秋田茂のレビュー一覧

  • イギリス帝国の歴史 アジアから考える

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     本書は,近年のグローバルヒステリーの研究結果を踏まえながら,18世紀から20世紀末までのイギリス帝国の形成・発展・解体の過程を,主にアジア諸地域(特にインド)との関係性から論ずるというものである.
     また,本書では同時に,今日,環大西洋圏に変わって世界経済の中心となりつつある,アジア太平洋圏の経済システムの基礎が,如何に形作られたかという問題についても,これに対するイギリス帝国の関与とその意義を明らかとする.本書は2013年度読売・吉野作造賞を受賞するに至ったが,一読すれば,それも納得できる内容である.イギリスの一国史という視点を離れ,同時代の諸地域・諸国家間のヨコの関係,つながりに注目しな

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    2013年10月19日
  • イギリス帝国の歴史 アジアから考える

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    かつては世界の四分の一の土地を支配したイギリス帝国の変遷を、アングロ・サクソン系国家の推移、特にコモンウェルズを形成するアジア諸国(特にインド)との交易から勉強できる一冊。

    日本との関係でいえば、日清戦争直前の1893年に神戸と英領ボンベイを結んだ日本郵船社の航路は日本で初の国際定期航路とのこと。
    近時、韓国に5,000億円に相当する偽の外債券詐欺があったらしい(今は紙で発行してないw)けど、本物のロスチャイルド・アーカイブ蔵の、日露戦争資金調達向け日本政府外債の写真も掲載されていて迫力がある。

    特に興味深かったのは、リヴァプールとアフリカ大陸のガンビア、カリブのジャマイカを結ぶ大西洋の三

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    2013年09月20日
  • イギリス帝国の歴史 アジアから考える

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    ネタバレ

    ロンドンオリンピックにかけて、
    イギリスの歴史を知ることを目的に本書を取った。

    イギリスは、世界の覇権を握った。
    その歴史と、その影響力の及ぶ範囲の広大さに驚く。歴史をほとんど勉強してこなかった自分だが、奴隷貿易という重要な問題について、知らなかった自分に驚く。アメリカの独立に対する背景、インドとイギリスの関係、そして、アジア、アフリカ。
    歴史を知らずして、グローバルを語れないとつくづく感じた。

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    2013年01月05日
  • イギリス帝国の歴史 アジアから考える

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    アジアとの関連性に重心を置いたイギリス帝国史の通史。イギリス本国が植民地を支配したという一面的な見方だけではなく、インドをはじめとしたアジア植民地勢力がイギリスに与えてきた影響や、その結果帝国がいかに変容し、解体していったか語られている。こういう経済史の講義だったら、大学でももっと勉強していたかな。。

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    2013年01月29日
  • イギリス帝国の歴史 アジアから考える

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    グローバルヒストリーという手法で、一国の歴史に留まらず、地球的視野で地域間の関係からイギリス帝国の歴史を描いている。17世紀のアジア圏での交易と大西洋圏の交易と密接に関係している様子や、遠隔地交易の決済の必要性からシティが発展していく様子等が生き生きと描かれており面白かった。19世紀のイギリス小説には、インドで成功した人物が良く登場する。その人たちが、個人にも許可されている貿易により財産を築いた東インド会社の文官や軍人らしいと分かったのが、この本を読んだ副産物であった。

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    2012年12月08日
  • イギリス帝国の歴史 アジアから考える

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     地球規模での諸地域の連関を考え,各国史を超える新たな世界史を構築しようという「グローバルヒストリー」が近年注目されてるらしい。本書はそれを取り入れた大英帝国の通史。
     特にアジアの視点をメインにしてるのは,二百年にわたって世界経済を支配した欧米世界に変わり,今世紀に勃興してきたアジアを重視したため。大英帝国は,長い18世紀から20世紀まで,アジアとも密接な関係をもってきたため,まさにうってつけの視点でもある。
     大英帝国が19世紀を中心に世界を支配したのは,地球の各地に定住植民地,従属領・直轄植民地,非公式帝国を築いてきた結果。その帝国が,どのように形成され,どのように繁栄して,そして衰退し

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    2012年08月15日
  • イギリス帝国の歴史 アジアから考える

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    トインビー以来の産業革命が近代への一大転換点であったという見方に揺らぎが出ているという近年の歴史学上の動向や、英国の金融立国はかなり昔から続いていたことなど、従来とひと味違った英国史観が興味深かった。

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    2012年07月15日
  • 駒形丸事件 ──インド太平洋世界とイギリス帝国

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     本書は、ローカル<地方>・ナショナル<国家>・リージョナル<広域の地域>・グローバル<地球世界>の4つの層での相互の結びつきを重視するグローバルヒストリーの手法を使って、「駒形丸事件」というある事件を描き出そうとする試みである(「はじめに」より)。

     「駒形丸事件」といわれても、本書を読むまで全く知らなかった。
     1914年、カナダへの移民を希望するインド人400人弱を乗せた日本船の駒形丸が、香港から上海、門司、横浜を経てカナダ・バンクーバーに向かったところ、上陸を拒否される。止むなくカナダを退去した駒形丸は横浜、神戸に一時寄港後、インド・コルカタに向かったところ、バッジ・バッジで警官隊と

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    2025年04月01日
  • 駒形丸事件 ──インド太平洋世界とイギリス帝国

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    1914年、カナダ・バンクーバーで起きた移民排斥事件「駒形丸事件」の背景と、インド太平洋世界への影響を解説した本。

    横断的に歴史を学ぶことの大切さと、現在も続く移民問題への理解を深めるのに役立つ一冊。

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    2024年11月23日
  • イギリス帝国の歴史 アジアから考える

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    帝国の歴史は、いかに宗主国の経済的利益のために、搾取するための植民地を作ってきたのかの歴史である。金のためには何でもありの国家形成政策である。このような帝国主義は一昔前のもののように感じられるが、今まさに帝国化したあるいは帝国化しようとしている国々が世界に猛威を振るっていることには驚きである。いつになったら世界中でウィン=ウィンの関係が構築できるのだろうか。

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    2020年09月10日
  • 市民のための世界史

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    高校で世界史まともに教えてもらえなかった大学生用、という感じ。必要性はよくわかる。現代史のところはちょっとクセがある。分量的にも適切な感じだし、高校世界史の教科書がわりに1冊もっていてよいのではないか。

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    2021年01月05日
  • イギリス帝国の歴史 アジアから考える

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    その版図を世界各地に広げたイギリス帝国に関する近現代史。
    経済やヒト・モノの流れの解説がメインで、
    政治や外交に関する話題は少なかったのが残念。
    各地方に対する支配形態の多様さが新鮮でおもしろかった。

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    2013年04月18日