大、中流階級の喪失およびポピュリズムの台頭といった地殻変動へ論展開しながら、解決策を教育、"戦略的"BI、インフラ、住居規制等に求めていく。
    日本社会でも同様に起き始めている世界的な構造変化であるだけに、世界最先端の論者の思考に触れることができて、月並みだけどものすごく勉強になりました。

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    2021年12月30日
  • 雇用、金利、通貨の一般理論 (日経BPクラシックス)

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    難解、(過去の翻訳書は)訳がよくない
    などと聞いていたので敬遠していたが新薬が次々出て本書を手に取ってみた
    マクロ経済学を学んだ後だと、真髄が分かる、までは行かないがそんなに難解でもないのでは?
    ただ、ケインズを下敷きに次へ行こうとしている経済の元では本書が熱狂で迎えられた感じとかは今ひとつというか全然分からないし、概念ならマクロ経済学の良いテキストがたくさんあるし、研究者以外が本書を読む価値が分かりにくいですね
    再読すると味わえるものもあるか?

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    2021年05月22日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    民主主義社会である以上、テクノロジーの進退は大衆がその恩恵を享受できるかどうかによって、ゆっくりと決まっていく。
    蒸気や電気など、汎用的な過去のテクノロジーは発明されてから広く受け入れられるようになるまで時間がかかった。
    また、受容されてから大衆にそのメリットが及ぼされるには数世代の時間がかかる。
    人々はテクノロジーのメリットを短期的には過大評価し、長期的には過小評価する。
    キーワード:資本家、国家、政府、労働者、中流階級
    鉄、鉄道、蒸気、自動車、電力の発明

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    2021年01月04日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    テクノロジーの進化について、古代ローマのテクノロジーからラッダイト運動を経てAI失業まで、一貫性のある説明がされており、目を見開かされる。

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    2020年11月10日
  • 代議士の誕生

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     日本の候補者が選挙でどのような活動をしどうやって代議士になるか、を大分県のある代議士のもとでエスノグラフィー手法で記録した本。メインの内容について書く前に、この本を今買うべきだと思うということを書いておきたい。2009年版前書きにおいて、なぜ民主党が勝利し、自民党が敗退したかということを書いている。それは、ビジョン再設定の失敗、エリート官僚の崩壊、自民党代議士個々の集票マシーンの崩壊だと言う。
     西欧に追いついた(Japan As No.1)となった80年代以後の明確なビジョン設定の失敗。地方のニーズの変化に気付かなかったこと。また、官僚の汚職報道、政策の失敗により、官僚の世間評価が変わったことと、その官僚に対して有効な政策を打てなかった。最後に、地方のコミュニティ崩壊、ニーズの変化に耳を十分に貸さなかったことが、自民党にとってアキレス腱となってしまったのだ。以上から、自民党は負けてしまったのだと言う。

     さて、本筋の話。1960年代後半の自民党の一代議士がどのような方法で国会議員になるかを追った話。これを読んで思ったのが、組織票の強さである。著書自身が驚きとともに書いているのだが、

     「ある地方議員の地元の村を訪ねた。~この議員と田舎道を歩いていると、向こうから議員の知り合いの農家のおじいさんが歩いてきた。議員は今度選挙があるので、佐藤候補(※著書が研究した代議士)をよろしく頼むと声をかけた。おじいさんの答えに私は驚愕した。自民党の集票マシーンをこの目で見た瞬間だった。おじいさんは「あなたに大変おせわになtっておるから、もちろん佐藤さんに入れる」と答えたのだ。」
    確かに、このような考え方はもう存在しないよな、と直感的に考えてしまった。

     つい最近テレビを見ていたら、著書が出ていて、菅政権について語っていたが、やっぱこの人面白かった。

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    2010年06月09日
  • 日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 2

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    ネタバレ

    資本主義と社会主義について、民主主義を交えて比較することで、資本民主主義についてわかることが多かった。

    著者はたぶん、民主主義/社会主義のどちらにも誘導しようとしていないので、考える土台になる良い本でした。



    ・民主主義が栄えるのは、ある一定の特徴を示す社会で、機能しない状況はある。
    どんな国/社会でも民主化するべきという考えは、長期的には正しいかもしれないが、外から短期的に無理に変えることがダメな理由をまた一つ知ることができました。

    ・近年、問題とされているインフレや財政赤字、税については慎重な意見で規律的な印象だった。

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    2026年03月08日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    しばらく前に、会議で投げかけられた「テクノロジーは人を幸せにするのだろうか」という問いがずっと頭にあった。私たちは何の問いを解こうとしているのだろう。

    未来を考えるために過去を知る。かなり分厚いけど、かなり面白かった。

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    2024年12月06日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    機械が登場して仕事を追われた職人が暴動を起こし、便利になるはずの機械を破壊する。結局人間は個人としての利益のために動くのであり、機械化が世の中を豊かにする、などと楽観的な思考にはならない。
    とあるアーティストが、サブスクリプションは利益がないから無くなって欲しい、との発言をして話題になった。程度こそ違うがまさにラッダイトの一つではないだろうか。
    長期的に見ればプラスだろうが、職を追われる側からすればマイナス以外でない。AIによる技術革新は止まらないのだから、先を読み行動するしかないのだろう。

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    2024年06月23日
  • 民主主義のファイブ・フォース分析 政治産業にイノベーションを!

