メアリロビネットコワルのレビュー一覧
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1952年、巨大隕石の落下により絶滅の危機が迫る人類は、宇宙開発に希望をつなげるが……。歴史改変SF。
落下してくるものを阻止しようというアルマゲドンやディープ・インパクトとは逆で、最初に隕石が落ちてしまってからの顛末。1952年の設定で、実在の人物も登場するが、歴史は現実とは大きく異なるものとなっていく。
隕石落下の影響で、人類の存続が危ぶまれるのだが……。
あれ?序盤のパニック的な危機感はどこへやら。宇宙開発のさなかで、女性の社会進出問題や黒人とかユダヤ人の人権問題、人間関係のあれこれや自身の弱点との戦いで物語は進んでいく。なんだか、肩すかしをくらったような感じを抱きながらも、主人公の -
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アメリカ主要SF3賞受賞作。1950年代のアメリカが舞台。恐竜を絶滅させたのと似た規模の隕石衝突があり、近い将来居住不可能になる地球から脱出すべく宇宙開発を進めなくてはならないという歴史のifを考えるSF。主要なテーマは宇宙開発そのものよりも、女性差別や人種差別、そして宇宙飛行士を目指す女性主人公がパニック障害の性質も持っているという形で、差別や多様性が軸となっており非常に現代的。「地球の限界」を社会や私たちが一律に一丸となっては受け止めないのではという点は現代への風刺とも取れるし、緊迫した場面の描写もうまく、コンピュータの発展前なので計算者などの改変歴史ならではの職業による味付けが程良いこと
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ネタバレ巨大隕石が落下したことによって温暖化が起こり、地球は人類が住めない星になる。
そうなる前に人類は宇宙に移住先を探し、コロニーの建設をしなければいけない。
という背景は、この下巻では随分薄まっていて、ひたすら主人公のエルマが宇宙飛行士を目指す話に終始してしまった。
それというのも、解説によればこれは、エルマを主人公にしたシリーズ物というか、年代記なのだ。
翻訳された作品が少ないのが難だけど、既にエルマが火星に行った作品もあるらしい。
その中でこの作品は、宇宙飛行士を目指す女性として、能力を訓練しつつ、世間の偏見と闘うところに特化したものとなっている。
まず、女性には閉じられていた宇宙飛行士と -
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ネタバレそもそもこの本が目に留まったのはタイトル『宇宙(そら)へ』
竹宮惠子の絵が、ダ・カーポの歌声が、瞬時にして脳内で再生されたわけよ。
『地球(テラ)へ…』
よく考えたら、方向逆だけどね。
巨大隕石が地球に落下。
地球に到達するまで気づけなかったの?
ミサイルか何かで隕石のルートを変更させるとか、粉々にするとか、できなかったの?
って思ったのですが、舞台は1950年代のアメリカなのでした。
つまりアポロ計画の前なのです。
IBM(つまりコンピュータ)がないわけではないのですが、巨大すぎるしそもそも使える人がほとんどいない状況で、難しい計算は、人が計算尺を使って計算していた時代です。
でも、隕 -
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帯に色々章を取ったと書かれていたので購入。面白かった!隕石ってミーティアライトっていうのか~ 知らなかったな。
1950年代(だったかな)に隕石が落ちたという設定も面白い。第二次世界大戦が終わって、アポロが月に降りる前辺りのNASAが盛り上がっていた頃に、人類が宇宙に進出する必要性がある、と持ってくるのは上手いなぁと思いました。
今でこそ男女対等などと言われていますが(今も言われているということは実際対等ではないという事の証左だと思いますけど)50年代のアメリカでも女性の扱いというのはこんな感じだったのかな~と思いながら読みました。日本は今でも医大の入試に男子学生にゲタ履かせるなんてやってる -
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ネタバレハウルの動く城の映画版ソフィー的な長女の不遇。そんな主人公のジェーンなのでした。
※ハウル原作版はソフィーさん美人だし、どちらかというと寓話にある『長女の不遇』を信じてしまっているが故の不遇なので。
メロディもねぇ…才能まで欲する欲張りと見るか、才能がないことに気が付いて嫉妬し嘆くだけの感性はあったと見るか…。
まぁなんにせよワガママ娘だし、思いやりを搾り取られるだけ搾り取られて更にもっとと要求されるジェーンに同情してしまうのはいたしかたないかも。
多少鈍感とはいえ、お父さんが優しいのだけはまだ救いだったかなぁ。
魔法が出てくるけど、ハリポタのように戦ったりはしません(笑。
どちらかというと芸 -
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ネタバレ19世紀初頭の英国。音楽や絵画と並んで魔術は女性のたしなみとして日常を幻で飾っている。魔術を使う時の表現が魅力的。だが、予想以上にロマンティックな展開だった。
結婚せずに地道に生きようと決めているジェーンは芸術に絡んだ豊かな愛情を受け入れるが結局は古典的な幸せの形なのね、と思った。
舞台設定の時代からいけば当然なのだけれど、女ってばかよね〜とか男ってどうしようもないよね〜とか、読んでいてしんどい。
ジェーンと家族の関係性も辛い。
魔術師の再登場は予想通りの形。どうせなら魔術でいかつく見せてたけど実は絶世の美青年くらいやっても良かったのでは。