大野一のレビュー一覧

  • 日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 2

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    第2巻では「第4部:社会主義と民主主義」、「第5部:社会主義政党の略史」に加えて、戦後のその後の展開へのコメントとして、「イギリス第三版への序文(1949年)」と「社会主義への行進」というシュンペーターが亡くなる直前の(不完全な)論文が収録されていました。
    率直な感想はというと、第1巻での資本主義の深い洞察パートに加えると、第4部、第5部はやや物足りない感がありました。特に民主主義に関しては歯切れの悪さというか、分析の切れ味がどうしても資本主義に対するのに比べれば悪いなという印象でした。その意味で予想外だったのが第5部がとても面白かったこと。冒頭には自分は専門家ではないが、と断っていますが、そ

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    2023年04月30日
  • 日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 1

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    シュンペーターといえば「創造的破壊」の概念を提唱した人物として日本人にもなじみの深い経済学者ですが、その概念を紹介したのが本書になります。本書は第二次世界大戦中の1942年に発刊された本ということで、そのあたりの背景を考慮しながら読み進めると良いかと思います。また本書では、序文としてシュンペーター伝を書いているトーマス・マクロウによる紹介文が掲載されていますが、これは非常に良い。本編を読み進めるに当たっての素晴らしいガイドラインになっています。

    上巻では第1部マルクス主義、第2部資本主義は存続できるか、第3部社会主義は機能するか、が収録されています。第1部では、マルクスの資本論簡潔に説明し、

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    2023年04月30日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    まさに「自動化」の渦中にある現代テクノロジーにおいて「人々の仕事は機械に奪われてしまうのか?」「社会経済は、人々は、どうなってしまうのか?」という大問に、真正面から対峙した重厚な一冊。

    古くは先史時代から技術革新の歴史を顧みながら、特に近代以降の大変革ーーイギリス産業革命並びに第二次産業革命ーーを敷衍し、これらがいかにして起こり、特に労働者に対してどのような影響を与えたのかについて考察を重ねていく。またこれらの決定因子として、2つの労働の型ーー「労働置換型」と「労働補完型」ーーを提示し、補助線とすることで、難題を柔らかく解きほぐしていく。
    著者曰く、特にブルーカラーで起きている自動化はまさに

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    2021年12月30日
  • 雇用、金利、通貨の一般理論 (日経BPクラシックス)

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    難解、(過去の翻訳書は)訳がよくない
    などと聞いていたので敬遠していたが新薬が次々出て本書を手に取ってみた
    マクロ経済学を学んだ後だと、真髄が分かる、までは行かないがそんなに難解でもないのでは?
    ただ、ケインズを下敷きに次へ行こうとしている経済の元では本書が熱狂で迎えられた感じとかは今ひとつというか全然分からないし、概念ならマクロ経済学の良いテキストがたくさんあるし、研究者以外が本書を読む価値が分かりにくいですね
    再読すると味わえるものもあるか?

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    2021年05月22日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    民主主義社会である以上、テクノロジーの進退は大衆がその恩恵を享受できるかどうかによって、ゆっくりと決まっていく。
    蒸気や電気など、汎用的な過去のテクノロジーは発明されてから広く受け入れられるようになるまで時間がかかった。
    また、受容されてから大衆にそのメリットが及ぼされるには数世代の時間がかかる。
    人々はテクノロジーのメリットを短期的には過大評価し、長期的には過小評価する。
    キーワード:資本家、国家、政府、労働者、中流階級
    鉄、鉄道、蒸気、自動車、電力の発明

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    2021年01月04日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    テクノロジーの進化について、古代ローマのテクノロジーからラッダイト運動を経てAI失業まで、一貫性のある説明がされており、目を見開かされる。

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    2020年11月10日
  • 代議士の誕生

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     日本の候補者が選挙でどのような活動をしどうやって代議士になるか、を大分県のある代議士のもとでエスノグラフィー手法で記録した本。メインの内容について書く前に、この本を今買うべきだと思うということを書いておきたい。2009年版前書きにおいて、なぜ民主党が勝利し、自民党が敗退したかということを書いている。それは、ビジョン再設定の失敗、エリート官僚の崩壊、自民党代議士個々の集票マシーンの崩壊だと言う。
     西欧に追いついた(Japan As No.1)となった80年代以後の明確なビジョン設定の失敗。地方のニーズの変化に気付かなかったこと。また、官僚の汚職報道、政策の失敗により、官僚の世間評価が変わった