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    経営戦略の大家であるマイケルポーターと元企業経営者による政治分野においてファイブフォースを取り入れて分析を行った本。

    実際の分析のプロセスは正直どうなんだろと思うところ(そもそも政治分野に「競争」の概念を取り入れること自体個人的は反対)も多々あったが、世界一裕福なアメリカがなぜランキングではここまで下なのだろうか、近年の社会はなぜここまで劣化、あるいは格差が広がっているかなどの課題意識は、極めて正しいと思うし、読み物として面白い。

    アメリカの二大政党制という極めて歪な政治構造にメスをいれることはなかなかできないけれど、新たな視座を提供してくれる本。

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    2024年02月26日
  • 日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 1

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    「資本主義はその成功ゆえに失敗する」マルクスの向こうを張ったこの意表を突くテーゼであまりに有名な本書は、処女作『 理論経済学の本質と主要内容(岩波文庫) 』でワルラスの一般均衡理論を継承したシュンペーターが、『 経済発展の理論(岩波文庫) 』でイノベーションをキーにその動学化を図った後、自らの学問体系の総仕上げとして構想した長期の社会変動論である。第二次大戦後の高成長から低成長時代を迎える中で福祉国家化が進展し、シュンペーターの予想が一定の説得力を持ち得た時期もあった。しかし80年代に西側の保守政権によってレッセフェールが息を吹き返し、社会主義陣営の崩壊を経て、2000年代以降グローバル資本主義が猛威を振るうに至って次第に色褪せていった。

    シュンペーターのイノベーション理論は、その理論的な華麗さにも拘らず、いやその華麗さゆえに現実を記述するモデルとして決して万能ではない。イノベーションはまさに「創造的破壊」であるがゆえに通常の経済循環過程からは生まれない。それは非連続な未来を直観した企業家によって循環の外部から唐突にもたらされる「新結合」である。企業の巨大化とともに所有と経営が分離し、官僚主義が蔓延する中で、企業家精神もイノベーションも枯渇するとシュンペーターは言う。だが企業を成長に導くのは天才的な企業家の「創造的破壊」ばかりとは限らない。アイデアを製品化し、市場を開拓する上で、組織にビルトインされたインクリメンタルなイノベーションが果たす役割も決して小さくない。シュンペーターの悲観論はこの点を見逃している。

    もう一つシュンペーターが見落としていたのは、彼が生きた時代の制約もあるが、資本主義をグローバルに捉える視点だろう。資本主義は差異を導入することによって生き延びると言ったのは岩井克人だが、グローバルレベルでの労働力価格差が差異の源泉として存在し続ける限り、画期的なイノベーションがなくとも資本主義は安泰だ。それが壁に突き当たるとすれば、差異が喰い尽くされるまでグローバルな平準化が進むか、もしくは、それがもたらす国民経済の混乱に耐えきれず、国家が何らかの阻止行動に出るかのどちらかだろう。いずれにしてもシュンペーターが予想した資本主義の安楽死とはかなり違った道筋を辿るとみたほうがいい。

    個人的に最も興味深く読んだのはシュンペーターの独占理論だ。完全競争市場で価格を所与とせざるを得ない企業には生産手段を戦略的に活用する余力は乏しく、独占による安定化がイノベーションを促すという。介入主義的な独禁政策に批判的なオーストリー学派らしい考え方だが、独占の最たるものと言える社会主義へのシュンペーターのニュートラルな立場の背景には、こうした独占の捉え方があるとみてよいだろう。

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    2023年12月30日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    ◯ 政治的支配力をすでに握っている者にとって、ほとんどの場合、創造的破壊という不安定化プロセスには何の利益もない。(48p)

    ◯ 短期の問題には政府が慎重に対処すべきだ。イギリスの産業革命を生きた多くの人々にとって、短期とは一生を意味した。(524p)

    ◯ 自動化がまだきわめて困難な対人サービス業は多岐にわたる。そうした仕事は、お金に余裕のある人が多い高スキル労働者の集まる都市で創出されると考えるのが自然だ。(543p)

    ★技術の進歩は万人にとって良いことであり、ラッダイト運動は誤解に基づいた間違った行為というふうに思い込んでいた。しかし、進歩の恩恵に与れない人々にとっては、当然に合理的な行為であったのだ。

