藤谷千明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
激しく揺さぶられました。まさに『人恋しくて女性風俗に行ったあとで考えたお金とケアと欲望のこと』についての取材と考察がループになっている本です。題名はラノベ風タイトルってやつですね。でもライト・ノベルというよりスーパーヘビーなドキュメントでした。書きっぷりは軽々しているのに…。なぜなら読者としての自分も「『人恋しくて女性風俗に行ったあとで考えたお金とケアと欲望のこと』を読んだら考えざるを得ない『自分の欲望とお金とケアのこと』」状態になるからです。正直、感想も書きにくい…です。そうやって構えている読者を尻目に著者は行動します。その無茶っぷりと、でも自分の「欲望」から離れない誠実っぷりに翻弄されました。「欲望」についての「消費」と「搾取」についてのフィールドワーク(こんな文化人類学的な単語使っていいのかどうか、わからないけど…)としては田中東子『オタク文化とフェミニズム』で指摘した男女の欲望の非対称性がさらにディープに繰り広げられている感じです。ただジェンダーの問題だけでなく「欲望」を「お金」による「ケア」によって発露するシステムって資本主義の現在地だったりする訳で。「お客さんの椅子」という立場についての問題意識の自認が本書の背骨かな。つまり、この本がすごいのはセックスビジネスというテーマを使って著者の中にある「書きたい」という「欲望」が作り出す暴力性の自覚なのです。この本は以下の文章で締め括られます。『完全な対等は存在しないのかもしれません。不完全な取引を積み重ねることしかできない。 それでも誰かと関わることをやめられない。書きたいと望んでしまう。わかりたい、わかってほしいと望んでしまう。それはやはり都合のいい願望でしかない。そして、その「願望」の 行き先のひとつとして、この本があるのです。』もはやこのノンフィクション・エッセイ、21世紀の私小説かも。
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Posted by ブクログ
ネタバレ久しぶりの蟹めんまさん書籍!しかも藤谷さんとの共著!2~3店舗探してやっと購入。(書影見せてないのに発見したのは夫だったがw)
やっぱりこのお二人のキャラクターも含めて面白くて大好き。メインは老後・介護だけど、隙あらばV系ネタぶっこんで来るし、登場人物も様々で…まさか介護ネタで大島暁美さまのお名前を見るとは。
なかなか為になる1冊だった。
元気なうちに私もエンディングノート準備しておこうかなぁ。周囲の人間にも回覧しよう。
「死」は日常の先にあるもの、特別視するもんじゃなくて身近なこと。だから日頃から話題にすべきネタだよなぁ。
でも一番衝撃受けたのは「はじめに」部分でめんまさんが既婚&離婚を暴露されていたことw -
Posted by ブクログ
ネタバレあ~、買ってよかった。
蟹めんまさんの漫画を読んでいたら度々登場していた藤谷さん。
近年だと「マツコの知らない世界」で「V系の世界」を熱弁されていた、あの藤谷さん!
が、何やら面白い生活をつづったらしい。本屋でたまたま目にしてすっと手に取った私、すごい。超面白かった。
寮生活を除くと、家族じゃなければ・恋愛関係でなければ「他人との共同生活」はできないよ、という風潮が強い我が国。シェアハウス等も増えていると聞くが、メディアが垂れ流す情報はどうも信用できない。結局色恋沙汰とかトラブル起きそうだし。
老後は気の合う友人と仲良く一緒に暮らせたら、一度は軽く夢見る計画をアラフォー女性4名が実践。発端から具体的な手続き、日常の描写。とてもわかりやすく、愉快に、読みながら「いいなぁ、いいなぁ」と心の中で連呼。
10年以上、ゆるっとつながった趣味友達だからこそ成しえるこの暮らし。自立して、何となくの性格も知っていて、お互いを思いやる気持ち、適度な距離感。全て備わってこそこの理想郷が作られた。
(でも暮らすことが決まって初めて本名を知る!という展開に笑った)
これからの時代に大変有意義な1冊だと思います。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ女性用風俗という視点はこれまであまりなく、非常に興味深く読んだ。
著者自身が男性用風俗で働いてみるという展開には驚いたが、読み進めると、男性用/女性用で違いはありつつも、「客とサービスする側」という関係の中で起こることには意外と共通点が多いように感じた。
「職業に貴賤なし、クソ客に性差なし」という言葉はシンプルだけど面白い。
また、一対一の関係の中で、せめてその瞬間だけでも「替えの利かない存在」になること、人と違うことを怖がらず武器にすることが強みになる、という話も印象に残った。これは風俗に限らず、仕事や人間関係にもかなり当てはまる気がする。そうした部分が「自分らしさ」になるのかもしれない。
かなり刺さったのが、
「受け身でいたいが、欲望されたい」
という部分。これは自分だ、と思った。笑
自分から何かを求めるのは怖いけれど、誰かから求められたい。単なる性欲というより、相手から欲望されることで自分の価値を確認したい、という気持ちも含まれているのかもしれない。
「風俗の客は、自分が何を求めているのか分かっていないかもしれない」という話も面白かった。性欲なのか、触れられたいのか、肯定されたいのか、寂しさを埋めたいのか。自分自身の欲望なのに、自分でもよく分からない。これは風俗に限らず、恋愛や買い物、仕事などにも言える気がする。
そして一番新鮮だったのは、「お客さんの椅子」という考え方。
お客さんの椅子に座った瞬間、それまで見えていたものが見えなくなる。自分がかつて見られる側だったことも、サービスする側の事情も、立場が変わると簡単に忘れてしまう。
風俗についての本ではあるけれど、読後に残ったのはむしろ、
「自分は何を欲しているのか」
「自分はどの椅子に座っていて、そのとき何が見えなくなっているのか」
という問いだった。 -
Posted by ブクログ
「搾取」とは一体なんなのだろうか?その問いに対して明確な結論は得られない。
望まぬ形で従事させられていたらそれは搾取だろうが、だからといって性産業の従事者がすべて搾取されているとは言えないだろうし、他の仕事でも搾取は大なり小なりありそうだ。それに金銭の授受がなくても、ひどい恋愛には搾取的な要素があるようにも思う。
ただ性産業は生身の体を売ってるからこそ、精神的、肉体的な疲弊は他の仕事とは次元も質も違うと思う。このルポはさまざまな立場の性産業従事者への真摯なインタビューを通じて取りまとめられている。そして、ご自身も実際に風俗で働いて買う側だけでなく売る側にもなっている。なんともすごい。
ルポ自体も面白いけど、作者が女性という記号で括られることを忌避する一方で、男女の性差に対してレッテル貼りに近い言及をしている、その揺らぎも面白い。生物学的な性差は克服できないし、人間は社会的な動物だから男性はこう、女性はこうという無意識的な認識から逃れられないのだろうなと思う。そして、その偏見や性差を原因に対立しないためには思いやりと対話が重要なんだろうなと感じた。