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    2010年06月09日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    しばらく前に、会議で投げかけられた「テクノロジーは人を幸せにするのだろうか」という問いがずっと頭にあった。私たちは何の問いを解こうとしているのだろう。

    未来を考えるために過去を知る。かなり分厚いけど、かなり面白かった。

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    2024年12月06日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    機械が登場して仕事を追われた職人が暴動を起こし、便利になるはずの機械を破壊する。結局人間は個人としての利益のために動くのであり、機械化が世の中を豊かにする、などと楽観的な思考にはならない。
    とあるアーティストが、サブスクリプションは利益がないから無くなって欲しい、との発言をして話題になった。程度こそ違うがまさにラッダイトの一つではないだろうか。
    長期的に見ればプラスだろうが、職を追われる側からすればマイナス以外でない。AIによる技術革新は止まらないのだから、先を読み行動するしかないのだろう。

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    2024年06月23日
  • 民主主義のファイブ・フォース分析 政治産業にイノベーションを!

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    経営戦略の大家であるマイケルポーターと元企業経営者による政治分野においてファイブフォースを取り入れて分析を行った本。

    実際の分析のプロセスは正直どうなんだろと思うところ(そもそも政治分野に「競争」の概念を取り入れること自体個人的は反対)も多々あったが、世界一裕福なアメリカがなぜランキングではここまで下なのだろうか、近年の社会はなぜここまで劣化、あるいは格差が広がっているかなどの課題意識は、極めて正しいと思うし、読み物として面白い。

    アメリカの二大政党制という極めて歪な政治構造にメスをいれることはなかなかできないけれど、新たな視座を提供してくれる本。

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    2024年02月26日
  • 日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 1

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    「資本主義はその成功ゆえに失敗する」マルクスの向こうを張ったこの意表を突くテーゼであまりに有名な本書は、処女作『 理論経済学の本質と主要内容(岩波文庫) 』でワルラスの一般均衡理論を継承したシュンペーターが、『 経済発展の理論(岩波文庫) 』でイノベーションをキーにその動学化を図った後、自らの学問体系の総仕上げとして構想した長期の社会変動論である。第二次大戦後の高成長から低成長時代を迎える中で福祉国家化が進展し、シュンペーターの予想が一定の説得力を持ち得た時期もあった。しかし80年代に西側の保守政権によってレッセフェールが息を吹き返し、社会主義陣営の崩壊を経て、2000年代以降グローバル資本主

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    2023年12月30日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    ◯ 政治的支配力をすでに握っている者にとって、ほとんどの場合、創造的破壊という不安定化プロセスには何の利益もない。(48p)

    ◯ 短期の問題には政府が慎重に対処すべきだ。イギリスの産業革命を生きた多くの人々にとって、短期とは一生を意味した。(524p)

    ◯ 自動化がまだきわめて困難な対人サービス業は多岐にわたる。そうした仕事は、お金に余裕のある人が多い高スキル労働者の集まる都市で創出されると考えるのが自然だ。(543p)

    ★技術の進歩は万人にとって良いことであり、ラッダイト運動は誤解に基づいた間違った行為というふうに思い込んでいた。しかし、進歩の恩恵に与れない人々にとっては、当然に合理的

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    2023年12月09日
  • 日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 2

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    「民主主義とは、単に『統治する人を受け入れる機会、拒否する機会が市民にある』という意味にすぎない」(p109)

    なかなかドライな指摘ではあるが、民主主義の本質をしっかりと見据え、よりマシな政治を展望するまっとうな書といえる。エリート民主主義の本丸とみなされている本書だが、そういう看板を外して、現代の民主主義の現状を踏まえて読んでみると、実に有益だ。

    あえて狭くとらえつつ、効果を最大化する戦略といえる。逆に理想を大きくして、現実を一ミリも前に進めない思想はダメだ。

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    2023年11月13日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    具体の話が少し頭に入ってきにくい感じがあったので、機会があれば再読を頑張りたい。

    第一次産業革命では、ラッダイトと呼ばれる機械を壊して抵抗する労働者が現れたりして、イノベーションに対するアレルギー反応ようなものがでたりするが、最終的には全ての人に技術革新の恩恵が行き渡ることもあり、受け入れられてきた。
    ただ労働置換技術によって仕事を失ってしまった人たちが、恩恵を受けずに人生を終えてしまうようなことが第二次産業革命の際にも起きており、政治経済の面からのフォローが必要である。

    自分個人としては、イノベーションにいち早く適応し、自身のスキルとして使っていかなければ、ならないと思う。

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    2023年05月30日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    ネタバレ