    ★AIの発展も、何の政治的な対策もしなければ、社会に混乱をもたらす。

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    2023年12月09日
  • 日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 2

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    「民主主義とは、単に『統治する人を受け入れる機会、拒否する機会が市民にある』という意味にすぎない」(p109)

    なかなかドライな指摘ではあるが、民主主義の本質をしっかりと見据え、よりマシな政治を展望するまっとうな書といえる。エリート民主主義の本丸とみなされている本書だが、そういう看板を外して、現代の民主主義の現状を踏まえて読んでみると、実に有益だ。

    あえて狭くとらえつつ、効果を最大化する戦略といえる。逆に理想を大きくして、現実を一ミリも前に進めない思想はダメだ。

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    2023年11月13日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    具体の話が少し頭に入ってきにくい感じがあったので、機会があれば再読を頑張りたい。

    第一次産業革命では、ラッダイトと呼ばれる機械を壊して抵抗する労働者が現れたりして、イノベーションに対するアレルギー反応ようなものがでたりするが、最終的には全ての人に技術革新の恩恵が行き渡ることもあり、受け入れられてきた。
    ただ労働置換技術によって仕事を失ってしまった人たちが、恩恵を受けずに人生を終えてしまうようなことが第二次産業革命の際にも起きており、政治経済の面からのフォローが必要である。

    自分個人としては、イノベーションにいち早く適応し、自身のスキルとして使っていかなければ、ならないと思う。

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    2023年05月30日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    ネタバレ

    とても分厚く読み応えがある

    過去のイギリスとアメリカの産業革命からテクノロジーが人々の生活にどのような影響をもたらしたかを分析し、今のAIによる自動化の影響を考察している

    初めて自動化してもそれによるダメージの大きさを知った。昔のイギリスでは産業革命が起こっても人々の賃金レベルは変わらず、上位の人々だけ恩恵を被ったこと、アメリカでは対して労働補完型のテクノロジーという受け入れ方のため、受け入れられ、生活レベルの向上をすぐに促したことがかかれている。しかし現在のコンピューターの出現により、高卒などの賃金は下がっており、格差がどんどん広がっていることを知った。

    そのため、一概にAIによる自動化を喜べるわけではない。ただ、最終的にみると生活水準を上げているため、そこに達するまでの間の職を失った人々をどのように守るか、そしてその人々が織りなすポピュリズムを防ぐかを考えなければならない。

    生涯勉強あるのみ…

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    2021年08月12日
  • 日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 2

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    1巻より続く

    気づき
    ・マルクスは自分は決して真の民主主義の道から逸脱し
     ているわけではない。真の民主主義の息の根を止める
     資本主義という毒ガスを除去しなければならないと宣
     言しただろう
    ・民主主義は「市民による統治」と定義できるかもしれ
     ないが、「市民」と「統治」にはさまざまな概念があ
     る
    ・結局のところ、民主主義の原理とは、競争を勝ち抜い
     て最大の支持を得た個人や集団に政権を委ねることを
     意味するにすぎない。そうなれば民主的な手法のロジ
     ックでは多数決制度が肯定されるように思える
    ・有権者の選択はイデオロギー上「市民の声」と美化さ
     れているが、自発的なものではなく、作り上げられて
     いくものだ。それを作り上げることが民主的なプロセ
     スの本質的な要素といえる。争点に決着をつけるのは
     有権者ではないが、議員を選ぶ際も、まったく自由な
     状態で被選挙権者から選ぶわけではない。通常のケー
     スでは例外なく主導権は候補者にある。候補者は議員
     のポストとそこに見え隠れする地元のリーダーシップ
     を手にしようと目論んでいるのであり、有権者にでき
     るのは「他の候補者の目論見よりはこちらの候補者の
     目論見の方がよい」と受け入れるか、受け入れを拒否
     することだけだ
    ・帝政はロシアの社会のパターンが生み出した体制であ
     り、イギリスの議会君主制やアメリカの民主共和制と
     同様、実際には社会のパターンに適した体制であった
    ・ロシアの工業部門が有力な社会主義大衆政党を生み出
     せなかった背景に資本主義の発展が大きく立ち遅れて
     いたという事情があったとすれば、アメリカの工業部
     門が有力な社会主義大衆政党を生み出せなかった背景
     には、資本主義が目まぐるしいスピードで発展してい
     たという事情があった
    ・民主主義の首相は手綱を握るだけで精一杯で行き先を
     自分で自分で決められない騎手のようなものである

    今日、民主主義と社会主義とどちらがよいのか、資本主義には限界がきているのではないかということが取りざたされているが歴史上特にヨーロッパ諸国でこんなに上記の主義が入り混じった複雑な時代があったとは勉強させられました。

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    2021年04月27日