秋田茂のレビュー一覧
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本書は,近年のグローバルヒステリーの研究結果を踏まえながら,18世紀から20世紀末までのイギリス帝国の形成・発展・解体の過程を,主にアジア諸地域(特にインド)との関係性から論ずるというものである.
また,本書では同時に,今日,環大西洋圏に変わって世界経済の中心となりつつある,アジア太平洋圏の経済システムの基礎が,如何に形作られたかという問題についても,これに対するイギリス帝国の関与とその意義を明らかとする.本書は2013年度読売・吉野作造賞を受賞するに至ったが,一読すれば,それも納得できる内容である.イギリスの一国史という視点を離れ,同時代の諸地域・諸国家間のヨコの関係,つながりに注目しな -
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かつては世界の四分の一の土地を支配したイギリス帝国の変遷を、アングロ・サクソン系国家の推移、特にコモンウェルズを形成するアジア諸国(特にインド)との交易から勉強できる一冊。
日本との関係でいえば、日清戦争直前の1893年に神戸と英領ボンベイを結んだ日本郵船社の航路は日本で初の国際定期航路とのこと。
近時、韓国に5,000億円に相当する偽の外債券詐欺があったらしい(今は紙で発行してないw)けど、本物のロスチャイルド・アーカイブ蔵の、日露戦争資金調達向け日本政府外債の写真も掲載されていて迫力がある。
特に興味深かったのは、リヴァプールとアフリカ大陸のガンビア、カリブのジャマイカを結ぶ大西洋の三 -
Posted by ブクログ
地球規模での諸地域の連関を考え,各国史を超える新たな世界史を構築しようという「グローバルヒストリー」が近年注目されてるらしい。本書はそれを取り入れた大英帝国の通史。
特にアジアの視点をメインにしてるのは,二百年にわたって世界経済を支配した欧米世界に変わり,今世紀に勃興してきたアジアを重視したため。大英帝国は,長い18世紀から20世紀まで,アジアとも密接な関係をもってきたため,まさにうってつけの視点でもある。
大英帝国が19世紀を中心に世界を支配したのは,地球の各地に定住植民地,従属領・直轄植民地,非公式帝国を築いてきた結果。その帝国が,どのように形成され,どのように繁栄して,そして衰退し -
Posted by ブクログ
本書は、ローカル<地方>・ナショナル<国家>・リージョナル<広域の地域>・グローバル<地球世界>の4つの層での相互の結びつきを重視するグローバルヒストリーの手法を使って、「駒形丸事件」というある事件を描き出そうとする試みである(「はじめに」より)。
「駒形丸事件」といわれても、本書を読むまで全く知らなかった。
1914年、カナダへの移民を希望するインド人400人弱を乗せた日本船の駒形丸が、香港から上海、門司、横浜を経てカナダ・バンクーバーに向かったところ、上陸を拒否される。止むなくカナダを退去した駒形丸は横浜、神戸に一時寄港後、インド・コルカタに向かったところ、バッジ・バッジで警官隊と -