    とても分厚く読み応えがある

    過去のイギリスとアメリカの産業革命からテクノロジーが人々の生活にどのような影響をもたらしたかを分析し、今のAIによる自動化の影響を考察している

    初めて自動化してもそれによるダメージの大きさを知った。昔のイギリスでは産業革命が起こっても人々の賃金レベルは変わらず、上位の人々だけ恩恵を被ったこと、アメリカでは対して労働補完型のテクノロジーという受け入れ方のため、受け入れられ、生活レベルの向上をすぐに促したことがかかれている。しかし現在のコンピューターの出現により、高卒などの賃金は下がっており、格差がどんどん広がっていることを知った。

    そのため、一概にAIによる自動

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    2021年08月12日
  • 日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 2

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    1巻より続く

    気づき
    ・マルクスは自分は決して真の民主主義の道から逸脱し
     ているわけではない。真の民主主義の息の根を止める
     資本主義という毒ガスを除去しなければならないと宣
     言しただろう
    ・民主主義は「市民による統治」と定義できるかもしれ
     ないが、「市民」と「統治」にはさまざまな概念があ
     る
    ・結局のところ、民主主義の原理とは、競争を勝ち抜い
     て最大の支持を得た個人や集団に政権を委ねることを
     意味するにすぎない。そうなれば民主的な手法のロジ
     ックでは多数決制度が肯定されるように思える
    ・有権者の選択はイデオロギー上「市民の声」と美化さ
     れているが、自発的なものではなく、作り

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    2021年04月27日
  • 日経BPクラシックス 資本主義、社会主義、民主主義 1

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    読もうと思った理由
    現在起こっている政治経済制度の問題点について深く知りたいと思ったから

    気づき
    ・ひとたび「資本家」が潜在的なサービスの蓄えを手に
     すると立場上、そうした蓄えや潜在的な蓄えの生産に
     かかるかかる時間以上、労働者を働かせることがー実
     際のサービスを提供させることができる。この意味で
     資本家は支払った以上の労働時間を現場で要求でき
     る。その結果生産された商品も、生産にかかった労働
     時間に比例した価格で販売されるため、二つの商品の
     価値に差が生じる。この差が剰余価値で、資本家はこ
     の剰余価値を掠め取ることで「労働者」を「搾取」す
     る
    ・マルクスによれば「科学的社

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    2021年04月26日
  • テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス

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    AIに代表されるテクノロジーは生産性の向上により人間を不要な労働から救う救世主なのか、それとも低付加価値の労働者の仕事を奪うことで失業率を押し上げる悪魔なのか。論争が尽きぬこの議論に対して、主に産業革命以降のテクノロジーの歴史を紐解くアプローチを取ったのが本書である。

    本書では、産業革命以降、労働生産性を向上させたテクノロジーを2つに分解する。1つは”労働補完型”であり、こちらは労働者を存在とするがその労働をより簡易にできるようにし、労働者自身の安全性向上というメリットももたらす。もう1つは”労働置換型”であり、こちらは労働自体をテクノロジーが自動化することで不要としてしまうタイプであり、産

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    2020年12月13日
  • 代議士の誕生

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    著者は本書の主人公ともいえる新人立候補者の佐藤文生氏の家に一年近い期間居候し、佐藤氏がどのような戦略で票を集めていたのかを詳細に記録している。本書は、フィールドワークの傑作と言われているが、その詳細な記述には驚くばかりである。今であればこれだけ自分の陣営の手の内を見せるようなことはできないだろう。

    本書は、半世紀も前に上梓された本であり、情報としては古いものである。選挙区は中選挙区から小選挙区比例代表並立制になり、農業従事者や自営業者の減少など当時とは状況が大きく異なってきている。しかしながら、代議士がどのような考えで選挙に臨んでいたのかを知る一級の史料であることには今後も変わりないだろう。

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    2015年05月01日
  • 代議士の誕生

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    かつて出されたカーティス氏の著作の復刊。2009年の政権交代直後に出された。まえがきの「政権交代は何故起きたのか」は自民党が敗北した理由を選挙制度から議論をスタートさせ、かなり鋭い分析を加えている。

    この本は著者の博士論文が元になっており、当時の選挙活動の実態が事細かに記されている。現在は中選挙区制から小選挙区制へ移行したために、このような選挙活動は一部行われなくなったとは思うが、一部の記述はおそらく現代でも当てはまるだろう。

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    2012年11月28日